銅の大鍋のある静物
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| フランス語: Nature morte au chaudron de cuivre 英語: Still Life with a Copper Cauldron | |
| 作者 | ジャン・シメオン・シャルダン |
|---|---|
| 製作年 | 1735年ごろ |
| 素材 | 板上に油彩 |
| 寸法 | 17 cm × 20.5 cm (6.7 in × 8.1 in) |
| 所蔵 | コニャック=ジェイ美術館、パリ |
『銅の大鍋のある静物』(どうのおおなべのあるせいぶつ、仏: Nature morte au chaudron de cuivre、英: Still Life with a Copper Cauldron)は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠ジャン・シメオン・シャルダンが1735年ごろ、板上に油彩で制作した絵画である。画面下部左側 (テーブルの縁) に画家の署名が記されている。作品は現在、パリのコニャック=ジェイ美術館に所蔵されている[1]。
ヴェルサイユ宮殿で華麗なロココ趣味の世界が展開されていた時代に、シャルダンは生涯パリの町をほとんど離れなかった[2]。そして、身近な物ばかりを描いて、流行を追うようなこともなかった[3]。
シャルダンの静物画は、厳しい造形と深い色調によって豊かな詩情を湛えている。彼は独特の厚塗りの技法を使ってあらゆる質感を描き分けたが、単なる技術を超えて、それぞれの事物が固有の生命感を持つ、不思議に静謐な世界を創造した[3]。シャルダンは自分の仕事ぶりを誰にも見せず秘密にしていたので、人々は「彼は魔法のような秘密の技法を持っている」と噂したほどであった。シャルダン自身、「私は絵具を用いて仕事をするが、心で描く」といっている[3]。

この小品の静物画は、ルーヴル美術館 (パリ) にある『台所用品、大鍋、フライパン、卵のある静物』の対作品と見なされている[1]。ほとんど幾何学的な厳しい配置で、テーブル上のいくつかの台所用品を表している。これらの台所用品はシャルダン自身の台所にあったもので、彼の多くの作品にも登場する。手法の最大限の節約によって、何本かの長い線がこの整合された構図に律動を与えている。テーブルの水平線は、乳棒の垂直線と大鍋の円形に呼応している。また、『赤エイ』 (ルーヴル美術館) のように、シャルダンは、奥行き感を出すためにテーブルの縁に斜めに置かれたナイフのモティーフを利用している[1]。
本作は、絶え間ない簡素さの追求の結果、生み出されたものである。シャルダンは当初、17世紀北方絵画のより複雑な静物画に近い作品を描いていたが、やがて構図を本質的なものだけに簡素化した[1]。シャルダンを称賛したドゥニ・ディドロは、1767年のサロン・ド・パリで彼の素晴らしい技巧を褒めたたえて、「信じられないほどの色彩の力、全体的な調和、刺激的で本物の効果、美しい形態、妬ましいほど魅惑的な仕上げ、取り合わせと配置の妙」と述べている[1]。