殺し屋の営業術

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著者 野宮有
発行日 2025年8月29日
発行元 講談社
殺し屋の営業術
著者 野宮有
発行日 2025年8月29日
発行元 講談社
ジャンル サスペンスミステリ
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六変型
ページ数 304
次作 殺し屋の出世術
公式サイト www.kodansha.co.jp
コード ISBN 978-4-06-540330-3
ウィキポータル 文学
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殺し屋の営業術』(ころしやのえいぎょうじゅつ)は、野宮有による長編小説[1]。第71回江戸川乱歩賞受賞作[2]

2人の殺し屋と遭遇し殺される運命となった凄腕営業マンが、命がけの営業トークで殺し屋たちを説得し、「2週間で2億円」のノルマに挑むエンターテイメント小説[ch 1][ch 2][ch 3]

2025年8月29日に講談社より単行本が刊行された[1]。同年12月27日にはテレビ番組『王様のブランチ』にて発表されたブランチBOOK大賞2025を受賞した[3]

2026年にシリーズ第2作『殺し屋の出世術』が刊行予定[4]

制作背景

著者の野宮は本作発表の7年前からライトノベルや漫画原作のジャンルで活動しつつ、会社員として短期間ではあるが営業職を経験している。本作にはその営業経験が生かされていると明かし、「作家としてすぐに売れていたらこの作品は書けなかった」と江戸川乱歩賞の発表会で振り返っている[5]

また、野宮は「営業」について、「営業は、営業担当者、お客さま、競合他社の3者との頭脳戦、心理戦であることから、ミステリーとの親和性が高い」と語っている[6]

あらすじ

凄腕営業マンの鳥井一樹は、契約獲得のためなら努力を惜しまず、常にトップの成績を誇っていた。
ある夜、アポイント先の顧客が二人組の殺し屋に殺害され血まみれの死体となっているのを目撃し、背後から襲われ意識を失う。
目覚めると、山奥で自身も殺し屋に口封じのため殺されそうになり、顧客の死体とともに埋められる寸前の絶体絶命の状況に追い込まれる。
しかし鳥井は恐怖に屈せず、「ここで私を殺したら必ず後悔します」と語りかけ、命をかけた営業トークを開始する。
矢継ぎ早の質問と説得で殺し屋たちの営業を請け負う契約を成立させ、鳥井は殺人請負会社に入社し、「2週間で2億円」というノルマに挑むことになる。

登場人物

主要人物

鳥井 一樹(とりい かずき)
防犯商材を訪問販売するハウスパートナーズ社の凄腕営業マン。36歳。
人生を生きている実感が得られるのではないかと寝食も忘れ仕事に没頭し、厳しい売り上げ目標を達成するが、虚しさしか感じない。
長寿で知られるヨウムという大型のインコ科の鳥を1匹、15年前から飼い続けている。

極東コンサルティング

郊外にある廃墟同然の団地の一室に事務所を構える殺人請負会社(マーダー・インク)

風間(かざま)
人相が悪い殺し屋。極東コンサルティングの代表。顎周りに無精髭を生やし、小柄で肥満というほどではないが非常にだらしない体型。
耳津(みみづ)
金髪の若い殺し屋。身長は180センチ以上で異様なほどに痩せているが恐ろしい食欲で、両目が魚類のように大きく外へ突き出している。
籠原(かごはら)
引きこもりの殺し屋[ch 2][ch 3]ハッキング技術を有し、殺しの依頼を募集するダークウェブの運用を任されている女性。ネットからの情報取集も得意。
樫尾(かしお)
再雇用の殺し屋[ch 2][ch 3]。元巣ヶ谷一家の鉄砲玉だった老人。70代。

巣ヶ谷一家

極東コンサルティングを傘下に収める浦乃組系の暴力団。

巣ヶ谷 貴洋(すがや たかひろ)
若頭[ch 2]。乾の処理(捜索、拷問、殺害、死体処理)に掛かった経費以上と思われる2億円を、2週間以内に返済するよう風間に厳命する。

森宮不動産

森宮 勝太(もりみや しょうた)
従業員は本人だけという零細不動産会社の2代目社長[ch 2]。40代。
その正体は反社のフロント企業や表に出せないビジネスに手を染める金持ちを相手にする地上げ屋
2か月前に極東コンサルティングが殺しの商談まで漕ぎつけたが検討中で保留状態。
森宮 竜士(もりみや りゅうじ)
勝太の実弟でビジネスパートナー[ch 2]。地上げの嫌がらせを担当。地元の後輩へのリンチで少年院に入れられた前科がある。
格闘家のような体型で、短く刈り上げた金髪に首筋や左腕をタトゥーが覆う。185センチ。
群馬県の案件で地主の愛犬に毒を盛ろうとしていたところを地主に目撃され、顔面を殴打して殺害してしまう。

周防商会

有名な広域指定暴力団。極東コンサルティングの競合他社[ch 2]

鴎木 美紅(かもめぎ みく)
殺人請負会社の全権を組から任された女性エージェント[ch 2][ch 3]。28歳。先月肺癌でなくなった元会長の親戚筋。週に2日しか働かない。
艶のある長い黒髪に瑞々しい肌、深紅のヴァレンティノのドレスに純黒のバーキンを携え、右手中指に2カラットのピンク・ダイヤモンドを輝かせる。
百舌(もず)
美紅とコンビを組む殺し屋[ch 2][ch 3]。190センチの体躯を誇る屈強な男。瞬間がまるで見えない人間業とは思えない速さでナイフを投げる。
ハッカーとしての技術も群を抜いており、星が5つ付いても足りないほどの一流の殺し屋。

雛沢ファンド

新興企業ながら経済界に確かな影響力を持つハゲタカ・ファンド

羽村 篤史(はむら あつし)
経営企画室長[ch 3]。実質的なナンバーツー。43歳。 社長の椅子を奪い取る野望を抱く。
買収の障壁となりそうな人物を周防商会に殺害させ、赤字企業の救世主の皮を被りM&Aを提案する。
雛沢(ひなさわ)
創業者の社長[ch 3]。60歳。半ば隠居状態で会議か会食くらいしか仕事をせず、羽村曰く、ゴルフのスコアアップと健康食品のことしか興味がない老害。
野端 つぐみ(のばた つぐみ)
社長秘書[ch 3]。親子ほど歳が離れた雛沢と不倫関係。
沼元(ぬまもと)
専務[ch 3]。羽村に比べると実績もなく凡庸な男だが、雛沢が会長に退いた際の次期社長に指名されている。

大川製作所

社員数30名程度の弱小企業ながら、自動車部品生産に関連する特許を2件所有する。

大川 修(おおかわ おさむ)
2代目社長[ch 3]。創業者の息子。社長に就任した11年前から金策は部下に任せ、遊び呆け業績が悪化している。
ノウハウのない半導体産業や飲食事業に参入し、トドメに手を出した仮想通貨を全額ハッキングで流出する憂き目にあう。
羽村からの企業買収に応じないことから、周防商会による殺しのターゲットにされる。

情報屋

カラス
色付きのサングラスをかけた赤髪の男性[ch 2][ch 3]。目の下にくっきりと隈が刻まれている。
ゲーマー池袋eスポーツ施設や錦糸町ゲームセンターに出没する。

その他

大村(おおむら)
鳥井が訪問販売のターゲットとした老人[ch 1]。鳥井のセールストークに食いつき、防犯カメラなどを購入する。
笹塚 重則(ささづか しげのり)
防犯カメラを扱う業者を調べたうえ、ホームページの問い合わせフォームからハウスパートナーズ社に問い合わせてきたデイトレーダー[ch 1]
面談を希望する夜11時過ぎに鳥井が商談に向かうが、切り刻まれた血まみれの死体となっていた。
依田(よだ)
鳥井とほぼ同じ時期にハウスパートナーズ社へ中途入社した同世代の同僚[ch 1]。ことあるごとに鳥井に絡むことから面倒な男と評されている。
鳥井の忙しさに同情する一方、裏では鳥井のことをマシーンと陰口を叩いている。
長谷部(はせべ)
ハウスパートナーズ社の売上ナンバーツーの営業[ch 1]
乾(いぬい)
風間と耳津の会話に登場する極東コンサルティングの前任営業担当[ch 1]。五百万円を持ち逃げするが、巣ヶ谷一家に処理される。
瀬古 蓮太郎(せこ れんたろう)
関東の有名な半グレ集団「メビウス」のリーダー[ch 2]。幾何学模様の反り込みを入れた坊主頭。上半身は入れ墨だらけ。30代半ば。
森宮が不動産を売る得意先だったが、竜士が殺害した地主の処理(死体処理、現場清掃、万が一の場合の海外逃亡の手配)を膨大な料金で請け負う。
処理を請け負ったことで森宮兄弟の弱みを握り、彼らから搾り取るだけ搾り取ろうとする。
坂田 平治(さかた へいじ)
森宮兄弟が目をつけている土地の所有者[ch 2]府中駅近くに730平方メートルの土地を所有するが空き地としている怠惰な男。
森宮兄弟に土地売買の交渉を拒むが、ある日、自殺をほのめかす遺書を残して失踪してしまう。
黒瀬(くろせ)
暴対法で骨抜きにされ、仮想通貨でどうにかしのぐ暴力団「黒瀬組」の会長[ch 2]。周防商会の顧客。

評価

江戸川乱歩賞の選評として、有栖川有栖は本作を「乱歩賞作品の中でも異彩を放つ一作だろう」と評価した。貫井徳郎は「この物語に惚れ込みました」と明かし、東野圭吾は「読み手の心を掴む力に満ちていた」と称賛した。湊かなえは「主人公の内面の変化にワクワクしました」と語り、横関大は「新人賞のレベルを超えた優れたエンターテインメント作品」と絶賛した[1][2]

受賞・候補歴

書誌情報

脚注

外部リンク

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