電位依存性カリウムチャネル
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domain-swapped

電位依存性カリウムチャネルは各サブユニットが4つ集まってできた四量体でK+を通すイオンチャネルとして機能する。電位依存性ナトリウムチャネルや電位依存性カルシウムチャネルは電位依存性カリウムチャネルでいう6回膜貫通の部分が4つつながったような構造であり、つまり24回膜貫通なのでこの点で異なる。4つのサブユニットは全て同一の場合(ホモテトラマー)もあれば、異なるもので構成される場合(ヘテロテトラマー)もある[1]。
N末端は細胞内側にあり、T1ドメインと呼ばれる。T1ドメインはテトラマーが細胞内で会合するために重要である。ヘテロテトラマーを形成する場合、T1ドメインによってテトラマーを形成する相手が同じファミリータンパク質などに制限されている。T1ドメインはβサブユニットのような補助的なタンパク質が結合する部位でもある[2]。
膜貫通部分は6回膜を貫通していて、いずれもヘリックス構造をとっている。膜貫通構造はN末端側から順にS1~S6と呼ばれ、その機能からS1~S4は電位センサードメイン(VSD)、S5~S6はポアドメイン(PD)と呼ばれている。ポアドメインが四量体の中心で4つ集まることによって一つのイオン通過経路を形成する[3]。
電位依存性カリウムチャネルのポアドメインの電位センサードメインとの位置関係には2種類ある。電位センサードメインと相互作用するポアドメインが隣接するサブユニットのポアドメインであるような構造をdomain-swapped構造という。一方で電位センサードメインと相互作用するポアドメインのサブユニットがその電位センサードメインのサブユニットと同一である場合をnon-domain-swapped構造という[1]。多くの電位依存性イオンチャネルにおいてはdomain-swapped構造をとる方が一般的であり、Kv1~Kv9はdomain-swapped構造をとってる。non-domain-swapped構造をとる例としては電位依存性カリウムチャネルの中ではEAGチャネル(Kv10.1)、hERGチャネル(Kv11.1)が挙げられる。他にHCNチャネルやBKチャネルもnon-domain-swapped構造をとる[4]。
選択性フィルター
ポアドメインにはカリウムチャネルの性質である、K+を選択的に通過させるために必要な選択性フィルターが存在する。カリウムチャネルでは一般的にTVGYG[注 1]という配列が保存されている。このTVGYのカルボニル基 -CO- の酸素原子とTのヒドロキシ基 -OH の酸素原子がポアの方向を向いている。K+一つにつき上下8つ[注 2]の酸素原子に囲まれる。Na+はK+よりも直径が小さいため一見このポアを通過できそうであるが、逆に小さいがためにカルボニル基との距離が遠すぎてK+の方が圧倒的に通過しやすくなる[5]。
この選択性フィルターによるイオン選択性はNa+に対して特に優位であるが、他の陽イオンでは比較的通過するものもある。報告されたイオン選択性によると、K+ > Rb+ > NH4+ > Cs+ >> Na+であったという[注 3][6]。
電位センサー
電位センサードメインの中でも特にS4が電位センサーとしての機能を担っている。S4には3残基ごとにアルギニン(R)やリシン(K)から成る正電荷が複数個配置されている。この正電荷が膜電位の変化により細胞外側へ移動することでチャネルの開・閉という構造変化が起こって電位依存性という性質を顕現する。このときに流れる電流はゲート電流と呼ばれ、厳密な測定を行えばイオンチャネルを流れるイオンの電流とは別に測定することができる[5][7]。
S4に正電荷があるのに対し、S1~S3に負電荷が存在することでS4が動きやすくなっている。負電荷は酸性アミノ酸のアスパラギン酸やグルタミン酸により供給される[7]。
S4の外側への移動によりポアドメインの開口が起こる。S4がS4-S5リンカーを引っ張り、S4-S5リンカーがS6の移動を誘導することで開口・閉鎖に至る、というモデルが考えられている[8]。
不活性化
イオンチャネルは開口した後にはもちろん閉じる。この閉じるパターンには2種類あり、膜電位の低下により開口に必要な電位を下回ることによる脱活性化deactivationと電位は十分であるが開口→閉鎖と構造変化を起こすことによる不活性化inactivationがある。電位依存性カリウムチャネルの不活性化にはN型不活性化とC型不活性化が知られている。
N型不活性化とはカリウムチャネルのN末端が開口しているポアドメインに結合することで開口状態であるにもかかわらずK+が通れなくなることである。数ミリ秒単位で起こる速い不活性化である。N末端を欠失させるとN型不活性化は無くなり、その後にN末端ペプチドを追加すれば不活性化が起こることから関与は明らかである[5]。N末端にはリン酸化可能なセリン残基が存在しており、リン酸化のもとではN型不活性化は阻害される[9]。
C型不活性化とは数秒単位で見られる遅い不活性化である。選択性フィルターの細胞外側が関与していると考えられている[10]。
ホジキン・ハクスリー方程式
早期不活性化と遅延整流性
種類
電位依存性カリウムチャネルはKv1~Kv12まで12種類のタンパク質ファミリーが存在し、αサブユニットの種類は合計40種類にのぼる。以下に、各ファミリーごとに一覧する[11]。なお、Kv5、Kv6、Kv8、Kv9はホモテトラマーでは電位依存性カリウムチャネルとして機能せず、Kv2ファミリーの電位依存性カリウムチャネルとヘテロテトラマーを形成することでKv2の機能を制御することができ、これらはmodifierと呼ばれる[12]。
Kv1
ショウジョウバエでいうShaker型チャネルのことである[10]。以下の8つが存在する。
- Kv1.1 (KCNA1) 遅延整流性
- Kv1.2 (KCNA2) 遅延整流性
- Kv1.3 (KCNA3) 遅延整流性
- Kv1.4 (KCNA4) 早期不活性化(A型)
- Kv1.5 (KCNA5) 遅延整流性
- Kv1.6 (KCNA6) 遅延整流性
- Kv1.7 (KCNA7) 遅延整流性
- Kv1.8 (KCNA10) 遅延整流性
Kv2
ショウジョウバエではSnabと呼ばれる[10]。以下の2つが存在する。
Kv3
ショウジョウバエではShawと呼ばれる[10]。以下の4つが存在する。
Kv4
ショウジョウバエではShalと呼ばれる[10]。以下の3つが存在する。
Kv5
- Kv5.1 (KCNF1) Kv2のmodifier
Kv6
- Kv6.1 (KCNG1) Kv2のmodifier
- Kv6.2 (KCNG2) Kv2のmodifier
- Kv6.3 (KCNG3) Kv2のmodifier
- Kv6.4 (KCNG4) Kv2のmodifier
Kv7
以下の5つがある。
Kv8
Kv9
Kv10
ショウジョウバエではether-à-go-goと呼ばれ、略してEAGチャネルという[10]。以下の2つがある。
Kv11
ether-à-go-go related geneを略してERGチャネルという[10]。以下の3つがある。
Kv12
ether-à-go-go like K-channelを略してELKチャネルという[10]。以下の3つがある。