ブーザ
中東のアイス
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ダマスカス旧市街

シリアのダマスカス旧市街にあるスーク・ハミディーエ内には、1895年創業のバクダーシュという名のアイスクリーム店が存在し、伸びがあり、もちもちとした食感のアイスクリームでアラブ世界全体にその名を知られている。また、観光客にとっても人気の高い名所である[1][9][4]。この店では、アシュタ味のアイスクリームに多量のピスタチオがトッピングされて提供される[9][4]。
2011年に始まったシリア内戦によって材料の入手が困難になったことや、消費を控える人が多く客足が遠のいたこと、アサド政権による移動制限、多くのシリア人が避難民としてヨルダンへ避難したことなどから、バクダーシュは2013年にアンマンに店舗をオープンさせた[9][3]。
2024年12月にアサド政権が崩壊すると、一時閉店していたダマスカス旧市街のバクダーシュ本店は、「自由の味をかみしめてほしい」と政権崩壊翌日にビジネスを再開し、往来制限を解かれた多くの市民が伝統のブーザを味わいに同店を訪れた[3][4]。
パレスチナのブーザ
パレスチナでもブーザは人気が高く、各地の路上で販売されているほか、特にラマッラーでルーカブ家が経営するルーカブズ・アイスクリーム・ショップ(Rukab’s Ice Cream Shop)が名高い。ルーカブ家の店舗はイギリス委任統治下の1941年に開店したが、それ以前にルーカブ家も路上でブーザを販売していた。ルーカブでは、1番基本の白いアシュタを始めとして、ピスタチオ、チョコレート、ストロベリー、パイナップル、レモンの6色かつ6フレーバーをガラスの足付きアイスクリームカップに一緒に盛ったカラフルな「ミックス」が名物となっている[10][11]。
伸びが良く、ガムのような歯応えがあり溶けにくい特徴は、冷凍中に木の打ち棒で叩いたり伸ばしたりする製法に加えて、材料にマスティックとサハラブが使われているからである。両材料は水中でゲル状の物質を形成する性質を持つ「ハイドロコロイド」で、これらによって特徴的な食感が生まれている。ただしサハラブは年々値段が高騰し、新規のアイスクリーム店は、マステックとそのほかの材料や技術によって特徴的な食感を実現している。また、やはり新規店はイタリアのジェラート・マシーンを使うなどして、伝統の味を守りながらも現代的技術も取り入れているところもある[11]。
国際的広まり
ジルバート・エル=ズメトルとテディ・オルトリー=ウィリアムズの兄妹が、2011年にオーストラリア初のパッケージ化されたブーザを開発・商品化した。彼らは、地元の材料を始めとしてギリシャ・キオス島産のサハラブ(サレップ)とマスティックを用い、伝統的なブーザの製法を再現したうえで、消費者が家庭で楽しめるテイクアウト形式でパッケージ化した[12]。
2018年、アメリカ合衆国・ニューヨーク州のブルックリン・ウィリアムズバーグにおいて、タマー・ラッバーニとマイケル・サドラーが、ブーザのスクープショップ「リパブリック・オブ・ブーザ」を開店した[2][13]。しかしそれ以前から、カリフォルニア州のアナハイムなど中東からの移民が多い地域では、シリアからの移民などが開いた菓子店で、専門店ではないものの、すでにブーザの販売を始めていた[1]。
2019年にはパレスチナのルーカブ家の一員がヒューストンに「ブーザ」という名のアイスクリームショップ、そしてオンラインでブーザを宅配販売する「ブーザ1941」というビジネスを開業した[14][15]。
現在では、レバント地域以外でも、アメリカ合衆国のベイエリア[8] やオーストラリアのシドニー[16]などにおいて、ブーザの販売業者が存在する。
