鉄人28号 白昼の残月
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主要スタッフ、キャスト、世界観は2004年版アニメ『鉄人28号』とほぼ同様であるが、登場人物の職業、ストーリーなどが2004年版アニメとは異なっており、独立した作品となっている。※なお、以下“TV版”とは特別に断りのない限り、この2004年版アニメのことを指す。
当初、2005年に劇場版の公開が予定され、DVD-BOXの特典映像にも劇場版の特報が収録されていたが、諸般の事情で公開時期が長らく発表されなかった。
本編ではTV版の映像が流用されているところもあり、DVDでは第一話のアバンシーンが収録されている。
伊福部昭による背景音楽は全て「シンフォニア・タプカーラ」や「舞踏音楽『サロメ』」、「兵士の序楽」など過去の楽曲が流用されており、使用にあたって本人の了解を得ている[1]。
あらすじ
太平洋戦争の終結から10年[2][注釈 1][注釈 2]。動物園[2][5]で発見された不発弾を狙って、3体の怪ロボットが出現した。少年探偵・金田正太郎は鉄人28号で迎撃するが、多勢に無勢もあって苦戦してしまう。そこに一人の青年が現れて操縦器を取り上げ、正太郎以上に優れた操縦技術で鉄人を操って瞬く間に怪ロボットを撃破する。彼の名はショウタロウ[注釈 3]。南方の島で戦死したと思われていた、正太郎の義理の兄であり、島の研究施設で義父・金田博士とともに鉄人の開発に取り組むと同時に、その操縦訓練を受けていた正当な鉄人の操縦士でもあった。2人の正太郎は実の兄弟のように絆を深め合っていくが、不発弾の正体は(植物を除く)非生物だけを破壊する大量破壊兵器「廃墟弾」であり、金田博士が戦前に開発した後、密かに東京の地下にいくつも埋設していたものであったことが明らかとなる。時を同じくして鉄人が正太郎の操縦に従わず、たびたび勝手に動き回って廃墟弾を掘り返す事件が起きる。理由が判らず困惑するばかりの正太郎だったが、掘り返した後はコントロールが回復することから、この状況を廃墟弾の処理に利用するという日々が続く。その一方で、正太郎を狙う謎の復員兵・残月と、廃墟弾を狙うベラネード財団の出現によって事件は混迷を極めていく。
登場人物
- 金田正太郎
- 本編の主人公。弱冠10歳[6][注釈 2][注釈 4]。父・金田博士の遺した鉄人28号を操縦し、戦後日本にうごめく犯罪や難事件の解決に奔走する少年探偵である。本作では、謎の人物「残月」に「正太郎に鉄人を持つ資格なし」として命を狙われる。突如現れた(存在すら知らなかった)義理の兄・ショウタロウに困惑しつつも、鉄人の操縦のレクチャーを受けることなどを通して交流を深める。TV版では諸般の事情から拳銃を持つ描写ができなかったが、本作ではジャケットの下のホルスターに銃を下げており、発砲するシーンも描かれている[6][7]。
- ショウタロウ[注釈 3]
- 正太郎と同姓同名の金田博士の養子で、正太郎の義兄である。鉄人28号の操縦士として育てられ、南方の秘密研究所で特訓を受けていた。金田博士と共に死んだと思われていたものの実は生存しており、島の再開発に訪れた「外国の調査団」に発見されて[注釈 7]戦後10年を経た[2][4][注釈 1]日本に帰国する。以後は正太郎に代わって鉄人28号の操縦士となるつもりでいたところ、金田博士の遺言書によって[注釈 8]その立場を譲らざるを得なくなり、表面上は心の整理をつけたように振舞っていたものの、内心は「僕の鉄人を奪われた」という想いを募らせていた。正規の訓練を受けていただけに、鉄人の操縦に熟達しており、正太郎が操るよりもはるかに上手く真の力を引き出して見せた。
- かつて特攻隊にいたときは、その優れた操縦技術から「白昼の残月」の二つ名で呼ばれていた。彼のへその緒を納めていた木箱に“昭和元年”と記されていたことから、終戦時の年齢は18歳、復員後は(終戦から10年後[2][4][注釈 1]が本作の時代設定であるため)28歳と考えられる[注釈 9]。金田家に引き取られたのは物心つく前であったため、本人いわく実の両親の顔の記憶はおぼろげではっきりしないとのことであった。
- 敷島博士
- 金田博士の助手。戦中、南方の研究所で[要出典]金田博士を手伝い鉄人の開発を行っていた[9][10][注釈 10]。帰国後に敷島重工を興し、社長となっている[9][10]。鉄人を整備して正太郎をの活躍をバックアップしたり、大塚署長や官房長官に協力し、事件解決を手伝う。
- TV版で見られた金田博士や鉄人への妄信的な言動は無く、原作よりの人となりである。
- 大塚署長
- 正太郎の親代わり(TV版と同様に、幼くして孤児となった正太郎を実質的に育ててきたらしい[10])。警察署長として正太郎の活躍をバックアップしている。
- 村雨竜作
- 村雨一家のボス。特攻隊の生き残りでショウタロウとは同じ隊にいた。ギャングではあるが、兵器関係のものばかりを盗んだり壊したりしていることから[注釈 11]、一家と正太郎はやや馴れ合いや腐れ縁に近い間柄となっている。実は盗みで得た収入のほとんどを、傷痍軍人やシベリア帰還兵らの支援に投じている。再会したショウタロウから「残月」を名乗る謎の復員兵の正体を突き止めるよう依頼され、密かに調べて回る。クライマックスでは大鉄人に挑むショウタロウを、複葉機を操って支援した。原作漫画やTV版とは異なり、本作では最後まで生存している。
- 高見沢
- TV版とは異なり、村雨一家の組員。明るくポジティブな性格で、いわゆる“じゃじゃ馬”娘である。もっぱら村雨健次と組んで活動し、一家を盛り立てる。正太郎に一方的な好意を持ち、ショタコンを自称して付きまとう(にもかかわらず、なぜか成人であるショウタロウにも惹かれる自分に疑問を感じるが…)。
- 村雨健次
- 村雨一家の構成員で竜作の弟。高見沢に好意を寄せて日々アプローチをかけているものの、つれない態度をとられている。TV版と異なり、鉄人や正太郎に対して何の遺恨もわだかまりも無いこともあって、極めて陽性のキャラクターとなっており、コミカルな面が強調されている。それもあってか、TV版のようにナイフを持ち歩いている様子も見られない。幹本雄之によるインタビューには「健次はギルバートに特攻して最期を遂げた」という発言があるが[要出典]、実際の映像ではその後の大鉄人の自爆に竜作が敬礼するシーンのバックで、高見沢とともにジープに乗って見上げている姿が確認できる。
- クロロホルム
- 表向きはベラネード財団先遣隊の視察団長を務めるが、廃墟弾(とりわけその本体である大鉄人)奪取のためにベラネード財団の裏の顔・PX団[注釈 12]を率いて暗躍する[注釈 6]。原作漫画やTV版と異なり、有名な私立探偵という設定は無く、純粋な悪役となっている。
- ベラネード
- 廃墟弾処理ロボットの売り込みという名目で、日本に上陸を目論むベラネード財団のトップ。TV版と同じく、財団の裏の顔であるPX団のボスでもある[注釈 12]。
- ビッグファイア[注釈 13]博士
- 戦時中は日本で金田博士とともに、廃墟弾の原料となる新元素バギュームの研究をしていた外国人科学者。戦犯として巣鴨プリズンに収容されていたが、クロロホルムの手配によって釈放される。本来は生物には影響を与えないはずの廃墟弾に細工を施し、殺傷能力を発現させて「廃墟弾工場爆発事故」を引き起こした張本人[注釈 14]。出獄後はクロロホルムの元に身を寄せていたが、廃墟弾に関する情報を提供した後に不審死をしている。
- 官房長官
- 戦前から戦争の闇に関わってきた政治家。廃墟弾の処理と、協力を口実に日本経済を支配しようとするベラネード財団に対処するために奔走する。TV版にも似たような役回りで登場している。
- 山岸弁護士
- 金田博士の遺書を管理していた弁護士だが、その遺産を横領する企みに利用しようと萱野月枝をそそのかしていた[注釈 8]。その後、残月(後述)に襲撃されて意識不明の重傷を負い、一命は取り留めたものの入院中にあらためて殺害されている。元となったキャラクターは、原作漫画に登場した隕石調査団の山岸博士[16](同エピソードを元とするTV版の第13話にも登場している)。原作やTV版と異なり、本作では悪党となっている。
- 萱野月枝
- 帰国後のショウタロウが住むことになった共潤会アパート管理人。初対面の際のショウタロウに、顔もよく覚えていないという実の母親と勘違いされたが本人は否定した。実はかつて「廃墟弾工場爆発事故」に巻き込まれて負傷し、責任を感じた金田博士から面倒を見てもらったことがきっかけに、親密な仲になって子を儲けていた過去がある。その当時、金田博士からは「残月」と呼ばれていた。
- 残月
- 残月を名乗る、傷痍軍人の姿をした謎の人物。「正太郎に鉄人を持つ資格なし」と書かれた置き手紙を山岸弁護士を襲った現場に残し、以後もたびたび正太郎の命を狙う。その正体は…。
- 金田博士
- 2人の正太郎の父であり、鉄人28号の開発者。第一次世界大戦の後[注釈 15]、人を直接殺傷しない廃墟弾の開発にも関与していたが、開発工場で爆発事故が起きて多数の死傷者が出たことに責任を感じ(「廃墟弾工場爆発事故」)、製造した大量の廃墟弾をどこかへ隠してしまう。
- その後、幼いショウタロウを養子として引き取って育てている[注釈 17]。廃墟弾工場爆発事故から18年以上の歳月が経った太平洋戦争末期には、南方の島でショウタロウとともに鉄人の開発に取り組んでいたが[注釈 16]、終戦直前、鉄人の出撃命令が出た当日に行方不明となっている[注釈 19]。正妻との間の息子・正太郎の誕生を、死ぬ前に知っていたかどうかは触れられておらず不明[注釈 20]。
- 寺町警部
- TV版第15、16話では京都府警の警部であったが、本作では大塚署長の部下として登場。記者の取材対応のほか、残月に襲われて入院していた山岸弁護士の警護にあたっていたが、みすみす暗殺されてしまい大塚署長に叱責されている。
- 関刑事
- TV版とほぼ同じ役回りの若手刑事。大塚署長ならびに寺町警部の部下として、現場の捜査にあたる。
登場メカニック
その他、ベラネードの輸送船の甲板に複数の名称未設定ロボットの姿が見える。
- 廃墟弾
- 金田博士が開発した大量破壊兵器。新元素バギュームを使用した大型の爆弾であり、大規模な爆発とともに広範囲を廃墟と化すが、植物を除く生物に対しては無害という特徴がある。金田博士自身によって、「残月」と書かれたアンカーで大地に固定されて東京都内各地に埋められており、これが外れると時限信管が作動する。また、東京の地下に埋められていたもののほかに、大鉄人の体表にも無数に搭載されていた。理由は不明だが海中では効果が薄れるため、その処理にあたっては陸地から離れた海中に投棄する方法が採られた。その一方、ビッグファイア博士によって爆発に殺傷力を与える方法が発見されている[注釈 14]。
- 大鉄人
- 「廃墟弾の本体」とも呼ばれる移動型要塞兵器。廃墟弾工場爆発事故で良心の呵責に苛まれた金田博士の手によって東京の地下に隠されており、共潤会アパートの(かつて博士が萱野月枝と暮らしていた)隠し部屋がブリッジ(艦橋)への入り口となっていた。頭部や腕部、背部のロケットは鉄人28号に酷似しているが、下半身がどうなっているのかは廃墟弾に覆われていて不明であり、脚があるのかどうかも定かでない[15]。頭部だけでも鉄人28号より遥かに巨大な上、無数の廃墟弾を全身に纏った異形の姿を持つ。またディテールは不明ながら、防御兵装として全身の廃墟弾の隙間に無数の機銃を備え、濃密な対空砲火を全方位に展開することができる。ブリッジは頭部に存在しており、鉄人28号の操縦器に似た巨大操縦桿によって内部から操作される。
- 実は東京の地下に無数に埋設されていた廃墟弾は、大鉄人を封印し守るためのものであり、これを除去せずに起動させると日本全土が吹き飛ぶほどの大爆発を起こす仕掛けになっていた。その存在をショウタロウから聞いていたクロロホルムが探し求め、ついにはブリッジを占拠して起動させてしまう。
- しかし、悪用されたときのために備えたのか金田博士はその自爆装置を月枝に託しており、封印が解かれたことを知った彼女によって装置はブリッジの操縦桿に取り付けられていた。
- なお、最後の廃墟弾による封印を解かれた際にはひとりでに起動して地上に姿を現し、廃墟弾を抱えた鉄人を摘まみ上げた後にすぐまた活動を停止しているが、それがどのような仕組み(プログラム?)で、どのような理由によるものだったのか(何をしようとしたのか、封印が解除されたことを示すように施されていた?)は説明されていない。