クラテュロス From Wikipedia, the free encyclopedia クラテュロス(古代ギリシア語: Κρατύλος 前5世紀中後期ごろ)は、古代ギリシア・アテナイの哲学者。主にプラトンの対話篇『クラテュロス』の登場人物として知られ、同対話篇で主張する言語論が「クラテュロス主義(英語版)」と呼ばれる[1]。またヘラクレイトス哲学の急進的な支持者であり、若年期のプラトン(英語版)に影響を与えた。 小アジア、エフェソスのヘラクレイトスの弟子ということ以上のことはほとんど知られていない。現代の伝記作家の中でもおおよその生年月日について合意に達しておらず、互いにプラトンまたはソクラテスのいずれかに相当する年齢が主張されている[2]。アリストテレスの『形而上学』には、クラテュロスが5世紀半ばから後半にかけてアテナイで活躍した哲学者であり[2]、プラトンがソクラテスと組む前に彼の教えに一時的に関心を持ったことを示唆するような一節がある。 哲学 『クラテュロス』において、「言葉は事物の本性を指示する」[1]「音と観念は必然的に結びつく」[3]という言語論を主張した。つまり例えば、古代ギリシア語で「レイン」(ῥεῖν rhein)という動詞が「流れる」を意味するのは流音を含むからである、というような言語論を主張した。この言語論は、フェルディナン・ド・ソシュールの「音と観念の結びつきは恣意的である」という言語論の否定にあたる[3]。 また『クラテュロス』において、ソクラテスはヘラクレイトスの「同じ流れに二度足を踏み入れることはできない」という主張を引用する[4]。アリストテレスによると、クラテュロスは師の教義を一歩超えて、一度もそれを行うことはできないと宣言した[5]。 影響 「クラテュロス主義(英語版)」 (英: Cratylism) は、現代哲学において上記の言語論が再構築されたものである。 これはエマニュエル・レヴィナスの1961年の著書『全体性と無限(フランス語版)』の中で2度言及されている[6]。また、オーストラリアの詩人・評論家のA・D・ホープ(英語版)は、1979年に詩に関するエッセイ本 The New Cratylus を出版している[7]。仏教記号論を含む東洋思想に影響を与えたという説もある[8]。 脚注 1 2 吉国浩哉『中山徹著『ジョイスの反美学―モダニズム批判としての「ユリシーズ」』』一般財団法人 日本英文学会、2016年。doi:10.20759/elsjp.93.0_120。https://doi.org/10.20759/elsjp.93.0_120。 121頁。 1 2 Debra Nails. The People of Plato: A prosopography of Plato and other Socratics. Indianapolis: Hackett Publishing, 2002, pp. 105 1 2 糟谷啓介『『言語記号の恣意性』とはなにを意味するか――歴史的考察』日本評論社、1999年。doi:10.15057/11883。https://doi.org/10.15057/11883。 429頁。 ↑ Plato, Cratylus, 402a ↑ Aristotle, Metaphysics, 4.5 1010a10-15 ↑ Levinas, Emmanuel (1969). Totality And Infinity. Pittsburgh, Pennsylvania: Duquesne University Press. pp. 60, 92. ISBN 978-0-8207-0245-2 ↑ The New Cratylus: Notes on the Craft of Poetry, Melbourne, Oxford University Press, 1979 ↑ Fabio Rambelli. A Buddhist Theory of Semiotics. London: Bloomsbury Publishing, 2013, pp. 179 表話編歴古代ギリシア哲学学派イオニア学派 ミレトス学派 タレス アナクシマンドロス アナクシメネス その他 アナクサゴラス アルケラオス アポロニアのディオゲネス ヘラクレイトス イタリア学派 ピタゴラス学派 ピタゴラス アルクマイオン フィロラオス アルキタス ロクリスのティマイオス エレア派 (クセノパネス) パルメニデス ゼノン メリッソス その他 エンペドクレス 原子論 レウキッポス デモクリトス ソフィスト プロタゴラス ゴルギアス プロディコス ヒッピアス アテナイ学派(ソクラテス派) キュレネ派 アリスティッポス キュニコス派 アンティステネス シノペのディオゲネス エリス学派(エレトリア学派) エリスのパイドン メガラ学派 メガラのエウクレイデス アカデメイア派 プラトン 続アテナイ学派(ヘレニズム哲学) ペリパトス派(逍遙学派) アリストテレス エピクロス派 エピクロス ストア派 キティオンのゼノン 懐疑学派 ピュロン 継承・復興学派(ローマ哲学) 中期プラトン主義 アスカロンのアンティオコス 新ピタゴラス学派 ニギディウス・フィグルス モデラトス 新プラトン主義 プロティノス 中世哲学 アリストテレス主義 イスラーム哲学 イブン・ルシュド スコラ学 トマス・アクィナス(トマス主義) 典拠管理データベース 全般 VIAF WorldCat 国立図書館 ドイツ 人物 ドイッチェ・ビオグラフィー Related Articles