1976年オーストリアグランプリ
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1976年オーストリアグランプリ(1976ねんオーストリアグランプリ、英: 1976 Austrian Grand Prix、正式名称: XIV Raiffeisen Großer Preis von Österreich[W 4])は、1976年のF1世界選手権の第11戦として、1976年8月15日にエステルライヒリンクで開催された自動車レース[W 5]。9回目のオーストリアグランプリ[注 1]であり、エステルライヒリンクでの開催は7回目である。
概要
54周のレースを制したのは、ペンスキー・フォードを駆るジョン・ワトソンだった。これはワトソンにとってF1初勝利であると同時に、ペンスキー・チームにとって唯一となるF1での勝利でもあった。この勝利は、前年のオーストリアGPでマーク・ダナヒューが亡くなってから1年後のことだった。ロジャー・ペンスキーは、USACチャンピオンシップ(現在のインディカー・シリーズの前身)に専念するため、シーズン終了をもってF1から撤退することになった。
ジャック・ラフィットはリジェ・マトラで2位に入り、グンナー・ニルソンはロータス・フォードで3位となった。ドライバーズチャンピオン争いを繰り広げるジェームス・ハントは、ポールポジションからスタートしたものの、マクラーレン・フォードで4位に終わった。
背景
エントリー
本GPは25台が参加する[5]。
前記の通り、フェラーリは前戦ドイツGPでニキ・ラウダが重症を負ったことにより、参加を見合わせた[6]。フェラーリがF1世界選手権レースを欠場したのは2025年終了時点でこのレースが最後である[W 6][注 2]。
ラウダの事故にショックを受けたクリス・エイモンはF1を引退することを決めたため[W 9][注 3]、エンサインはヘルムート・マルコが推す母国出身のF2ドライバーのハンス・ビンダーを起用した[W 9][W 7][7]。RAMはレラ・ロンバルディが2台目のドライバーとして復帰した[W 7]。ガイ・エドワーズは前戦ドイツGPで1974年に負った手首の古傷を悪化させたため欠場した[W 9]。
母国出身のドライバーであるオット・ストゥッパッシャーとカール・オピッツハウザーはこのレースへの出場を申請したが、経験不足を理由に拒否された。彼らは「ÖASCレーシングチーム」の名義でエントリーしており、ストゥッパッシャーはティレル・007を、オピッツハウザーはマーチ・761をサーキットに持ち込んでいた。彼らは他のチームに支援を要請したが、どこからも応じてもらえず、結局出場することはなかった[W 10][W 7][注 4]。
エントリーリスト
- 追記
予選
予選は初日2回、2日目1回のセッションで行われたが[5]、雨が降らなかったのは初日の1回目のみだったため、そのセッションのベストタイムによりスターティンググリッドが決定した[8]。
マクラーレンは新車M26を投入したが練習走行のみで切り上げ[9][5]、M23でジェームス・ハントがポールポジションを獲得した[5]。ハントから0.82秒差で2番手に付けたのはペンスキーのジョン・ワトソンで、3番手のロニー・ピーターソンから11番手のハンス=ヨアヒム・スタックまでの9台は1分36秒台の接戦だった[5]。
予選結果
| 順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 差 | Grid |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 11 | マクラーレン-フォード | 1:35.02 | - | 1:56.65 | - | 1 | |
| 2 | 28 | ペンスキー-フォード | 1:35.84 | 2:10.30 | 2:00.62 | +0.82 | 2 | |
| 3 | 10 | マーチ-フォード | 1:36.34 | 2:01.75 | 1:54.50 | +1.32 | 3 | |
| 4 | 6 | ロータス-フォード | 1:36.46 | - | 2:00.43 | +1.44 | 4 | |
| 5 | 26 | リジェ-マトラ | 1:36.52 | - | 2:00.19 | +1.50 | 5 | |
| 6 | 16 | シャドウ-フォード | 1:36.56 | - | 1:56.42 | +1.54 | 6 | |
| 7 | 9 | マーチ-フォード | 1:36.59 | 1:56.60 | 1:56.35 | +1.57 | 7 | |
| 8 | 8 | ブラバム-アルファロメオ | 1:36.66 | 1:57.65 | 1:56.77 | +1.64 | 8 | |
| 9 | 5 | ロータス-フォード | 1:36.68 | - | 1:56.68 | +1.66 | 9 | |
| 10 | 3 | ティレル-フォード | 1:36.91 | - | 1:55.64 | +1.89 | 10 | |
| 11 | 34 | マーチ-フォード | 1:36.95 | - | 2:13.77 | +1.93 | 11 | |
| 12 | 12 | マクラーレン-フォード | 1:37.22 | - | 1:55.73 | +2.20 | 12 | |
| 13 | 4 | ティレル-フォード | 1:37.24 | 1:56.24 | 1:54.74 | +2.22 | 13 | |
| 14 | 7 | ブラバム-アルファロメオ | 1:37.24 | - | 2:12.08 | +2.22 | 14 | |
| 15 | 19 | サーティース-フォード | 1:37.60 | - | - | +2.58 | 15 | |
| 16 | 18 | サーティース-フォード | 1:37.62 | 2:10.98 | - | +2.60 | 16 | |
| 17 | 30 | コパスカー-フォード | 1:37.76 | - | 1:59.48 | +2.74 | 17 | |
| 18 | 17 | シャドウ-フォード | 1:37.88 | - | 2:04.27 | +2.86 | 18 | |
| 19 | 22 | エンサイン-フォード | 1:38.36 | - | 1:56.15 | +3.34 | 19 | |
| 20 | 24 | ヘスケス-フォード | 1:39.09 | - | 2:07.02 | +4.07 | 20 | |
| 21 | 20 | ウルフ・ウィリアムズ-フォード | 1:39.33 | 2:21.11 | 2:04.89 | +4.31 | 21 | |
| 22 | 38 | サーティース-フォード | 1:39.84 | - | 2:00.66 | +4.82 | 22 | |
| 23 | 39 | ティレル-フォード | 1:40.67 | - | 2:11.65 | +5.65 | 23 | |
| 24 | 33 | ブラバム-フォード | 1:42.25 | - | 2:21.92 | +7.23 | 24 | |
| 25 | 32 | ブラバム-フォード | - | 2:09.72 | 1:56.01 | +20.99 | 25 | |
| 出典: [5][W 1][W 12] | ||||||||
決勝
決勝当日の朝は晴れ渡ったが、レース開始予定の14時になると小雨が降り出すスッキリしない天候となったが、全車スリックタイヤのまま予定から30分遅れでレースはスタートした[10]。
スタートでインを取ったジョン・ワトソンがトップに立ち、ポールポジションだったジェームス・ハントはロニー・ピーターソンにも抜かれて3位に後退し、4周目にワトソンも抜いて首位に浮上した[10]。
10番手スタートのジョディー・シェクターは追い上げを見せ、7周目には一気に2位に浮上し、3周後にはピーターソンからトップを奪ったが、ワトソンとグンナー・ニルソンがすぐ後ろに迫る中、シェクターが後方の遅れたマシンに阻まれて順位が再び入れ替わった。これによりピーターソンが再び先頭に立ち、シェクターはワトソンの後ろの3位に後退した[W 7]。
視界も良好となり、路面も完全にドライコンディションになると[11]、ワトソンはピーターソンに接近し、12周目にトップに立った。3周後、シェクターはサスペンションの故障に見舞われ[W 7]、第1コーナーで激しくクラッシュした[11]。チームメイトのパトリック・デパイユもサスペンションを壊し、第1コーナーでリタイアしている[11]。
ワトソンとピーターソンは激しい首位争いを演じて3位以下を引き離したが[11]、19周目にピーターソンはニルソンに抜かれて3位に後退する[12]。ピーターソンはスピードが鈍り、ジャック・ラフィットとハントに迫られ[12]、ブレーキパッドの摩耗により2台の先行を許してしまった[13]。ハントはハラルド・アートルと接触してフロントウィングが曲がってしまった影響からラフィットとの表彰台争いから脱落し、ラフィットは45周目に油圧が低下していたニルソンを抜いて2位に浮上した[13]。次の周にはピーターソンがマリオ・アンドレッティに抜かれて順位は確定した[W 7]。
ワトソンは2位のラフィットに10秒以上の大差を付けてF1初勝利を果たし[13]、ペンスキーにとってもF1初勝利となった[W 7]。なお、アメリカ合衆国のライセンスを持つコンストラクターがF1世界選手権レースで優勝したのは2025年終了時点で最後である[W 13][W 14][注 5]。
また、2025年終了時点で女性ドライバーがF1世界選手権レースに出走し、完走した最後のレースでもある[W 15]。レラ・ロンバルディは、RAMのブラバム・BT44Bで予選24位となり、4周遅れで12位でフィニッシュした。
レース後、ワトソンはロジャー・ペンスキーに「レースで勝ったら髭を剃り落とす」と約束した通り、自慢の髭を剃り落とした[13][W 7][14]。
レース結果
| 順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | 周回数 | タイム/リタイア原因 | Grid | Pts. |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 28 | ペンスキー-フォード | 54 | 1:30:07.86 | 2 | 9 | |
| 2 | 26 | リジェ-マトラ | 54 | +10.79 | 5 | 6 | |
| 3 | 6 | ロータス-フォード | 54 | +11.98 | 4 | 4 | |
| 4 | 11 | マクラーレン-フォード | 54 | +12.44 | 1 | 3 | |
| 5 | 5 | ロータス-フォード | 54 | +21.49 | 9 | 2 | |
| 6 | 10 | マーチ-フォード | 54 | +34.34 | 3 | 1 | |
| 7 | 12 | マクラーレン-フォード | 54 | +59.45 | 12 | ||
| 8 | 24 | ヘスケス-フォード | 53 | +1 Lap | 20 | ||
| 9 | 38 | サーティース-フォード | 52 | +2 Laps | 22 | ||
| 10† | 18 | サーティース-フォード | 51 | アクシデント | 16 | ||
| 11 | 39 | ティレル-フォード | 51 | +3 Laps | 23 | ||
| 12 | 33 | ブラバム-フォード | 50 | +4 Laps | 24 | ||
| Ret | 22 | エンサイン-フォード | 47 | スロットル | 19 | ||
| NC | 32 | ブラバム-フォード | 44 | 規定周回数不足 | 25 | ||
| Ret | 9 | マーチ-フォード | 43 | アクシデント | 7 | ||
| Ret | 30 | コパスカー-フォード | 43 | アクシデント | 17 | ||
| Ret | 8 | ブラバム-アルファロメオ | 40 | アクシデント | 18 | ||
| Ret | 17 | シャドウ-フォード | 40 | 燃料ポンプ | 8 | ||
| Ret | 19 | サーティース-フォード | 30 | アクシデント | 15 | ||
| Ret | 34 | マーチ-フォード | 26 | 燃料システム | 11 | ||
| Ret | 4 | ティレル-フォード | 24 | サスペンション | 13 | ||
| Ret | 20 | ウルフ・ウィリアムズ-フォード | 17 | アクシデント | 21 | ||
| Ret | 16 | シャドウ-フォード | 14 | ブレーキ | 6 | ||
| Ret | 3 | ティレル-フォード | 14 | サスペンション | 10 | ||
| Ret | 7 | ブラバム-アルファロメオ | 0 | クラッチ | 14 | ||
| 優勝スピード(勝者ワトソンの平均速度):212.451 km/h | |||||||
| ファステストラップ:ジェームス・ハント - 1'35.91[W 2] | |||||||
| 出典: [W 16][W 3][W 12][1] | |||||||
- 追記
- † - リタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い。
- 太字は最多ラップリーダー
記録
ドライバー
コンストラクター
第11戦終了時点のランキング
本節のランキング及びポイントは、9月24日に行われたFIAの審議会で、第9戦イギリスGPの勝者ジェームス・ハントが失格[15][1][16][注 6]となった後のものを掲載するが、ハントが失格処分を受けていない時点のランキングも参考資料として掲載する。
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- 注: トップ5のみ表示。有効ポイントは前半8戦のうちベスト7戦と後半8戦のうちベスト7戦の合計。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。
- * - ハントの失格によってポイントが変動したドライバー及びコンストラクター。