盗まれた地球

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盗まれた地球
The Stolen Earth
ドクター・フー』のエピソード
最高ダーレク
話数シーズン4
第12話
監督グレアム・ハーパー英語版
脚本ラッセル・T・デイヴィス
制作フィル・コリンソン英語版
音楽マレイ・ゴールド
作品番号4.12
初放送日イギリスの旗 2008年6月28日
エピソード前次回
 前回
運命の左折
次回 
旅の終わり
ドクター・フーのエピソード一覧

盗まれた地球」(ぬすまれたちきゅう、原題: "The Stolen Earth")は、イギリスSFドラマドクター・フー』の第4シリーズ第12話で、1963年に始動したクラシックシリーズから数えて第750話[1]2008年6月28日BBC One で初放送された[2]。番組製作総指揮兼主脚本家のラッセル・T・デイヴィスが脚本を執筆した本作は、同年7月5日に放送されたシリーズ最終話「旅の終わり」との二部作であり、スピンオフ作品『秘密情報部トーチウッド』や『The Sarah Jane Adventures』とのクロスオーバー作品でもある。

デイヴィスが製作総指揮に在任している間に作り上げた目立つ一連の物語は、このフィナーレの物語で決着を迎えた。本作では現代の地球と他の26個の惑星ダーレク艦隊に盗まれ、そのダーレク艦隊は誇大妄想に憑りつかれた創造主ダヴロスと、未来を予見するダーレク・カーンに助力を受けていることが判明する。10代目ドクター(演:デイヴィッド・テナント)と彼のコンパニオンドナ・ノーブル(演:キャサリン・テイト)が地球を探す間、ドクターの以前のコンパニオンであるジャック・ハークネス(演:ジョン・バロウマン)、マーサ・ジョーンズ(演:フリーマ・アジェマン)、サラ・ジェーン・スミス英語版(演:エリザベス・スレイデン英語版)、ローズ・タイラー(演:ビリー・パイパー)は会合して彼にコンタクトを取り、ダーレクに対する地球防衛を開始する。本作の終盤ではドクターがダーレクに撃たれ、再生を開始する。

本作では1988年の Remembrance of the Daleks 以来となるダヴロスの再登場が目立ち、ダヴロス役をジュリアン・ブリーチ英語版が演じた。また本作では、グウェン・クーパー(演:イヴ・マイルズ)とイアント・ジョーンズ(演:ギャレス・デヴィッド=ロイド)、ルーク・スミス(演:トミー・ナイト英語版)、ミスター・スミス(声:アレキサンダー・アームストロング英語版)が『ドクター・フー』に初登場した。なお、マイルズとアームストロングは別の役で以前に『ドクター・フー』に出演していた。アッジョア・アンドー英語版ペネロペ・ウィルトンがそれぞれマーサの母フランシス・ジョーンズとハエリエット・ジョーンズ元首相役で再出演し、ポール・オグラーディ英語版リチャード・ドーキンスが公衆の恐怖を緩和しようとするテレビのパーソナリティとしてカメオ出演した。

本二部作フィナーレの壮大なスケールと根本的なプロットは2007年初頭にエグゼクティブ・プロデューサーのラッセル・T・デイヴィスやジュリー・ガードナー英語版およびフィル・コリンソン英語版の降板のための最後のレギュラーシリーズの物語として考案された。第4シリーズのフィナーレはコリンソンがプロデューサーを務めた最後のストーリーで、2010年にはスティーヴン・モファットピアース・ウェンガー英語版がそれぞれデイヴィスとガードナーに代わって製作総指揮とエグゼクティブ・プロデューサーに就いた。主要なコンセプトは2007年6月までに既に具体化され、デイヴィスは2007年12月7日に脚本に着手し、31日に完成させた。撮影は2008年2月と3月に行われ、ポストプロダクションは放送2週間前である2008年6月半ばに完了した。プロットの要素を可能な限り隠すため、「盗まれた地球」のタイトルは放送16日前まで公開されなかった。試写会のDVDからはドクターの再生シーンが削除されて最終シーンがダーレクに撃たれるドクターのシーンとなり、放送時には「旅の終わり」の予告編が放送されなかった。

本作は視聴者とプロの批評かのどちらからも肯定的にレビューされた。Audience Appreciation Index のスコアは91で、これは『ドクター・フー』が今まで記録したことのない数値であり、テレビ番組に与えられた評価としても最高値の1つである。本放送の視聴者数は878万人に上り、その週で2番目に多く視聴された番組となった。これは放送当時、『ドクター・フー』が到達した最高の順位であった。批評家の反応は圧倒的に肯定的だった。ニコラス・ブリッグズ英語版とジュリアン・ブリーチはそれぞれダーレク・カーン役とダヴロス役を称賛され、デイヴィスの脚本のほぼ全ての面が高評価された。最も顕著なのは本作の予想外の結末に関してで、これは一般に高く評価された。再生の衝撃により前代未聞のレベルの公衆の興味が番組に向かい、その興味は「旅の終わり」の放送まで続いた。

初期の開発

「盗まれた地球」と「旅の終わり」は2005年に始動した『ドクター・フー』新シリーズの全4シーズンと、番組を復活させるにあたっての製作総責任者ラッセル・T・デイヴィスの仕事の集大成である。デイヴィスは第4シリーズのストーリー・アーク英語版について「全てのエピソードに由来する要素──大団円を作り上げる人物、フレーズ、疑問、惑星、謎──が含まれている」「第1シリーズへ完全に遡る、小さくも必要不可欠な引用と共に、フィナーレは長い間隠されていた」と主張した[3]。これらをテーマとするモチーフのいくつかは主要なプロットポイントといて使われ、ハチの消失、メデューサ・カスケード、シャドー議会の重要性が本作で明かされた。本作はスピンオフシリーズ『秘密情報部トーチウッド』や『The Sarah Jane Adventures』との初めてのメジャークロスオーバーでもある。デイヴィスはこのクロスオーバーのコンセプトを子どもが想像するのに典型的な『ドクター・フー』と『スター・ウォーズ』の宇宙のクロスオーバーになぞらえた[4]

第4シリーズのフィナーレは2006年初頭に初めて計画された。現実の崩壊や大勢のゲスト出演者を含むその壮大なスケールのために、2009年に削減された『ドクター・フー』の放送時間と、2008年半ばから初頭2010年に差し迫ったデイヴィス、ジュリー・ガードナー英語版フィル・コリンソン英語版の降板を補う必要があった[5][4][6]。本作のストーリーが明確化されたのは2007年初頭で、デイヴィスは製作チームと第4シリーズの概要を配った。彼の概要では、既に "The Stolen Earth" と銘打たれたフィナーレには、放送された映像に登場した事物の他に、ベインクリリテーンゲルスアイソラス、この他CGデータがコンピュータに保存されているエイリアン全てがCGで登場し、スリジーングラスクおよびバルフーンの長老モックスなどが装具として登場すると書かれていた[7]

それぞれ「消えた花嫁」と「呪われた旅路」に登場したドナと海軍士官候補生アロンゾ・フレイム(演:ラッセル・トーヴィー)も「盗まれた地球」でのカメオ出演が計画されていた。ドナは計画された後にキャサリン・テイトが第4シリーズ全てにコンパニオンとして再登場することに同意し、一方でアロンゾは本作の複数の複数の草案でシャドー議会の一員として登場していた[8]。2008年1月のビリー・パイパーの新婚旅行中に撮影が当初予定されていたため、彼女の出演はほぼキャンセルされかかっていた[9]フリーマ・アジェマンは2006年にマーサ・ジョーンズ役を承諾した際、同様にフィナーレに出演することを契約した[10]

フィナーレの主要なコンセプトは2007年3月には既に展開された。デイヴィスは「ラスト・オブ・タイムロード」のマスターとドクターの会話で初めて言及されたメデューサ・カスケードを、ラジオ・タイムズDoctor Who Magazine のジャーナリストベンジャミン・クック (ジャーナリスト)英語版に、ローズの第4シリーズへの復帰を許した平行宇宙間の裂け目の近くに存在する宇宙の領域であると説明した。彼は数時間後にクックへ別の電子メールを送り、フィナーレでのダーレク・カーンの役割とダヴロスがタイム・ウォーから復活したことを説明した[11]。2007年半ばに、ドクターの再生が2つの分かれたパートに構想された。デイヴィスは2007年4月に「旅の終わり」での2人のドクターというコンセプトを下書きし[12]、エピソード終盤の再生は2007年6月12日に考案されたものを使った[13]

脚本

デイヴィスは「盗まれた地球」の脚本執筆を2007年12月10日に開始した[14]。彼はニューヨークでのマーサの登場を書くのに数日を費やした。彼は都市の破壊を考えたが、『ドクター・フー』の歴史に大きな影響を残す(第5シリーズの舞台となる現代の地球がニューヨークの破壊された世界になってしまう)ため、ニューヨークの破壊は悪い選択であると決めた[15]

本作の執筆に着手する数日前にデイヴィスにバーナード・クリビンスから電話がかかり、彼の演じるウィルフレッド・モットがペイント弾をダーレクの目に撃つシーンを提案された。彼はそのシーンを1960年代半ばに出演した『ドクター・フー』の映画『地球侵略戦争2150』への言及として提案し、重々しい描写の中のコミックリリーフをもたらすだろうと考えた[16][17]。ペイント弾を沸騰させて「私の視力は妨害されない」と返事をしたダーレクの反応が追加されたのは、それがダーレクが視覚を奪われた際に発される繰り返されるフレーズ ("Vision impaired!") を逆転させたものであるとクックがデイヴィスに思い出させた後のことであった。このシーンは1963年から1964年の The Daleks でダーレクが初登場を果たした時からダーレクが晒していた弱点を取り除くこととなった[5][18]。ローズがそのダーレクを吹き飛ばした後にウィルフレッドが「交換しよう」と持ち掛けたのは、同様に撮影の間にクリビンスがアドリブで加えたものである[5]

デイヴィスによるダーレク侵攻とシャドー議会の最初の草案は放送されたものと根本的に異なる。地球侵攻の場面では、ダーレクの繰り返す「抹殺セヨ!」の叫び声が聞こえるのではなく、ダーレクの宇宙船にキャプテン・ジャックとサラ・ジェーンが反応した。1隻の宇宙船がロンドンのホワイトホールに下降し、ビッグ・ベンを通りすがりに破壊し、イギリス首相オーブリー・フェアチャイルドを殺害した[10][19]。シャドー議会は、ロジャー・ディーンの絵画のように宇宙空間に垂れる、繋がった一連の小惑星にまたがる金属製のSFチックなタワーの巨大な軍事施設を有する銀河間の警察権力と定義されていて[5]、当初は新シリーズに登場した全ての異星人が再登場しており[20]、ブロン・フェル=フォッチ・パッサミーア=デイ・スリジーン(演:アネット・バッドランド)がラキシコリコファラパトリアス星の家族ジンガジーンの幼児としてカメオ出演し、兄弟星である惑星クロムの消失について言及していた[21]

大量の怪物と議会の官僚的態度にドクターは苛立ち、現在はシャドーの兵士として雇用されているアロンゾもドクターの書類記入を手伝っていた[22]。物語が進むと、アロンゾはダーレクに抹殺されていた[23]

彼がシャドー議会のシーンを執筆して一週間後、脚本の構造と予算上の理由でデイヴィスは当該シーンの書き直しを決めた。トーヴィーのカメオ出演は彼が撮影に参加できなかったため、シャドー議会の本部長を中心としたシーンに置き換えられ、デイヴィスはひどく落胆した[23][24]。ダーレクの侵攻も、首相の殺害がダーレクにしてはいつになく "外交的" であると決め、放送版に書き直された。首相の名前は2008年クリスマススペシャル「もうひとりのドクター」に再利用された[10][25]。また、彼はシャドー議会についての疑念をクックに伝えていた。彼は本部長と言う肩書が酷く剥がれ落ちていると感じたが、シャドー議会がプロットに必要不可欠であることを認めた。彼は本部長という肩書を "Shadow Architect"(演:ケリー・ハンター)に変更し、さらに白髪かつ赤目で黒いローブを身に纏っているというSFチックな風貌にすることで欠点を修正した[26]

デイヴィスはシャドー議会のシーンを2008年2月初頭まで Shadow Architect の初登場よりも前に置きつづけていた。当該シーンは、地球の消失を優先すべきだと文句を言うドクターと、消失を報告するために列に並んで待てと主張し続けるジュドゥーンの議論で繋げられた[21]。50億以上の言語を操ることのできるドクターはジュドゥーンの翻訳機に過負荷をかけて議論に勝ち、すぐに Shadow Architect に会わせるよう命令した[27]。デイヴィスの提出した脚本は特殊効果に余裕のある予算を超過したため、アネット・バッドランドが既にカメオ出演の会話を録音していたが、彼は当該シーンのカットを強いられた。書き直され、そして最終的に放送されたシーンでは、ターディスが4人のジュドゥーンの警備員のいる Shadow Architect のオフィスに直接着陸した[28]

クリスマスの侵略者」でシコラックスの宇宙船の撃墜をトーチウッドに命じた後に大団円で直面した内閣不信任決議の償いの結論[29]と満足を持たせるために、ハリエット・ジョーンズ元首相(演:ペネロペ・ウィルトン)の再登場をガードナーとコリンソンが願ったため、デイヴィスはハリエットを12月22日に脚本に書き、この後にウィルトンが再出演の話を持ち掛けられることになった[18]。ハリエット・ジョーンズのストーリー・アークは、導入・ドクターへの敵意・自らの命を犠牲にする贖罪からなる3つに分かれたストーリーラインを形成した[10]。デイヴィスはウィルトンの撮影を予約するのが非常に厳しいと気づき、交渉をより簡単にするために、彼女の出演を一ヶ所(ハリエット邸)での1日の撮影に制限した。ウィルトンが辞退した場合には、ディヴィスはハリエットをドナか「呪われた旅路」のミスター・コッパー(演:クライヴ・スウィフト英語版)あるいは「エルトン君の大冒険」のエルトンに置き換える計画だった[10][18]。ウィルトンはデイヴィスのためなら何でもやると言って無条件に承諾し、フィル・コリンソン英語版のプロデューサーとしての最後の撮影ブロックで演技したいと願った。彼女の「UFO ロンドンに墜落」での初登場は第1シリーズの第1製作ブロックで撮影されていた[30]。コリンソンとデイヴィスはハリエットの死を悲しんだ。コリンソンは「彼女が死ぬとは考えられなかった」 と述べて彼女が死から逃れたと主張し[30]、デイヴィスは優しく Doctor Who Magazine の397号で「脚本磁化の作る重要な登場人物が死ななくてはならない時、それは純粋に感動的な時間なんだ」と述べた[4]

デイヴィスの脚本執筆は、頭の風邪の発症と過剰な脚本の制約に影響された。カットしなければならなかったため、彼は死に程書きたかった台詞を淡い心で書いていて、その事実に苛立った。スケジュールに追われていた彼は予定していたパイパーの結婚式への出席をキャンセルしなくてはらならず[31]、さらにボーイフレンドとの新年会のプランの大半も中止を強いられた[32]。これらの問題は彼のドクターとコンパニオンの会話やダヴロスとの遭遇の最初の草案にも影響した。彼はそれをライセンスの支払者の金を無駄にする不完全でくだらない物として却下し[32]、数時間後に違うバージョンに置き換えた[32]。この会話ではドクターのコンパニオンがドクターへ同時に喋りかけており、テイトとテナントおよび監督グレアム・ハーパー英語版はドクターの愉快さがそうでなければ不適切になると考えて、ダーレクの呼びかけをドクターに全て無視させるという創作的な決定をした[10]。彼は最終的に脚本を大晦日の午前1時に完成させた[33]。クックは脚本の最後のページについてエピソードは予告編なしで放送すべきだとレビューし、デイヴィスも「BBCは最終話の試写会DVDを決して送らなかった」「「旅の終わり」の宣伝は "I'm regenerating" の繰り返しと無数のダーレクを見せるだけしかできない」と言って同意した[34]。本作は公式に提出されたのは2008年1月7日、「盗まれた地球」と「旅の終わり」の準備日であった[35]

デイヴィスは『ドクター・フー』と組になるシリーズ『Doctor Who Confidential』で本作のクライマックスについて詳細に話をした。ダーレクの光線がドクターを撃って再生が始まるクライマックスは、デイヴィスがロマンスフィクションの模倣として執筆した。彼はローズとドクターの再会を視聴者がこれまでに見た中で最大のロマンスとなぞらえ、『風と共に去りぬ』といった影響力の強い映画もダーレクが男主人公を撃って終わるべきだとジョークを口にし[36]、第4シリーズを通してのパイパーのカメオ出演を介した当該シーンの感動的インパクトを強めた[36]。テナントはドクターの負傷を「感情の高ぶる瞬間」と形容し、「ドクターは幸せな瞬間を享受できなき、特にクリフハンガーが書かれる必要があるときにね」と嘆いた[36]。本作はドクターの再生の途中で終わるが、これはデイヴィスが『ドクター・フー』において最も大きく最もエキサイティングなクリフハンガーを創りたいと思い、さらに話の終わりにはいつも完了するこれまでの再生シーンとの差別化を望んだためであった[36]。手が「旅の終わり」のクライマックスにおける重要なプロット装置であったため、負傷を治癒した後で別個の手に再生エネルギーを移して再生プロセスを止めるというその解決法が道理に適っていると彼は考えた[37]。製作チームは再生を中断して新しいドクターが生まれたことが12回の再生のうち1回を使い切ったことになるか否かという議論をファンの間で生むことに気付いた。製作チームは当初その議論を避けるためにコメントを拒否した[37]が、プロセスが完了しなかったため彼は再生の1つを使っていないと考えていると後にデイヴィスは述べた[10]。しかし、11代目ドクターの最後のレギューストーリーである2013年クリスマススペシャル「ドクターの時」では、件の再生が実際に12回のうち1回にカウントされることが確定した。

キャスティング

進化生物学者かつ人本主義者リチャード・ドーキンスは、彼の妻ララ・ウォード英語版が1970年代後半にタイムレディのロマーナを演じていたことから、本作へのカメオ出演に同意した。

フィナーレには19人の主なキャストメンバーがおり、うち16人が「盗まれた地球」に出演した[38]。クロスオーバーの成り行きとして、本作はイアント・ジョーンズ役のギャレス・デヴィッド=ロイド、ルーク・スミス役のトミー・ナイト英語版が『ドクター・フー』に初出演を果たした。「にぎやかな死体」で以前にグィネスを演じたイヴ・マイルズ[39]は初めて『秘密情報部トーチウッド』の女性主人公グウェン・クーパー役で出演した[40]。本作には数多くの再登場キャラクターがおり、ビリー・パイパーフリーマ・アジェマンアッジョア・アンドー英語版ジョン・バロウマンニコラス・ブリッグズ英語版エリザベス・スレイデン英語版そしてペネロペ・ウィルトンが「盗まれた地球」で再出演した[4]。進化生物学者リチャード・ドーキンスとコメディアンポール・オグラーディ英語版がトーチウッドのテレビ画面にカメオ出演した[40]ダヴィナ・マッカル英語版デレク・アコラー英語版アン・ウィデコムといった著名人のカメオ出演は新シリーズ始動以来それぞれ最後から2番目のエピソードに盛り込まれていた[5]。オグラーディは彼が番組のファンであるという話をデイヴィスが聞いてから役を与えられ[40]、ドーキンスは空の新しい惑星について議論する BBC Newsnight 風のテレビ番組の高齢教授役をクックがデイヴィスに提案し、彼により脚本に加えられた[41]。ドーキンスは『ドクター・フー』と以前から関係があったため承諾した。彼の妻ララ・ウォード英語版は、1979年から1989年までタイムレディの2代目ロマーナを演じていたのだった[42]。ガリー・ミルナーはエキストラの怖がる男 (Scared Man) としてキャスティングされたが、その前に進行予定表を神聖な男 (Sacred Man) と誤読し、聖職者のような役作りをしてしまった[43]。「盗まれた地球」のコールドオープンで牛乳屋を演じているアンドリュー・ブリヴァントは、本作よりも前に The Sarah Jane AdventuresThe Temptation of Sarah Jane Smith で警察官役を演じていた[10]。サンチェス将軍役を演じたマイケル・ブランドンは後にオーディオ Lurkers at Sunlight's Edge に出演した。Shadow Architect を演じたケリー・ハンター英語版は同じ役で第9シリーズ第1話「魔術師の弟子」に出演した[44]

ダヴロス

ダヴロス。大きなデザイン変更として、右手が機械に変更された。

「盗まれた地球」では1988年の Remembrance of the Daleks 以来初めてダヴロスが登場した。ダヴロスは策略の天才としてではなく普通のロボットとしてダーレクを支配するとデイヴィスは考え、以前のシリーズをダーレクの個々の知性の確立に使い、ダヴロスの再登場を後回しにした[4]。ダヴロスは何かの機会のために不測の事態に備えた計画としてキープされていた。もし皇帝ダーレクの備品があまりに高価だった場合ダヴロスは「わかれ道」に登場する予定で、「地獄への扉」の名ばかりの牢獄に住む可能性まであった。デイヴィスはダヴロスの巻き込まれたバックストーリーを明らかにする彼の起源の話を書いたが、これは時間の制約ゆえに最終的にカットされた[45]

ディヴィスはローレンス・オリヴィエ賞を受賞した2006年の舞台版『もじゃもじゃペーター』と『秘密情報部トーチウッド』のエピソード「夜の旅人英語版」でのゴーストメイカー役のジュリアン・ブリーチ英語版のパフォーマンスを見て、彼をダヴロス役にキャスティングした[5][4]。ダヴロスの再登場を秘密のままにしておくため、ダヴロスはクルーの間で "The Enemy" や "Dave [Ross]" として言及され、撮影の脚本も可能な限り匿名が保たれた。しかし、ラジオ・タイムズはキャラクターの秘密を「テレビ誌において最悪の機密」と呼んだ[5][46]デイヴィッド・テナントはダヴロスのヒトラーじみた誇大癖の態度と、テナントの『ドクター・フー』にまつわる最初の記憶が「ダレク族の誕生」でのダヴロスの初登場であったことから彼の生み出すノスタルジックな感情を好み、自分自身について「異常な生物に完全に魅惑されている」と述べた[36][47]。ブリーチは自分の役のための準備として彼の大好きな物語の1つである「ダレク族の誕生」を視聴し、ダヴロスの声を自らに言い聞かせた。ブリーチは自身のダヴロスの解釈について「誇大癖のあるひねくれたマッドサイエンティストで、道を誤った天才」と説明し[48]、全体として「アドルフ・ヒトラースティーヴン・ホーキングのあいのこ」「ニヒルな渇望がキャラクターを異常に仕立て上げている」と表現した[46]。後にブリーチはヒトラーの演説技術と彼の独断的な演説を基準点として使うこととなった[48]

デイヴィスと装具デザイナーのニール・ゴートン、衣装デザイナーのルイス・ペイジ、コンセプトアーティスのピーター・マッキンストリーは対面で本作のダヴロスのデザインを議論した[49]。彼らはダヴロスのデビュー作「ダレク族の誕生」で見られたダヴロスに忠実なビジュアルデザインを維持することに同意した。唯一の大きな変更点は、Revelation of the Daleks で破壊された手を兵器化した機械の手に置き換えた点である[36]。マッキンストリーはクラシックシリーズの "薄っぺらな" デザインをアップデートすることでダヴロスをより大きくより怖ろしくすることを狙った[49]

チームはデザインを2つマイナーチェンジした。彼らはダヴロスのマイクロフォンを取り除いて完全にダヴロスの兜をデザインし直した。ダヴロスが囁き声で喋らない上、彼の声をより聞き取れるようにするため、チームはマイクロフォンを余計であると感じた。元々ブリーチの声はポストプロダクションで変更されないままにすることが意図されてい[45]、声を処理するという決定は2008年5月の下旬までなされなかった[10]。また、ゴートンはオロジナルの頭部について「あのような強力な登場人物にしては、いつも特に弱そうに見える」と述べた。彼は「ダレク族の誕生」の製作デザイナーが兜を医療用の留め具に似せたかったことを知らされた後、ダヴロスの頭にの中に直接ねじ込まれているように見えるよう兜をデザインし直した[45]

ページとゴートンはダヴロスほ上半身で同時に共同作業を行った。ペイジは革製のチュニックをデザインし、ゴートンはそれについて「素晴らしい衣装の作品だ。クラシックのデザインを反映している」と考えた。一方でゴートンは胸郭をデザインした[45]。デイヴィスは革製のチュニックと露出した胸郭を使うことを Doctor Who Magazine 401号で「ダヴロスをホラーの王の原点かつ頂点であると思い出させる」「彼を狂人たらしめている」と説明した[45]

ダーレク

最高ダーレク

「盗まれた地球」は第3シリーズの「ダーレクの進化」以降初めてダーレクが登場するエピソードであり、ダーレクの操縦者は役にもう一度慣れるのに苦労した[36][43][46]。ジャックはダーレクに殺され、ローズとマーサは彼らの見かけ上の絶滅のうち二回に立ち会い、サラは彼らの誕生の場に居たという過去がある。デイヴィスがクロスオーバーの一部に因縁のダーレクを組み込んだことは、ドクターに感情の込められた激しい雰囲気を作ることを意図してのものであった[36]。「ダーレク 孤独な魂」や「わかれ道」で使用されたダーレクの小道具が後者の撮影で水を被って不可逆的なダメージを負ったため、本作ではダーレクのミュータントのアニマトロニクスの再製作が求められた[36]。「盗まれた地球」では新しい2個体の変わったダーレクが登場した。1つはピーター・カッシングの映画『Dr.フー in 怪人ダレクの惑星』を暗示して赤色に塗装された最高ダーレク[40]、もう1つは装甲の破損したダーレク・カーンである。カーンは撮影の脚本では、装甲が展開・破損・融解・湾曲・歪曲し、内部のミュータントは皮膚が泡状になり、触手をうねらせ、失明した単眼で外を見つめ、声は古風で歌謡曲のようで狂っていると描写された[5]声優ニコラス・ブリッグズ英語版はモデルごとに声を変更した。彼は最高ダーレクをエゴイストとして認知し、それに合う気取った声を採用した。カーンには歌うような話し方の声を採用し、タイム・ウォーに突入した結果であるキャラクターの狂気を反映した[36][43]。ブリッグズは「カーンは自分が幸せなのか悲しいのか分からない、彼の語勢は非常に奇妙で、彼は物事が面白くない時に面白みを見出すんだ」と説明し、ほぼ純粋な精神を持った予言者の人格を構築して自身の解釈の正当性を示した[50]。また、2008年6月の Doctor Who Magazine とのブリッグズのインタビューでは拡張した仮説が発表された。彼は、カーンがタイム・ウォーに侵入して反対側から吹き飛ばされたことで脳の回線がランダムあるいは真逆に接続され、深刻さと面白さの区別がつかず、ただ事実だけを認識していると考えた。そして、カーンは耐え難いほどの絶頂の瞬間に閉じ込められていて、湧き上がった感情は全て笑いに変換されるのだと彼は提唱した[51]

ブリッグズのダーレク役は製作チームに歓迎された。グレアム・ハーパーはカーンの笑い声を気に入って「もっと、全テイクで」とリクエストし[51]、デイヴィスはカーンについて「最も身の毛のよだつようなダーレク」と表現した[52]。また、フィナーレではダーレクもマイナーチェンジされた。ダーレクの特徴的なラバーカップはダブロスの護衛が登場するシーンでは歯車の機械仕掛けに置き換えられており、この機械は旗艦に搭載されたダーレクのコントロール装置にも使用されている[53]。さらにダーレクの目は複数のシーンで細かく揺れている。グレアム・ハーパーが加えたダーレクの特徴は、彼らを用意周到でかつ緊張状態にあるように見せるためのものであった[43]

撮影

テナント、パイパー、テイト、バロウマンが本作のクライマックスの撮影の休憩に入っている。2008年3月13日、ペナース英語版にて。
ペナースにて『ドクター・フー』の撮影をしているビリー・パイパーとデイヴィッド・テナント

「盗まれた地球」には2005年に『ドクター・フー』新シリーズが始まって以来初めてとなる、屋外でのダーレクの撮影があった。また、撮影の大部分が夜に行われことも新シリーズ始動以来であり、アウター・ロンドンでの冒頭のシークエンス以外は全て地球を舞台に夜に撮影された[43]

本二部作は2008年での撮影に6週間を要し、2008年2月18日から3月29日まで撮影が行われた。「盗まれた地球」で最初に撮影されたのはトリニティ・ウェルズ役のラケル・カール英語版が出演したニュースレポートのシーンで、2008年1月31日にBBCウェールズのブロードキャスティング・ハウス英語版で撮影された[location 1]。撮影の第1週は全てロンザ・カノン・タフに位置する『ドクター・フー』の Upper Boat studios で行われ[location 2]、再生シーンを含めてトーチウッド・ハブとターディスでのシーンの大半が撮影された[5]

第2週と第3週の撮影スケジュールでは「盗まれた地球」と「旅の終わり」が交互に撮影された。「盗まれた地球」の撮影には3日が割かれ、ドナの家でのシーンがカーディフキンコイド英語版の Nant Fawr Road で2月26日に[location 3]、旗艦のヴォールトを舞台にしたシーンが Upper Boat Studios で3月3日に[location 2]、シャドー議会でのシーンがカーディフ大学検眼大学院 (School of Optometry)で[location 4]2008年3月8日に撮影された[5]

本作の屋外のシーンは3月11日の午後に開始された。屋外での最初のシーンはコールドオープンのシーンで、トンテグ英語版のウェスト・マウンド・クレセントで撮影された[location 5]。3月12日にはポンティプリッド英語版で2つのシーンが撮影された。ノーブル家の外のシーンが普段のキンコイドではなくホーソン・ロードで[location 6]撮影され、その後に町中央のマーケット・ストリートに場所を移し[location 7]、ローズが騒動の最中にいる民衆の1人と出会うシーンが撮影された[5]。第4シリーズの予告編は場所を必要としなかったため、テナントとテイトはその間に予告編を撮影した[5][54]

ドクターとローズの合流は3月13日にペナースの町の中央で[location 8]200人の民衆の前で撮影され[43][55]、当該シーンはザ・サン紙の翌日の版で報道され、インターネット上にもリークされた[5]。グレアム・ハーパーは2人の再会が本作で最も魅力的な瞬間であるため当該シーンは神秘的だと主張し、番組のフォトグラフィー・ディレクターであるエリン・ビンチェはそのシーンを1980年代のSF映画『ブレードランナー』になぞらえた[55]。ダーレクが人間を抹殺のために拉致するシーンとウィリフレッドがダーレクを撃つシーンが撮影され[5]、その週の屋外での撮影はカーディフリバーサイド英語版のブルック・ストリート[location 9]と隣接するプランタンジェント・ストリート[location 10]で完了した。ダーレク侵攻時のマンハッタンのUNIT本部でのシーンは3月16日と3月19日の夜にM4自動車道英語版のジャンクション32の交通管制センターで撮影され[43][location 11]、実際に建物にダーレクが侵攻するシーンは翌朝の午前5時30分に6分で撮影され[43]、次の夜にはナショナル・ミュージアム・ウェールズが所有するナントガル英語版の倉庫で、マーサがUNITから脱出するシーンが撮影された[location 12][5]。初日の夜に交通事故が起きたため、製作チームは必要であれば撮影の延期に備えた[10]

ペネロペ・ウィルトンは3月18日に Dinas Powys のコテージにてハリエット・ジョーンズ役で再出演した[location 13]。ダーレクの備品をコテージに運ぶのが難しかったため、撮影は停滞した。具体的には、中庭のドアが高くなっているため、ダーレクのバランスや操縦が難しくなっていた[30]。第5週の残りは Upper Boat Studios でのダーレクのみのシーンに使われ[location 2]、ヴォールトが旗艦の司令デッキとして改装された。マーサとサラがそれぞれの家に居るシーンは交互に6週間の間に撮影された。前者はペナースの Lower Cwrt-Y-Vil Road の普段の場所[location 14]で、後者は主に Upper Boat[location 2]で撮影され、サラとルークが屋根裏部屋にいるシーンをもって3月28日に終了した。本作の最後の屋外のシーンは、3月25日に The Sarah Jane Adventures の普段の撮影地でもあるペナースのクリントン・ロードで撮影された[location 15]、ドクターに会おうとするサラにダーレク2体が家の外で声をかけるシーンであった。二部作の一般的な撮影はドーキンスとオグラーディのカメオ出演で締め括られた。ドーキンスは屋根裏の撮影が完了した後の Upper Boat[location 2]で撮影し、オグラーディは3月31日にThe Paul O'Grady Show のエピソードと同時にテムズ川サウス・バンクの The London Studios で撮影した[location 16][5]

ポストプロダクション

撮影が完了した後、ポストプロダクションチーム The Mill英語版がポストプロダクションを担当した。初期草案の大量のエフェクトは放送版の約3倍で、ヴァリアントの攻撃を除いてほぼ全てがカットされた。The Mill は「盗まれた地球」の2つの注目すべきエフェクトを製作した。1つはニューヨークの侵攻で、偵察写真と「ダーレク・イン・マンハッタン」の撮影で得られたショットを使って都市の2.5次元のショットを製作した。もう1つはメデューサ・カスケードに並ぶ惑星群で、完全な3次元モデルを使用した[56]

マレイ・ゴールドは本作のために同時に複数のスコアを作曲した。第4シリーズのために作曲された主旋律との組み合わせで、ゴールドはローウとハリエット・ジョーンズのライトモチーフ、「囚われの歌」のウードの "Song of Freedom"、ミスター・スミスの登場ファンファーレといった、彼が先に作曲した曲のいくつかも使用した。なお、ミスター・スミスのファンファーレはBGMではなく劇中の音楽として使用された。ゴールドは第4シリーズのサウンドトラックのリリースにおいてキューについて話をした。

  • "The Doctor's Theme Season Four"はBBCウェールズ交響楽団が演奏した第1シリーズのドクターのライトモチーフを彼らでアレンジしたものである。オリジナルテーマはメラニー・パッペンハイム英語版によるミニマルなソロであった。デイヴィスとコリンソンはこの音楽を「タイム・ヴォルテックスの外で歌うフラヴィア大統領(5代目ドクター時代の登場人物)」と説明し、「物事があまりにもタイム・ロード的になる」ときに使用することを意図していた[57]。新アレンジの器楽曲は「影の森」の終わりでドクターがリヴァー・ソング(演:アレックス・キングストン)を死から救おうとする時に使用された。このアレンジは「わかれ道」以来初めてとなる、この主旋律を完全に多用したもので、ローズの再登場と第4シリーズの循環的な性質を具体的に表現している[58]
  • "The Greatest Story Never Told" は第4シリーズの後半で定期的に使用された主旋律で、ドクターの過去の愛を表すために過去のエピソードのスコアが掘り起こされている[58]
  • "The Rueful Fate of Donna Noble" は「運命の左折」で初めて登場した主旋律であり、「運命の左折」と「旅の終わり」の終盤でドナが壮大な運命を悟って終わりを迎える様子を表す[58]
  • "Davros" はダヴロスのライトモチーフである。ゴールドは「指の爪、声、そして陰から出現する顔……彼を強調するサウンドモチーフである」と表現し、「ミッドナイト」のスコアからテーマを取ってダーレク・カーンの預言を体現させた[58]
  • "The Dark and Endless Dalek Night" はシリーズのフィナーレのためのダーレクのライトモチーフで、BBCウェールズ交響楽団が演奏した。オーケストラ奏者で指揮者のベン・フォスター英語版は、このトラックについて、第4シリーズ全体のスコアリングを定義する瞬間であると説明した[58]
  • "A Pressing Need to Save the World" は『秘密情報部トーチウッド』の第2シリーズで使用されたテーマを再アレンジしたもので、ゴールドはシリーズのフィナーレ用に戻すのが適切だったと感じた[58]
  • "Hanging on the Tablaphone" はタブラを中心にした主旋律で、ドクターのコンパニオンがサブウェーブ・ネットワークを使って彼に辿り着こうとするシーンで使用された[58]

本作はBBC Oneで50分間の放送枠が割り当てられ、カットされたのは台詞の一部だけであった。民衆の台詞のポストシンクロは6月5日に行われ、最終ミックスは2008年6月12日に行われた。同日にはBBCから本作が正式に告知された[5][20]

放送と反応

脚注

参考文献

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