マリンスノー

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マリンスノーは表層から深層へとシャワーのように降り注ぐ有機物である。

マリンスノー: Marine snow)とは、深海において水中の上層から下層へと継続的に沈降する有機デトリタスであり、肉眼で観察可能な海中懸濁物のことである。海中で白い粒子の形状をしており、海中を沈んでいく様子がが降っているように見えるため、マリンスノーと呼ばれる。

世界的にはアメリカの博物学者ウィリアム・ビービが、1930年潜水球での潜水時に始めて観察・命名し、この記述をもとに書かれたレイチェル・カーソン1951年の著作「われらをめぐる海」で一般に知られるようになった[1]。本邦においては1952年北海道大学の井上直一と鈴木昇が潜水艇くろしお」に乗り込み、海中の調査を行っていた際に海中の懸濁物がライトの光に照らされ、雪のように白く見えたことから、論文で「マリンスノー(海に降る雪)」の名称を初めて用い[2][3]、本邦でもこの言葉が使われるようになった。

大半のマリンスノーは沈降途中で生物により食べられ分解されるが、一部はやがて海底に降り注ぎ堆積する。マリンスノーは世界中の海洋で見ることができる。

マリンスノーは、光が豊富有光層から下層の無光層へとエネルギーを輸出する重要な手段であり、生物ポンプと呼ばれる。海洋の生物ポンプの効率は、炭素の単位で推定される(例: mg C m-2d-1 )。探検家のウィリアム・ビービ潜水球から観察したときにも観察された。マリンスノーの起源は有光層内の活動にあるため、マリンスノーの発生量は光合成活動と海流の季節変動に伴って変化する。マリンスノーは、無光層に生息する生物、特に水中の非常に深いところに生息する生物にとって重要な食料源になり得る。

マリンスノーは、動物や、植物プランクトン原生生物などの死骸糞便、砂、その他のさまざまな有機物や無機物で構成されている。粒子は脆弱であり、水中に浮遊している状態では形状を保っていても、網などでトラップするとすぐに粉々になってしまう。凝集体は非生物的プロセス(細胞外高分子物質)を介して形成される可能性があり、具体的には植物プランクトンバクテリアによって廃棄物として滲出する天然高分子が主な成分だと考えられている[4]。また、動物プランクトン(例えばサルパオタマボヤpteropodsなど)が分泌する粘液も、マリンスノー凝集体の構成に貢献すると考えられている[5]。これらの凝集体は時間の経過とともに成長し、直径数センチメートルに達することもあり、数週間の時間をかけて海底に沈降していく。

プランクトンなどが少なく透明度の高い熱帯の海中よりもプランクトンが多くなどがたくさん棲息する温帯寒帯の海中の方が多く見ることができる[要出典]。また、駿河湾相模湾など、沿岸部で急激に深くなっている海域では、都市から流れてくる有機物によってプランクトンが多く発生し、そのため沢山のマリンスノーを見ることができる[要出典]

マリンスノーは、アオコの発生時にしばしば発生する。植物プランクトンが蓄積すると、それらが凝集し、沈下が加速する。そのため、この凝集と沈下のプロセスは、表層から藻類が消える原因の大きな要素であると考えられている[6]。マリンスノーのほとんどの有機成分は、微生物動物プランクトン、その他の濾過摂食動物によって、沈降過程の最初の1,000メートル以内で消費される。そのため、マリンスノーは深海の中深層および底生生態系の基盤と見なすことができる。日光が届かないため、深海生物はエネルギー源をマリンスノーに大きく依存している。浅瀬で消費されなかった若干のマリンスノーは、海底を覆う泥(堆積物)へと組み込まれ、そこで生物活性によってさらに分解される[7]

マリンスノーの凝集体は、ゴールドマンの”Aaggregate spinning wheel hypothesis”(凝集体の糸車仮説)に適合する特性を示す。この仮説では、植物プランクトン、微生物、バクテリアなどがマリンスノー粒子凝集体の表面に付着して生きており、急速な養分循環に関与している。実際に、植物プランクトンは局所的に集まる有機物(例えば、動物プランクトンの糞便物質や、細菌による有機分解から再生された栄養素など)から栄養素を取り込むことが知られている[8]。粒子凝集体がゆっくりと海の底に沈む中で、凝集体に存在する多くの微生物は絶えず呼吸し続けており、微生物環に大きく貢献している。

凝集体のダイナミクス

利用

引用文献

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