鹿踊りのはじまり
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北上川の東側から移住して畑を開いて暮らしていた百姓の嘉十は、ある時、栗の木から落ちて足を痛め、湯治のために西の山にある温泉に出かけた。その途中、嘉十は持ってきた栃と粟の団子を食べ始めたが、鹿に食べさせようと少し残して出発した。 少し行ったところで、嘉十は手ぬぐいを忘れたことに気づいて引き返し、6頭の鹿の一団と遭遇する。
6頭の鹿は、見たことのない手ぬぐいに興味を持ち、周りをめぐって踊り始める。 すると嘉十は鹿のことばがわかるようになり、鹿たちが手ぬぐいの正体について、議論しているのが聞こえてくる。
鹿たちは手ぬぐいを生き物とみなして、警戒していたが次第に大胆となって、干上がったなめくじであろうと結論づける。 そして嘉十の残した栃団子を分けあう。 嘉十は一部始終を、すすきの陰に隠れて見ていたが、一頭ずつ歌を披露して、鹿たちが輪になって巡り踊るのを見て心を奪われ、自分も鹿になったような気がして飛び出してしまう。 鹿たちは一斉に西に向かって逃げ去って、夕焼けの野原に嘉十だけが残される。
嘉十が、鹿たちによって穴のあけられた手ぬぐいを拾って、西に向かって歩きはじめるところで物語が終わる。
