信濃奇勝録
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井出道貞は本書を1834年(天保5年)2月に脱稿しているが、版行はされず稿本として残され、約半世紀後の1886年(明治19年)12月、孫にあたる井出通によって初めて出版された。江戸時代後期、瀬下敬忠『千曲之真砂』をのぞいて信濃国の全体を網羅する体系的な地誌・沿革誌としての類似書はほとんどなく、信濃各地の有名な奇勝景観に加えて、歴史・旧跡・民俗・社寺・祭事から、建造物・古器物・出土品、また珍しい動物・植物・鉱物に至るまで多彩な事物を紹介している。本文には文章だけではなく、図も豊富に掲載されている。
「巻之一」では筑摩郡を、「巻之二」では安曇郡と水内郡を、「巻之三」では佐久郡と小県郡を、「巻之四」では諏訪郡と伊那郡を、「巻之五」で埴科郡・更級郡と高井郡を取り上げている。
なお、稿本および出版時の版木は、1976年現在で現存・保管されていることが確認されている。

