鉄人28号 (架空のロボット)

From Wikipedia, the free encyclopedia

鉄人28号 > 鉄人28号 (架空のロボット)

鉄人28号(てつじんにじゅうはちごう)は、日本の漫画家の横山光輝の『鉄人28号』およびその派生作に登場する日本の架空のロボットである。作者の横山が後にエッセイで語ったことによれば、“28号”という数字は爆撃機B29が由来であるという[1][2]

操縦器

神戸市で展示されるモニュメント

太平洋戦争末期、大日本帝国が起死回生を目的として乗鞍岳の研究所において極秘裏に建造していたロボット兵器、その28番目の設計機。

敷島隆博士[注釈 1]が中心となって開発が進められ、完成直前にまでたどり着いていたが、起動実験の失敗で粉々に爆発してしまったのを最後に計画は中止となり、研究班は特攻機開発のため南海の孤島にある秘密科学兵器工場[4]秘密科学兵器研究所[5])へ転属となった。ほどなくしてその兵器工場の存在がアメリカ軍の知るところとなって島が爆撃を受け、生存者が敷島博士のみとなったことによって計画そのものも忘れ去られてしまった。しかし戦後になり、かつて計画に携わっていた研究員で、実は爆撃から生き残っていたと思われる「謎の覆面の科学者」によって改めて乗鞍岳にて密かに製作され、15年(あるいは10年)[注釈 5]の歳月をかけて完成に至っている[注釈 6]

以上が原作漫画の連載で描かれた本来の誕生の経緯であるが、その後、テレビアニメ化に伴って発行された単行本(カッパ・コミクス)収録の際の加筆修正で、正太郎の父親で科学者の“金田博士”の設定が加わり[注釈 7]、鉄人28号は金田博士が中心となって(乗鞍岳ではなく)南海の孤島にある秘密科学兵器工場(研究所)で開発が行なわれ、これを察知した米軍の爆撃によって工場は壊滅し計画が頓挫したものの、「戦争とは関係なく、科学者として素晴らしいロボットを完成させたい」という金田博士の熱意から、ともに生き残っていた敷島博士の協力のもと、終戦から10年後の昭和30年秋に誕生したことになった[14][注釈 8](この改変によって鉄人の所有権と操縦者としての正当性を正太郎に付加したものと考えられる)。なお、金田博士は作中ではすでに死亡しているため[注釈 9]、(その後いっさい登場しないこともあって)死因も含めた詳しいプロフィールは不明である。

こうした事情から原作漫画において鉄人28号を完成させた人物は、初出連載に準拠したヴァージョン(「原作完全版」や「潮漫画文庫」、「光文社文庫」、復刻大全集「少年 オリジナル版」、「オリジナル版」など)では「謎の覆面の科学者[注釈 10]、「カッパ・コミクス[14]」に準拠したヴァージョン(秋田書店サンデーコミックス[17]」や「秋田漫画文庫」など)では「金田博士・敷島博士[注釈 8]となっている。 ※それ以外の各映像作品における設定については、後述のそれぞれの項目を参照。

鉄人28号本体は内蔵武器や固定兵装を持たず、特殊鋼鉄[13][18](特殊鋼[19][20][注釈 12]による頑健さを武器とし、手足などそれぞれに内蔵された独立した動力源(補助動力[22][23]/補助動力装置[24][25][26])により、不測の事態で手や足などの各部が破損や欠損をしても、常に安定して稼働することができるという特徴を持つ[27][28][29](とはいえ、さすがに片手片足となった際などは正太郎も戦闘を中断して鉄人を撤退させている[30])。

背部に取り付けられた2基の原子ロケット[13]は初期設計には存在しなかったオプション装備であり[注釈 13]、ニコポンスキー率いるS国スパイ団が鉄人を手に入れた際に独自設計して取り付けていたのを、正太郎たちが鉄人を奪還した際に併せて入手したものである[注釈 14](このロケットエンジンは、飛行実験を前にして改良が施されたとも言われている[注釈 16])。ロケットの出力は戦艦を動かすほど強力であり[27]、マッハ1の速度で鉄人を飛行させるとする資料もある[44]。なお、推進剤(燃料)が爆発を招くためか、攻撃を受けた鉄人本体は無事でもロケット部だけが損壊したこともあった[45][注釈 13]

鉄人本体の装甲やボディは極めて堅牢で、作中で一度も裂けたり突き破られたりといった損傷を見せたことが無く、破損は関節部もしくは別パーツであるロケット部に限られている。熱に対する耐性にも優れており、ロボット戦車が放った2,000度の熱線[46](テレビアニメ第1作第13話)を始め、バッカス[47][48]やサターン[49]、ファイア三世[50]の熱線攻撃をものともしない様子が描かれている(他にテレビアニメ第1作の第32話では、敷島博士が「鉄人は3,000度ぐらいの熱でも平気」と語っている)。しかし一方で上述のとおり、こと左右の肘関節においては破損が目立ち、たびたび腕をもぎ取られる様子が見られる[注釈 17]。また、ロビーの怪ロボット[注釈 18]との戦いでは、装甲に損傷こそ見られなかったものの(損傷したのはやはり関節部から脱落した左腕と右脚、それにロケット部であった[52])怪光線[注釈 19]の直撃を受けて完全に機能を停止したこともある[52](なお、この時は鹵獲した鉄人を再利用しようとしたロビーが修理していたことが幸いし、偶然の操縦器の操作が通じて奪回されている)。

大きさは連載当初は身長3メートル程度で描かれていた[注釈 20]。しかし、しばしば人間を手のひらに乗せて運んだりするシーンや[57][58]、連載後半にはビル5-6階相当の立ちシーンも現れるようになり、表現が統一されていない[注釈 22]。講談社の『『鉄人28号』大研究』掲載のコラムでは、「漫画の中で鉄人の大きさがシーンによってまちまちなのは“主観描写”のためであり、実際は4-5m程度ではないか」と唱えている[60]。作者の横山光輝自身は、後年のインタビューであらためて鉄人の大きさを尋ねられた際には「ともかくデカイ(笑)」と語っている[61][注釈 23]

なお、『KOBE鉄人PROJECT[62]によって、2009年に神戸市のJR新長田駅近くに建てられた鉄人28号のモニュメント(記事冒頭の写真参照)は、ポージングのため15.3メートル[63]であるが、直立した時の全高を18メートルと想定して再現されている[64]。“アニメーション版の設定に合わせた等身大”とされているが[64]、これは設置当時においてアニメ最新作であった、テレビアニメ第4作(ならびに映画『鉄人28号 白昼の残月』)のデータ(後述)を参考にしたものと考えられる。

鉄人の動力(エネルギー)に関しては作中で言及されたことが無く、補給の描写も説明も無いため謎となっている[注釈 21](一方、テレビアニメ第1作では電気と思われる描写がある[注釈 24])。また、バンダイのソフビ人形『スーパーロボット大作戦シリーズ XX-08 鉄人28号』のパッケージ裏には、原子炉が内蔵されている内部透視図が描かれており、鉄人のパワーを60万馬力と記述しているが[44]、出典が定かでないため公式設定なのかどうかは不明。

実働は金田正太郎への協力要請という形らしく、自衛隊や政府からは警視庁の大塚署長経由で正太郎宛に鉄人出動要請がなされる場合が多い。これは鉄人と操縦器がいつからか(連載中、アニメ化やカッパ・コミクスにて金田博士などの設定が加えられたことで、なのか)正太郎の管理下に置かれ、個人で鉄人を運用するようになった(所有権が正太郎にあることになった?)ためと見られる[注釈 25]。いつから正太郎に管理が任され、その自宅に置かれるようになったかは(理由も含めて)はっきりしないが、ある時期からは鉄人が正太郎宅の庭に置かれるのが当然のようになり[注釈 26]、その結果、鉄人は庭に棒立ち[68][69][70]、もしくはうつ伏せに寝かされている[71][72][73](カムフラージュのために草が被せられていることもある[74][75][76][77])姿がたびたび描かれている[78](変わったところでは、読み切り短編「大金塊の巻」においては正太郎邸内の一室に保管され立たされていた[注釈 27][78])。また、後年になって集英社月刊少年ジャンプ』にて描かれた読み切り続編「新作 鉄人28号」では、敷島邸の地下の秘密の研究施設に、操縦器とともに保管されていた[79][80]。なお、テレビアニメ第1作では物語の途中から、正太郎邸の敷地内に鉄人専用の格納庫が建てられている[注釈 30]

当初こそ未完成であったことから鉄人28号は暴走してしまっていたが[注釈 31]、その後は操縦器で問題なくコントロールされるようになっており、これが敷島博士によって完全な状態に仕上げられた結果なのかどうかは描写や説明が無い[注釈 32]

なお、物語が進むに連れて、鉄人以上の優れた強力なロボットが現れ始め、機体のパワーや性能の優位性だけでは対抗することが叶わなくなっている[注釈 32]。そのため敷島博士による指示を受けたり、操縦技術や知恵を駆使して戦うようになり、力を受け流すなどの戦法や、敵ロボットの弱点を推測して攻めるなど、より正太郎の操縦者としての判断力や行動力が鉄人に加味されていくことになる。

鉄人は小型の携帯型操縦器(リモコン[注釈 33])によって操縦される。ある程度の命令の範囲内での、プログラムによる独立した行動が可能なのか、もしくは自律思考回路を備えていると考えられる描写が数多くあるが[81][82][83][84][85][86][注釈 34](さらに言えば、音声による簡易な指示にも応じていると考えられる描写が随所に見られる[88][82][89][90][注釈 36]、臨機応変な格闘戦や災害救助活動時などの精密で多様な判断が必要な場面では、操縦者による目視操縦が基本である。小型で簡素な割に多彩で幅広い操縦方法と、強力な操縦電波と大きな有効範囲、操縦の精密性と正確性は鉄人本体以上に価値があり、後年では鉄人本体より操縦装置の仕組みを欲しがったスパイ団も登場している(にせ鉄人事件)[92]。負傷した大塚署長[注釈 37]やニコポンスキーでも片手で操縦できる簡易な操縦性は便利な反面、操縦器が盗まれた際には敵が鉄人を簡単に悪用できる危機を生むことになった。不乱拳博士に至っては、ものの数分で奪った鉄人の操縦方法を調べてみせ、レクチャーされた“まだら岩の覆面団”の首領も、すぐに鉄人を使って正太郎に追い打ちをかけている。

つまるところ、この操縦器さえあえば「誰でも強力な鉄人の力を運用できる」ので、誕生初期は鉄人の強大な力を狙った犯罪者の事件が二重三重で複雑な絡み合いをみせることになる。これは鉄人自体が犯罪を呼び込んでいる状態で、こうした構図は魔人や精霊付きの魔法のランプ、魔法の壷の争奪戦に近しい。しかし、後年は科学技術が進んだことで鉄人以上のロボットが作られるようになったためか、鉄人自体が犯罪の元凶になることが激減し、警察が対処できない武装した犯罪者あるいは、ロボット犯罪や特殊な事例(巨大アリ事件・光る物体事件)などに対する切り札として用いられることが多くなる。

原作版では操縦器のダイヤルを回して操縦するが、テレビアニメ第1作では主に(原作ではアンテナにあたる)操縦レバーを動かして操縦するように変更された[注釈 38]。これは2004年版テレビアニメでも同様である。このとき、もっぱら右レバーばかりで操作していることが多いが、左側がレバーではないという訳ではなく、ごく稀に左レバーで操作しているシーンも見られる[注釈 39]

そもそも最初期の操縦器は「鉄人事件」で暴走する鉄人を制御するため、“覆面の科学者”と、復員した敷島博士によってほぼ同時に急遽製作されたものである[注釈 40]。このため2つの操縦器の間で主導権が争われる形となったが[注釈 41]、敷島博士の造った操縦器は“覆面の科学者”が造ったものより電波の出力が強く、一時的に鉄人を制御下においたものの、博士が乗っていたヘリコプターが撃墜されると同時に(以降は登場しないことから)失われたと見られる[97]

このため結果としてPX団(と覆面の科学者)に鉄人を奪われてしまったが、敷島博士はすぐに2代目となる操縦器を製作している。これは歴代の操縦器の中でも最も特異なデザインをしており、2本のループアンテナが上部に立ち、手前や側面にもそれぞれ2つのスイッチ(あるいはダイヤル)や2つのメーターその他が見られる[98]。この2代目がすぐに改良されてデザインが変わったのか、あるいは3代目が製作されたのかはさだかでないが、以降の正太郎が使用する敷島博士製の操縦器は、後にスタンダードとなるデザインで描かれることが多い[注釈 43]

一方、覆面の科学者が造った2代目の操縦器は、銃撃戦の最中に村雨竜作に奪われた後、彼が車で鉄人に特攻した際にともに海底に没していたが、引き上げられて正太郎宅の隠し金庫に保管されていた[102]。後にシャネル・ファイブ(ジャネル・ファイブ)によって盗まれ、鉄人を奪う際に利用されてしまったが[102][注釈 41]、奇巖城攻略のために突入した正太郎が本来の(普段から使っている、敷島博士製の)操縦器を使用して鉄人を暴れさせた混乱の中で、崩れてきた瓦礫の下敷きとなって損失している(テレビアニメ第1作第13話における同様のシーンでは、暴れる鉄人自らに踏み潰されて壊れている)。

その後もモンスター事件(不乱拳博士の銃撃によって)、ロビーのロボット事件(奪われるくらいなら、と正太郎により撃ち壊される)、にせ鉄人事件(沈没する潜水艦内で紛失・水没して)などで、操縦器は幾度となく破壊されて敷島博士に修理されているが、そのたびに改良が施されているのかどうかは、デザインが不安定なこともあってハッキリしない[注釈 43]。それら歴代の操縦器の中で最もそのディテールが詳細に描かれたのは、スリル・サスペンスがニコポンスキーからレクチャーを受けて操作するシーンで、先端に球体の付いた2本の棒状のアンテナに、上部手前側にボリュームコントロールのように上下に動かせて、かつ捻ることもできるスイッチ(おそらく3つ)と、手前下面右側には2つずつ縦2列のスイッチ(あるいはダイヤルか)、その左横にはメーターやインジケーターらしきもの、さらに側面にもボタンらしきもの(あるいはダイヤルか)が付いていた[103](講談社の『『鉄人28号』大研究』ではこれを元に概略図を起こして、操縦方法の解説を試みている[104])。

弱点

鉄人の弱点は、まず第一に操縦電波が比較的容易に乱されることである。などの自然災害による電波障害の生ずる環境下では、全く運用できない訳ではないものの普段の10分の1以下しか力を発揮できないらしく[105]太陽黒点異常によるデリンジャー現象など予想外の事態で操縦を受け付けず暴れ出してしまった事例もある[106]。初期には鉄人本体の受電器が未完成で混信しやすい所為か[注釈 31][注釈 32]、雷に反応し暴れたりしたためにシャネル・ファイブ(ジャネル・ファイブ)から「狂人ロボットめ」と悪態を突かれている[107](後の雷の中での戦闘では多少の機能不全を起こす程度であったのは[105]、敷島博士よって何らかの対策や改良が鉄人に施されていたのか[注釈 32]、あるいは天候の状況の違いによるものなのかはさだかでない)。他にも“まだら岩の覆面団”の潜水艦が撒いたレーダー攪乱液でも、電波が乱れて操縦が阻害されている[108](テレビアニメ第1作第21話)。

この弱点を的確に突いた、強い磁気を発して操縦電波を乱すブラックオックスは鉄人にとってまさに天敵であり、逆に鉄人が盗まれ悪事に走ったり暴れたりした際は電波攪乱器[109](攪乱装置)で機能不全を起こさせることで[110]、鉄人を取り戻したりもしている[111]

第二の弱点には、目視操縦できる範囲に運用が制限されることが挙げられる。上述のように、ある程度は自律的に自動で行動できると思われる鉄人であるが、状況に対応ができないような高度な判断が必要となる場合は、大雑把な誘導や破壊行動くらいしかできない。強力な敵に対しては細かい戦闘指示が必要であり、不測の事態に有効な対処を行えない恐れがあるために、操縦者の目視有効範囲外での運用がおのずと制限される。実際、目視範囲外の戦闘ではブラックオックスやVL2号ファイア二世に後れを取っており、自律性の高いロボットや犯罪者が逃げ去る際も、状況が目視できない場合は追跡を断念している[112][113](テレビアニメ第1作第19話)[注釈 44]。 逆に敵が目視できない状況であっても、集団で密集していたり、大まかな位置が推測できる場合には、正太郎や敷島博士は容赦なく鉄人を突入させて適当に暴れさせる、「暴れ回れ!」戦法に出ることが多いので[88][90][115][116]、見えないからと侮った相手が痛い目に遭うこともある。

第三の弱点は操縦者がおおよそ無防備なことである。正太郎自身もギルバード(ギルバート)との遠隔操縦ロボット同士の戦いにおいて、「ロボットより、操縦者を倒す方がはやい」と発言している[117]。これは外部内部問わず、人が操縦するロボット全般の弱点と言えなくもないが、鉄人の物語では操縦者は目視範囲内に留まっている(=操縦するロボットの近くにいる)ことが多く、内部操縦のように装甲の中に守られている訳ではないので(内部操縦の場合は、ロボットの動きや敵の攻撃などの衝撃を緩和する機構も必要になるなど、また別の問題が生じる)、強靭なロボット本体より生身の人間の方が攻撃しやすいためである。 この「ロボットより、操縦者を倒す方がはやい」戦法は手を変え品を変え、敵も味方も問わず用いられるが、正太郎が砂漠の某国の国王軍の激しい砲撃にさらされた際、被弾して倒れたかのように装ったように[118]、操縦者の対処次第で戦術的に補うことも可能であり、このような駆け引きが本作品の面白さともなっている。例外として身体能力が強化された宇宙人間(超人間)ケリーの存在がある。彼はその頑強な体を以ってして、銃撃されることやロボット同士の格闘戦に巻き込まれることを恐れること無く、近距離からの操縦と事細かな指示をギルバード(ギルバート)に与えることで正太郎の操縦技術を上回り、鉄人を追い詰めた[119]

この他に背中のロケットエンジン(原子ロケット)も弱点として、しばしば対戦相手に狙われている[注釈 13]。ロケットの推進力を活かした打撃や体当たりこそが鉄人の最大最強の攻撃と言えるため、これを失う、もしくは封じられることは(空を飛べなくなるだけにとどまらず)攻撃力の著しい低下を招くことになる。

派生作品における鉄人28号

1960年実写版テレビドラマ

実写版テレビドラマに登場する鉄人28号は、旧日本軍から「ロボット軍隊を創れ」との命令を受けた敷島博士を中心とする技術陣が、法師が岳の秘密研究所において数か月をかけて開発していた[注釈 45]ロボット兵器、その28番目の設計機[120]。1号から27号までの開発失敗を経て誕生したロボットが「鉄人28号」と名付けられた(第1話)[注釈 46]。しかし、起動実験に失敗して爆発してしまい、ほどなく開発中止命令が出たことで完成を見ることは無かった。ところが戦後10数年[注釈 47]経って突如世に現れ、羽黒市の日建トランジスター工場[注釈 48]を襲撃し世間を騒がせる[120]。未完成だった28号を、法師が岳で密かに完成させていた謎の“覆面の男”の目的は、高性能な最新のトランジスタを手に入れて、鉄人の完成度をより高めることにあった。

身長はわずか2メートル程度で胴体は樽型。頭部が太く、両耳にアンテナが付いている。腕はほとんど動かずぶら下げたまま、あるいは前方に掲げてノロノロと歩行し、目から怪光線を出す[注釈 49]。また、怪ロボットXと戦った際には、胸の円形パネルの左右に位置する発射口から放水し、火炎放射に対抗した(第7話)。

日建トランジスター工場襲撃事件後、鉄人に目を付けた国際的密輸組織・QX団が法師が岳の研究所に侵入し、奪ったトランジスタを組み込んで受電機の配線を組み替えたばかりの鉄人を強引に起動させたために暴走。同じく鉄人を追って研究所内に潜入していた正太郎や大塚署長、村雨兄弟を交えた鉄人争奪戦が繰り広げられる。その後、第13話でサルバチア人による陰謀組織・仮面団が鉄人を奪取し、背部に2基のロケットが取り付けられて飛行可能となる。

物語の大筋は原作漫画どおりであったが、ここまで描かれた時点で番組が中断となったために、正太郎の手に操縦器が渡ることなく終わっている[120]

1963年テレビアニメ第1作

テレビアニメ第1作の鉄人28号は、戦時中、旧日本軍にロボット軍隊を創るよう命令された金田博士と敷島博士が、三角岳の秘密研究所で完成させていたロボット。終戦には間に合わず、閉鎖された研究所にそのまま保管され10年以上の年月が過ぎていたが、これを手に入れようと“白覆面の男[注釈 50]”やPX団が研究所を襲撃し、混乱の中で起動されてしまい暴走する。当初は悪用されることを恐れて無線操縦器が造られていなかったのだが、暴走した鉄人を制御するために急遽、敷島博士によって操縦器が製作された[注釈 51]。(以上、第1話より)

原作漫画同様、鉄人(とその操縦器)の争奪戦の果て、やがて正太郎たちの貴重な戦力となる。このため事実上、運用を任された正太郎宅の庭に置かれるようになると[注釈 52]、間を置かず敷地内に専用の格納庫が建てられており、普段はそこに納められ待機するようになった[注釈 30]。 このテレビアニメ版における鉄人を全高10.2m、重量31tとする書籍があるが[38][39][56][26]、この数値の元の出典ははっきりしていない。 背中のロケットエンジンは、原作漫画同様にS国スパイ団が鉄人を奪った際に取り付けられ運用されていたものを入手し、研究調整の末にあらためて装備された(第3、4話)[注釈 14]。これによって空中や水中でも行動が可能となった。鉄人の動力については特には触れられてはいないものの、電気と考えられる描写がある[注釈 24]

その後、正太郎の愛機として数々の怪事件やロボット犯罪を解決するが、第1回国際ロボット選手権大会(国際ロボット選手権試合)で初代チャンピオンになると、その功績を称えられて平和記念館に収められる(第83話)[注釈 53]。しかし、マグナ星からの侵略の予兆を察知した敷島博士によって(少なくとも半年以上の期間を経て)、単独で大気圏を突破し宇宙も飛行できるように強化改造された[注釈 56]。鉄人はこれをきっかけに現役に復帰、マグナ人[注釈 55]の侵略ロボット・マグナXやその宇宙艦隊と戦った。マグナ人を撃退した後も、地球に残されたまま様々な犯罪者に利用されたマグナXや、PX団と所縁のあるゴールドウルフが起こした事件を解決するなど、以前にも増して活躍する日々を送るのだった。

1980年リメイク版テレビアニメ

テレビアニメ第2作『鉄人28号太陽の使者 鉄人28号)』に登場する鉄人28号は、金田正太郎の父・金田博士が、来るべき時代のあらゆる事件に対応できるロボットとして開発し、博士亡きあと敷島大二郎博士の手によって完成された巨大ロボット。敷島研究所の地下施設に10年間にわたって保管されていたが、ブランチ率いるロボット・マフィアの犯罪に対抗するため封印が解かれ、正太郎に託された(第1話)。以後、ICPO(インターポール)の特別メンバーとなった正太郎の操縦のもと、巨大ロボットによる犯罪をはじめ大規模災害や怪事件を次々と解決、果ては宇宙を征服しようとする宇宙魔王の地球侵略にも敢然と立ち向かう。普段は敷島博士の研究所兼自宅の、テニスコートの地下にある格納庫に収納されている。

身長20メートル、体重25.8トン[123][124][125][126][127][128][129][130][131][132][133][134][135][注釈 57]

この作品では上記のほかにも以下のような詳細なスペックが設定され、各誌各媒体で紹介された。

なお、第29話ラストシーンでは画面に“身長…20メートル 体重…25.8トン パワー…6200トン 速度…マッハ4.02 操縦者…金田正太郎”とのクレジットが表示されている。

ボディは特殊な超合金でできているため[150][151][152](第4話ほか)極めて堅牢である。リモコン(「ビジョンコントローラー」…後述)で操縦され、直接搭乗するパイロットはいない。動力源は太陽エネルギーであり[注釈 64]、搭載されている太陽エネルギー転換装置[注釈 65]によってそれを増幅している。また、敷島博士が開発した[144][166][167]独立連動システム[注釈 66]が体の内部7箇所(首・胴・手・脚)に搭載されており[168]、たとえ機体の一部が破壊されても運用に影響を受けず、パフォーマンスを落とすことなく持続的な稼働が可能[注釈 67]。この2つの機能こそ鉄人が強力なパワーを発揮できる秘密であり、他のロボットに無い大きな特徴となっている[注釈 68]。必殺技はハンマーパンチ、フライングキック、ローリングアタックなど。敷島博士いわく、「平和の使者」であるという金田博士の理念にもとづき武装は施されていない(第10話)。

背中のロケット噴射推進器も太陽エネルギーを利用しているため[171][172]、太陽が出ていれば無限に飛ぶことができる[172][注釈 61]。ロケットエンジンであることから空中を飛行するのみならず、海中でも(水圧の高い海底でも[173])活動が可能[145][注釈 69]。フルパワーで飛ぶときは補助翼を出すことで安定性を増し、スピードに合わせてその角度を変える機能がある[174]。 のちに宇宙魔王に対抗するためにロケット[注釈 70]の出力を、大気圏を突破し宇宙も進めるようパワーアップしている[174](この時に鉄人本体にも強化改造が施された、とされるが[176][注釈 71]、それによってスペックにどのような変化があったのかは明らかとなっていない)。

リモコンは“ビジョンコントローラー[177][178][179][180][注釈 72]”と呼称される[注釈 73]。ふだんはアタッシュケースの形で持ち運ばれるが、鉄人を操縦する際にはケースを展開してアンテナを伸ばし、起き上がった2本の操縦桿を握って行う。その中央にはレーダースコープや各種計器類、さらに鉄人のアイカメラ(暗部での視界確保用の照明装置「センサーライト」を併設)からの映像を映し出すモニターなどが配置されている。操縦には7つの電波を1つにまとめたレインボーウェーブと呼ばれる特殊な電波が用いられており[注釈 67]、極めて妨害されにくくなっている[181](第10話)。また、水中深くに落としても機能に何ら支障が生じなかったことから、高い防水性が窺える(第18、34、47話)。

なお、なぜ“28号”であるのかといったネーミングの理由は、本作ではいっさい語られていない。また、鉄人の操縦者が正太郎でなくてはならない理由も(鉄人が正太郎の所有となっていることも含めて)[注釈 74]特に説明されていない[184]

1992年新作続編版テレビアニメ

テレビアニメ第3作『超電動ロボ 鉄人28号FX』に登場。

鉄人28号FX
全高18メートル[185][186][187][188](20メートル[189])、全幅12.5メートル[185][186][187]、重量24.8t[185][186][187][188](25.8トン[189])、最大速度130km/h[185][186][187][188]、最大起重8.2t[185][186][187][188]
52歳となった[190]金田正太郎の妻で、榊財団会長の一人娘[191]である科学者・金田陽子が、財団の財力を後ろ盾に旧鉄人や新・鉄人1 - 27号のノウハウを注ぎこみ、「新・鉄人計画」の集大成として金田ロボット工学研究所が造り上げた28番目の鉄人[186]
「FX」とは「Future X」の略で、「未知なる未来」といった意味をもつ[192](第13話)。
当初は正規の操縦者が決まっておらず、金田探偵事務所のメンバーである夏樹三郎がパイロットとして最有望視されていたが、正太郎の息子・金田正人がFXの性能をスペック以上に引き出した実績から(第4話ほか)[注釈 75]、のちに彼が正式な操縦者となる(第22話)。
青を基調とした筋骨隆々の体格が特徴で、格闘戦では無類の強さを発揮する。「人を守るためのロボットであり、人殺しの兵器ではない」という理念から、これまでの他の作品における鉄人28号と同様に武装は施されてはいないものの、全身に配置された48個の(第41話)超電動サーボが生み出すエネルギーを一点に集中する超電動システムによって、強大な超電動パワーを発揮する[193][194][注釈 76]。超電動パワーをONにして放たれる超電動パンチ、超電動キックなど数多くの必殺技を持ち、即興で指示された「超電動空手チョップ」(第5話)などの突飛な命令に対しても的確な行動をとる。超電動システムの発動には金田陽子博士が新開発した超電動マイクロチップの搭載が欠かせないが(第13話)、第8話の時点で(鉄人28号FXに搭載されているものを含めて)まだ全世界に3つしかない貴重なものであった[注釈 77]。また、この特殊チップは搭載するだけで「通常のロボットより3倍速く動けるようになる」という優れた機能も持っている(第8話)。
ふだんは金田邸の地下深くの格納庫に待機しており、直接出動の際は屋敷の正面にある噴水を割って地上にリフトアップする(第2、17話)。ジャンプ力は最大50メートル(第4話)[注釈 78]。旧鉄人28号と異なり単体では空を飛べないが[注釈 79]、第4話から登場した鳥形メカ・鉄人17号フェニックス超電動合体することで、空中や宇宙[注釈 80]を飛行することが可能になるほか、水中航行形態に変形した鉄人10号X-レイの背に乗ることで、水中戦にも対応できる(第30話)。なお、鉄人17号フェニックスについての詳細は、超電動ロボ 鉄人28号FX#鉄人17号フェニックスを参照。
機体制御は光線銃型の操縦器グリッドランサーに音声入力することで行われる。銃尻のコントロールパネルにパスワードを入力し(第2話)、簡単なコマンド入力と音声による指令(第10話)を、引き金を引くことで光線とともに発射(指令を送信)[注釈 81]、FXの額に位置するセンサーがそれを受信することで実行される(第24話)。この出力は調整することができ、最大出力では遠隔地(あるいは位置が特定できていない状況)であってもFXに命令を伝えることが可能なうえ(第25話)、レーザー光線[188]を発射する武器として使用することも可能(第1、3、21、27話など)。また、グリッドランサーにはモニタースコープ(メインコントロールパネル)も装備されており、FXの視線が捉えた映像を表示して遠隔操縦することもできる[185](第18、25話など)。グリッドランサーは他の鉄人シリーズのコントローラーとしても採用されており、その開発は鉄人1号の段階から始まっていたものの[195]その形は様々で、ヘッドセット型(鉄人21号)やバイザーインカム型(鉄人25号)、ブレスレット型(鉄人29号ブラックオックス)や腕に装着するタイプ(鉄人18号、24号)など、光線銃タイプではないものも多い。それらを除いた、特殊機能のない鉄人には光線銃タイプの汎用コントローラーが用いられている[196]。なお、グリッドランサーを中心とした半径10m以内の安全(=操縦者の身の安全を守ること)を最優先する「電波発信源防衛システム」というプログラムが施されているが[185][197](第3、4、23、46話など)、金田陽子博士いわく「このプログラムを作動させてしまうようでは操縦者としてまだまだ」とのこと(第4話)。
鉄人28号
初代・鉄人28号。劇中では(「鉄人」と呼ばれる機体はおもにFXを指すため)、もっぱら「旧鉄人」「古い鉄人」「父さんの鉄人(正人からの呼称)」などと呼ばれている。
もともとは第2次世界大戦中に旧日本軍が開発していた秘密兵器であり[188]、正太郎の父・金田博士と、その友人だった敷島博士が共同開発したロボット(第24話)。製造から40年以上[注釈 82]経過しているため、パワーでは新型ロボットに劣る旧式機ではあるが[注釈 83]、正太郎の技量と機転により、時として現行のロボットと渡り合う活躍をも見せる[注釈 84]。また、FXが使用できないときの代替機として、正人や三郎が操縦して窮地を凌いだことも少なくない(第4、11、15、16話など)。
リモコン(3式テ号鋼鉄人間電磁波操縦器[200][199])の上部の2つの突起(アンテナ)はレバーではなく、本体の両脇にある取っ手を握って正面(パイロット側)に2つある8方向キーとして働くボタンを親指で、裏側にある3つの大きな丸いダイヤルを人差し指で操作して鉄人を操縦する[200][199][注釈 85]

1999年ワンダースワン用ゲーム版

ワンダースワン携帯型ゲーム鉄人28号』では、戦時中に軍の命令で開発された兵器だったという経緯は無く、増加する巨大ロボットによる凶悪犯罪に対抗するために、大塚署長が敷島博士に依頼して製作されたロボットとなっている。もともとはそのような時代が来ることを予見していた金田博士によって開発・設計されていた鉄人であったが、博士は謎の死を遂げ、親友であった敷島博士がその遺志を継いで、遺された設計図どおりに製作・完成させたものである。金田博士の息子である少年探偵・金田正太郎は、父の命日に敷島博士に呼び出されて鉄人を託され、突然のことに戸惑いつつも世の中の悪や犯罪に立ち向かうことを決意する。(以上、取扱説明書[201]およびゲーム内テキストより)

2004年版テレビアニメ

テレビアニメ第4作『鉄人28号』では、兵員不足に陥っていた旧日本軍が、連合軍に対する起死回生の切り札として立ち上げた「鉄人計画」によって生み出された巨大人型兵器。身長は18メートル[202][注釈 86][注釈 87][注釈 88]。 開発者である金田博士によって、東京大空襲で生まれることなく死んでしまったと思い込んでいた息子・正太郎の名前が付けられ[205]、我が子を育てるかのように造り上げられた28番目の鉄人である(第2話)。 もともと博士自身は「鉄人を戦争に利用することは不本意であったが、戦争を終わらせることに役立つならば…」と考えて開発にあたっていた(第18話)。しかし、いつしか鉄人の力に畏怖を覚えた博士は自らとともにその存在を抹消するべく(その真の理由は後述)、敵国に鉄人の開発場所である南方の秘密基地の所在地を漏洩。爆撃によって失われた、と思われていた(第1、2話ほか)。

それから10年後[206][注釈 89]、敷島博士があらためて造り上げた27号の起動実験の際に、28号と同じリモート回路(リモートコントロール回路28)を使ったことによって南の島の秘密基地廃墟にて覚醒。巨大砲弾に格納された状態で東京に飛来し、そこで金田正太郎と出会う。この時は誰にもコントロールされることのないまま、失われていた左腕(あるいは一緒に保管されていた操縦器)を取り戻そうと暴走し、邪魔をする27号を倒すなど、あたかも自らの意思で行動しているかのように振る舞っているが、そのようなプログラムがされていたかなどの説明はいっさいなく詳細不明[注釈 90]。そもそも誰が(鉄人を葬ろうとしていたはずの金田博士が?)なぜ鉄人を砲弾に格納していたのか、鉄人の左腕はなぜ外されていたのか[注釈 91]、といった説明もされていない。(以上、第1、2話)

ロボット草創期に開発されたロボットであるが、その完成度は高く、10年以上経った[注釈 89]最新型のロボットとも互角に戦える性能を持っている。武器は一切装備していないが、鉄筋コンクリートのビルや敵ロボットを砕く怪力[注釈 92]を持ち、このパワーを生かした肉弾戦を得意とする。また、銃弾やダイナマイトの爆発でも装甲には傷一つ付かない頑健さも鉄人の武器である。さらに、起動時などの大パワーを発揮する際に、全身から副作用として強力な放電をする描写があり(第2話など)、鉄人のそばに不用意に近づくと感電死する危険性がある[注釈 93]

戦後、鉄人28号の操縦器は所在不明だったが、砲弾が日本に飛んできて鉄人が起動した際に、敷島重工に保管されていた左腕の握った手の中から発見された(第2話)。鉄人の操縦は操縦器の手前にある3つのダイヤルを操作することで行う[209]。上部の2本の突起は送信部ということらしいが[209](実際に劇中でその突起から電磁波らしきものを発信する描写こそ随所にあるものの)、白黒アニメ版と同様に操縦レバーのように操作しているシーンが多く描かれている(もっぱら右の突起部を握って操作していることが多いが、かといって右側だけがレバーというわけではなく、左手側で操作しているシーンもある[注釈 39])。また、時として操縦器を操作せず音声だけの指示に、鉄人が返事をして従っている描写もあることから(第6、21話など)、ある程度の音声入力操作も併用されている可能性がある。背中のロケットエンジンは原作とは異なり、設計段階から取り付けられていた[注釈 94]。これによって空中を自在に飛行することがが可能となっている。このロケットによる推進力とパンチ力を合わせた突進技は鉄人の技の中でも最大級の破壊力で、第8話では暴走したバッカスを一撃で破壊している。 原作のように機体各部に補助動力を備えているかどうかは設定や言及が無く、不明。

優れたロボットではあるが、量産を前提とした実験機である(軍部では「鉄人計画」で開発された巨大ロボット兵器を量産し、敵国に巨大砲弾で撃ち込んで暴れさせる、という作戦が考えられていた〈第2話〉)。しかも開発・製造からすでに10年以上を経ており[注釈 89]、そのためかは定かではないが、劇中では苦戦することが多く、パワー負けや装甲の損壊も多かった。

なお、「鉄人計画」と並行して、敵地へロケット弾で送り込まれたロボット兵・鉄人が独自の判断で戦闘を継続できるように、搭載する人工知能の研究も並行して行われており、そのために不乱拳博士の弟子たちや敷島博士によって「人工知能開発計画」が京都で進められていた[注釈 96]。ただし、計画を担当していた軍の監視官が殺される事件が起き、さらに開発中だった人工知能ロビーの基盤と回路図もその翌日に何者かに盗まれたことで、計画は頓挫している(詳細は鉄人28号の登場ロボット#派生作品でのロビーを参照)。その後、敷島博士が両計画の橋渡しをするための伝達役として、南方で鉄人を開発中だった金田博士の元へと出征している。(以上、第15、16話)

物語終盤のファイアIII世との戦闘において、28号の体内には太陽爆弾という旧日本軍の最終兵器が内蔵されていることが明らかになる(第22話)。太陽爆弾とは強力なエネルギーを秘めた新元素バギューム[注釈 97]を応用した、爆発すると地球上の全生命体が以後60年間生息不能となる環境を生んでしまう最悪の兵器であった(第20話)。当時、「鉄人計画」に協力していたビッグファイア博士は、バギュームの存在を知って兵器としての可能性を高く評価していたが、開発者である金田博士はその大きすぎる威力を危険視し、兵器利用には反対していた。しかしビッグファイアは「バギュームの安全な利用法がある」と騙して、太陽爆弾を完成させたうえに28号の動力として搭載させてしまった(第26話)。後からこの事実を知った金田博士が鉄人28号を「この世にあってはならないもの」として軍への引き渡しを拒み、抹殺を図ったのも実はこれが理由であった。鉄人はこの太陽爆弾を通常動力として使用していたのであったが、とはいえバギューム以外のエネルギーが使われていたことから、太陽爆弾による真の力は発揮されておらず、兵器としての鉄人28号はバギュームを用いることで初めて完成すると言える。 事実、バギュームをエネルギー源とした鉄人は、黒部ダムを襲った数百機のブラックオックス相手に対等に戦える圧倒的なパワーを見せていた(第25、26話)。 その一方で、同時に太陽爆弾としても完成することとなった鉄人は、いずれは爆発してしまうため役目が終われば溶鉱炉で溶かさねばならず、正太郎は最後まで鉄人にバギュームを搭載することを拒んでいたが、日本の危機と村雨健次の死に際の[注釈 98]説得によって、ついにその行使を決断する。そしてブラックオックス軍団との戦闘中、黒部ダム内に建造されていた溶鉱炉から漏れ出した溶鉄によって鉄人を溶かすべきときがきたと決心する正太郎だったが、太陽爆弾の力に魅了されたベラネードの狙撃によって操縦器を破壊されてしまう[注釈 99]。人との繋がりを断たれ、制御不能に陥った鉄人は進路上にいたベラネードを踏み潰し、さらに正太郎をもその手にかけようとする。正太郎は鉄人の手で殺されることが自らの受けるべき罰と覚悟するが、鉄人はまるで意志を持っているかのように崩壊する溶鉱炉から正太郎を庇い、溶鉄を浴びて融解する。その赤く、黒い残骸は、平成と呼ばれる今も黒部ダムの湖底から日本を見つめ続けているという。(以上、第26話)

資料によっては「今川版鉄人」と称されることもある[211]

2004年プレイステーション2用ゲーム版

テレビアニメ第4作をベースにしたPlayStation 2用ゲーム『鉄人28号では、太平洋戦争の日々悪化する戦局を覆すために、旧日本軍の命令で金田博士によって造られた機械の兵士(ロボット)とされる[212]。公式サイトの「ロボット図鑑」では“ロボット工学者である金田博士が息子・正太郎の身代わりとして完成させた…”と記されていることから[213]、“東京大空襲で生まれることなく死んだと思われた息子・正太郎の身代わりとして、金田博士がその開発に心血を注いだ”という、テレビアニメ第4作と通ずる基本設定であることが窺える(その一方で、鉄人の身長はゲーム独自の大きさに調整されている[注釈 88])。終戦から10年[注釈 100][215][216]、少年探偵となった金田正太郎に操られ、X団(と彼らの操るロボット達)を相手に戦う。

2005年実写版映画

実写映画版『鉄人28号』に登場した鉄人は、太平洋戦争末期、軍事用ロボットとして金田正太郎の祖父・正吾郎が原型を造り、戦後に父・正一郎博士[注釈 101]があらためて平和利用目的で造り上げたロボット[注釈 102]。かつて正吾郎の助手を務め、正一郎の後見人だったという綾部達蔵が、とある離れ小島にあった研究所跡で密かに保管していたが、ブラックオックスの東京襲来を契機に正太郎に託され現代に蘇った[注釈 103]。 全長20メートル、重量20.8トン[217][218][219]。 リモートコントローラーで遠隔操作され、カメラアイである目は起動時は黄色、戦闘時は赤、機能停止時は青に変化する[217][218][219]。武装はされておらず、当初は飛行能力も無かった[注釈 104]

ブラックオックスとの初対決では正太郎の不慣れな操縦もあって完敗を喫するが、マサチューセッツ工科大学から招聘された天才美少女科学者・立花真美による強化改良を施されパワーアップ。カラーリングもライトグレーからブルーへと変更された。当初は操縦桿(スティック)のついた箱型のリモートコントローラー[注釈 105]で遠隔操作されていたが、改良後は小さなラグビーボールのような形のコンパクトな新型リモートコントローラー[注釈 106]となったうえに、操縦者が装着したバイザーを通して、鉄人のカメラアイが見た景色を見て(鉄人の視点で)操縦することができるようになる[217][218][219]。また、背部にロケットエンジンが増設され、空を飛ぶことにとどまらず大気圏突破すら可能となった[217][注釈 104]。さらに、ブラックオックスのEMP攻撃に対処するために対電磁波バリアー[217](対EMPプロテクト[219])も装備された。こうした改良の一方で、どのような原理で、かつ何のためかは説明されていないが、鉄人の受けたダメージが操縦者にフィードバックされる仕組みも導入されている[注釈 107]

なお、正太郎を鉄人と引き合わせた綾部達蔵老人によれば、「鉄人を動かしてブラックオックスを倒せるのは、直感像資質[220][注釈 108]を持つ正太郎しかいない」とのことだった[220][221][注釈 109]

2007年新作劇場版アニメ

劇場版アニメ『鉄人28号 白昼の残月』に登場した鉄人28号は、太平洋戦争時に金田博士が関与した「鉄人計画」の産物で、養子のショウタロウ[注釈 110]と共に南方の島で開発した旧日本軍の巨大人型ロボット兵器である。

この劇場版は他の派生作品から独立しているのだが、その設定やストーリーは2004年版テレビアニメをベースにしており、共通している部分と、異なる部分とが混在している。 鉄人28号本体に関係する、2004年版テレビアニメとの主な違いは以下の通り。

  • 鉄人28号が旧日本軍のロボット兵器として、金田博士によって南方の島で造られた点は同じだが、“正太郎”とは呼ばれてはいない[注釈 111]
  • 鉄人には太陽爆弾が内蔵されていないため[223][202][224](そもそも太陽爆弾が登場しない)、金田博士は鉄人を危険視しておらず、その存在を抹殺しようとした様子は確認できない(敷島博士にも、鉄人が蘇るようなことがあれば葬るよう言い残してはいない)。
  • 金田博士は「鉄人の操縦士には自分の子供を」との夢を持っていた(敷島博士・談)。しかし、長らく子供ができなかったため妾(萱野月枝)との間にできた幼い我が子ショウタロウ[注釈 110]を養子という形で引き取って育て[注釈 112]、彼が成長して太平洋戦争末期に特攻隊にとられると、南方の島に呼び寄せて操縦士の訓練をさせつつ、共に鉄人の開発に取り組んだ(このことから鉄人計画には戦前を含め10年以上の年月が費やされていることになる)。
  • 金田博士は太平洋戦争以前(月夜との間にショウタロウをもうけるよりも前なので18年以上前[注釈 115])に廃墟弾を開発し、“大鉄人”も完成させていた(大鉄人は「廃墟弾工場爆発事故」を契機に、多くの廃墟弾ともども東京の地下に封印されている)。つまり鉄人28号が南方の研究施設で開発・製造されたのは、大鉄人の完成から18年以上が経過してからということになる[注釈 115]
  • 金田博士は軍から鉄人の出撃命令が出た夜に行方不明となっているが(何があったのかは詳細不明[注釈 116])、失踪する前に廃墟弾を始末するようショウタロウに言い残している。また、ショウタロウは「研究所の残骸から操縦器を造った」と語っているが、研究所が廃墟となってしまったのは爆撃があったためか、何らかの事故があったのか、あるいは時の流れによるものなのかは不明。なお、Softgarage刊『鉄人28号 白昼の残月 公式徹底解析書』掲載の用語辞典では「軍による鉄人の実戦投入の命令を拒否したうえ、敵国に研究所の位置を教えるという裏切り行為を犯したために、鉄人計画は凍結された」「博士がなぜそのような行動をとったのかは謎であり、博士の死とともに闇に葬られた」などとも記されているが[224]、この用語辞典には多数の事実誤認と間違いが書かれているため、いまひとつ記事に信頼性が無い。
  • ショウタロウはひとり残された南方の島で、島の再開発にやって来た外国の調査団(クロロホルム)に発見されるまで終戦も知らず、それまでの間10年をかけて鉄人の操縦器を自作していた。
  • テレビシリーズと同様に戦後10年経って[222][225][注釈 113][注釈 117]、突如、鉄人28号を格納した巨大砲弾が日本に向かって発射され[注釈 118]、ショウタロウはこれを追って帰国(復員)している。ショウタロウは「廃墟弾の処理のためには埋められた鉄人が必要」とも語っており、それがどのような状況だったのか(あえて埋められたのか、爆撃によって埋まってしまったのか)、さらには巨大砲弾に鉄人を格納しておいたのは誰だったのか(金田博士によって格納されたうえで砲弾ごと埋められていたのか、あるいはショウタロウが鉄人を掘り起こした後に格納したのか)は説明されていない。
  • これらのことから、金田博士が正妻との間に正太郎が誕生したこと(あるいはそもそも身籠っていたことを)知っていたのか[注釈 119][注釈 120]、また敷島博士がどの程度「鉄人計画」に関与していたのか(いつからいつまで、どのくらいの期間、南方で金田博士の鉄人開発を手伝っていたのか)、そもそも南方に赴いていた時期があったのかどうかすらよく判らない[229][注釈 121]
  • バギュームはテレビシリーズで語られた「太陽爆弾」のエネルギー源ではなく、「廃墟弾」の原料となっている(廃墟弾は第一次世界大戦後、来るべき将来の日本侵略に備えて開発された)。
  • 鉄人に太陽爆弾は内蔵されていないため[202][223][224]、どのような経緯と結果があったのかは判らないが、物語冒頭で「かつて鉄人28号と呼ばれた鉄の塊が、平成の今も何処かで[注釈 122]人知れず日本を見つめている」と語られている[226]

基本的な設定は2004年版テレビアニメと同じとされ、身長は18メートルであるが[202]、重量などその他の諸元は不明[注釈 87]。敵ロボットの装甲を一撃で破壊する馬力と、広範囲を焼き尽くす廃墟弾の余波に耐える装甲を持ち、背中のロケットで空を縦横無尽に飛ぶことができる。Softgarage刊『鉄人28号 白昼の残月 公式徹底解析書』では、金田博士が18年以上前にすでに完成させていた“大鉄人”を小型化し、無敵の鉄の兵士として実用化したもの、という見解が記されている[223][227][注釈 123]。 ショウタロウの「廃墟弾の在処は鉄人が知っている」という言葉通り[注釈 125]、たびたび制御不能になっては都内地下に秘匿されていた廃墟弾を探し当てて勝手に掘り出す、という不可解な行動を繰り返す。廃墟弾を掘りだした後は正常に戻るため、正太郎たちは結果的にその処理を続けることになった。 物語の中盤、廃墟弾を処理しようとした際に至近距離で爆発の余波を受けて溶融し、片目が潰れ、包帯で応急処置を施されるダメージを負ったが、その後も動作に支障をきたすことは無かった。

作中のロボットの中では間違いなくトップクラスの性能を持っているのだが、本編中で正太郎は鉄人を完全には使いこなせておらず、廃墟弾を狙う3体のB-89と戦った時には苦戦を強いられ、モンスターとの戦いではミニ・モンスター[注釈 126]の大群により動きを封じられて廃墟弾を奪われている。対して「兵器としての鉄人」の操縦士として正規の訓練を受けていたショウタロウによって操られた時は、B-89を3体まとめて瞬殺し[注釈 127]、原作では鉄人を圧倒する性能を持つバッカス、ギルバート、サターン、VL-2号を(廃墟弾の影響で機体が半ば溶融した状態であるにもかかわらず)立て続けに撃破するなど、圧倒的な強さを見せた。

本作において操縦器は正太郎が所有していたものと、ショウタロウが南方で10年の歳月をかけて地道に自作したものの2つが存在している(両者の外観は全く同じであるが、ショウタロウの操縦器の方がやや黒味が濃い[223])。たびたび勝手に動いて廃墟弾を掘り出していた鉄人は、ショウタロウ(の操縦器)によって操作されていた[注釈 128]

ただし、正太郎の操縦器は物語中盤、ダメージを受けた鉄人が倒れ込んだ際の下敷きとなって失われてしまう。 このため、終盤の正太郎はショウタロウの操縦器を使って鉄人を操縦[注釈 129]。大鉄人への潜入を図るショウタロウを援護して、自らより遥かに巨大な大鉄人の腕を押さえこむ活躍を見せた。その後、自爆装置が起動した大鉄人からショウタロウを救出すべく、正太郎を手に乗せてブリッジ(艦橋)へ突入したものの、自らの死を選んだショウタロウに操縦器を破壊されたうえで地上に降ろされてしまい、救出を果たすことはできなかった。一連の事件が解決した後、どのような経緯で冒頭のような鉄の塊と化してしまうのかは語られておらず、さだかでない。

2004年リメイク漫画版

漫画『鉄人28号 皇帝の紋章』における鉄人28号は、原作同様旧日本軍の秘密兵器として作られるが、日本の敗戦を予測していた金田博士によってあえて武装を搭載されず、戦後のために巨大な「人」として建造された[236]。 もともとは工兵としての活用が考えられていた鉄人だったが、装甲に使われる特殊鉄鋼[注釈 12]の開発の成果が、軍部に本格的軍事用ロボット製造へと舵を切らせる。そして、この計画に携わった不世出の天才科学者・金田博士は、鉄人28号に数々の革新的な発明を搭載させた。そのひとつ独立連動(運動)システムは博士の指示のもと、弟子の敷島博士が設定したもので、個々の関節に独立したエンジン(電磁モーターと推測される)を配置することにより、たとえ腕部や脚部など一部が破損しても全体の能力に全く影響を与えない。動力部及び電子頭脳にいたっては、敷島博士にも解析できないブラックボックスとなっている。後世にて「松井一郎」なる人物が鉄人の研究を行っており、「鉄人に燃料が補給されたことは無く、落雷によって起動した(しかもその後も何度か雷の直撃を受けている)[注釈 130]」、「金田博士は謎の”石版”を独りで加工していた」という証言や記録から、動力には強力な電気が使われており、その動力炉は常温超伝導システムによる蓄電器であること、電子頭脳にはダイオードが使用されている可能性があること、そしてその双方を金田博士が独自に発明したとすれば、そのようなオーバーテクノロジーをどうやって実現化したのかまったく謎であることなどを指摘している[注釈 131]

操縦器の形は原作に近いが、2本のレバーは明確に「操縦捍(ジョイスティック)」としてデザインされており、半自動モードでは前後のみ、完全手動モードでは四方に動く[237]。複数のモード切り替えなど(作中の時代背景と比較して)複雑な操縦体系を有するため、使いこなせるのはほぼ正太郎のみ[238][239]。モニターがないにもかかわらず本体からレバーに帰ってくるフィードバックを元に操縦したり[240]、水中モード時のクロールの動きを投擲に応用するなどの「裏技」[241][238]すら披露している。また、操縦電波を阻害する電磁波発生装置を搭載したブラックオックスとの戦いでは、操縦器と鉄人をコードで接続し、操縦器を搭載したジープ上から有線操縦を行えるように改造が施され、有線と無線を切り替えるトリッキーな戦術でオックスを翻弄している[注釈 132][242]

「皇帝の紋章」の謎を解き明かすために、紋章を狙って世界各国から差し向けられたロボットと交戦。その後、全面核戦争を引き起こそうとする人工知能ロビー操る核弾頭搭載型ロボット「溶鉱炉(シュメルツ・オーフェン)」と戦うも、圧倒的なパワーの前に窮地に陥った。シュメルツ・オーフェンが巨大な核ミサイルとなって宇宙空間に打ち上げられようとするに及び、万策尽きた正太郎は両足をもぎ取って軽量化した鉄人をしがみ付かせ、操縦器と大破したブラックオックスの電波発信装置を繋いで操縦電波を増幅し、宇宙空間で核を爆破させるという捨て身の戦法を取る。しかし、宇宙空間に辿り着いたものの鉄人は沈黙。ロビーは「もう操縦電波は届かない」と嘲笑いながら鉄人を引き剥がそうとすると、鉄人はまるで意思を持っているかのごとく再起動し、頭上で輝く地球に向けて伸ばすかのように手を振り上げると、その拳をシュメルツ・オーフェンに打ち込んだ(この行動が正太郎の操作によるものなのかは定かでない)。地上で核の爆発が観測された直後、操縦器の反応も停止するのであった。

2006年リメイク漫画版

漫画『鉄人奪還作戦』における鉄人28号は、戦時中に旧日本軍が計画していた鉄人計画を再利用した、21世紀の鉄人計画で作られた。実写映画版同様に平和利用目的で作られた作業用ロボットだが、Dr.T(平京興博士)の開発した「無限動力」が組み込まれ、機動力は本来の20倍に増加、エネルギー切れの心配を解消している。PX団が技術者達を拉致して完成させたが、正太郎などの活躍で技術者たち諸共奪還され、以降は正太郎が操縦することになる。操縦機コントローラーは原作のものとは大きく異なり、ポータブルオーディオプレイヤーの様な薄型である。

なお、当初はロケットブースターは装備されていなかったが、第2巻以降に装備される。ただし、ロケットは無限動力の恩恵を受けられないため、飛行には時間制限がある。これが本作での鉄人の弱点となっている。

脚注

参考文献

関連項目

Related Articles

Wikiwand AI