トリヴェール和泉

大阪府和泉市中部にある住宅・産業都市 From Wikipedia, the free encyclopedia

トリヴェール和泉(トリヴェールいずみ)は、大阪府和泉市中部の丘陵地帯に開発された住宅・産業都市(ニュータウン)。事業名は南部大阪都市計画新住宅市街地開発事業 和泉中央丘陵新住宅市街地開発事業[1]1976年昭和51年)に大阪府、1978年(昭和53年)に和泉市から当時の宅地開発公団が開発依頼を受け[2]住宅・都市整備公団などを経て都市再生機構(UR都市機構)が施行した[1][3]。街開きは1992年平成4年)。和泉市はトリヴェール和泉を中心とした開発などにより人口が急増し、市の人口ビジョンは「有数の人口急増都市になりました」と記述している[4]

和泉中央駅付近のマンション群
和泉中央線

概要

和泉市中部にあたる北池田南池田北松尾南松尾地区の丘陵(和泉中央丘陵)約368.4ヘクタールを開発して誕生した。計画戸数は7,700戸、計画目標人口は25,000人。事業期間は1984年(昭和59年)12月から2014年(平成26年)3月まで[1]新住宅市街地開発法に基づく新住宅市街地開発事業として施行され、都市計画の当初決定は1984年10月8日である[5]

位置は大阪都心の南方約25km、泉北ニュータウンの南西約3km、関西国際空港の東約20 kmにあたる[1]。市域の地形は山地、丘陵地・台地、平野部の3つに分類され、丘陵部を大津川水系の槇尾川・松尾川が流れる[6][7]

街開きから3年後の1995年(平成7年)4月1日には、泉北高速鉄道線(現:南海泉北線)が光明池から延伸して和泉中央駅が開業した[3]。同駅を中心とした街であり、駅周辺の商業施設や店舗の名称に「和泉中央」が広く用いられている。

「トリヴェール」はフランス語のトリ(3)とヴェール(緑)を合わせた造語で、緑に包まれた3つの地区(北部・東部・西部)で構成されるニュータウンを表現したものである[3][8]。3つのブロックで構成され、居住機能・都市機能・研究開発機能の3つの機能をあわせもつ複合多機能都市とされる[8]

  • 北部ブロック(いぶき野) - 和泉中央駅周辺の「シビックセンター構想」を核とし、商業・文化・行政の各施設が立地する[8]
  • 東部ブロック(まなび野、はつが野) - 桃山学院大学が立地する学園地区(まなび野)と住宅地(はつが野)[8]
  • 西部ブロック(あゆみ野) - 研究所や企業が立地する産業地区。2004年(平成16年)3月の都市計画変更により、研究ゾーンとサービス施設ゾーンの2ゾーン構成となった[8]

4町の名称は1991年(平成3年)に決定した[9]。「いぶき野」は新しい時代の息吹を感じさせる街、「はつが野」は植物の発芽になぞらえ次の世代を創り出す街、「まなび野」は学園地区にふさわしい町名、「あゆみ野」は産業と住宅が共に歩み合う街として、それぞれ名付けられた[9]。「◯◯野」の表記は、「野」という言葉のもつ落ち着いたイメージによって開発地の人工的なイメージを和らげる働きが考慮されたものである[9]

トリヴェール和泉には含まれないが、はつが野の北にのぞみ野、東に青葉台、西に緑ヶ丘という既存の住宅地が隣接している。

不動産・住宅情報サイトHOME'S(現:LIFULL HOME'S)による「住みたい街ランキング2017」では、和泉中央が「買って住みたい街」として近畿圏で第3位となった[10][11]

人口

2025年(令和7年)12月末時点の人口は、いぶき野・はつが野・まなび野・あゆみ野の4町の合計で22,098人[注釈 1]、隣接するのぞみ野・青葉台・緑ケ丘を加えると33,457人である[12][13]

和泉市の人口ビジョンによれば、市の単年度の転入者数はトリヴェール和泉が街開きした1992年度(平成4年度)から急激に増加してピーク時は10,000人前後で推移し、以後大幅な転入超過傾向が続いた。0〜9歳の子どもと30代の親世代の転入超過が顕著であり、市は「子育て世代が『トリヴェール和泉』を中心とする開発地へ転入したことによるもの」と推測している。近年の社会動態はほぼ均衡に近い状態となっている[4]

地区別では、いぶき野が2005年時点で約1万人に達した後は横ばいで推移する一方、はつが野は2005年の2,645人から2025年には11,806人へ増加した。はつが野では2010年代後半以降も住居表示の実施(六丁目=2016年、四丁目=2017年)が続き、街区の形成が継続した[13][14]。2022年(令和4年)末には、はつが野の人口(10,458人)が初めていぶき野(10,346人)を上回った[15]

さらに見る 年, いぶき野 ...
町別人口の推移(各年12月末・和泉市の町別人口統計)[13][14][16][17][18][注釈 2]
いぶき野はつが野トリヴェール和泉計
2005年 10,2772,64512,926
2010年 10,3255,10715,437
2015年 10,8117,40318,222
2020年 10,6179,33319,999
2025年 10,23911,80622,098
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日本建築学会計画系論文集に掲載された南部大阪のニュータウンを対象とする研究(2025年)では、トリヴェール和泉は対象ニュータウンの4類型のうち老年人口割合の増加が最も小さい類型に分類され、令和2年(2020年)国勢調査時点の年少人口割合は25.9%、老年人口割合は14.5%である[19]

2026年(令和8年)の地価公示では、いぶき野の住宅地の標準地が118,000円/m2(対前年 +4.4%)、商業地の標準地が168,000円/m2(同 +6.3%)となっている[20]

歴史

和泉中央丘陵の開発は昭和40年代後半に構想され、1976年(昭和51年)に大阪府、1978年(昭和53年)に和泉市から当時の宅地開発公団に開発依頼が行われた[2]。事業に伴い丘陵部で発掘調査が行われ、集落跡や須恵器の窯跡などが見つかっている[3]

  • 1976年(昭和51年)大阪府が宅地開発公団に開発を依頼[2]
  • 1978年(昭和53年)和泉市が宅地開発公団に開発を依頼[2]
  • 1984年(昭和59年)新住宅市街地開発事業の都市計画決定(10月8日)[5]。12月、事業開始[1]
  • 1986年(昭和61年)起工式[21]
  • 1991年(平成3年)いぶき野・はつが野・まなび野・あゆみ野の町名決定[9]
  • 1992年(平成4年)いぶき野への入居開始(街開き)。いぶき野小学校北池田中学校開校(4月1日)[3][22]
  • 1993年(平成5年)9月 阪和自動車道堺IC - 岸和田和泉IC間開通により大阪府域内全線開通[23]
  • 1995年(平成7年)4月1日 泉北高速鉄道線 光明池 - 和泉中央間延伸、和泉中央駅開業[3][22]。同月、桃山学院大学が堺市から全面移転し和泉キャンパス開学(和泉市初の大学)[3][24]。エコール・いずみ北館開業[25]
  • 1996年(平成8年)4月1日 大阪府立産業技術総合研究所(現:大阪産業技術研究所和泉センター)開設。大阪・泉大津・東大阪の3本所と堺技術センターを統合して移転した[22][26]
  • 1998年(平成10年)3月13日 エコール・いずみ(本館)、アムゼモール開業[22][25]。11月10日、宮ノ上公園が開園し、同公園内にまなびのプラザが開館[22]
  • 2000年(平成12年)4月1日 かぐらざき公園開園[22]
  • 2003年(平成15年)4月27日 和泉シティプラザ開館[22]
  • 2004年(平成16年)3月31日 中央公園開園[22]
  • 2003年 - 2005年頃 造成工事に関連する不法投棄事件が発生。2003年(平成15年)9月の外部通報を契機にコンクリート片等の不法搬入・投棄が判明し、施行者の都市基盤整備公団(当時)は2004年2月に刑事告発を行った。都市再生機構は2006年(平成18年)2月に一連の事案への役職員の処分と再発防止策を公表した[27]
  • 2006年(平成18年)4月1日 青葉はつが野小学校開校[22]
  • 2009年(平成21年)11月 エコール・いずみ東館開業[25]
  • 2011年(平成23年)5月1日 くすのき公園開園[22]
  • 2014年(平成26年)3月 新住宅市街地開発事業完了[1]。6月1日 コストコ和泉倉庫店開業[28]。10月30日 ららぽーと和泉開業(大阪府内初のららぽーと・218店舗)[29]
  • 2016年(平成28年)和泉市制施行60周年記念式典で和泉市長からUR都市機構へ感謝状が贈呈される。2016年時点で約18,500人が居住し、40社を超える企業が立地[2]
  • 2017年(平成29年)4月 南松尾はつが野学園開校[21][30]
  • 2019年(平成31年)2月15日MEGAドン・キホーテ和泉中央店開店[31]
  • 2022年(令和4年)7月1日 エコール・いずみ(本館)リニューアルオープン[32]。同年、和泉中央駅前広場リニューアルオープン[21]
  • 2025年(令和7年)4月1日 泉北高速鉄道線が南海電気鉄道泉北線となる[33]
  • 2026年(令和8年)4月 桃山学院大学に工学部開設(和泉キャンパス)[34]

交通

鉄道

  • 南海泉北線 和泉中央駅
    泉北線の終着駅。営業キロは中百舌鳥から14.3km[35]。難波方面への特急泉北ライナー(2015年12月5日運行開始)・区間急行・準急・各駅停車が発着する[35]中百舌鳥駅Osaka Metro御堂筋線に連絡する。和泉中央駅から南海難波駅までは準急で約34分[1]
    2024年度の1日平均乗降人員は30,875人で、泉北線内では泉ケ丘駅に次ぐ[35]
    2025年(令和7年)4月1日の南海電気鉄道と泉北高速鉄道の合併により、初乗り運賃の二度払いが解消され運賃が値下げされた(平均値下げ率は普通運賃 -7.0%、通勤定期 -23.5%、通学定期 -38.8%)[3]
    和泉中央駅以南(岸和田方面)への延伸は、運輸政策審議会答申第10号(1989年)・近畿地方交通審議会答申第8号(2004年)のいずれにも位置づけられていない[36]。隣接する岸和田市は延伸を長期的課題とし、中短期的にはバス路線による需要創出を図るとしている(2026年時点)[37][38]

バス

和泉中央駅前から南海バスの路線バス(和泉中央線・阪本線・泉大津光明池線・はつが野線・緑ヶ丘団地線・テクノステージ線など)が発着し、和泉府中駅前・泉大津駅前・光明池駅・岸和田駅前・ららぽーと和泉前・桃山学院大学などを結ぶ(2026年3月28日改正時点)[39]

関西空港へのリムジンバス(Sorae泉北ニュータウン線)が南海バスの単独運行で発着する[40][41]

和泉市コミュニティバス「めぐ〜る」の光明池・和泉中央ルート、山荘・和泉中央ルートが乗り入れる[42]

2025年(令和7年)4月1日、中山間部を走る南海バスの3区間(和泉青葉台 - 父鬼、和泉中央駅 - 若樫・春木川、美術館前 - 松尾寺)が廃止され、和泉市は暫定措置として路線維持バスを拡充した[3]。路線維持バスの父鬼ルート(岸和田観光バス運行)・春木川ルート・松尾寺ルート(大阪第一交通)が和泉中央駅に発着する[43][44]

主な公共施設

  • 和泉市観光情報ステーション(和泉中央駅構内)
  • 和泉シティプラザ(いぶき野五丁目) - 2003年(平成15年)4月27日開館[22]
    • 和泉市役所シティプラザ出張所
    • 弥生の風ホール(生涯学習センター)
    • 和泉市立シティプラザ図書館 - 2003年(平成15年)4月、地下1階に開館[45]
    • 保健福祉センター
    • 男女共同参画センター(モアいずみ)
    • 第2ふたば幼児教室
    • 茶室(翔泉亭)
  • 和泉ボランティア市民プラザ[46]
  • いずみ障害者ふれあいプラザ「オアシス」
  • 和泉郵便局
  • 和泉中央駅前郵便局
  • 和泉市いずみの国歴史館(宮ノ上公園内) - 和泉市内の遺跡出土品・古文書・民俗資料などの調査研究・展示公開を行う[47]。2026年(令和8年)4月1日に文書館機能を開設し、特定歴史公文書・地域資料の閲覧サービスを開始した[48]
  • まなびのプラザ(宮ノ上公園内) - 1998年(平成10年)11月10日開館[22]。和泉市いずみの国歴史館と和泉市公園緑化協会公園管理事務所の複合施設[49]
  • 大阪産業技術研究所 本部・和泉センター(あゆみ野二丁目) - 1996年(平成8年)開設の大阪府立産業技術総合研究所が前身。2017年(平成29年)4月1日に大阪市立工業研究所と統合し現名称となった[26][22]
  • 和泉市上下水道部

以下は近隣(トリヴェール和泉域外)の施設。

学校

大学

  • 桃山学院大学(和泉キャンパス・まなび野) - 1995年(平成7年)4月に堺市から全面移転[24][22]。2025年(令和7年)4月に桃山学院教育大学との統合により人間教育学部が和泉キャンパスへ移転し[24][51]、2026年(令和8年)4月に工学部を開設した[34]

中学校

南池田中学校と石尾中学校はトリヴェール和泉の範囲外に立地するが、トリヴェール和泉の一部地域が通学区域(校区)に含まれる。

小学校

緑ヶ丘小学校はトリヴェール和泉の範囲外に立地するが、トリヴェール和泉の一部地域が通学区域(校区)に含まれる。

義務教育学校

幼稚園・保育園

  • 和泉市立北松尾こども園
  • 私立クレアール保育園

商業施設

ららぽーと和泉
  • エコール・いずみ(いぶき野五丁目) - 和泉中央駅前の複合型商業施設。運営は株式会社KUL(旧・関西都市居住サービス)[25]。1995年(平成7年)4月に北館、1998年(平成10年)3月13日に本館とアムゼモール、2009年(平成21年)11月に東館が開業した[22][25]イズミヤ和泉中央店が入居する[53]
    • アムゼモールは、エコール・いずみと一体で1998年に開業した歩行者専用通路の名称で、本館・東館とともにエコール・いずみを構成する[22][54]
  • 桃大通り商店会(石尾中学校横歩道橋から桃山学院大学まで続く商店街)
  • コストコ和泉倉庫店(あゆみ野) - 2014年(平成26年)6月1日開業。関西地区で4番目の倉庫店[28]
  • ららぽーと和泉(あゆみ野四丁目) - 2014年(平成26年)10月30日開業。大阪府内初のららぽーと[29]。2020年(令和2年)3月に開業以来初の大規模リニューアル[55]、2026年(令和8年)3月に2度目のリニューアルを実施[56]
  • MEGAドン・キホーテ和泉中央店 - 2019年(平成31年)2月15日開店。和泉中央駅から徒歩1分[31]
  • コープ和泉中央店
  • ヤマダデンキ和泉中央本店(いぶき野五丁目) - 2017年(平成29年)11月17日に既存店の改装により「家電住まいる館」として開店。現在の店舗名は「家電住まいる館×YAMADA web.com和泉中央本店」[57][58]
  • ジョーシン和泉中央店(いぶき野三丁目)[59]
  • pivo和泉中央(いぶき野五丁目) - 和泉中央駅前の店舗・事務所複合ビル。2009年(平成21年)2月竣工[60]

金融機関

2026年時点で和泉中央駅周辺には次の各行が店舗を置く。

三井住友銀行和泉中央支店は2022年(令和4年)3月に駅前の窓口を廃止して光明池支店等と同じ窓口へ移転し、2026年(令和8年)5月からは堺市内の店舗と同じ窓口で営業している[63]紀陽銀行和泉中央支店も和泉寺田支店(寺田町)内の店舗内店舗となっている[64]

主な公園

  • いしたちはら公園(いぶき野二丁目)
  • 中央公園(いぶき野四丁目) - 2004年(平成16年)3月31日開園[22]
  • 宮ノ上公園(まなび野) - 1998年(平成10年)11月10日開園[22]
  • かぐらざき公園(はつが野二丁目) - 2000年(平成12年)4月1日開園[22]
  • くすのき公園(はつが野五丁目) - 2011年(平成23年)5月1日開園[22]
  • いおり公園(あゆみ野一丁目)
  • つくしの公園(あゆみ野三丁目)

病院

  • いぶきの病院(いぶき野四丁目)

以下は近隣の病院。

  • 咲花病院(のぞみ野一丁目)
  • 和泉中央病院(箕形町六丁目)
  • 新生会病院(松尾寺町)

寺社

全て近隣(トリヴェール和泉域外)の寺社。

  • 春日神社(三林町)
  • 春日神社(春木町)
  • 八坂神社(箕形町五丁目)
  • 菅原神社(唐国町三丁目)
  • 春日神社(内田町三丁目)
  • 春日神社(松尾寺町)
  • 明王院(池田下町)
  • 弘法寺(万町)
  • 法華寺(浦田町)
  • 地蔵寺(内田町三丁目)
  • 松尾寺(松尾寺町)

道路

  • 阪和自動車道 岸和田和泉IC
  • 大阪府道223号三林岡山線都市計画道路泉州山手線) - 北寄りの東西幹線。泉州山手線は泉北地域と泉南地域を連絡する幹線道路として計画され、和泉市域は供用中である[65][66]
  • 大阪府道230号春木岸和田線 - 南寄りの東西幹線(春木北交差点以西)。1999年(平成11年)12月6日全線車道供用開始[22]
  • 市道光明池春木線 - 南寄りの東西幹線(春木北交差点以東)。2008年(平成20年)5月10日全線供用開始[22]
  • 市道和泉中央線 - 北部・東部ブロックの南北幹線。2001年(平成13年)8月23日全線供用開始[22]
  • 市道唐国久井線 - 西部ブロック(あゆみ野)の南北幹線。1998年(平成10年)4月15日、岸和田和泉インターチェンジアクセス道路とともに供用開始[22]

以下は近接する道路。

関連項目

  • 泉北ニュータウン
  • テクノステージ和泉 - あゆみ野の南に隣接する工業団地。組合施行の和泉コスモポリス地区土地区画整理事業(約103.41ha)により造成されたもので、トリヴェール和泉とは別事業である[67]

脚注

関連文献

外部リンク

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