Steam Deck

Valveより販売されている携帯ゲーミングPC From Wikipedia, the free encyclopedia

Steam Deck(スチーム デック[2])は、Valve Corporationより販売されている携帯ゲーム機型ゲーミングPC

発売日 アメリカ合衆国の旗カナダの旗イギリスの旗欧州連合の旗 2022年2月25日
日本の旗大韓民国の旗香港の旗中華民国の旗 2022年12月17日
オーストラリアの旗 2024年11月19日
有機ELモデル
2023年11月16日
概要 開発元, 種別 ...
Steam Deck
開発元 Valve Corporation
種別 ゲーミングPC携帯ゲーム機ハンドヘルド携帯型ゲーミングPC
世代 第8世代携帯型ゲーム機
発売日 アメリカ合衆国の旗カナダの旗イギリスの旗欧州連合の旗 2022年2月25日
日本の旗大韓民国の旗香港の旗中華民国の旗 2022年12月17日
オーストラリアの旗 2024年11月19日
有機ELモデル
2023年11月16日
売上台数 370万台以上(2024年末時点)[1]
メディア ダウンロード販売
OS SteamOS
SoC AMD セミカスタム APU コードネーム "エアリス"(TSMC 7nm、TDP=3-15W)
セミカスタム APU コードネーム "セフィロス"(TSMC 6nm、TDP=3-15W)
CPU AMD Zen 2、4コア/8スレッド
可変周波数 @ 2.4-3.5GHz
メモリ 16 GB (LPDDR5)
ストレージ

基本モデル: 64 GB eMMC
中間モデル: 256 GB NVMe SSD
最上位モデル: 512 GB 高速NVMe SSD
OLEDモデル
中間モデル: 512 GB NVMe SSD
最上位モデル: 1 TB 高速NVMe SSD

すべてのモデルがM.2 2230モジュールを使用
リムーバブルストレージ UHS-I
microSD/SDXC/SDHC
ディスプレイ

7インチ 1280 x 800
タッチスクリーン IPS 液晶 @ 60Hz(16:10)400nit
OLEDモデル
1280x800
タッチスクリーン 有機EL @ 90Hz(16:10)

外部出力: 最大8K @60Hz または 4K @120Hz
グラフィック AMD RDNA 2、8x CUs
可変周波数 @ 1.0-1.6GHz
サウンド

本体: DSP内蔵ステレオ

デジタル出力: マルチチャンネルオーディオ
コントローラ入力 2 x 静電容量方式 アナログスティック
2 x 3.5mm トラックパッド
6軸IMU(3軸加速度計,3軸ジャイロスコープ)
2 x バンパー(L1, R1)
2 x アナログトリガー(L2, R2)
4 x グリップボタン(L4, R4, L5, R5)
A/B/X/Y ボタン
十字キー
表示/メニューボタン
Steamボタン
クイックアクセスボタン
ボリューム +/− ボタン
電源ボタン
振動効果: HDハプティクス
デジタルカメラ 環境光センサー
タッチパッド

スクリーン: 静電容量方式、10点マルチタッチ

トラックパッド: 静電容量方式、触覚フィードバック、感圧センサー
外部接続

1 x USB Type-Cポート、USB 3.2 Gen 2 および DisplayPort 1.4 Alt mode
Bluetooth 5.0
Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac
3.5mm ヘッドフォン/ヘッドセットジャック
OLEDモデル
1 x USB Type-Cポート、USB 3.2 Gen 2 および DisplayPort 1.4 Alt mode
Bluetooth 5.4

Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac/ax
電源 40Wh リチウムイオンバッテリー 5200mAh
充電: 45W USB Type-C PD3.0
(デバイス全体の最大消費電力=25W)
プラットフォーム Linux
オンラインサービス Steam
サイズ 298mm x 117mm x 49mm
重量 約669グラム
関連商品 ドッキングステーション
ウェブサイト https://www.steamdeck.com/ja/
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概要

Advanced Micro Devices (AMD) 社と共同開発し、2022年2月25日に発売された[3]。日本では2022年8月4日に予約受付が始まり、12月17日から発送が開始された[4]。日本を含む東アジアでのサポートと販売は、KOMODOが担当している[5]。同社は日本でSteamの決済事業を担当しているDEGICAのゲーム部門が独立した企業であり「Valve Index」も販売している。

開発経緯

2012年頃からValveはPCゲームを体験できるデバイスやフォームファクタを追求しており、「Steam Machine」「Steam Controller」「Steam Link」「Valve Index」の提供を通して、PCを置いた自室からリビングルームへと体験できるスペースを広げてきた。その流れで携帯型ゲーム機も構想しており、当時はSteamを十分楽しめるまでハード技術が到達していなかったが、2018年頃からハードウェアの進化の行き着く場所が予測でき、それまでの開発や製造の経験で得られた知識やスキルセット、ベンダーとの関係が結実したことでプロトタイプを作り始めた[6]

Steam DeckもValveの哲学であるオープンプラットフォームに位置付けて開発されており、ユーザーの所有物として自由なカスタマイズができるように努められている[6]。その表れとしてValveは英語圏に向けて発売前にサムスティック、SSDの交換方法を公開したり[7]iFixitと提携し交換パーツの販売と修理ガイドを提供している[8]。一方で公開したのは「自己責任で分解するのなら,こうするべき」ということを明確にするためであり、安易に分解しないよう警告もしている[6]。デバイスの改造は自己責任であり、故障や不具合がその改造に起因する問題となる場合、保証の対象外である。SteamOS以外で運用している場合でもほとんどの場合は保証を受けられるが、上記に当てはまる場合は対象外となる[9]

2022年12月現在、ValveはSteam Deckの改良を進めており、ゲームごとの「電力プロファイル」やその他の性能向上に加え、Steam Deck 2の評価も行っている。Valveはまた、Steam Deckの技術を一部、新型Steamコントローラー2に導入することも検討していた[10]

有機ELモデル

2023年11月9日、Valveは2023年11月に発売予定の有機ELモデルの2機種を発表した[11]。有機EL、バッテリー容量の増強、冷却機能の改善に加え、接続性と効率性を向上させるためのハードウェア改良が施された。ただし総合的な処理能力に変更はない[12]。既存機種に取って代わるものである。Valveのハードウェア設計者は、初期モデルから有機ELを搭載したかったが、当時市場には該当サイズでかつ高品質な有機ELが存在せず、設計に盛り込めば販売を12~18ヶ月遅らせざるを得なかった[13]

有機ELモデルの発表に併せて、ValveはCPUやGPUチップを含むシステム全体の改良を施したSteam Deck 2の開発を進めていると公表したが、完成するのは2~3年後になる見込みである[14]

後継機構想

システム設計者のローレンス・ヤンは、次世代のSteam Deckを実装する前に、消費電力の大幅な増加を伴わずに計算能力が向上した「世代的な飛躍」を遂げたCPUの登場を待ってから第二世代の出荷に取り掛かりたいと述べた[15][16]

ハードウェア

Steam Deckには、AMDがZen 2RDNA 2アーキテクチャをベースに製作したカスタムAPUが搭載されており、ファイナルファンタジーVIIのキャラクターであるエアリス・ゲインズブールにちなんでエアリスと名付けられた[17]。CPUは4コア/8スレッドのユニット、GPUは8つの演算ユニットで実行され、合計1.6 TFLOPSの推定性能を持つ。CPUとGPUは共に可変周波数を使用し、CPUは2.4から3.5GHz、GPUは1.0から1.6GHzの間でシステムの要求に基づいて動作する。Valveは、CPUはRyzen 3000シリーズ、GPUはRadeon RX 6000シリーズと同等の性能であり、大型AAAゲームを含むSteamライブラリ全体をハンドヘルド ゲーミングPCでプレイできるようにすることに重点を置いていると述べた[18]。Deckにはハイエンドスマートフォンで使用される高速メモリ、LPDDR5 RAMがクアッドチャネル構成で16GB 搭載されており、総帯域は88GB/秒である。

Steam Deckは内部ストレージによって64GB (eMMC(旧型機))、256GB (NVMe SSD)、512GB (ハイスピードNVMe SSD)の3つのモデルがあり、512GBモデルはスクリーンが防眩エッチング加工されている。それ以外のハードウェアの仕様は全て共通となっている。ストレージはmicroSDカードで拡張可能で、速度はUHS-I(~104MB/sec)[19]、容量はSDXC(~2TB)[20]まで対応している。なお、512GBモデルはキャリングケースと仮想キーボードテーマが特別仕様になっており、256GBモデルと512GBモデルはそれぞれコミュニティで使用できる限定プロフィールの特典がある[21]。Valveは、内部ストレージはエンド ユーザーが交換できるようには意図されていないが、修理のために必要に応じて交換できると述べている[22]

コントローラは取り外し可能ではないが、追加のコントローラを用意すればデスクトップとしてもプレイできる。また、両端のコントローラー部分にトラックパッドを搭載し、Windows向けのPC用ゲームをプレイしたり、FPSのプレイ速度を上げることが可能となっている。

バッテリーは40Wh(5313mAh)[23]で、ゲームにもよるが公称2〜8時間持続する[23]

有機ELモデル

2023年11月16日に有機ELを搭載したマイナーチェンジモデルとして2モデルが発売された[11][24]。512GBと1TBの内蔵ストレージを搭載し、従来の上位モデルに取って代わるものである。従来の64GBと512GBモデルは生産終了となり、256GBの液晶モデルが基本となった。

マイナーチェンジした点として、7.4インチのOLED 90Hz ディスプレイ搭載によるディスプレイの大型化、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3への対応・容量が約25%向上したバッテリー・冷却性能の改善が行われた[25][26]。OLED搭載モデルには、従来モデルよりもプロセスルールが微細化された6nmプロセスのAPU「セフィロス」(ファイナルファンタジーVIIのキャラクターに由来)が採用された[27] 。 北米限定で1TBモデルの特別版が発売され、半透明プラスチック筐体とオレンジ色のパーツが使用されている[28][29]

2024年11月12日、日本、韓国、香港、台湾におけるSteam DeckのライセンスプロバイダーであるKOMODOは、 限定版ホワイトモデルの発売を発表した。日本では、11月19日に発売予定である[30]

比較スペック表

さらに見る 各項目, LCDモデル ...
各項目 LCDモデル[31] 有機ELモデル[32]
発売日 2022年12月17日 2023年11月16日
OS Steam OS 3 (Arch Linux ベース)、デスクトップ:KDE Plasma
APU[33][34] AMD 7nm APU 「Van Gogh」
TDP:4 - 15W
CPU:4コア/8スレッド(Zen 2)
2.4~3.5GHz(最大448 GFlops FP32)
GPU:8CU(RDNA 2)、1.6GHz(1.6 TFlops FP32)
AMD 6nm APU 「Sephiroth」
TDP:4 - 15W
CPU:4コア/8スレッド(Zen 2)
2.4~3.5GHz(最大448 GFlops FP32)
GPU:8CU(RDNA 2)、1.6GHz(1.6 TFlops FP32)
メモリ 16 GB LPDDR5オンボードRAM
(5500 MT/sクアッド32ビットチャンネル)
16 GB LPDDR5オンボードRAM
(6400 MT/sクアッド32ビットチャンネル)
ストレージ 64GB eMMC 256GB NVMe SSD 512GB NVme SSD 1TB NVMe SSD
ディスプレイ 1280x800 IPS LCD、400 nit
7インチ、最大60Hzのリフレッシュレート
1280x800 HDR OLED、600 nit
7.4インチ、最大90Hzのリフレッシュレート
通信規格 Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0 Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
電源 PD 3.0 Type C 電源(45W)、ケーブル:1.5m
バッテリー容量 40Whr 50Whr
サイズ 298mm x 117mm x 49mm
重量 約669g 約640g
付属品・その他 キャリングケース キャリングケース
アンチグレアエッチングガラス
キャリングケース 内側が取外可能なキャリングケース
アンチグレアエッチングガラス
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ソフトウェア

Steam OS

OSはArch LinuxをベースにしたSteamOS 3を搭載している。従来のSteam OSは、Debianを使用したSteam Machine向けに開発されていたが、Arch Linuxで実装されていて、かつDebianでは未設計であるシステムソフトウェアのローリングアップグレード方式を採用するために変更された[35]。 ゲーム開発者向けにSteam Deck専用のAPIが提供されており、従来のPCと比べてSteam Deck上で実行される際の最適化設定を指定できるようになっている[36]。Steamストアでは、開発者は自社のゲーム用に特別なファイルを用意し、Deck向けの低解像度テクスチャやその他の軽量化されたデータを置くことが可能となっている。これにより、Steam Deck上でのゲーム性能が向上する。ユーザーがゲームをインストールすると、Steamは自動的にシステム(PCかSteam Deckかを問わず)に適したファイルを検出しダウンロードする仕様となっている[37]

インターフェイス

Steam DeckのSteamクライアントは、従来のPC版とは異なる改良されたインターフェースと機能を備える。テレビ画面での使用を想定して設計され、Valve社内で別々のソフトウェアとして扱われていたSteamのBig Pictureモードとは異なり、Steam Deck版のSteamクライアントは従来版と一貫性を保ちつつ、コントローラー入力によるSteam操作を容易にする機能やインターフェース、バッテリー残量表示や無線接続状況など携帯ゲーム機特有のインジケータを追加している[38]

2023年2月、Steamの従来のBig Pictureモードを、Steam DeckのUIを基にしたものへ置換えた[39][40]。Deck上のSteamバージョンは、ユーザープロフィールやフレンドリスト、ゲームコミュニティへのアクセス、クラウドセーブ、Steamワークショップのサポート、リモートプレイ機能など、Steamのその他の全機能をサポートする[41][42]

ゲーム

DeckにはSteamストアから互換性のあるゲームが表示され、Linux向けに開発されたゲームはネイティブで動作する。SteamOSにはValveが開発した互換レイヤー「Proton」が含まれており、Windows向けに開発されたゲームをLinuxベースのSteamOS上でプレイ可能にする[43]。ProtonDB(コミュニティ運営のデータベースで、Protonを使用したLinux環境におけるSteamゲームの互換性情報を集約)によると、人気ゲームタイトルのいくつかは、主に回避防止対策・不正防止対策やデジタル著作権管理のために、Proton未対応である。Valveは、これらのミドルウェア開発の販売業者と協力してProtonのサポートを改善すると同時に、Linux版の開発を促進していると述べた[44]。ゲーム開発者向けの著名なアンチチートソフトウェアの一つであるEpic GamesのEasy Anti-Cheatは、2021年9月にmacOSおよびLinuxシステム向けに提供開始された。Epicは開発者がProtonレイヤーへ容易に移行できると表明した[45]。Valveは2021年末にかけてEpicと連携し、開発者によるEasy Anti-CheatのProton移行を簡素化した[46]。もう一つの著名なアンチチートソフトウェアであるBattlEyeも、自社ソフトウェアがProtonレイヤーとの連携準備が整っており、開発者が有効化を選択するだけで利用可能だと確認した[47]。Valveは、現在Linuxで利用可能またはProtonレイヤーと互換性のあるゲームをテストした結果、携帯端末で最低30fpsで毎秒の性能を満たせないゲームは見つかっていないと述べた。この性能指標は第8世代携帯ゲーム機と同等である[48]。 ProtonレイヤーはAMDのアップスケーリング技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」をサポートする。一方、ProtonはNVIDIADLSSもサポートするが、Deckとは互換性がない[49]

ゲームの互換性に関する混乱を避けるため、Valveは2021年10月に、Steam上のゲームをレビューするスタッフを追加し、Steam Deckでゲームが完全にプレイ可能であることを確認する機能を導入した。Steam Deckとの互換性が確認されたゲーム(ProtonやミドルウェアによるDRMを含む)は、デフォルトで最低限の性能仕様を満たしており、「検証済み」とマークされている。システムコントロールを使用してオンスクリーンキーボードを表示する必要があるなど、ユーザーが設定を微調整する必要があるゲームは、「プレイ可能」とタグ付けされている。別のカテゴリである「未サポート」は、VRゲーム、Protonとの互換性がまだ確保されていないWindowsの固有コーデックを使用するゲーム、ソフトウェアアプリなど、ValveがSteam Deckとは完全に互換性がないとテストしたゲームである。これらの評価は、Steam Deckのソフトウェアの改善と、開発者がSteam Deckとの互換性を向上させるためにゲームに行う更新に応じて、時間の経過とともに変更される[50][51]。2025年までに、携帯型ゲーミングPCがいくつか発売され、Valveはこれらのデバイス用のOSとしてSteamOSを準備した。2025年5月の更新では、Deck以外のSteam OSを使用するユーザーが互換性のあるゲームを識別しやすくするために、Steam Deckとの互換性を識別できる機能が導入された[52]

ユーザーはSteam Deckにゲームをダウンロードし、内蔵ストレージまたはSDカードに保存する。各ストレージは、ゲーム用の個別のSteamライブラリとして扱われる。これにより異なるSteamライブラリが保存されたSDカードを交換することが可能である。Valveは、PCなどを介して、Deck外部のSDカードにゲームをプリロードする機能を検討している[53]。ローカルネットワーク上のSteamからSteam Deckへゲームをダウンロードする機能は、2023年2月に追加されました[54]。DeckはSteamクライアントでゲームをプレイするために設計されているが、デスクトップモードでは、Epic Games Store、Ubisoft Connect、Originなどのサードパーティクライアントもインストールが可能である[55][56]。SteamOSを別のOSに完全に置き換えたり、マルチブートを設定したりすることも可能である[57][58]。Xbox Cloud GamingにMicrosoft Edgeを使用することで、Xbox Game Passサブスクリプションのユーザーはそのゲームカタログにアクセスが可能である[59]。Newellは、Microsoftが希望する場合、ValveはMicrosoftXbox Game PassをSteamとSteam Deckに導入することをサポートすると述べた[60]。システムのオープンな性質により、ユーザーはエミュレータを追加して、他のゲームコンソールやコンピュータから所有するゲームを実行することも可能となった[61]。内部ストレージやmicroSDカードからのマルチブートに対応し、Windowsをインストールすれば、直接Windows向けゲームを起動することも可能である。

デスクトップUIとサードパーティクライアント

DeckのOSは、変更不可能なファイルシステムを備えたKDE Plasma環境を使用するデスクトップモードで起動可能である[62]。 デバイスに追加のユーティリティを提供するために、さまざまなサードパーティ製ソフトウェアツールが開発されており、通常はDeckのデスクトップモードからインストールされる。代表的なものとして、SteamOSプラグインローダーのDecky[63]、エミュレーションマネージャーのEmuDeck[64]、batocera.linuxディストリビューション[65]などがある。Steam Deckは、ウォルト・ディズニー・ワールドのアニマトロニクスのリモコンとして使用された[66]。また、ロシアのウクライナ侵攻時には、ウクライナ軍が陣地を防衛する際に遠隔操作式砲塔にも使用された[67]

周辺機器

Steam Deck Dock

Steam Deck Dockは、2022年10月6日に発売された[68][69]。外部電源に接続してDeckへ電力を供給でき、HDMIまたはDisplayPortを介して外部モニターに接続し、Deckの外部出力をそのモニターに表示できる[70]。プロセッサ速度に制限されるものの、Dock経由のDeckからのディスプレイ出力は最大8K解像度60Hzまたは4K解像度120Hzまで対応可能である[71]。解像度の向上は、Dockを使用せずUSBからHDMIへ変換するアダプターで直接Deckを接続した場合にも対応する[72]。Dock使用時とポータブルモード使用時でSteam Deckの性能にその他変化はない[73]

Steam OSのVersion 3.5.5の更新内容によって、Deck Dockは可変リフレッシュレート対応のモニターにもサポート対応した[74]。Dockはイーサネット接続と、コントローラーやその他の入力デバイス用USB接続もサポートする[75]。Steam Deckは、携帯型ゲーミングPC向けのサードパーティ製ドッキングステーションと互換性を持つ[76]。外付けGPU(eGPU)は公式にはサポートされないが[77]M.2スロット経由のテストでは、eGPUがDeckに接続された状態で動作可能であることが確認された[78]

販売

Steam Deckの発表から1日後に予約受付が開始された[79]。転売による在庫枯渇や購入の困難化を防ぐため、予約の対象は2021年6月以前に開設されたSteamアカウントのみに限定された[80]。Steamストアでの初日予約受付は需要により一時的にサーバーがダウンした[81]。2021年9月までに、開発者向けのSteam Deck開発キットの出荷が開始した[82]。アジア地域での発売に向け、Valveはコモドと提携し、現地生産・ローカライズ・流通支援を実施した[83]

2022年2月25日に北米および欧州で発売した[84][85]。欧州では小売価格が419ユーロから、英国では349~569ポンド、デンマークでは4,300クローネ[86]、ポーランドでは3,987~4,219ズウォティで販売した[87]。Steam Deck発売の一環として、Valveは2022年3月1日、Portalシリーズのスピンオフゲーム『Aperture Desk Job』をWindowsおよびLinux/SteamOSユーザー向けに無料配信した。このゲームはSteam Deckの機能を披露するための事実上の技術デモであるが、外部コントローラーでもプレイ可能である[88]。Steam Deck向けソフトウェアの開発・テストを支援するため、ValveはSteamOS Devkit ClientとServerをオープンソースライセンスで公開した[89]。Windows用ドライバーはValveとAMDが提供するが、Valveはサポートを行わない[90]。発売初日数日間、ニューウェル自身がシアトル地域の住民に初期出荷分のSteam Deckを直接届けた[91]

販売の好調により、一部の予約購入者には、64GBモデルと256GB NVMeモデルの出荷は2022年第2四半期、512GB NVMeモデルは2022年第3四半期になると通知された[92]。Valveは2021年11月に予約購入者に対し、世界的な半導体不足が続いているため、12月までに出荷できず、代わりに2022年2月に出荷され、予約注文に基づいて配達の順序はそのまま維持されると通知された[93]

2022年6月までに、ValveはSteam Deckの週次出荷台数を倍増させ、初期予約分の対応に貢献したと発表[94]。同年8月、Valveの生産は予想を上回り、当初は年末四半期に出荷予定だったSteam Deckを消費者へ発送できる状況となった[95]。同年10月、Valveは全予約分を履行し、予約なしでの購入を可能とした。ただし需要が過度に高まった場合には、仮に予約制に戻る可能性もあるとしている[96]。2022年12月、Steam Deckはアジア地域で正式に販売開始された[97]。2024年10月、Valveは発売から2年を経て、11月よりオーストラリアで正式に販売を開始すると発表した[98]。11月19日に発売され、小売価格は649~1,049豪ドルとなった[99]

反応

批評

Steam Deckの発表に対する初期の反応は好意的であった。Epic Gamesのティム・スウィーニーとXbox Game Studiosのフィル・スペンサーはValveを称賛し、スウィーニーはこれを「Valveによる素晴らしい決断だ!」と評した[100]。スペンサーは「多くの人が、どこにいても好きなゲームを持ち運べるようになったことに感動している」とValveを祝福した[101]

多くのメディアがこの端末を、ハイブリッド型ゲーム機として認知されているNintendo Switchと比較した。Valveは、Deckの設計においてSwitchを特に考慮したわけではないと述べている。同社は「Steam Deckでは、そのユーザー層をターゲットとし、既に当社プラットフォーム上のゲームを楽しんでいる顧客に役立つよう、あらゆる決定を下そうとした」とし、結果的にSwitchと機能的に類似したデバイスが偶然生まれたと説明した[102]The Vergeは、Steam DeckがSwitchよりも概して高性能である一方、バッテリー持続時間とのトレードオフであり、Switchの方が優れていると指摘した。さらに同メディアは、DeckのスペックはXbox OneやPlayStation 4といった第8世代家庭用ゲーム機と同等であると認めつつも、それらの旧世代よりも新しいアーキテクチャによるCPU/GPUを採用していると報じた[103]。Kotakuは、DeckとSwitchはコンセプトが似ているものの、ターゲット層が異なるため競合機種ではないと指摘した。Switchはより幅広い層に向けたゲーム機であるのに対し、Deckはより「ハードコア」なゲーマーを想定しているためである[104]。デジタルファウンドリーは、Deckのハードウェア性能が優れている一方で、Windows OS専用に開発するゲーム開発者は、Proton互換レイヤーの影響で、Switch向け開発者ほどCPU/GPUへの低レベルアクセスが必ずしも得られない点を指摘している[105]

複数のレビュアーが指摘するSteam Deckの主な批判点の一つがバッテリー持続時間である。TechRadarのマット・ハンソンは「Steam Deckのバッテリー持続時間はかなり貧弱で、『ゴッド・オブ・ウォー』をプレイすると1時間半ほどしか持たない... これは例えば長時間のフライトでSteam Deckを使用しようと考えていた多くの人々を失望させるだろう」と指摘し、「このポータブルゲーム機が『ポータブル』という感覚を確かに損なっている」と述べた[106]。Game Informerのマット・ミラーは、バッテリー持続時間を「容赦なく短い」と評した[107]インディペンデント紙のスティーブ・ホガティは「バッテリー持続時間は断トツでSteam Deckの最大の弱点だ。このハンドヘルドPCは、まるで流行遅れになるかのように電力を貪り、グラフィック負荷の高いゲームではわずか2時間のプレイでフル充電を消耗してしまう」と評した[108]IGNのセス・G・メイシーも同様の表現で「この制限以上に、私が感じた最大で最も気落ちする問題はバッテリー持続時間だ。その性能は不安定で、真に自由なPCゲーミングという夢を実現する上で、おそらく最も現実を突きつけられる要素だろう」と述べた[109]。Eurogamerのリチャード・リードベターは「ファン騒音やバッテリー寿命といった問題は、より効率的なプロセスノードで改良されたプロセッサを採用しなければ解決できないと感じざるを得ない」と指摘している[110]

販売

調査会社Omdiaの報告によると、Steam Deckは2022年に162万台を販売した[111]。同社の報告書では、Steam Deckの累計販売台数が発売以来300万台を突破するのは2023年中であると推定した[112]。2022年を通じて、そして2023年の大半において、DeckはSteamストアで最も人気のある購入品の一つであった。Valveは2023年11月、Steam Deckの累計販売台数が「数百万台」に達したと発表[113]。市場調査会社IDC(International Data Corporation)は、2025年2月の発売3周年時点までに370万~400万台のSteam Deckが販売されたと推定している[114]

影響

Steam Deckは、同様の携帯型ゲーミングPCの流行を引き起こしたとされた。これには2023年に発売されたASUS ROG AllyLenovo Legion Go、そして2024年に発売されたMSI Claw A1Mが含まれる[115][116][117]。2025年6月には、ASUSとMicrosoftの共同開発によるWindowsベースの「ROG Xbox Ally」が発表され、Xbox Game PassやSteamなどのストアフロントをサポート。Steam Deckと同様の比較対象となった[118][119][120]

関連項目

脚注

外部リンク

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