井村裕夫
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1931年、滋賀県神崎郡八日市町(現:東近江市)生まれ[3]。滋賀県立八日市高等学校卒業。1954年京都大学医学部医学科卒業、医学博士。米国カリフォルニア大学内科研究員、京都大学講師、神戸大学医学部教授、京都大学医学部教授、同大学医学部長を経て、1991年~1997年京都大学総長。同時に国立大学協会会長。京大総長選挙は当時、立候補も他者推薦も無しで各教官が適任と思う人物を紙に書く制度であったため予期せず突如選ばれ、研究を一時中断するほど多忙であったという[4]。1962年に京都大学より医学博士。論文の題は「糖質コルチコイドの投与による副腎皮質不全に関する実験的研究」。
その後1998年神戸市立医療センター中央市民病院長、2001年総合科学技術会議議員を経て、2004年より(財)先端医療振興財団理事長。また現在、科学技術振興機構顧問、(財)稲盛財団会長、日本学士院会員、アメリカ芸術科学アカデミー外国人名誉会員。科学技術会議(改組により総合科学技術会議、現:総合科学技術・イノベーション会議))議員として、科学技術政策の立案、調整に関わる。特に第2期科学技術基本計画の作成に主導的役割を果たした[2]。2009年には国際生物学オリンピック2009組織委員長を務める[5]。2019年6月には地元・東近江市の名誉市民となる[3]。同年10月、日本学士院院長に選出される[6]。2022年10月、任期満了に伴い、院長を退任。
主義・主張
井村は2016年5月の『日本経済新聞』の記事で以下の趣旨を語り、「先制医療」を提唱している。
これまで高齢期の健康は40歳以上の中年期になってから注意すればいい、という考え方が一般的だった。しかし近年の研究で、多くの病気は遺伝的素因に胎生期から生後の環境が影響し、無症状のまま長い年月をかけて進行することが分かってきた。このためより早い時期から人生の全体を通じて健康に注意する「ライフコース・ヘルスケア」が注目されている。こうした中、医学や医療にも役割の見直しが求められる。新たな目標は潜在性の病気を発見して進行を止めること、そして加齢に伴う心身の機能低下を緩やかにすることに定めるべきだ。そこで、個人の遺伝子情報やバイオマーカーに基づいてハイリスクの人を特定し、生活習慣改善や早期治療などで病気の発症を抑えたり遅らせたりする「先制医療」が唱えられている。日本での研究は緒に就いたばかりだが、米国では「精密医療 (precision medicine)」と呼ばれ、アルツハイマー型認知症では発症前段階で兆候を見つけ、治療する試みが始まった。WHOによると、NCD[7]による死亡者は全世界で毎年3600万人に達し、その80%は低~中所得国の国民である。特に経済的に豊かになったアジア諸国やアラブ湾岸諸国では糖尿病患者や肥満が近年著しく増加。国際糖尿病連合は世界の患者数が現在の4億1500万人から2040年には6億4200万人になると警鐘を鳴らしている[8]。