ディープ・インパクト (映画)

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ディープ・インパクト』(Deep Impact)は、1998年アメリカ合衆国の映画

ミミ・レダーが監督、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮をそれぞれ担当し、ドリームワークスパラマウント映画が共同で配給を担当している。一般的に、この手のパニック映画では派手なCG演出で逃げ惑う人々の混乱などを描くことが多いが、本作では世界的な危機に陥った状況下の各登場人物の人間関係と、政府の危機管理対策を主軸として描いている[5]

本作の公開から2か月後に公開された『アルマゲドン』と類似した内容であり、地球に隕石あるいは彗星が衝突するという設定も同様である。この2作品の設定・物語の一致は、アメリカの映画作りのシステムに原因がある。アメリカ映画では、1つの映画作品に20~30人の脚本家が関わるという制作方法をとるため、同じアイデアをもとにして別々の映画会社でそれぞれが製作が開始された。

2000人のエキストラと1800台の車を動員した未開通の高速道路での撮影は、2日で完了したという[6]。高速道路の渋滞シーンは、その撮影の最後に完成した。

レダーは、自分は一度もSF映画を撮ったことがなかったが、最終的には要請を承諾したという[7]

この映画の撮影時にすべてのエクストラ製作陣が映画の成功のために多くの準備をしたことを映像で確認することができる [8]

映画の中で彗星を爆破させるシーンは、彗星のモデルを作ったセットで撮影された。巨大な津波によってニューヨークが破壊されるシーンは、コンピュータグラフィックスで制作された。このシーンの完成には6か月を要した[9]

あらすじ

天文部に所属する高校生、リオ・ビーダーマンは天体観測中に彗星を発見。その情報を天文台のウルフ博士に伝える。計算の結果、彗星が地球に衝突するとの結果を弾き出し、博士は情報を持って移動するが交通事故で亡くなってしまう。

1年後、テレビ局に勤めキャスターを目指しているジェニーは、元財務局長官の突然の辞職の理由が「エリー」という女性との不倫スキャンダルだと読んで取材をしていた。「エリー」に関して嗅ぎつけられたと思った政府はジェニーを連行、アメリカ大統領トム・ベックのもとに通すと、大統領は2日後に行う緊急会見に好待遇で出席させる事を条件に、それまでスクープを伏せて欲しいと要求する。2日後その緊急会見にて「ウルフ=ビーダーマン彗星」が1年後に地球に衝突する事と、衝突回避のための「メサイア計画」が発表された。エリーとは女性の名前ではなく「E.L.E.」(Extinction-Level Event, 種の絶滅級の事象)のことだったのだ。会見の特別席に出席した事もありジェニーは社内のライバル、ベスを出し抜いてメサイア計画の報道キャスターに抜擢される。

「メサイア計画」とは、アメリカとロシアの合同作戦で、宇宙船メサイア号で彗星に乗り込み、核爆弾で彗星を破壊する計画だ。その搭乗クルーにはかつてアポロ計画に参加し時の人となった有名ベテランパイロット、フィッシュもいた。他の若いクルー達からは「NASAがPRのために起用した過去の人」とやっかまれていたが、一同は作戦通りメサイアで彗星に乗り込む。過酷な状況下で死傷者を出しながらも核爆弾を埋め込み爆発させることには成功、しかし彗星は大きな破片の「ウルフ」と小さな破片の「ビーダーマン」の二つに分裂しただけで、軌道を逸らすには至らず、なおも地球へと進み続けていた。さらに爆発の衝撃でメサイアは地上との通信も途絶してしまう。

政府はメサイア計画の失敗を伝えるとともに、戒厳令、第2作戦となる核ミサイルでの迎撃による「タイタン作戦」、そしてその失敗に備えて各国が「ノアの方舟」となる地下居住施設をすでに建設していることを公表。アメリカは100万人収容可能な巨大な地下施設をミズーリ州内の洞窟に建設していたが、つまり国民の大半は見捨てられたも同然だった。彗星発見者として予め家族と共にシェルターへの避難権を与えられたリオは、ガールフレンドのサラと結婚すればサラとその家族も一緒に避難所に入れると聞きつけサラと結婚。しかしいざ軍の送迎バスに乗り込む際に、サラだけは避難権を得ていたものの、その家族は対象外となっていた事が判明、サラは両親と離れられないとして残ってしまう。しかしリオも地下シェルターの入り口まで来た所でやはりサラを置いてはいけないと、避難権利を捨て両親と別れ引き返して行くのだった。一方、政府の計らいで避難者に選ばれたジェニーだが、避難権の抽選対象は50歳未満との規定により対象外となっていた母が自殺してしまう。ジェニーは母を捨てて若い女性と再婚した父を許せなかった。しかし核ミサイルタイタンの作戦も失敗に終わり、避難権を持たない人々は彗星の衝突を待つばかりとなった中、家族の絆を思い出したジェニーは避難権をベスに譲ると、家族にとっての思い出のビーチに向かう。そして同じ思いを持ってそこに居た父と再会し、和解を選ぶのだった。

先行していた小彗星が地球に落下。1000メートルにも及ぶ高さの津波が都市を次々に飲み込んでいく。バイクでサラと合流したリオは、サラの両親からサラとその妹である赤ん坊を託されると、津波から逃げるために山を駆け上がる。一方、地球に近づいた事で通信が復旧したメサイアは、フィッシュ指導のもと残された核弾頭で大彗星だけでも破壊する事をNASAに告げると、家族との最後の交信を交わし大彗星に突入していく。小彗星による津波をギリギリでかわす事に成功したリオとサラが空を見上げると、そこにはメサイアが破壊した大彗星の破片が光の流星シャワーとなって降り注いていた。甚大な被害を出しながらも、生き残った人々は人類の再建を誓うのだった。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替 役柄
スパージョン・“フィッシュ”・タナーロバート・デュヴァル坂口芳貞ベテラン宇宙飛行士
ジェニー・ラーナーティア・レオーニ渡辺美佐テレビ局のキャスター。上昇志向が強く、トップキャスターの座を狙っている。
リオ・ビーダーマンイライジャ・ウッド石田彰高校生。天体マニアで彗星の第一発見者。
ロビン・ラーナーヴァネッサ・レッドグレーヴ翠準子ジェニーの母親
ジェイソン・ラーナーマクシミリアン・シェル益富信孝ジェニーの父親。ロビンとは離婚している。
トム・ベックモーガン・フリーマン前田昌明アメリカ大統領
サラ・ホッチナーリーリー・ソビエスキー小島幸子リオのガールフレンド。妹がいる。
オーレン・モナッシュロン・エルダード森川智之宇宙飛行士、船長
アンドレア・ベイカーメアリー・マコーマック田中敦子女性宇宙飛行士、操縦担当
マーク・サイモンブレア・アンダーウッド落合弘治黒人宇宙飛行士、航海士
ガス・パーテンザジョン・ファヴロー荒川太郎宇宙飛行士、医療担当
ミハイル・タルチンスキーアレキサンダー・バルーエフ麦人ロシア人宇宙飛行士、核専門家
ドン・ビーダーマンリチャード・シフ大川透リオの父親
エレン・ビーダーマンベッツィ・ブラントリーリオの母親
チャック・ホッチナーゲイリー・ワーンツ廣田行生サラの父親
ヴィッキー・ホッチナーデニーズ・クロスビー鈴木紀子サラの母親
エリック・ヴェネカーダグレイ・スコット川中子雅人ジェニーの同僚カメラマン
ベス・スタンレーローラ・イネスはやみけいジェニーの同僚キャスター
オーティス・“ミッチー”・ヘフターカートウッド・スミス中博史NASAの司令官
アラン・リッテンハウスジェームズ・クロムウェル稲葉実元財務長官
マーカス・ウルフチャールズ・マーティン・スミス辻親八天文台の博士
クロエ・ラーナーリヤ・キールステッドジェイソンの再婚相手。ジェニーより2歳年上。
モーテン・エントレキンオニール・コンプトン大統領の側近
スチュアート・ケイリーブルース・ウェイツジェニーの上司
アイラ・モスカテルジョー・ウルラ青山穣ジェニーの同僚
マリアンヌ・デュクロスウナ・デーモン
ティム・アーバンスキーマーク・モーゼス吉田孝ジェニーの同僚キャスター
ジェフ・ワースチャールズ・ドゥーマス宝亀克寿ジェニーの同僚
テオ・ヴァン・セルテマデレク・デ・リント星野充昭コメンテーター
マクロードW・アール・ブラウントラック運転手
ウェンディ・モージェルキンバリー・ヒューイ
ボビー・ルーアリミ・バラード
その他N/A叶木翔子
榎本智恵子
三浦智子
山門久美
日本語版制作スタッフ
演出伊達康将
翻訳菊池浩司(字幕)
杉田朋子(吹替)
調整池田裕貴
録音スタジオオムニバス・ジャパン
制作担当稲毛弘之(東北新社)
日本語版制作東北新社

製作

撮影開始までの経緯

本作の起源は、フィリップ・ワイリーとエドウィン・バーマーが1933年に共著で発表したSF小説地球最後の日』(When Worlds Collide)、および1951年パラマウント映画によって製作されたその同名の映画化版(邦題は『地球最后の日』)である。1970年代の中頃、映画プロデューサーのリチャード・ザナックとデビッド・ブラウンがこの映画のリメイク権をパラマウント映画から取得。監督ジョン・フランケンハイマー、アントニー・バージェス脚本で製作準備に入ったが作業が進まず、結局計画休止状態に陥ることとなった。

一方、彼らとは別にアーサー・C・クラークの短編SF小説『神の鉄槌』(The Hammer of God)の映画化をスティーヴン・スピルバーグ率いるドリームワークスが計画していた。スピルバーグは『続・激突! カージャック』や『ジョーズ』でザナックらと面識があった。

これら2つの作品はいずれも地球へ迫り来る天体の恐怖を描いているため、同時期に完成すれば激しい競合を招くことになると容易に想像できた。このため2作の製作計画は最終的に統合され、製作はザナックとブラウン、監督はスピルバーグ、配給はドリームワークス・パラマウント共同というかたちで再スタートした。新たな脚本は、1993年にブルース・ジョエル・ルービンが執筆を開始し、さらにルービンから引き継いだマイケル・トルキンによって完成された。

しかし、監督として予定されていたスピルバーグは同じ頃『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』、『アミスタッド』、『プライベート・ライアン』とスケジュールが埋まっており、本作に時間を割くことが非常に困難であった。こうした事情から、彼は監督を辞退してエグゼクティブプロデューサー(製作総指揮)に退き、かわりにドリームワークス第一作『ピースメーカー』を監督したミミ・レダーが新たに迎え入れられた。約20年にもわたる紆余曲折を経た本作はここにきてようやく、撮影開始にこぎつけたのである。

スタッフ

影響

その後、影響から次のようなネーミングのものが生まれた。

地上波放送履歴

脚注

外部リンク

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