セレン化白金(IV)

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セレン化白金(IV)
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
性質
PtSe2
モル質量 353.026 g·mol−1
外観 金属光沢、不透明な黄白色
密度 9.54
融点 分解
不溶
バンドギャップ 0 (バルク) 1.3 eV 単層
構造
空間群 P3m1 164 六方晶系
a = 3.728[1], c = 5.031
八面体形
関連する物質
その他の
陰イオン
二硫化白金 二テルル化白金 PtSeTe PtSSe
その他の
陽イオン
二セレン化パラジウム NiSeTe
関連するセレン化白金 Pt5Se4
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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セレン化白金(IV)(セレンかはっきん に、英語: Platinum(IV) selenide)は、化学式PtSe
2
で表される無機化合物である。層状構造を持ち、厚さ3原子の層まで剥離することができ、厚さに応じて半金属または半導体の性質を示す。

Minozziは、単体からのセレン化白金(IV)の合成を1909年に初めて報告した[2]

セレン化白金(IV)は、セレン蒸気中で白金の薄膜を400 ℃まで加熱することで得られる[3][4]

270 ℃のセレン蒸気に晒したPt(111)面は、PtSe2の単分子層を形成する[5]

これらのセレン化の方法に加え、PtSe2はPt(IV)水溶液中でセレン化水素と反応することで沈殿させることができ、また単体セレンと塩化白金(IV)を加熱することでも得ることができる[2]

産出

セレン化白金(IV)は、スドヴィコバイトとして天然に産出される。この鉱物の名称は、ロシアの岩石学者N.G. Sudovikov(1903~1966)に由来する。硬度は2~2.5である。スドヴィコバイトはSrednyaya Padma mine、Velikaya Guba uranium-vanadium deposit、Zaonezhie peninsula、カレリア共和国ロシア連邦で発見されている[6]

性質

セレン化白金(IV)はヨウ化カドミウム形の構造を持つ結晶を形成する。これは層状構造を 持つことを意味する。それぞれの単層は白金原子の中心を持ち、セレン原子層が上下に存在する。この構造は1Tとも呼ばれ、三方晶系に分類される。層間の結合は弱いため、2つの層または単層の膜に剥離することができる[7]

バルク中では半金属であるが、少ない層に分離すると半導体となる[7][8]。バルクの導電性は620,000 S/mである[9]

X線光電子分光スペクトルのピークは、Ptの4fで72.3 eVであり、Ptの5p3/2[7]、Seの3d3/2、3d5/2でそれぞれ55.19、54.39 eVであることが示されている[5]

フォノン振動は、赤外活性なA2u(面外でSeがPtと反対方向に振動)、Eu(層内でSeがPtと反対方向に振動)、ラマン活性なA1g(面外でSeの上下原子が反対方向に振動、205 cm−1)、Eg(面内でSeの上下原子が反対方向に振動、175 cm−1)で表される。ラマン分光法では、入射光に垂直に偏光した誘導放射を測定するとA1gは減衰する。層の数が増加するとEg赤方偏移する(二層では166 cm−1、バルクでは155 cm−1)が、A1gは厚さの変化による影響は少ない[7]

バンドギャップは単層で1.2 eV、二層で0.21 eVと計算されている。三層やより厚い物質では、バンドギャップが減少し半金属的性質を示す[5]

PtSe2は、二酸化窒素などの特定の気体の存在下で導電率が変化する。NO2は、数秒の間にPtSe2の表面の素材に吸着し、抵抗率を下げるためである。気体を取り除くと、1分程で抵抗率が元に戻る[3]

PtSe2ゼーベック係数は40 μV/Kである[10]

純粋なセレン化白金(IV)は非磁性体であるが、白金原子の空孔により磁性を示すと予測されていた[11]。後に、磁気輸送研究[12]により、空孔を有するPtSe2が磁性を示すことが実証された。磁性を持つ白金空孔間のRKKY相互作用のため、層に依存した強磁性または反強磁性を示す。

セレン化白金(IV)の単層は、中心対称性を持つ物質では予想されない螺旋状のスピンテクスチャーを示す。この性質は局所双極子に起因するラシュバ効果による可能性があり、これはPeSe2スピントロニクス的素材である可能性を意味する[13]

反応

水はセレン化白金(IV)の表面に−0.19 eVのエネルギーで物理吸着することができ、同様に酸素も−0.13 eVのエネルギーで物理吸着することができる。分子を分解するために大きいエネルギーが必要であるため、水と酸素は常温では反応しない[9]

比較

利用

脚注

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