法華三大部難字記

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法華三大部難字記(ほっけさんだいぶなんじき)は、日本で編纂された漢和辞典の一つ。現存する版本はいずれも江戸時代に刊行されたものだが、成立は室町時代にさかのぼると考えられている。仏典の注釈に現れる難字を整理する意図を持ちながら、奇異な字や国字を数多く収録していることで知られる。

雑部の項に記載されている「エイ」「フン」と読ます字

『法華三大部難字記』は、江戸初期の承応2年(1653年)に刊行された版本が確認されており、現在伝わるのはこの時期以降のものに限られている。しかし、片仮名の用法や語例からみて、原典は室町時代に成立したとされる。川瀬一馬『古辞書の研究』でも、室町の字書の影響を強く受けていると指摘されている。具体的には、鎌倉期の『世尊寺本字鏡』を抄録した『音訓篇立』と同じ掲出字があり、また注釈に古い仮名が用いられていることからも、その成立年代が裏付けられる。

書名の「法華三大部」とは、智顗が著した『法華玄義』『法華文句』『摩訶止観』を指すが[1]、実際にはそれらの典籍に見出せない文字も多数収録されている。その中には日本製漢字(国字)や、仏教や修験道の呪符・祈祷に似たものも含まれており、不可思議な字書として知られている。特に有名なのは「エイ」「フン」と読む奇妙な字で、現代では難字・奇字の一例としてしばしば言及される[2]

編纂は部首による篇立式で、片仮名と漢文による音訓注記を備える。分類上収まりきらない文字は「雑部」に集められ、その中に特異な字が多く含まれている点が特徴的である。仏典には難しい字が多いという認識のもと、「難字記」と呼ばれたものに、後世「法華三大部」が冠されたと推測される。

現存本は数部に限られるが、1967年には大正大学天台学研究室により影印版が刊行され [3]国立国会図書館でもデジタル公開されている。今日では、国字研究や幽霊文字研究の資料として注目を集め続けている[4]

参考文献

脚注

外部リンク

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