ルツェルン・トロリーバス
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開通から路面電車の置き換えまで
ルツェルン市内にトロリーバスを導入する計画は1910年代の時点で既に存在し、トロリーバスが使用されていた都市への視察も実施されたが、第一次世界大戦の勃発により計画は断念された。その後、1930年代に入ると1899年に開通して以降公共交通の主力であった路面電車(ルツェルン市電)に代わる新たな交通機関が求められるようになり、改めてトロリーバスの導入が注目されるようになった。そして、路面電車の運営事業者による各都市の視察により、一部区間をトロリーバスに転換する計画が提示された[4][7]。
この計画は架線により景観を損なうなどの理由から市民投票の結果反対多数で否決されたが、第二次世界大戦の勃発以降、路線バスの燃料供給が困難になった他、バスと路面電車の並行区間の削減も求められるようになった。そこで、路面電車の運営事業者はこの区間をトロリーバスに置き換える案を再度提示し、デモンストレーション走行なども実施した結果、今回は賛成多数で承認された。そして1941年12月7日、ルツェルン駅とアルメンド地区(Allmend)を結ぶ全長2.59 kmの路線が営業運転を開始した。当初導入されたのは、ローザンヌ(ローザンヌ・トロリーバス)から借用した車両と、バスから改造した車両の2両で、2週間後には更に1両が増備された[3][4][5][8]。
続けて翌1942年1月にはルツェルン駅とディーツィベルク(ハルデ)(Dietschiberg (Halde))まで結ぶ路線が開通し、4両の車両増備も実施され、同年4月からは最短6分間隔での運行が可能となった。次の車両増備が実施されたのは終戦後の1940年代後半であり、利用客の急増に加え、当時検討されていた更なる路線網の拡大に対応するためであった。しかし、この時点で計画されていたこれらの新規区間は、架線の敷設費用の上昇などが要因となり実現しなかった。ただし、それとは別に従来の路線バス路線の一部を電化する計画が1950年に承認され、ルツェルン駅とヴェゼムリン(Wesemlin)を結ぶ経路が1951年に開通している[3][5][9][8]。
一方、1950年代には大型のトロリーバス車両の導入に加え、車両や施設の老朽化が課題となっていた路面電車(ルツェルン市電)を全面的にトロリーバスに置き換える案が検討されるようになり、1957年に実施された住民投票でも多数の賛成票を得た。これを受け、1950年代後半から1960年代前半にかけて多数の車両の納入が実施され、それと並行して残存していた路面電車のトロリーバスへの転換が進められた。ルツェルンで路面電車が廃止されたのは、最後に残った1号線がトロリーバスへ置き換えられた1961年11月12日である[10][8]。
- 1950年代以降導入された大型車両(1987年撮影)
1960年代後半以降の動き
路面電車を置き換えて以降も、1960年代には路線バスからの転換を含めた一部区間の延伸が実施されたが、それからしばらく路線網の拡大が滞る期間が長く続いた。一方で車両については、大型トロリーバスをもってしても輸送力不足が課題となっていた事を受け、1966年からは輸送力に長けた連節式車両の営業運転が開始された[3][10][11][8]。
路線網の再度の拡大が始まったのは1980年代後半からで、1986年にはディーゼルバスが使用されていた8号線がトロリーバスへ転換された他、1990年にも地域開発の一環などの目的から既存の系統の延伸が行われた。それと並行して架線や施設の更新工事が進められた他、車両についても新型連節式車両の導入による旧型車両の置き換えが実施されている、また、ラッシュ時の定員数増加を目的に、1998年にはバリアフリーに適したノンステップ式のトレーラーが導入され、既存の2軸車両の後方に連結された。一方、同時期にはルツェルン市内に路面電車を復活させ、トロリーバス路線の一部を置き換える計画も存在したが、1999年に却下されている[3][12]。
ルツェルンのトロリーバスにおける本格的なノンステップ車両の営業運転は2004年から開始され、以降旧型車両を置き換える形で順次運行範囲を拡大していった。更に2006年12月には輸送力が増した二連節車両が営業運転に投入されている。一方、路線網については2004年に新規の延伸が実施され、2013年にも都市構想の一環で整備が進められていたビュッテネンハルデ(Büttenenhalde)とルツェルン市内を結ぶ区間が開通した一方で、整備が進められていた通勤鉄道網(Sバーン・ルツェルン)との兼ね合いから翌2005年に系統の1つ(5号線)が路線バスへ置き換えられている[3][13][14][8]。
「Rbus」
2010年代以降、ルツェルンではスイス国外で多数導入されている「BRT(Bus Rapid Transit)」もしくは「BHNS(Bus à haut niveau de service)」と呼ばれる、専用道路や優先信号など様々な高規格の要素を導入したバス路線を基に、「RBus」と呼ばれるプロジェクトが進められている。これはトロリーバスの高規格化や輸送力増強を目指すもので、路面電車(ライトレール)と同等のサービスを提供する事を目標としており、交通管理システムやバス停、バス専用レーンなど、各種のインフラの整備が継続的に実施される。その中にはトロリーバス路線の拡張も含まれており、2019年12月には「RBus」として整備された1号線の延伸が実施されている。また、車両についても輸送力の高い二連節式車両の導入が積極的に行われており、2017年までに高床式の非連節式車両やトレーラーは営業運転から撤退している[15][13][1]。
- 「RBus」計画に基づき導入された二連節式車両(2014年撮影)
系統
車両
2026年現在、ルツェルン市内で使用されているトロリーバス車両は以下の通り。全車両ともスイスの自動車メーカーであるカロッサリー・ヘスが展開する連節式車両で、車内はバリアフリーに適した低床構造となっている。これに加え、ルツェルン交通会社(VBL)は2024年にスイスの自動車メーカーであるカロッサリー・ヘスとの間に53両(連節式車両:46両、二連節式車両:7両)の新型車両の発注を実施しており、同年時点で最も古い車両群の置き換えが2026年以降進行する事になっている[13][16]。
一方、過去に使用されていた車両についても一部が残存しており、その中にはこれらの車両の保存を目的として2012年に設立されたVBLヒストリック協会(Verein vbl-historic)によって一般公開が実施されている車両も存在する[17]。
| 写真 | 車両番号 | 両数 | 車種 | 導入年 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 201 - 210 | 10両 | 連節バス | 2004年、2006年 | 置き換え予定あり | |
| 221 - 226 | 6両 | 連節バス | 2009年 | ||
| 227 - 230 | 4両 | 連節バス | 2016年 | ||
| 231 - 233 | 3両 | 二連節バス | 2006年 | ||
| 234 - 242 | 9両 | 二連節バス | 2017年 | ||
| 401 - 409 | 9両 | 二連節バス | 2016年 | ||
| 410 - 417 | 8両 | 二連節バス | 2017年 | ||
| 418 - 422 | 5両 | 二連節バス | 2019年 | ||
今後の予定
ルツェルンでは、2026年末までに実施されるバス停の整備やトロリーバス車両の増備に合わせ、2027年に路線バス・トロリーバス網を全面的に見直す大規模なダイヤ改正が実施される事になっている。これに先立ち、ルツェルン市内を東西に結ぶ「RBus」系統の3号線やリッタウ(ルツェルン・リッタウ駅)から市内中心部を経由しトリプシェン地区(Tribschen)やマットホーフ地区(Matthof)を結ぶ9号線が新たに新設される他、既存の系統についても4号線や8号線などで延伸や路線変更が実施される。2025年の時点で発表されている、2027年以降のトロリーバスの運行経路は以下の通りである[18]。
| 系統番号 | 起点 | 終点 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | Ebikon Fildern | Obernau Dorf | |
| 2 | Luzern Bahnhof | Emmenbrücke Sprengi | |
| 3 | Gasshof | Büttenenhalde | 従来の12号線(路線バス)と8号線(旧、トロリーバス路線)を転換[19] |
| 4 | Gasshof | Würzenbach | |
| 5 | Hubelmatt | Luzern Bahnhof | |
| Maihof | |||
| 6 | Matthof | Büttenenhalde | ラッシュ時のみ運行 |
| 7 | Horw Biregghof | Unterlöchli | |
| 8 | Hirtenhof | Friedental | |
| 9 | Matthof | Littau Bahnhof | |