ラッキョウ
ヒガンバナ科ネギ属の多年草
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特徴
中国[5]原産。中国から熱帯アジア地域に自生し、紀元前から食用とされてきた[4]。日本へは9世紀に渡来し、薬用として用いられた[5]。『延喜式』(927年)にも薬草としての利用が記載されている[6]。当初は独特な辛味と匂いが敬遠されていたが、身体を温める効果があるとされ、江戸時代には食用として広まり、漬物だけでなく煮物などにして親しまれるようになった[5][4]。『農業全書』(1697年)には各種の漬物が記載されている[6]。根元で肥大した、白色または紫色を帯びた白色の鱗茎を食用とする[4]。
産地によって種類があるが、一般的には玉の大きい在来種の「らくだ」や、主に台湾で生産されている「玉らっきょう」などがある[5][7]。
名称
漢字表記
漢字表記は「辣韭」であり、「辣」は辛い、「韭」はニラという意味である[8]。
英語表記
英語表記でもRakkyoが用いられる[6]。なお、scallionと英訳されることがあるがラッキョウとは別種の植物である[6]。
エシャレット
日本では若採りのラッキョウが「エシャレット」や「エシャ」の名で流通している[9]。しかし、若採りのラッキョウが流通し始めた当初は「エシャロット」と呼ばれていた[9]。その由来となったエシャロット(仏: Échalote)は、タマネギ(Allium cepa)の一変種(学名: Allium cepa L. var. aggregatum)でラッキョウとは別の植物である。
これは1960年代に東京の市場で働いていた男性が新たに仕入れた早採りらっきょうを、当時まだ日本に輸入されていなかったエシャロットの名称で売り出したことに起因するが、その後本物のエシャロットが輸入販売されるに至ってからはエシャレットという商品名で売られるようになった[10]。
このような経緯から、日本では軟白栽培して早採りしたラッキョウを葉つきのまま出荷されたものが、「エシャレット」あるいは「エシャロット」として流通することとなった[5][7]。そのため、軟白栽培された若摘みのラッキョウ(根ラッキョウ)が、しばしば同属異種の香味野菜エシャロットと呼ばれるなど混同が指摘された[4]。
両者を区別するため、若採りのラッキョウは「エシャレット」あるいは「エシャ」、小型のタマネギのほうは「ベルギー・エシャロット」と呼ばれるようになっている[9]。
栽培
通年栽培で、作型は小さな球根(鱗茎)を晩夏(8中旬 - 9月中旬)に畑に植え付けて冬を越し、翌年の夏(6月中旬 - 7月中旬)に葉が枯れて休眠状態に入ったら鱗茎を収穫する[11][3]。栽培は容易で、土を選ばず、堆肥も入れずに球根を植え付けるだけでも簡単にできる[3]。冬の寒さにも強い性質で、連作障害もなく、栽培適温は20 - 23度とされている[11]。畑となる土壌は、堆肥や有機質配合肥料で全面施肥を行って育てると紹介する文献もある[11]。
球根の植え付けは、畑を良く耕してから畝を立て、間隔50センチメートル (cm) ごとに深さ5 cmくらいの穴をあけて、ふつう1か所に1球ずつ種球を植える[11]。早春に追肥を行って土寄せも行うと、充実したラッキョウになる[11]。葉が青いうちは若採りしてエシャレット(エシャロット)として利用することも可能である[3]。初夏(6月下旬以降)に葉が枯れてきたら収穫期で、球根を掘り上げて風通しの良い日陰に吊して乾燥させ、貯蔵する[11][3]。収穫した球根の一部は、来期栽培用の種球とし、枯れ葉を取り除いて1球ずつばらして植え付けする[11]。
利用
食品
主に甘酢漬けを中心に、さまざまに味付けがされた市販のラッキョウ漬けが食べられているが、各家庭でも酢付けや醤油漬け、塩漬け、味噌漬けなどが手作りされている[5][4]。小粒のラッキョウの甘酢漬けは「花らっきょう」として知られている[6]。
カレーライスのつけあわせ(薬味)として、福神漬とならんで一般的な存在である。アリル硫化物が消化を助けるほか、ポークカレーの豚肉に含まれるビタミンB1の吸収に役立つといわれる[12]。 鳥取県(鳥取砂丘)・福井県(三里浜)・鹿児島県南さつま市(吹上浜)・鹿児島県薩摩川内市(唐浜)[13]の特産品である。主な旬は初夏から夏場(6 - 8月)で、緑色がかかっていない白色のもので、芽の伸びていないものが良品とされる[5][4]。漬物にしない状態では生ラッキョウとも呼ばれるが、初夏の収穫期に自家製漬物用として出回る以外はあまり流通していない[5]。
生ラッキョウは生命力が強く、収穫して間もない状態でもすぐに芽が出てきてしまう[5]。泥つきのラッキョウをその日のうちに下処理を済ませるのが良く、水洗いしたら一粒ずつ皮を剥いて芽や根の部分を切り落とし、ザルに広げて2 - 3時間干したら調味液に漬け込む[5]。味がなじむまで漬け込んだら、1年間ほどおいしく食べられる[11]。なるべく水を吸わせないように手早く洗うと、漬けあがりの歯ごたえが良くなる[7]。一般的には、塩漬けにしたラッキョウを甘酢に漬ける[14]。
栄養価
| 100 gあたりの栄養価 | |
|---|---|
| エネルギー | 494 kJ (118 kcal) |
|
29.3 g | |
| 食物繊維 | 20.7 g |
|
0.2 g | |
| 飽和脂肪酸 | (0.03) g |
| 一価不飽和 | (0.03) g |
| 多価不飽和 | (0.08) g |
|
1.4 g | |
| ビタミン | |
| チアミン (B1) |
(6%) 0.07 mg |
| リボフラビン (B2) |
(4%) 0.05 mg |
| ナイアシン (B3) |
(14%) 2.1 mg |
| パントテン酸 (B5) |
(11%) 0.56 mg |
| ビタミンB6 |
(9%) 0.12 mg |
| 葉酸 (B9) |
(7%) 29 µg |
| ビタミンC |
(28%) 23 mg |
| ビタミンE |
(5%) 0.8 mg |
| ビタミンK |
(1%) 1 µg |
| ミネラル | |
| ナトリウム |
(0%) 2 mg |
| カリウム |
(5%) 230 mg |
| カルシウム |
(1%) 14 mg |
| マグネシウム |
(4%) 14 mg |
| リン |
(5%) 35 mg |
| 鉄分 |
(4%) 0.5 mg |
| 銅 |
(3%) 0.06 mg |
| セレン |
(1%) 1 µg |
| 他の成分 | |
| 水分 | 68.3 g |
| 水溶性食物繊維 | 18.6 g |
| 不溶性食物繊維 | 2.1 g |
| ビオチン(B7) | 0.9 µg |
|
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[16]。別名: おおにら、さとにら。廃棄部位: 根、膜状りん片及び両端。 | |
| |
| %はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 | |
ネギやニンニクと同様に、ビタミンB1の吸収を助けて新陳代謝を活発にして促す働きがある硫化アリルが豊富に含まれている[5][4]。硫化アリルには、血流を良くして血栓症を予防する働きや、免疫力の向上、肥満解消、生活習慣病の予防効果が期待されている[5]。特有のにおい成分はアリシンで、強力な抗菌作用が知られている[7]。
野菜に含まれる食物繊維の多くは不溶性であることが多いが[7]、ラッキョウは水溶性食物繊維が豊富で[15]、ゴボウの3 - 4倍ほど含まれる[4]。ラッキョウの水溶性食物繊維の大半は、フルクタンである。甘酢漬けでは、その下漬けの際にフルクタンが乳酸菌により分解され、生ラッキョウと比べるとフルクタンが 1⁄6程度である[17]。
生薬
鱗茎は、
栝楼薤白白酒湯 ()栝楼薤白半夏湯 ()枳実薤白桂枝湯 ()
その他の利用
イイダコ釣りで、ラッキョウを餌とした釣法がある。