CYP1A1

シトクロムP450に分類される酵素の1つ From Wikipedia, the free encyclopedia

シトクロムP450 1A1CYP1A1遺伝子によりコードされるタンパク質[5][6]シトクロムP450スーパーファミリに属する酵素の1つである[7]

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号CYP1A1, AHH, AHRR, CP11, CYP1, P1-450, P450-C, P450DX, CYPIA1, cytochrome P450 family 1 subfamily A member 1
染色体15番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
CYP1A1
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

4I8V

識別子
記号CYP1A1, AHH, AHRR, CP11, CYP1, P1-450, P450-C, P450DX, CYPIA1, cytochrome P450 family 1 subfamily A member 1
外部IDOMIM: 108330 MGI: 88588 HomoloGene: 68062 GeneCards: CYP1A1
遺伝子の位置 (ヒト)
15番染色体 (ヒト)
染色体15番染色体 (ヒト)[1]
15番染色体 (ヒト)
CYP1A1遺伝子の位置
CYP1A1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点74,719,542 bp[1]
終点74,725,536 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
9番染色体 (マウス)
染色体9番染色体 (マウス)[2]
9番染色体 (マウス)
CYP1A1遺伝子の位置
CYP1A1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点57,595,211 bp[2]
終点57,611,107 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 iron ion binding
酸素結合
flavonoid 3'-monooxygenase activity
demethylase activity
oxidoreductase activity, acting on paired donors, with incorporation or reduction of molecular oxygen, reduced flavin or flavoprotein as one donor, and incorporation of one atom of oxygen
金属イオン結合
steroid hydroxylase activity
触媒活性
血漿タンパク結合
ヘム結合
oxidoreductase activity, acting on paired donors, with incorporation or reduction of molecular oxygen
酵素結合
vitamin D 24-hydroxylase activity
酸化還元酵素活性
aromatase activity
oxidoreductase activity, acting on diphenols and related substances as donors
モノオキシゲナーゼ活性
estrogen 16-alpha-hydroxylase activity
Hsp70タンパク質結合
Hsp90タンパク質結合
細胞の構成要素 細胞質
オルガネラ膜
endoplasmic reticulum membrane
細胞内膜で囲まれた細胞小器官

小胞体
ミトコンドリア
ミトコンドリア内膜
生物学的プロセス response to immobilization stress
maternal process involved in parturition
低酸素症への反応
9-cis-retinoic acid biosynthetic process
有機環状化合物への反応
coumarin metabolic process
vitamin D metabolic process
insecticide metabolic process
response to hyperoxia
response to antibiotic
脱メチル化
cellular response to organic cyclic compound
response to virus
老化
hepatocyte differentiation
epoxygenase P450 pathway
dibenzo-p-dioxin catabolic process
response to arsenic-containing substance
有機物への反応
positive regulation of G1/S transition of mitotic cell cycle
response to vitamin A
リポ多糖への反応
omega-hydroxylase P450 pathway
response to wounding
dibenzo-p-dioxin metabolic process
response to nematode
response to iron(III) ion
フラボノイド代謝プロセス
response to food
肝臓発生
camera-type eye development
消化管発生
細胞増殖
response to herbicide
porphyrin-containing compound metabolic process
ethylene metabolic process
lipid hydroxylation
ステロイド代謝プロセス
cellular response to copper ion
アミン代謝プロセス
毒素代謝プロセス
毒性物質への反応
regulation of lipid metabolic process
複素環代謝プロセス
hydrogen peroxide biosynthetic process
発生プロセス
long-chain fatty acid biosynthetic process
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_000499
NM_001319216
NM_001319217

NM_001136059
NM_009992

RefSeq
(タンパク質)

NP_000490
NP_001306145
NP_001306146

NP_001129531
NP_034122

場所
(UCSC)
Chr 15: 74.72 – 74.73 MbChr 15: 57.6 – 57.61 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
閉じる

機能

生体異物および薬物の代謝

CYP1A1は生体異物および薬物のフェーズI代謝にかかわる(基質のひとつとしてテオフィリンがあげられる)。CYP1A1の阻害剤としてはヘスペレチン(ミカンやライムにみられるフラボノイド)[8]ニューキノロンマクロライドが知られ、誘導剤としては芳香族炭化水素が知られる[9]

CYP1A1は芳香族炭化水素ヒドロキシラーゼ(aryl hydrocarbon hydroxylase, AHH)としても知られ、芳香族炭化水素(多環芳香族炭化水素、PAH)の代謝的活性化にかかわる。たとえばベンゾ(a)ピレン(BaP)をエポキシドへ転換する。この反応では、ベンゾ(a)ピレンの酸化がCYP1A1により触媒されてBaP-7,8-エポキシドが生じたのち、エポキシドヒドロラーゼ英語版(EH)によりさらに酸化されてBaP-7,8-ジヒドロジオールが生じる。最後に、CYP1A1の触媒作用によりBaP-7,8-ジヒドロジオール-9,10-エポキシド英語版が生じる。この分子は発癌性をしめす[9]

しかし、遺伝子欠損マウスをもちいたin vivo実験ではCYP1A1によるBaPのヒドロキシル化は、発癌性をもちうるDNA変異をもたらすよりは、全体としてDNAを保護する作用があることがしめされている。CYP1A1は腸粘膜中において活性が高く、そのため摂取されたBaPが体循環へ浸入することを防ぐためこのような効果があるとされる[10]

さまざまな外来物質のCYP1A1による発癌物質への代謝は、ヒトにおけるさまざまな癌形成から示唆されている[11][12]

内在性代謝

CYP1A1は多価不飽和脂肪酸を生理学的にはたらくシグナル分子のほか病的なシグナル分子へも代謝することでも知られる。CYP1A1はモノオキシゲナーゼ活性をもち、アラキドン酸を19-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(19-HETE)へと代謝するが、同時にエポキシゲナーゼ英語版活性ももち、ドコサヘキサエン酸をエポキシド、主に19R,20S-および19S,20S-エポキシドコサペンタエン酸(19,20-EDP)へ代謝し、同様にエイコサペンタエン酸も17R,18S-および17R,18S-エイコサテトラエン酸(17,18-EEQ)へ代謝する[13]。CYP1A1による12(S)-HETE英語版の合成も実証されている[14]。19-HETEは、細動脈収縮や血圧上昇、炎症反応促進、腫瘍細胞成長刺激などひろくシグナル分子として働く20-HETE英語版の阻害剤である。しかし、19-HETEの20-HETE阻害能の有無および程度はin vivoには実証されていない。

エポキシドコサペンタエン酸英語版(EDP)およびエポキシエイコサテトラエン酸英語版(EEQ)代謝物は、さまざまな動物モデル研究および動物・ヒト組織についてのin vitro研究から、高血圧緩和、疼痛緩和、炎症抑制、血管新生阻害、内皮細胞移動阻害、内皮細胞分裂阻害、ヒト乳癌前立腺癌細胞株の成長阻害・転移阻害など幅広い生理活性をしめすことが知られる[15][16][17][18]。EDPおよびEEQ代謝物はヒトおよび動物モデルにおいて同様にふるまい、ω-3脂肪酸を摂取することによるの効能とされるものの多くに寄与していることが示唆されている[15][18][19]。EDPおよびEEQ代謝物は短寿命であり、生成ののち数秒から数分でエポキシドヒドロラーゼ、特に可溶性エポキシドヒドロラーゼ英語版により不活化されるため、局所的な作用を示す。

調節

CYP1A1遺伝子の発現は、CYP1A2/CYP1B1英語版遺伝子の発現と同様芳香族炭化水素受容体、リガンド活性化転写因子芳香族炭化水素受容体核内輸送体からなるヘテロダイマー転写因子により調節される[20]。腸内ではCYP1A1発現はToll様受容体2英語版(TLR2)にも[21]依存するが、肝臓内ではそうでない。TLR2はリポタイコ酸などのバクテリア表面構造を認識する。さらに、癌抑制遺伝子p53CYP1A1発現に影響し、それによりPAHなど複数の環境発癌物質の代謝活性を調節していることが示されている[22]

多型

CYP1A1にはいくつかの多型が知られ、そのうちのいくつかはAHH活性の促進がより強くなることが知られる。CYP1A1の多型の例を以下に示す[23][24][25][26]

CYP1A1の促進強化体は喫煙者における肺癌リスクと関連づけられる[27]。敏感遺伝子型CYP1A1をもつ軽度喫煙者は、通常型をもつ軽度喫煙者とくらべて肺癌のリスクが7倍高い。

出典

関連文献

Related Articles

Wikiwand AI