多度のイヌナシ自生地
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花後の新緑の樹々
2013年5月6日撮影
多度のイヌナシ自生地(たどのイヌナシじせいち)は、三重県桑名市多度町にある国の天然記念物に指定されているイヌナシ[注釈 1]の自生地[1]。約3,000 m2の自生地に46本の成木があり[注釈 2]、多数の実生が確認されている[2]。指定時当初において日本で最大級のマメナシ(イヌナシ)の自生地とされていた[2][注釈 3][3]。自生地の標高は約130 m[4]。環境省により周辺の御池沼沢植物群落、金生水沼沢植物群落、田光のシデコブシ群落などとともに「北勢地域湧水湿地群」として重要湿地に選定されている[5]。本自生地を含む多度山の山域は、三重県の水郷県立自然公園に指定されている[6]。
マメナシは1902年(明治35年)に三重県四日市市の東阿倉川イヌナシ自生地で小学校教諭の植松栄次郎、寺岡嘉太郎、今井粂蔵により発見された[7][8]。1908年(明治41年)に植物学者の牧野富太郎が同地で標本を採集し、新種の和名:マメナシ、地方名:イヌナシとして学会で発表された[7][8]。1922年(大正11年)10月12日に、四日市市にある「東阿倉川イヌナシ自生地」が著しい栽培植物の自生地であることが指定基準として、国の天然記念物に指定された[9]。
1956年(昭和31年)4月19日に、多度のイヌナシ自生地で三重県文化財調査会委員の調査員により現地調査が行われていて、その調査概要を原文で以下に示す[10]。
1956年12月5日に、多度のイヌナシ自生地は三重県の天然記念物の指定を受けた[10]。その指定調査書を以下に示す[10]。
たくさんのサクラのような白い花をつけている
2013年4月8日撮影
その後、みどりヶ池の東側部分でキャンプ場の開発が行われイヌナシを含む林の伐採が行われたため、1957年(昭和32年)10月30日に天然記念物の指定地の一部が指定解除となった[10]。2003年(平成15年)5月11日に、当時県内における生育地面積が3 km2以下、生育地が3地点とみられていて個体数の継続的な減少が予測されることから、イヌナシが三重県の希少野生動植物種に指定された[11]。2010年(平成22年)8月5日に、著しい植物分布の限界地と珍奇又は絶滅に瀕した植物の自生地であることを指定基準として、「多度のイヌナシ自生地」が国の天然記念物の指定を受けた[12]。
多度のイヌナシの生育環境


養老山地の南端にある多度山の南西1.8 kmの多度川の中流に位置する多度峡の西側にあるため池であるみどりヶ池の西畔周辺に自生している[4][10]。東西に約170 m、南北に約30 mの細長い範囲に46本の成木が点在している[13]。みどりヶ池の西側の谷筋にそって生育しており、自生地の西側には水がしみ出し貧栄養湿地ができている[10]。自生地内のスギは昭和初期に植林されたもの[14]。桑名市多度町内には、多度町小山に単木で自生していた場所があったが、住宅開発用地にかかり、他所へ移植された[10]。他に、植栽されたイヌナシが肱江の舟着神社と大黒屋裏にある[10]。
1949年初秋時の生育環境

1949年(昭和24年)初秋に員弁高校の生物部の顧問の安藤久次[注釈 4]と部員の葛山博次[注釈 5]らが、植物相調査のために多度のイヌナシの自生地を訪問した[15]。たくさんのイヌナシの株が林立し、純林に近いみごとなイヌナシの群落を形成していた[15]。林床には湿性の植物のホシクサ科のホシクサ、ヒロハノイヌノヒゲなど、カヤツリグサ科のイヌノハナヒゲ、ミカヅキグサなど、コケ類のオオミズゴケ、イボミズゴケなどが生育していた[11][15]。上流部の開けた湿地には、紫色の美しい花をつけるサワギキョウ、花の終ったサギソウ、寒地系の遺存種であるヤチスギランなどが見られた[15]。
1955年後の生育環境

1955年(昭和30年)頃自生地では、樹木は薪炭林として利用されていて、落ち葉は肥料等に利用され、貧栄養な状態が維持されていたとみられ、土壌は発達せず、砂礫や粘土層が露出する状況であった[14]。現在よりも水量が多く、幾筋かの流れが見られた[14]。植物相としては、常緑樹がほとんどなくクロバイ、イヌツゲなどが生えているのみで[14]、周囲にアカマツ林が広がり、谷筋はイヌナシの純林に近い状況であった[11]。イヌナシは含水量が多くトゲがあることから薪としての利用価値が低く、選択的に伐採されなかったとみられている[11]。1956年に三重県の天然記念物に指定され、その保護・保全は進められたが、年々イヌナシ林の植生は遷移し、この地域の気候的極相林であるカナメモチ-コジイ群集林の構成種が次々と侵入してきた[15]。イヌナシの生育地は狭められ、成木の成長は抑えられ、実生の育たない植生環境へと変化していった[15]。
1997年後の生育環境
1997年(平成9年)度にイヌナシ自生地で下草の伐採が行われた[16]。その後下草や灌木がかなり繁茂し、イヌナシの生育に悪影響を及ぼしていることが確認されていた[16]。
2005年後の生育環境

2005年(平成17年)から地元で自然保護活動を展開しているNPO法人多度自然育成の会などにより、自生地と周辺の下草や灌木の伐採が2008年(平成20年)にかけて行われた[16]。2005年1月31日に自生地の林床でオオミズゴケが確認されている[14]。2008年6月24日にイヌナシの枝についたモリアオガエルの卵塊が確認されている[14]。保全活動が継続されて、2011年(平成23年)には沢山の実生が確認されるようになってきた[17]。実生した個体は踏まれないように目印の棒が立てられている[17]。高さ50-60 cmの稚木も見られるようになり、立派な成木へと成長することが期待されている[17]。2012年(平成24年)多度のイヌナシ自生地では4月13日から開花し始め、4月16日にほとんどの個体が開花し、21日に満開 となり、26日に散り始めた[18]。この時期の訪花昆虫を調査した結果、ハナバチ類やハナアブ科の昆虫がイヌナシの主要な送粉者であると考えられている[19]。
マメナシの生活史

マメナシの生活史を以下に示す[17]。多度のイヌナシの自生地ではこの天然更新を期待して、下草刈りなどの保全活動が行われている[17]。
- 1. 発芽 - 落下した果実の種子が芽を出し、新しい世代が誕生する
- 2. 実生 - 葉先が三又に分かれた第一葉がでる
- 3. 稚樹 - 樹高50-60 cmの幼木になる
- 4. 成木 - 普通の楕円形の葉がでて、成木となる
- 5. 開花 - サクラに似た白い花をつける
- 6. 結実 - ナシ特有の皮目と呼ばれる斑紋がある実をつける
- 水溜まり近くに生育し、若葉がで始めたイヌナシ
2023年3月25日撮影 - たくさんの白い花をつけるイヌナシ
2013年4月8日撮影 - たくさんの実をつけたイヌナシ
2025年12月18日撮影
マメナシの特徴
マメナシ(豆梨、学名:Pyrus calleryana Decne.[20])は、バラ科ナシ属に分類される稀な落葉高木の1種[21][22]。別名がイヌナシ[20][21]で、三重県の地方名[23]。サクラに似た木で、果物のナシの仲間で果実が小さいことが和名の由来[23]。野生ナシの中で最も原始的な種と考えられている[2]。樹高は8-10 m[22]。樹皮は灰紫黒色で、縦に割れ目が入り[24]、長さ3-4 cm、幅1-2 cmの薄片となって落ちる[22]。若枝は紫褐色、円形の皮目を散在する[22]。葉は互生するか短枝にほとんど束生し[24]、広卵形-卵形、長さ4-9 cm、幅3-6 cm[23]、最大幅は基部寄り-中央、葉身基部は広い円形か稀に心形、鋸歯の先は鈍くて丸みがある[21]。はじめ白軟毛があるが、後に無毛、質はややかたい[22]。葉柄は1.5-4 cm[21]、托葉は線形で長さ3.5-5 mmで、すぐ落ちる[22]。
- 幹
- 葉は花期に同時に展開し、広卵形-卵形
4月に直径約2.5cmの白い花を多数つけ、ほぼ同時に葉がでる[23]。ソメイヨシノに少し遅れて開花する[25]。短枝の先に散形の総状花序を1-2個つけ、1花序に6-8個の花がつく[22]。花弁は5枚、花柱は2-3個[24]。花柄は長さ2-2.5 cm[22]。花柄と萼に密に白軟毛がある[22]。萼筒は卵形で、先はひろがる[22]。萼片は広三角形、鈍頭、全縁、内面に密毛がある[22]。雄蕊は約20個花柱。雌蕊の花柱は2-3個、基部は無毛花柱。果実はほぼ球形、直径約1 cm、黄褐色で円形の小さい皮目が多数ある[24]。果実は強い渋味をもっていて、熟すと褐色になり、渋味はなくなるようだが、酸味は強いままで[26]おいしくない[23]。種子は2-3個[27]。染色体数は2n=34[22]。
- 白い花
- 枝に多数の果実がつく
- 実生した稚樹の枝には刺がある
用途
食用には適さないが、アメリカでは20世紀初頭に病気に強い洋ナシの台木として中国から導入されていて[28]、盆栽用としても愛好家の間ではとても人気がある[26]。欧米では、観賞用の花木として庭木や街路樹に利用されている[26]。
アメリカでの侵略的外来植物の指定

アメリカでは園芸品種として品種改良が繰り返され、街路樹や庭木として全土で盛んに植えられてきた[28]。近年になり突然、マメナシが大量に種子生産を始め、稔性のある種子を持つ果実を大量に生産するようになり、その種子から実生が芽生え、各地で実生が定着し始めた[29]。各地で定着し、空き地などに侵入して植物群落を形成し、森林組成を改変しつつある[29]。このマメナシ(種内雑種)は、形質も先祖帰りしていて、再び鋭い刺をつけるようになり、車のタイヤに穴をあける被害の事例がある[29]。侵略的外来種に指定されるようになり、オハイオ州では2023年1月からマメナシの販売や新たな植栽が禁止されるようになった[29]。この事例が日本におけるマメナシの保全に関しても教訓と考えられている[30]。
近縁種との比較
自生地周辺では、ヤマナシとの雑種のアイナシ(学名:Pyrus x uyematsuana Makino[31])が稀に見られる[21]。四日市市の東阿倉川イヌナシ自生地付近の西阿倉川アイナシ自生地は、国の天然記念物の指定を受けている[23][32]。
| 和名 学名[33] |
樹木全体画像 樹高 |
分布 生育環境 |
葉 | 花 | 果実 | 備考・出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| マメナシ 豆梨 P. calleryana[20] |
樹高:8-10 m |
日本、朝鮮半島、中国、ベトナム北部 日本では愛知県、三重県、岐阜県 湿地 ため池周辺 |
左の拡大部: 葉の鋸歯は目立たない |
花柱は2-3本 |
直径約1 cm |
別名:イヌナシ [21][34][26][35] |
| ヤマナシ 山梨 P. pyrifolia[36] |
樹高:10-15 m |
日本、朝鮮南部、中国中南部 日本では本州、四国、九州山地 人家に近い山中 |
右の拡大部: 葉の鋸歯は明瞭 |
花柱は5本 |
直径約2-3 cm |
[21][37][38][39] |
| アイナシ 間梨 P. x uyematsuana[31] |
愛知県、三重県、岐阜県 | 花柱は3-5本 |
直径約3 cm |
[40] |
マメナシの分布と生育環境
| 図1 マメナシの自生地の数と個体数 |
![]() |
マメナシは日本、朝鮮半島、中国、ベトナム北部の暖帯分布する[23][35]。日本では愛知県、三重県、岐阜県のみに分布し[注釈 6][24][41]、同様な分布域であるシデコブシ、シラタマホシクサなどとともに東海丘陵要素(周伊勢湾要素)植物と呼ばれている[23]。自生地は約80箇所あり、分布の中心は名古屋市内やその近郊の丘陵地[42]。岐阜大学の向井譲によるマメナシの自生地の数と個体数の調査結果を右の図1に示す[43]。確認された総個体数は約460(樹高1 m以上の成木[8])、個体数7個体以上の生育地が15箇所、多くの生育地では個体数5個体未満の小個体群あるいは孤立木として生育し、個体群の縮小と孤立が進行している[43]。マメナシの生育地の多くは人間活動が盛んな地域であり、苗木の植栽、成木の移植などがおこなわれている[43]。多度のイヌナシ自生地は指定時当初46本の成木が確認されていて最大級の自生地とされていたが[2]、その後名古屋市守山区御膳洞蛭池では57本の成木が確認されている[3]。名古屋市守山区小幡緑地本園では37本の成木が確認されている[44]。愛知県小牧市大草のマメナシ自生地[注釈 7]では20株がまとまって生育している[45]。三重県松阪市[46]、愛知県丹羽郡大口町の天神社境内などでは単独で生育している[47]。
- 小牧市の大草のマメナシ自生地では20株がまとまって生育している
- 大口町の天神社の境内の単独のマメナシ
三重県の分布域
三重県では、桑名市、いなべ市、員弁郡東員町、四日市市、鈴鹿市、松阪市(松尾のマメナシ[注釈 8][46])、多気郡多気町、明和町、度会郡玉城町、伊勢市、鳥羽市に分布する[48]。既知の生育地点数は15以下[48]。多くの自生地は国や自治体の天然記念物の指定を受けている[48]。
愛知県の分布域
愛知県では犬山市、瀬戸市、丹羽郡大口町、春日井市、小牧市、名古屋市、尾張旭市、日進市に分布する[24]。小牧市、尾張旭市、名古屋市北部などにヤマナシとの雑種のアイナシが稀に分布している[24]。
岐阜県の分布域

岐阜県では、2013年(平成25年)4月に海津市で2個体が確認されている[49]。周辺ではヤマナシとの雑種のアイナシが1995年(平成7年)の突風で主幹が折れて野生絶滅状態となったが、萌芽による2株が植栽されていて、志津の養老ナシが海津市の天然記念物の指定を受けている[50]。
各個体群の遺伝学的解析
地理的に近接する7個体以上からなるマメナシの分布域をまとめて4個体群(愛知県:小牧 26個体、名古屋:202個体、三重県:多度 48個体、四日市:16個体)とし、葉のDNAの遺伝子型から算出された集団遺伝学的統計量を下表に示す[51]。マメナシ全個体における検出された各SSR遺伝子座の対立遺伝子数は6-19(平均13.75)でHo(ヘテロ接合度観察値)=0.587、He(期待ヘテロ接合度)=0.689[51]。FIS=(He-Ho)/He(亜集団内での近交係数)=0.145(5 %水準で有意)で全体的にホモ個体が過剰であり、近親交配が進行しているのかもしれないと考えられている[51]。
| No. | 地域名称 | N 調査個体数 | Ho ヘテロ接合度観察値 | He 期待ヘテロ接合度 | FIS=(He-Ho)/He 亜集団内での近交係数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 小牧 | 26 | 0.552 | 0.527 | -0.047 |
| 2 | 名古屋 | 202 | 0.572 | 0.661 | 0.135 |
| 3 | 多度 | 48 | 0.653 | 0.691 | 0.055 |
| 4 | 四日市 | 16 | 0.498 | 0.606 | 0.179 |
遺伝距離を用いた近隣結合法によるイヌナシの系統樹を以下に示す[51]。全体的には個体群間の距離による遺伝分化は認められていない[51]。多度の個体群と四日市の個体群とは空間的には近いが遺伝的には異なっている[51]。
| イヌナシ
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
多度のイヌナシ個体群の遺伝的構造はそれ以外の個体群とは異なるものでイヌナシの遺伝的多様性の保全上重要な個体群であり、自然更新の可能性がある自生地であることから、多度のイヌナシ自生地は、イヌナシの保護上極めて重要な自生地であると考えられている[10]。
マメナシの生育環境

里山やため池周辺などの湧水のあるやや湿った場所に生育する[23][24]。マメナシは自家不和合性が強く、すでに数個体程度のところでは実生の発生は難しい[10]。公園として管理されている場所でも、自然更新は困難であるとみられている[10]。名古屋市守山区蛭池では、ヒヨドリが果実を採食し種子を散布したことが確認されていて、アメリカに植栽されたマメナシの果実が鳥類に頻繁に食べられていることが報告されている[52]。小幡緑地本園では天然更新が確認されている[53]。2018年4月に多度マメナシ自生地で、ホンドタヌキの“溜め糞”からマメナシの発芽が確認されている[52]。名古屋市守山区にある蛭池の自生地では、2018年5月5日にリンゴハマキクロバの幼虫によるマメナシへの食害が確認されている[54]。
保全状況

マメナシは環境省による第5次レッドリストで推定開花株数が250個体未満であることから、絶滅危惧類IB(EN)指定を受けている[55]。三重県では絶滅危惧類IB(EN)指定を受けていて[48]、希少野生動植物種に指定されている[11]。また愛知県では絶滅危惧IA類(CR)[24]、岐阜県では絶滅危惧I類の指定を受けている[56]。里山やため池周辺などの湧水のある場所に自生し、人里に近いことから耕地整理や開発で個体数は減少している[48]。刺の多い木であるため、邪魔者扱いされ伐採されることもある[8]。生育地の植生遷移の進行を停止し、幼木の生育を促す下草の除去や共存する樹木の伐採の保護配策が必要となっている[48]。2021年(令和3年)頃に多度のイヌナシ自生地付近のみどりヶ池南畔で、土地の所有者に無断で産地不明のマメナシ3本が植栽されて、撤去依頼の看板が設置された[57]。自然分布か植栽かやがて困難な状況になり[48]、他地域由来の植栽により独自の遺伝子をもつ地域固有性が損なわれることからその後撤去された[57]。2019年(令和元年)9月18日に、株式会社NTN三重製作所、特定非営利活動法人多度自然育成の会、桑名市及び三重県の4者で、マメナシの保全活動に関する「みえ生物多様性パートナーシップ協定」が締結された[58]。
指定レッドリスト一覧
マメナシは国および各自治体によるレッドデータブックで、以下のレッドリストのカッテゴリーの指定を受けている[59]。
| 指定者 | レッドリストのカテゴリー | 指定時期 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 国 | 絶滅危惧IB類 (EN) | 2025年 | [55] |
| 三重県 | 絶滅危惧IB類 (EN) | 2015年 | [48] |
| 愛知県 | 絶滅危惧IA類 (CR) | 2025年 | [24] |
| 名古屋市 | 絶滅危惧IB類 | 2025年 | [60] |
| 岐阜県 | 絶滅危惧I類 | 2014年 | [56] |
指定天然記念物一覧
マメナシ(イヌナシ)とアイナシに関する指定天然記念物一覧を下表に示す。愛知県西尾市の「国森のマメナシ」は1975年(昭50年)2月22日に市の指定天然記念物に指定されたが[61]、現在は指定を受けていない[62]。
| 指定者 | 名称 | 指定日 | 所在地 | 備考・出典 |
|---|---|---|---|---|
| 国 | 多度のイヌナシ自生地 | 2010年(平成22年)8月5日 | 三重県桑名市多度町多度 | [12] |
| 東阿倉川イヌナシ自生地 | 1922年(大正11年)10月12日 | 三重県四日市市東阿倉川 | [9] | |
| 西阿倉川アイナシ自生地 | 三重県四日市市西阿倉川 | [32] | ||
| 三重県 | アイナシ | 1972年(昭和47年)4月1日 | 三重県鈴鹿市国府町府南寺 | [注釈 9][63] |
| 愛知県 | 大草のマメナシ自生地 | 2011年(平成23年)8月26日 | 愛知県小牧市大字大草字太良 | [45] |
| 東員町 | 山田半ノ木谷イヌナシ自生地 | 2007年(平成19年)1月18日 | 三重県員弁郡東員町大字山田字半ノ木谷 | [64] |
| 松阪市 | 松尾のマメナシ | 1998年(平成10年)4月3日 | 三重県松阪市岡山町 | [注釈 10][46] |
| 多気町 | マメナシ | 2007年(平成17年)1月9日 | 三重県多気郡多気町野中 | [65] |
| 玉城町 | 原のアイナシ | 1994年(平成6年)12月8日 | 三重県度会郡玉城町原新池畔 | [注釈 11][66][67] |
| 瀬戸市 | マメナシ | 1976年(昭和51年)8月10日 | 愛知県瀬戸市東松山町水南小学校 | [注釈 12][68][69] |
| 尾張旭市 | 長池のマメナシ・アイナシ自生地 | 2003年(平成15年)10月1日 | 愛知県尾張旭市城山町長池下 | [注釈 13][70] [注釈 14][71] [注釈 15][72] |
| 大口町 | マメナシ | 1976年(昭和51年)8月10日 | 愛知県丹羽郡大口町天神社 | [注釈 16][47][73] |
| 名古屋市 | 宝珠院のイヌナシ | 1977年(昭和52年)7月13日 | 愛知県名古屋市昭和区広路町隼人宝珠院 | [注釈 17][74] |
| 知多市 | マメナシ(イヌナシ) | 1976年(昭和53年)3月7日 | 愛知県知多市金沢字稲荷山稲荷神社 | [注釈 18][75] |
| 海津市 | 志津の養老ナシ | 1956年(昭和31年)8月20日 | 岐阜県海津市志津 | [50][76] |
マメナシの保全活動のガイドライン
2018年(平成30年)11月3日に小牧市でマメナシサミットが開催され、マメナシの保全活動のガイドラインが公表された[77]。そのガイドライン要約を以下に示す[78]。
多度のイヌナシ自生地保護計画

2023年9月14日撮影
桑名市教育委員会では「イヌナシ自生地保護計画策定委員会」が設置され、2010年(平成22年)3月にイヌナシ保護のために、昭和30年代の頃の植物相を目指すことを目標として多度のイヌナシ自生地保護計画が立てられた[15]。保護に対しては以下の点が留意されている[14]。
- イヌナシの自生している場所だけでなく、集水域全体を含めて保護を進める。
- 保全遺伝学の見地から、周辺地でのナシ属の栽培についても規制する。
薪炭林としての森林管理手法を基本とし、作業実施において以下の考え方で作業が実施される[79]。
- イヌナシの天然更新を促がすことを目的とし、移植、樹勢回復措置等などの過度な干渉をしない。
- 植栽したイヌナシ及び湿性植物を植え戻すことはしない
- イヌナシだけでなく、他の植物種の生育にも考慮にいれて周辺環境全体の保全を図る。
- 自生地外へのイヌナシの持ち出しを全面規制する。
交通アクセス


養老鉄道養老線多度駅、多度大社前駐車場、多度峡駐車場などからの徒歩によるアクセスとなる[80]。多度山に瀬音の森コースのハイキングコースが整備されている[80]。瀬音の森コースの多度峡の天然プールの先から西側の丘を越えてみどりヶ池に至る散策路がある[80]。多度峡駐車場からの林道を歩いて登り、林道終点にあるみどりヶ池に行くこともできる[4]。みどりヶ池に西側に多度のイヌナシの自生地がある[80]。4月初旬のイヌナシの開花時期に現地で「イヌナシの花を見る会」が開催されている[81]。自生地に分布図、位置図、マメナシの写真を含む学術的な看板と桑名市教育委員会の指定記念標柱が設置されていて、見学者の便をはかるための観察コースが設定されている[81]。桑名市教育委員会による学術的な看板の表記内容を以下に示す。
国指定天然記念物
多度のイヌナシ自生地 平成22年8月5日指定
イヌナシはマメナシとも呼ばれ、バラ科の落葉広葉樹です。日本では三重・愛知・岐阜県にしか自生していません。その中でも「多度のイヌナシ自生地」は天然更新可能な貴重な群落として国の天然記念物に指定されました。約3,000 m2の自生地に46本の成木(指定時)と多数の実生及び稚樹が生育しています。4月にサクラに似た白い花が咲き、6月ごろから直径1 cmほどの実がなります。
※自生地から許可無く花・実を持ち出すことは禁止されています。
文化財を大切にしましょう 平成23年 桑名市教育委員会 — 桑名市教育委員会による多度のイヌナシ自生地の学術的な看板の表記内容
