太陽のない街
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あらすじ
多くの印刷製本の工場が集まる東京市小石川区で始まった大同印刷の労働争議は、50日が経過したが未だ解決の兆しが見えない状況だった。争議団は官憲からの厳しい追及と、会社に雇われたやくざ者によるスト潰しの妨害を受けていた。
争議団幹部の萩村は、争議継続のため奔走していた。その萩村の元に婦人部員の春木高枝が相談に訪れる。勝気な性格で婦人部員の中心的存在の高枝は、妹の加代や婦人部長の大宅らと共に警察に拘束され、2日間の拘置から釈放された。しかし帰宅した白山町の長屋には、病身の父も妹の姿もなかった。妹の加代は大川社長への傷害未遂で逮捕された、萩村の部下宮池の子を宿していた。二人は萩村の仲間の弁護士に、警察との交渉を依頼した。その帰りに立ち寄ったカフェーで、二人はやくざ者数人の襲撃を受ける。かろうじて二人は逃がれたものの、萩村は頭部に深い傷を負った。
萩村が高枝の看護を受け寝込んでいた間に、王子製紙工場で起こった争議団と官憲の衝突で二百余名が拘束された。大川社長は臨時工とスト破りを使って操業を再開し、争議団員に全員解雇を通告した。加代は歳暮近くに、疲弊した姿で帰宅した。傷が癒えた萩村は半月ぶりに、争議団の仲間のまえに顔を出した。しかし萩村は団結のほころびを目にして、争議継続の困難を感じるのだった。
主要登場人物
- 春木高枝 争議団婦人部員
- 春木加代 高枝の妹
- 春木姉妹の父親 元大同印刷職工
- 大宅のぶ子 争議団婦人部長
- 萩村 争議団特務班長
- 宮池三郎 争議団特務班員
- 大川 大同印刷社長
評価
絶版をめぐって
翻訳と海外への紹介
主な書籍
収録書籍
- 太陽のない街 (日本プロレタリア作家叢書・第4編) 戦旗社、1929年 / 復刻1971年(日本近代文学館)
- 太陽のない街 新日本文学会、1946年
- 民主主義文学選集 第1巻 改造社、1948年
- 太陽のない街 (岩波文庫) 岩波書店、1950年 / 改版2018年 ISBN 978-4-00-310791-1
- 太陽のない街・妻よねむれ(現代日本名作選)筑摩書房、1952年
- 太陽のない街(新潮文庫)新潮社、1953年
- 太陽のない街(角川文庫)角川書店、1953年
- 昭和文学全集 第6 (小林多喜二・中野重治・徳永直集) 角川書店、1953年
- 現代日本小説大系 第43巻 河出書房、1955年
- 日本文学全集 第36 (小林多喜二・徳永直集) 新潮社、1961年
- 太陽のない街(世界革命文学選)新日本出版社、1962年
- 現代文学大系 第37 (葉山嘉樹・小林多喜二・徳永直集) 筑摩書房、1966年
- 日本文学全集 第43 (小林多喜二・徳永直集) 集英社、1967年
- 日本の文学 第39 (葉山嘉樹・小林多喜二・徳永直) 中央公論社、1970年
- 太陽のない街(新日本文庫) 新日本出版社、1974年
- 筑摩現代文学大系38(小林多喜二・黒島伝治・徳永直集)筑摩書房、1978年
- 太陽のない街 主婦の友社、2008年 ISBN 978-4-07-264302-0
- 徳永直文学選集 熊本出版文化会館、2008年、ISBN 978-4-915796-69-2
関連文献
- 徳永直「『太陽のない街』のころ--弾圧の近代化」『世界春秋』(世界出版社、1949年12月)
- 日本共産党東京都中部地区氷川下細胞「"太陽のない街"の伝統の旗」『前衛』1955年8月)
- 浦西和彦「徳永直『太陽のない街』発表年月・共同印刷争議・設定年月・絶版について」『国文学』(関西大学国文学会、1973年12月)
- 国岡彬一「『太陽のない街』--文体と労働者作家 (プロレタリア文学<特集>)」『日本文学』(日本文学協会編、1976年6月)
- 小田実「小説世界のなかで-6-『人びと(デモス)』を描くということ--徳永直『太陽のない街』」『文芸』(河出書房新社)1978年10月)
- 海野弘「日本の一九二〇年代--都市と文学-10-徳永直『太陽のない街』」『海』(中央公論社)1982年10月)
- 岩渕剛「徳永直--『太陽のない街』とその周辺」『國文學 解釈と教材の研究』(學燈社)2009年1月)

