アクタック

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アクタック[1]akutaq/akutuqアグーダック [2][3])は、アメリカ合衆国アラスカ州先住民グループであるアラスカ・アサバスカン英語版イヌピアットユピックによって作られる伝統的な獣脂を使ったデザートである。

別名 アラスカアイスクリーム、アラスカ先住民アイスクリーム、アラスカインディアンアイスクリーム、先住民アイスクリーム、インディアンアイスクリーム、エスキモーアイスクリーム
概要 アクタック, 別名 ...
アクタック
ラズベリーブルーベリーから作られた冷凍アクタック
別名 アラスカアイスクリーム、アラスカ先住民アイスクリーム、アラスカインディアンアイスクリーム、先住民アイスクリーム、インディアンアイスクリーム、エスキモーアイスクリーム
種類 デザート
発祥地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
地域 アラスカ
考案者 アラスカ・アサバスカン英語版イヌピアット, ユピック
主な材料 干し魚または油脂ベリー
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概要

アクタックはアラスカの先住民の言語でかき混ぜるという意味で、狩猟によって得た野生獣脂肪海獣の油を混ぜ合わせてフワフワになるまで泡立てることによって作られる[2]。フレーバーは主に2種類に分類され、乾燥させた野生獣の肉、生の魚、または干した魚を混ぜた野味に溢れたものと、採集したベリーを混ぜた甘味とアザラシの油の塩気を味わうものがある[2][3][4]

狩猟・採集・漁撈から得る材料を使って作られることから、地域によって使用される材料にはさまざまな違いが生じる。アラスカ北部では、カリブージャコウウシの脂肪や、そしてアザラシクジラの油を使い、硬く泡だったアクタックが作られ、そのほかの内陸部ではカリブーと淡水魚が多く使われる。淡水魚には、シーフィッシュ英語版〈インコヌ〉、アークティックシスコ英語版プロソピウム属英語版などが含まれ、魚卵が使われることもある。沿岸部では海水魚やアザラシの油が使われる。南部ではロウソクウオ英語版と油、そしてを混ぜたスノー・アクタック(snow akutaq)と呼ばれるものが作られ、このタイプのアクタックは、泡立て調理後に直ちに食しないとすぐ溶けて液状になってしまう儚いものである[2][5]。それ以外にも淡水魚・気水魚ノーザンパイクヘラジカ 、そしてセイウチも材料として使われる[5]

ベリー類は、クロマメノキの実、ツルコケモモを始めとして特にコケモモが使われるが、その他にクランベリークマコケモモクロウベリー英語版サーモンベリー英語版クラウドベリーラズベリーブルーベリー、またはオオタカネバラの実も使われる。ベリーではないが、エスキモーポテト英語版塊根など、軽度の甘味料となるものも利用される。ツンドラに育つ葉菜を加えることもある[5]

アクタックの最も一般的なレシピは、乾燥して粉砕したヘラジカまたはカリブーのテンダーロインを、ヘラジカの脂肪と混ぜ、その混合物が軽くフワフワになるまで泡立てる。冷凍せずにそのままで食べることも、冷凍して食べることもでき、後者の場合商業的なアイスクリームに似た食感になる[5]

19世紀には、アクタックの味比べコンテストが開かれ、一般的な材料以外にも、獲物のビーバーラッコ、カリブーの胃の内容物、鳥類のなどの変り種がアクタックに混ぜ入れられることもあった[2][4]

アクタックは一度に大量に作られ、永久凍土に作られた地下貯蔵庫で冷やし固められ、後日のために保存される。日常的な食事で食べられるほか、客人へのもてなしや祝いの席でも提供され、脂肪とタンパク質を多く含み高栄養なため、狩猟や長距離移動の際は携帯食としても利用される[2][3]。ユピックは、先祖も一緒に食せるように、食べる前にひとつまみのアクタックを火にくべる習慣がある[3]。また、アラスカン・アサバスカン・インディアン・アイスクリームの調理中には、かつて「アイスクリームソング」という歌が歌われる習慣もあった[6]

材料を混ぜ合わせ泡立てるのには、伝統的には樺皮の容器と手が使われるが、時代とともに泡立て器、そしてその後にはフードプロセッサーや電動ミキサーが使われることも見受けられるようになって来ている[5][2]。電動器具がもたらされてからは、原材料の容量の6倍になるほどに泡立てられ軽やかなものも作られ、保存もフリーザーが地下貯蔵庫に取って代わった[2]

生活環境の変化から、材料も狩猟で得た野生動物の脂肪に代わり、入手が容易な植物性のショートニングオリーブオイルが使われたり、19世紀中期からは捕鯨漁師によってもたらされた砂糖をさらなる甘味として加えるようにもなった[2][4]

狩猟・採集・漁撈は大変時間と労力がいる作業で、アクタック作りもさまざまな手順を踏まねばならず、作業には世代を超えて受け継がれていく知識が必要になる。若い世代は伝統食ではなく外部の食物に惹かれ、アクタックの伝統と文化は年々廃れている[2]

なお、アクタックは、ブリティッシュコロンビア州ファースト・ネイションズによるカナダディアン・インディアン・アイスクリーム英語版であるスクシュム(sxusem)や、インド亜大陸クルフィ(インディアン・アイスクリーム)と混同しないように注意が必要である。

先住民間での名称

さらに見る アサバスカ諸語(英語版), アイスクリーム ...
アサバスカ諸語英語版 アイスクリーム
アトナ語英語版 ?
デナイナ語英語版 nivagi[7]
インガリック語英語版 vanhgiq[8][9]
ホリカチャック語英語版 nathdlod[9]
コユーコン語英語版 nonaałdlode[10]直訳: 'クリーム状にしたもの、泡立てられたもの')
上カスコクウィム語英語版 nemaje[11][12]
下タナナ語英語版 nonathdlodi[6]
タナクロス語英語版 nanehdlaad[13]
上タナナ語英語版 ?
グウィッチン語 it’suh[14]
ハン語英語版 ?
ユピック・イヌイット諸語 アイスクリーム
イヌクティトゥット語 アクタック(akutuq) (ᐊᑯᑐᖅ)[15]
イヌピアック語(北部) アクタック(akutuq)(直訳: '一緒に混ぜ合わせた/かき混ぜた')
イヌピアック語ベーリング海峡 アグタック(agutaq)(直訳: '一緒に混ぜ合わせた/かき混ぜた')
中央アラスカ・ユピック語 アクタック(akutaq)(直訳: '一緒に混ぜ合わせた/かき混ぜた')
アリュティーク語(北部) アクタック、シスク(akutaq, sisuq
アリュティーク語 (南部) アクタック、ピリナク(akutaq, pirinaq
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関連項目

出典

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