あしたの風
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あらすじ
戦災母子家庭で育つ夏子は、最近、雨が降ると機嫌が悪くなることが多かった。なぜなら、それまで履いていた長靴を弟に譲ってしまったため、夏子の履く長靴がなかったためであった。夏子の家は貧しいので、そう簡単には新しい長靴を買うわけにはいけない。夏子も事情は分かっているし、他にも長靴を持てない子もいるのだが、それでも新しい長靴が欲しいと言って、母を困らせてしまう。
ある朝、新しい長靴が玄関に置かれていた。夏子のためにと、お母さんが新しい長靴を買ってくれたのだった。大喜びの夏子は、今度は雨の日が待ち遠しくなる。そして、しとしと雨の降る日、夏子は胸を張り新しい長靴を履いて学校に向かった。しかし学校で授業を受けている間に、せっかく買ってもらった夏子の長靴はなくなってしまう。誇らしげな夏子を妬んで誰かが長靴を隠して捨ててしまったのか、それとも、勝手に履いて帰ってしまったのか。夏子はびしょぬれになりながら、校内くまなく必死になって探すが、長靴は見つからない。もう誰もいない運動場で、強くなる雨の中、ずぶ濡れになり泣き続ける夏子に、迎えにやって来たお母さんは優しく呼びかける。
長靴を失くした事を泣きじゃくって詫びる夏子を、母はにこやかに笑いながら靴屋に連れて行く。母は夏子のために、靴屋に頭を必死に下げて、もう一度同じ長靴を都合してもらおうとする。裸足の夏子の姿に、事情を慮った靴屋は嫌な顔一つせず、もう一度同じ長靴を都合してくれた。帰り道、余計なお金を使わす事を詫びて心配する夏子に、母は「娘(夏子)にあしたまで泣いた顔をさせるのはしのびない」から気にしなくていいと諭して「あしたはあしたの風が吹く」とにっこり笑うのであった。