おおいぬ座
南天半球の星座の一つ
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おおいぬ座(おおいぬざ、ラテン語: Canis Major)は、現代の88星座の1つで、プトレマイオスの48星座の1つ[2]。北半球では冬の星座として親しまれており、古代ギリシア・ローマ期の伝承では狩人オーリーオーンの猟犬や、絶対に獲物を逃さない力を授かった猟犬に見立てられてきた[2][7][8]。
| Canis Major | |
|---|---|
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| |
| 属格形 | Canis Majoris |
| 略符 | CMa |
| 発音 | [ˌkeɪnɨs ˈmeɪdʒər]、属格 /ˈkeɪnɨs məˈdʒɒrɨs/ |
| 象徴 | 大きなほうの犬[1][2] |
| 概略位置:赤経 | 06h 11m 35.7763s - 07h 27m 53.6159s[3] |
| 概略位置:赤緯 | −11°.0301533 - −33°.2504692[3] |
| 20時正中 | 2月下旬[4] |
| 広さ | 380.118平方度[5] (43位) |
| バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 32 |
| 3.0等より明るい恒星数 | 6 |
| 最輝星 | シリウス(α CMa)(-1.46等) |
| メシエ天体数 | 1 |
| 確定流星群 | 0[6] |
| 隣接する星座 |
いっかくじゅう座 うさぎ座 はと座 とも座 |
シリウスの名で知られる α星は、全天に21個ある1等星[注 1]の中で最も明るく見える[9]。シリウスと、こいぬ座α星プロキオン、オリオン座α星ベテルギウスの3つの1等星を結んで作る三角形は冬の大三角として知られている[10]。
特徴

北をいっかくじゅう座、西をうさぎ座、南西をはと座、南東から東をとも座に囲まれている[11]。20時正中は2月下旬頃[4]で、北半球では冬の星座とされ[12][13]、初秋から春にかけて観ることができる[11]。天の赤道から少し南の赤緯−11°.03 を北端としているため、人類が居住しているほぼ全ての地域から星座の一部を観ることができる[11]。一方、南端は赤緯−33°.25 と南寄りにあるため、北緯56°.75[注 2]以北の地域からは星座の全体を観ることができない[11]。
この星座で最も明るく見えるα星シリウスは、全天に21個あるとされる1等星[注 1]の中でも最も明るく見える恒星で、こいぬ座α星プロキオン、オリオン座α星ベテルギウスと形作る大きな三角形は冬の大三角として親しまれている[10]。また、シリウス、プロキオン、ふたご座のβ星ポルックス、ぎょしゃ座α星カペラ、おうし座α星アルデバラン、オリオン座β星リゲルの6つの1等星を結んで作る六角形は冬のダイヤモンドと呼ばれるアステリズムとして知られる。
由来と歴史
古代メソポタミア - 古代ギリシア・ローマ期
メソポタミアでは、シリウスとその周辺の星は「矢」を表す星座として、おおいぬ座の南側の星は東隣にあるとも座の星とともに「弓」を表す星座として見なされていた[14]。紀元前1000年頃に編纂された星表が刻まれている紀元前500年頃のメソポタミアの粘土板資料『ムル・アピン』では、シリウスは「矢」を意味する Mul Kak-Si-sa と呼ばれ、戦士や農耕の象徴とされる神ニヌルタの矢として見なされていた[15]。一方、おおいぬ座南側の星々ととも座の星の一部は「弓」を意味する Mul Pan と呼ばれ、戦争と勝利の女神であるイシュタルの弓として見なされていた[16]。オランダの数学者で科学史家のバーテル・レーンデルト・ファン・デル・ヴェルデンは、「矢」がシリウスとその周辺の星で構成され、「弓」がおおいぬ座δ星の領域にあったことはほぼ確実であるとしている[17][18]。
矢と弓というメソポタミアの星座の意匠は地中海世界には引き継がれず、これらの星々は猟犬を表す星座とされた[19]。紀元前3世紀前半のマケドニアの詩人アラートスは、詩篇『パイノメナ (古希: Φαινόμενα)』の中でこの星座を κύων(犬)と呼び、オーリーオーンの番犬であると明言した上で、オリオン座と同じように目立つ星座であるとしている[20][21]。アラートスは、κύων の顎先に輝く星を Σείριος(焼き焦がすもの)と呼び、この星が太陽と共に昇るようになると、果樹がどれだけ葉を繁茂させても強力な光を遮ることができなくなるとしている[20][21]。1世紀頃のゲルマニクスは、アラートスの『パイノメナ』のラテン語訳の中で、犬の口元で輝くシリウスについて「犬は口から炎を吐き出している」と表現した[2][22]。これらラテン語の文献でも「犬」を意味する Canis、あるいは指小辞を伴った Canicula という名称で呼ばれていた[23]。
紀元前3世紀後半の天文学者エラトステネースの天文書『カタステリスモイ (古希: Καταστερισμοί)』や1世紀初頭の古代ローマの著作家ヒュギーヌスの天文書『天文学について (羅: De Astronomica)』では、おおいぬ座には20個の星が属するとされた[7][8]。帝政ローマ期2世紀頃のクラウディオス・プトレマイオスの天文書『マテーマティケー・シュンタクシス (古希: Μαθηματικὴ σύνταξις)』、いわゆる『アルマゲスト』でも、この星座にはギリシア語で単に「犬」を意味する Κύων という名称が用いられ[2][24]、星座を形作る星が18個、「星座を作らない星 (羅: amorphotoi)」が11個あるとされた[25]。現在、プトレマイオスが「星座を作らない星」とした星は、1つがおおいぬ座λ星、別の1つがいっかくじゅう座δ星とされ、残る9個ははと座に組み込まれている[2][25]。
近世 - 現代
『アルマゲスト』を元に10世紀頃のイラン・ブワイフ朝の天文学者アブドゥッ=ラフマーン・アッ=スーフィーが著した天文書『星座の書 (كتاب صور الكواكب الثابتة Kitāb ṣuwar al-kawākib aṯ-ṯābita / al-thābita)』では、「大きなほうの犬」という意味の al-Kalb al-Akbarという名称が使われ、『アルマゲスト』と同じく18個の星と11個の「星座を作らない星」があるとされた[26]。

14世紀に編纂された『アルフォンソ天文表』では Canis Syríus という呼称が用いられたこともあった[23][27]が、16世紀デンマークの天文学者ティコ・ブラーエが1598年1月に製作した手書きの星表『Stellarum octavi orbis inerrantium accurata restitutio』や、ブラーエの死後の1602年にヨハネス・ケプラーによって刊行された天文書『Astronomiae Instauratæ Progymnasmata』に収められた星表では「大きなほうの犬」を意味する CANIS MAIOR の名称が使われており[28][29][注 3]、以降ほとんどの天文書でもこの名称が使われている。16世紀ドイツの法律家ヨハン・バイエルは、1603年に刊行した星図『ウラノメトリア』の中で CANIS MAIOR というラテン語の星座名を記すとともに、おおいぬ座の星に対して α から ο までのギリシャ文字15個を用いて19個の星に符号を付した[31][32][33][注 4]。これらの内訳は、プトレマイオスと同じ18個の星に、プトレマイオスが「星座を作らない星」とした星の1つに λ の符号を付けて加えたものであった[25][34]。のちに π・σ・τ・ω が加えられ、いわゆるバイエル符号が付けられた星の数は23個となっている[11]。
1922年5月にローマで開催された国際天文学連合 (IAU) の設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Canis Major、略称は CMa と正式に定められた[35][36]
中国
ドイツ人宣教師イグナーツ・ケーグラー(戴進賢)らが編纂し、清朝乾隆帝治世の1752年に完成・奏進された星表『欽定儀象考成』では、おおいぬ座の星々は二十八宿の南方朱雀七宿の第一宿「井宿」に配されていた[37][38]。
神話

エラトステネースの『カタステリスモイ』やヒュギーヌスの『天文学について』では、おおいぬ座は大神ゼウスからエウローペーに贈られた犬であると伝えられている[7][8]。これは、オウィディウスの『変身物語』ではライラプス (Lailaps) という名前で登場する犬で[39]、ヒュギーヌスによるとこの犬は必ず獲物を捕まえる力を授かっていたとされる[7][8]。この犬はゼウスとエウローペーの子ミーノースに受け継がれた後、ミーノースの病を癒やしたプロクリスに与えられ、さらにプロクリスの夫となったケパロスのものとなった[2][7][8]。ケパロスがこの犬を伴ってテーバイを訪れると、誰にも捕まえられない力を授かった狐を捕まえることとなった。途方に暮れたゼウスは、狐を石に変え、犬を星座の間に据えてその栄誉を称えた[7][8][注 6]。
エラトステネースやヒュギーヌスは、これをオーリーオーンの猟犬とする説も伝えている[2]が、犬が星座となった理由を伝える物語は特に記していない[7][8]。ホメーロスやヘーシオドス、アラートスは、オーリーオーンの足元でこの犬がウサギ[注 7]を追いかけているとしている[2]。またヒュギーヌスは、イーカリオスの飼い犬であるとする説もあると伝えている[8]。
呼称と方言
学名
世界で共通して使用されるラテン語の学名では、主格は Canis Major、属格は Canis Majoris、略称は CMa と定められている[35][36]。Canis Major に対応する日本語の学術用語としては「おおいぬ」という呼称が定められている[40]。現代の中国でも日本語と同じく大犬座と呼ばれている[41][42]。
日本語名の変遷
明治初期の1874年(明治7年)に文部省より出版された関藤成緒の天文書『星学捷径』では、「カニス、メージョル」という読みと「大犬」という訳が紹介された[43]。また、1879年(明治12年)にノーマン・ロッキャーの著書『Elements of Astronomy』を訳して刊行された『洛氏天文学』では、上巻でラテン語のカタカナ書き「カニス、マジョル」と英語のカタカナ書き「グレートドッグ」が[44]、下巻で「大犬宿(カニス、マジョル)」と星座名が紹介されていた[45]。これらから30年ほど時代を下った明治後期には既に「大犬」という呼称が使われていたことが、1908年(明治41年)4月刊行の日本天文学会の会報『天文月報』の第1巻1号掲載の「四月の天」と題した記事中の星図で確認できる[46]。1910年(明治43年)2月に訳語が改訂された際もこの「大犬」がそのまま使用された[47]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「大犬(おほいぬ)」として引き継がれ[48]、1944年(昭和19年)に学術研究会議が天文学用語の見直しを行った際も「大犬(おほいぬ)」が継続して採用された[49]。戦後の1950年に出版された『理科年表』第24冊からは仮名遣いが改められて「大犬(おおいぬ)」と表記されるようになった[50]。さらに1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[51]と定めた際に、Canis Major の訳名は「おおいぬ」と定まり[52]、以降この呼び名が継続して用いられている。
方言
日本の各地で、シリウスの地方名や δ・ε・η が成す三角形の地方名が採集されている[53]。
| 星・星群 | 和名 | 意味 | 地方 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| δ・ε・η | ミツボシ | 三つ星 | 秋田県由利郡仁賀保町平沢(現・にかほ市) | |
| サンカク | 三角 | 宮城県気仙沼市・同本吉郡歌津町字馬場(現・南三陸町)・同亘理郡亘理町荒浜・静岡県庵原郡袖師村(現・静岡市清水区) | ||
| サンカクボシ | 三角星 | 岩手県気仙郡高田町(現・陸前高田市)徳島県鳴門市里浦町里浦 | ||
| ミボシ | 巳星 | 静岡県静岡市駿河区稲川 | ||
| ナットーバコ | 納豆箱 | 静岡県志太郡焼津町(現・焼津市) | ||
| ゾウリボシ | 草履星 | 岩手県久慈市侍浜町本波 | ||
| クラカケボシ | 倉掛け星 | 静岡県志太郡焼津町 | ||
| クラノハシ | 倉の端 | 静岡県焼津市 | 倉のとがりに見立てた。 | |
| クラノムネ | 倉の棟 | 高知県吾川郡御畳瀬村(現・高知市御畳瀬) | 倉のとがりに見立てた。 | |
| クラカケ | 鞍掛 | 静岡県志太郡焼津町小川新地・同城之腰仲町・同大洲村(現・藤枝市) | ||
| クラカキ | 鞍掛 | 静岡県志太郡焼津町城之腰・同大洲村 | ||
| クラカケボシ | 鞍掛星 | 静岡県志太郡六合村道悦島(現・島田市) | ||
| クラガリ | 鞍掛 | 静岡県志太郡焼津町焼津 |
主な天体
恒星
全天で最も明るく見える1等星のα星シリウス以外に、β・δ・ε・η の4つの2等星があり[54][55][56][57]、ε星は2等星の中で最も明るく見える[56]。2025年12月現在、国際天文学連合 (IAU) によって10個の恒星に固有名が認証されている[58]。

- α星
- 太陽系から約8.7 光年の距離にある連星系[注 9]。A型主系列星の主星A と白色矮星の伴星B から成る連星系[60]で、互いの共通重心を50.9 年の周期で公転している[61]。
- 主星Aは、太陽を除いて全天で最も明るく見える恒星で「シリウス[11](Sirius[58])」という固有名で特によく知られている。シリウスはギリシャ語で「光り輝く者」や「焼き焦がす者」を意味する言葉 Σείριος に由来する[62]。
- A星
- 見かけの明るさ-1.47 等、スペクトル型 A7Vm のA型主系列星で、-1等星[63]。分光スペクトル中に鉛・ストロンチウム・ジルコニウム・バリウム等の金属元素の強い吸収線を持つ化学特異星の「Am星」に分類されている[63]。
- B星
- 見かけの明るさ 8.44 等、スペクトル型 DA1.9 の白色矮星で、8等星[64]。その存在は、ドイツの天文学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルの1844年8月10日付の書簡でその存在を予測[65]し、1862年1月31日にアメリカの望遠鏡製作者で天文家のアルヴァン・グラハム・クラークが発見した[66]。1915年にはアメリカの天文学者ウォルター・シドニー・アダムズが B星の恒星スペクトルの観測に成功し、前年のエリダヌス座ο2星B に続いて白色矮星であることが確認された2番目の天体となった[67]。
- β星
- 太陽系から約499 光年の距離にある[54][注 9]、見かけの明るさ 1.97 等、スペクトル型 B1II-IIIの青色巨星で、2等星[54][注 9]。アラビア語の意味不詳の言葉 al-mirzam に由来する[62]「ミルザム[11](Mirzam[58])」という固有名が認証されている。
- γ星
- 太陽系から約313 光年の距離にある、見かけの明るさ 4.12 等、スペクトル型 B8II の輝巨星で、4等星[68]。アラビア語で「争いを引き起こす2つのもの」を意味する muhlifan という言葉に由来する[62]「ムリフェイン[11](Muliphein[58])」という固有名が認証されている。
- δ星
- 太陽系から約1600 光年の距離にある[55][注 9]、見かけの明るさ 1.84 等、スペクトル型 F8Ia の黄色超巨星で、2等星[55]。アラビア語で「重さ」を意味する言葉 al-wazn に由来する[62]「ウェズン[11](Wezen[58])」という固有名が認証されている。
- ε星
- 太陽系から約404 光年の距離にある、見かけの明るさ 1.50 等、スペクトル型 B1.5II の輝巨星で、2等星[56]。2等星としては最も明るい。A星にはアラビア語で「処女たち」を意味する言葉 al-ʿadhārā に由来する[62]「アダラ[11](Adhara[58])」という固有名が認証されている。
- ζ星
- 太陽系から約327 光年の距離にある連星系[69]。A星と約3′離れた位置に見えるB星は見かけの二重星の関係だが、A星自体が分光連星で、3.6 等のAa星と3.8 等のAb星が675日の周期で互いの共通重心を公転していると見られている[70]。Aa星には、アラビア語で「孤独なものたち」を意味する言葉 al-furūd に由来する[62]「フルド[11](Furud[58])」という固有名が認証されている。
- η星
- 太陽系から約1990 光年の距離にある[57][注 9]、見かけの明るさ 2.45 等、スペクトル型 B5Ia の青色超巨星で、2等星。変光星としては脈動変光星の分類の1つ「はくちょう座α型変光星」に分類されており、平均4.70433 日の周期で 2.38 等から 2.50 等の範囲でその明るさを変える[71]。アラビア語で「処女」を意味する言葉 al-ʿudhra に由来する[62]「アルドラ[11](Aludra[58])」という固有名が認証されている。
- σ星
- 見かけの明るさ3.47 等、スペクトル型 K5Ib の赤色超巨星[72]。オーストラリアのビクトリア州北西部の先住民族 Maligundidj 族の部族であるブーロン族の文化でアガマ科ヒゲトカゲ亜科の爬虫類「ジャッキードラゴン」を意味する言葉に由来する「ナヌルガニジ[注 10](Nganurganity[58])」という固有名が認証されている。
- HD 43197
- 太陽系から約204 光年の距離にある、見かけの明るさ 8.95 等、スペクトル型 G8/K0IV/V の9等星[74]。2009年にドップラー分光法により軌道長半径0.92±0.02 au(天文単位)、軌道離心率0.83±0.01の公転軌道を327.8±1.2 日周期で公転する0.60+0.12
−0.04 MJ(木星質量)の太陽系外惑星HD 43197bが発見された[75][76]。また2022年には、ドップラー分光法及びアストロメトリ法により軌道長半径8.540+2.334
−1.584 au、軌道離心率0.149+0.112
−0.087の公転軌道を9296.0+4133.0
−2422.1 日周期で公転する7.868+1.760
−1.599 MJの系外惑星HD 43197cが発見された[77][78]。2019年に開催された国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoWorlds」でナイジェリア連邦共和国に命名権が与えられ、主星はイボの神話に登場する正義や愛、平和、団結の神にちなんだ Amadioha、系外惑星HD 43197bには Equiano と命名された[79][58]。 - WASP-64
- 太陽系から約1177 光年の距離にある恒星系[80]。2011年にトランジット法により太陽系外惑星が発見された[81][82]。「IAU100 NameExoworlds」でトーゴ共和国に命名権が与えられ、主星にトーゴ最大の山脈にちなんだ Atakoraka、太陽系外惑星は Agouto と命名された[79][58]。
このほか、以下の恒星が知られている。
- ο2星
- 太陽系から約3700 光年の距離にある、見かけの明るさ 3.02 等、スペクトル型 B3Ia の青色超巨星で、3等星[83]。変光星としてははくちょう座α型に分類されており、平均24.44 日の周期で2.99 等から 3.08 等の範囲でその明るさを変える[84]。既知の恒星で,最も光度が大きなものの1つ。
- おおいぬ座145番星
- 「冬のアルビレオ」と呼ばれるほど美しい二重星として知られる[85]。見かけの明るさ4.79 等、スペクトル型 K3Ib- のA星[86]と、見かけの明るさ5.79 等、スペクトル型 A5mA5-A9 のB星[87]が26.5″離れた位置に見えるが、太陽系からの距離はA星が2683 光年[86]、B星が347 光年[87]と大きく異なっており、たまたま同じ方向に見えるだけの見かけの二重星である。
星団・星雲・銀河
18世紀フランスの天文学者シャルル・メシエが編纂した『メシエカタログ』に挙げられた散開星団が1つ位置している[88]。また、パトリック・ムーアがアマチュア天文家の観測対象に相応しい星団・星雲・銀河を選んだ「コールドウェルカタログ」に散開星団が2つ選ばれている[89]。
- M41 (NGC 2287)
- 太陽系から約2150 光年の距離にある散開星団[90]。「紀元前325年頃にアリストテレスが発見していた」とする説も出されているが、定かではない[91]。確実に観測された記録が残されているのは、17世紀シチリア島の天文学者ジョヴァンニ・バッティスタ・オディエルナによるもので、1654年以前に発見されていたとされる[91]。オディエルナによる発見は世に知られなかったため、1702年2月16日にジョン・フラムスティードが独立して発見している。
- NGC 2360
- 太陽系から約3650 光年の距離にある散開星団[92]。γ星の南3°の位置にある。コールドウェルカタログの58番に選ばれている[89]。1763年2月26日にキャロライン・ハーシェルが発見した[93]ため、英語では Caroline's Cluster とも呼ばれる[92]。
- NGC 2362
- 太陽系から約4190 光年の距離にある散開星団[94]。コールドウェルカタログの64番に選ばれている[89]。最も明るく目立つ 4.4 等の青色巨星τ星を中心に暗い星が集まった星団で、「おおいぬ座τ星団[95](Tau Canis Majoris Cluster[96])」とも呼ばれる。小望遠鏡で60個ほどの星を見ることができる[97]。
- NGC 2359
- 太陽系から約1万5000 光年の距離にある散光星雲[98][99][100]。中央付近に見えるウォルフ・ライエ星HD 56925 (WR 7) から放出された恒星大気の外層が恒星風を受けることで光を放っている[101]。その外観から「トールの兜[102](英: Thor's Helmet[100][103])」や Duck Nebula[100]などの通称で知られる。
- Sh 2-308
- 太陽系から約5000 光年の距離にある散光星雲[104]。NGC 2359 と同じく、ウォルフ・ライエ星のHD 50896 (WR 6) から放出された恒星大気の外層が恒星風を受けることで光を放っている[101]。その形状から「ミルクポット星雲[101][105]」や「イルカの頭星雲 (Dolphin-Head Nebula)」[101]などの通称でも知られる。
- 1997年9月にアメリカ アリゾナ州のキットピーク国立天文台にあるケース・ウェスタン・リザーブ大学ワーナー・アンド・スウェイジー天文台バレル・シュミット望遠鏡で撮影された、散開星団M41 (NGC 2287)。
- その外観から「ミルクポット星雲」や「イルカの頭星雲」などの通称でも知られる散光星雲 Sh 2-308。