R360 (ラグビー)
From Wikipedia, the free encyclopedia
R360は、 元イングランド代表のマイク・ティンダルが率いる投資家グループによって2025年に発表された、独立系の国際プロラグビーのプロジェクトである。15人制ラグビーユニオンとアメリカンスタイルのエンターテイメント(コンサートや、スーパーボウルのハーフタイムショーようなイベント)を組み合わせた移動式大会として構想された。15人制ラグビーユニオンと、13人制ラグビーリーグから、トップクラスの選手を高額の報酬で獲得することを目指す。当初2026年10月に第1回大会を開催する予定だったが、2028年へと延期され、後述のように開催実現性は不透明である。
2025年春、計画が発表された。創設者であるマイク・ティンダル(ラグビーユニオン元イングランド代表)、スチュアート・フーパー(イングランドのラグビーユニオン元選手)、マーク・スプーアズは、アラブ首長国連邦のドバイに拠点を置く投資ファンド「885 Capital」からの出資により、独立したプライベートリーグ「R360」を立案した[1][2][3]。「885 Capital」は、スディープ・ラムナニ(Sudeep Ramnani)とジャイ・マハタニ(Jai Mahtani)によって設立された民間投資ファンドである[4]。
マイク・ティンダルは、「ここ数年のラグビーは、財政管理の失敗、クラブ競技への投資減少など、低迷している。ラグビーの革新性と変革力の欠如は、新しい観客や若者市場への魅力を失うリスクがある」としている[1]。
スーパーラグビーのメルボルン・レベルズが2024年に解散し、イングランドのプレミアシップではワスプス(2023年解散)とウスター・ウォリアーズ(2022年解散)の撤退によりチーム数が12から10に減少。アメリカ合衆国メジャーリーグラグビー(MLR)は、ピークだった2022年の13チームから、2025年大会終了後に6チームまで減るなど、各地で厳しい財政状況が表面化している[5]。英国では、ラグビーが有料チャンネル(TNTスポーツなど[6])での放送がメインとなり、視聴者の関心が低下している[1]。
フォーマット
出典:[7]
- 参加チーム:男子は8チーム(当初6チームで、10チームを目標とする)、女子は4チーム。各チームは、国または地域を代表する。
- 開催スケジュール:既存の大会との重複を避け、4月から6月までと、8月から9月までの、年2回に分けて行う。
初回2016年大会は、短縮シーズンとして2026年10月から12月にかけて行われる。 - 2025年11月28日、初回大会の開催は2年延期されて2028年開始予定となった[8][9][10]。
- 開催地:各地(ロンドン、パリ、ニューヨーク、東京、サンパウロ、ドバイ、ミュンヘン、ブエノスアイレス、香港)での試合とイベント(コンサート、エンターテインメント)を含む。F1のように、都市から都市へと移動する「グランプリスタイル」で運営。説明資料では、東京会場として味の素スタジアム(東京都調布市)が例として挙げられているが、使用契約が行われているわけではない[7]。
- 報酬:男女200名の世界トッププレーヤーと契約することを目指し、選手ひとりに支払われる報酬は日本円にして約1~2億円とされている[11]。
ラグビーユニオンからの反応
- 日程において、南半球4か国によるザ・ラグビーチャンピオンシップや、女子シックス・ネイションズ、WXV、各国の国内リーグの多くと重複している。
- 2025年10月7日、ラグビーユニオンのイングランド協会、アイルランド協会、スコットランド協会、フランス連盟、イタリア連盟、ニュージーランド協会、オーストラリア協会、南アフリカ協会の8協会は、R360の開催に反対し、出場した選手を代表選抜としない表明を行った[11][12][13]。その理由として、選手の健康管理や、既存の国内外の日程との問題を挙げる。また、ごく少数のエリート選手にのみに報酬を還元する設計で、各国協会や既存リーグが地域ラグビーや選手育成、普及のために行っている投資を空洞化させるおそれがあることも反対理由としている[11]。ウェールズ協会も、R360に出場した選手を代表選抜としないことを明らかにした[1]。
- 2025年10月13日、日本代表のヘッドコーチを務めるエディー・ジョーンズ(オーストラリア出身)は、R360への支持を表明。1977年から1979年まで開催されたワールドシリーズ・クリケットが、それまでのクリケット大会を劇的に改善した好例であることを挙げ、国代表レベルのチームが集まる意義を評価した[5][14]。さらに、「ラグビーを継続させるためには、多くのファン、スポンサー、商業主義を呼び込む、エンターテイメント性の高い運営が必要だ」とした[15][16]。
ラグビーリーグからの反応
2025年10月15日、13人制ラグビーリーグのオーストラリア統括組織ナショナル・ラグビー・リーグ(NRL)は、R360に参加する選手に対し、NRL傘下の大会に10年間出場禁止処分を行うことを発表した[17][18]。この発表を受け、翌11月にR360は「ほんの一握りの選手だけがプロジェクトから撤退した」と発表した[10]。