天幕のジャードゥーガル
トマトスープによる漫画
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『天幕のジャードゥーガル』(てんまくのジャードゥーガル、A Witch's Life in Mongol)は、トマトスープによる日本の漫画。WEBコミックサイト『Souffle』(秋田書店)にて2021年9月25日から連載中。月刊少女漫画雑誌『ミステリーボニータ』でも2025年4月号から出張連載中[1]。略称は「天ジャ」[2]。話数表記は「第○幕」。2026年にテレビアニメ化された。
| 天幕のジャードゥーガル | |
|---|---|
| ジャンル | 歴史 |
| 漫画 | |
| 作者 | トマトスープ |
| 出版社 | 秋田書店 |
| 掲載サイト | Souffle |
| レーベル | ボニータコミックス |
| 発表期間 | 2021年9月25日 - |
| 巻数 | 既刊6巻(2026年7月15日現在) |
| アニメ | |
| 原作 | トマトスープ |
| 総監督 | 山田尚子 |
| 監督 | Abel Gongora |
| シリーズ構成 | 加藤還一 |
| キャラクターデザイン | 吉田健一 |
| 音楽 | 日野浩志郎 |
| アニメーション制作 | サイエンスSARU |
| 製作 | 天幕のジャードゥーガル製作委員会 |
| 放送局 | テレビ朝日系列ほか |
| 放送期間 | 2026年7月4日 - 9月12日 |
| 話数 | 全12話 |
| テンプレート - ノート | |
| プロジェクト | 漫画・アニメ |
| ポータル | 漫画・アニメ |
13世紀のモンゴル帝国を主な舞台とし、第2代皇帝オゴデイの第6皇后ドレゲネに側近として仕えたファーティマ・ハトゥンを題材としている。題名の「ジャードゥーガル」はペルシア語で「魔術師」「魔女」の意(جادوگر, 現代ペルシア語発音:[d͡ʒɒː.d̪uː.ɡʲæɹ])[3][4][5][注 1]。
制作
トマトスープは5歳ごろに中国内モンゴル自治区のシリンホト市へ行った経験があり、それ以来モンゴルに興味を持ち、大学時代から本格的にモンゴル帝国史を調べるようになった[6]。自身のウェブサイトにモンゴル帝国を舞台にした漫画を掲載していたところ、秋田書店の編集者の目に留まり、本作の連載に至った[6]。
トマトスープは、フィクションにおけるモンゴル帝国は暴力性が強調されがちだが、それは一面的な見方で、交通網の整備によってユーラシア大陸の東西の文化や技術の交流が活発になった側面も描きたかったと語っている[7]。
本作は10年ほど構想を温めていたもので、当初はドレゲネを主人公にする予定だった[6][8]。トマトスープはドレゲネについて、後世の歴史書では評価が低いものの男性優位社会で一時はトップに立った女性であり「何かしらのタレント性はあったはず。なぜ高い地位に就いたのか、その理由を想像で埋めればドラマチックな物語になる」と語っている[7]。しかし、モンゴル帝国のスケールの大きさを描くには動きのある人物が良いと考え、またイスラムの歴史も好きだったこともあり、ファーティマを奴隷出身という出自に変えた上で主人公に据えることにしたという[8][7]。トマトスープはファーティマについて、史書から受ける印象は「たくましく生きていく人」であるが本作では「不器用な人」として表現し[9]、スカッとしない苦い物語を描きたいと語っている[10]。
連載開始後にロシアのウクライナ侵攻が起こり、ロシア軍に占領され破壊されたウクライナの街がロシアの手で綺麗に造り替えられている状況を知って、元の住人はどのような気持ちになるだろうかと思ったことが、主人公の内面描写に反映されている[7]。
絵柄は中世の写本に見られる平面的な描き方が意識されている[8]。キャラクターのデザインに関しては、登場人物が多いことから判別しやすいように記号化されており、加齢はあまりリアルに描かれない[10]。
モンゴル人の名前の表記については、必ずしも原音に近いものではなく、文字数の少なさや読みやすさを考慮した表記が採用されている[11]。
あらすじ

13世紀、モンゴル帝国最盛期。モンゴル帝国のホラズム遠征により故郷を失い捕虜となったペルシア人の元奴隷少女シタラ(ファーティマ)が、宮廷に入り込み、同じく帝国に恨みを持つ妃ドレゲネと出会い、知によって帝国への復讐をもくろむ後宮譚。
- 第1幕から第14幕(アニメ版の第1幕から第6幕に相当)
- 1213年、ペルシア(イラン)東部の街トゥース。奴隷の少女シタラは学者の未亡人ファーティマに引き取られ、ファーティマやその息子ムハンマドから学問の大切さを教わる。その秋、ムハンマドはさらなる学びを求め、ニーシャプールへと旅立つ。シタラは屋敷で働きながら教養を身につけ、ムハンマドは遊学先から手紙を出してシタラを気に掛ける。
- 8年後、モンゴル皇帝チンギス・カンの四男トルイ率いる軍勢がトゥースを侵攻する。トルイは自身の妃ソルコクタニが望む学術書『エウクレイデスの原論』(以下、『原論』)を探しており、屋敷に押し入ってファーティマの亡き夫が遺した大切な写本を奪う。シタラは取り返そうとして兵士に斬りかかられ、シタラを庇ったファーティマが命を落とす。
- シタラは捕虜となり、他の侵略された都市の人々とともにモンゴルに送られるが、その途上で奴隷仲間や多くの人々の死に直面し、ニーシャプールも陥落したことを知って絶望する。しかし通訳の少年シラから『原論』の指南役としてソルコクタニに仕えることを提案される。シタラは写本を取り戻すことを心に誓い、「学者の娘・ファーティマ」と身分を偽ってソルコクタニの侍女となる。侵略された側の境遇や心情に無頓着なソルコクタニに復讐心を掻き立てられながら、シタラは表面的には従順に仕え、信頼を得てゆく。
- 1227年、皇帝チンギス・カンが崩御。1229年にクリルタイ(総会議)が開かれ、先帝の遺言により三男オゴタイが皇帝に即位する。しかし末子相続の慣習によりチンギス・カンの財産や軍事力の大半はトルイが継承し、権力のねじれが生じていた。権力闘争を危惧するソルコクタニは、先帝の次男で新帝と親しいチャガタイの動向を探るべく、シタラに密偵を命じる。しかしシタラは潜入に失敗し、ジャダ石の所持を咎められてオゴタイの第6皇后ドレゲネの前に引き出される。ドレゲネは元々メルキト族長ダイル・ウスンの妻で、夫や一族を討ったモンゴルに強い恨みを持っていた。復讐の手立てがないまま日々を過ごしてきた二人であったが、互いの境遇を知ったことで結託し、モンゴル帝国を内部から崩壊させるべく動き出す。
- 第15幕から第25幕(アニメ版の第7幕から第12幕に相当)
- 第1皇后ボラクチンは原因不明の病で床に臥していた。第4皇后モゲから治療を頼まれたシタラは病因を「鉱山のほこり」と見抜き、ジャダ石を処方して見事回復させる。シタラはボラクチンから重用されるが、ドレゲネとの間にすきま風が吹く。
- 1232年、金国遠征から帰還途中のオゴタイが病に倒れ、長年オゴタイを敵視してきたドレゲネが「鉱山のほこり」を盛ったとして拘束される。シタラはドレゲネが罪を着せようとしていたとボラクチンに吹き込まれ、ジャダ石を全て差し出す。ジャダ石の服用と病気平癒の祈祷によりオゴタイは回復するが、祈祷に使われた水を飲んだトルイが身代わりのように急死。権力はオゴタイに集中し、トルイ家の財産も没収される。シタラは『原論』を取り戻すが、モンゴルへの怒りとドレゲネとの約束を思い出し、ドレゲネを探す。
- ボラクチンは未亡人となったソルコクタニをドレゲネの息子グユクと結婚させ、宮廷から遠ざけようとする。シタラはボラクチンの使いでソルコクタニと面会するが、気力をなくした彼女の姿に怒りを覚え、思わず一喝する。シタラの一喝に心動かされたソルコクタニは、再婚を断りトルイ家の独立を保ったままオゴタイ家と協力することを宣言する。
- シタラはシラたちの協力を得て、オゴタイの重臣イルケの天幕に軟禁されていたドレゲネと再会する。そこへオゴタイが現れ、ドレゲネには宮廷から離れてグユクの元へ行くよう勧め、シタラには国を豊かにすることでシタラやドレゲネのようなモンゴルを憎む者を幸せにしてみせると宣言する。しかしドレゲネはオゴタイの提案を断り、シタラと共に宮廷に残り「魔女」となることを誓う。
年表
年号は全て西暦。史実とは必ずしも一致しない。
- 1204年 - ドレゲネがダイルと結婚するが、この年の秋、メルキト族はモンゴルに降伏。その後、ドレゲネはオゴタイと再婚。【第2巻】
- 1209年 - カダクがグユクの養育係となる。【第6巻】
- 1213年 - シタラがファーティマに引き取られる。この年の秋、ムハンマドがニーシャプールに遊学に出る。【第1巻】
- 1221年 - トルイの軍勢によりトゥース陥落。シタラは捕虜としてモンゴルに連行され、ソルコクタニに仕える。【第1巻】
- 1227年 - チンギス・カン崩御。トルイが監国の任に就く。【第2巻】
- 1229年 - オゴタイが新帝に即位。ジャダ石紛失事件によりシタラとドレゲネが出会う。【第2巻】
- 1230年 - モゲを介してシタラとボラクチンが出会う。金国親征開始。【第3巻】
- 1232年 - 三峰山の戦い。凱旋途上でオゴタイが病に倒れ、身代わりのようにトルイが急死。カダクを介してシタラとグユクが出会う。【第3-4巻】
- 1233年 - ドレゲネがボラクチンに接近し、第6妃から第2妃に昇格。ペルシア総督府設置。イルチダイの密通とオイラト族の流言に裁定が下る。【第4-5巻】
- 1235年 - 首都カラコルムの建設に着手。南宋・高麗・キプチャクへの大遠征開始。【第5巻】
- 1236年 - 南宋遠征中のクチュが急死。ペルシア総督府で権益争い。【第5巻】
- 1237年 - 西征軍がルーシに侵攻。コルゲンが戦死。【第6巻】
登場人物
声の項はテレビアニメ版の声優。序盤で故人となるファーティマと区別するため、ここではシタラ(ファーティマ)について一貫してシタラと表記する。
主要人物
- シタラ / ファーティマ
- 声 - 関根明良[12]
- 主人公。シタラは「星」の意。奴隷身分出身のペルシア人で、イスラム教徒[注 2]。幼い頃より本心を押し隠して笑顔を作るのが得意。不屈の才女だが、時に思慮の浅さや頑迷さを見せる。
- 幼少期に同じく奴隷だった母を亡くして天涯孤独の身となり、同時に前の主人から奴隷商に売られる。容貌を評価した奴隷商が「教養を身に着けさせ高貴な人の側仕えにしたい」ともくろみ、学者の未亡人ファーティマに引き取られた。当初は逃げ出そうとするが、ムハンマドから「賢くなれば困った時何をすればいいかわかる」と教えられて感銘を受け、屋敷で働きながら当時世界最先端だったイスラム世界の教養を身につける。ムハンマドには敬愛の念と淡い恋心を抱くとともに、学問を自由に学べる身分の彼に対して悔しさ混じりの複雑な感情も抱いていた。ファーティマから実の娘のように愛され、人生に希望を見出していたが、モンゴル軍の侵攻により全てを失う。
- 捕虜としてモンゴルに連行されてからは、トルイに奪われた『原論』の写本を取り戻すためソルコクタニに仕える。その際「王族に取り入るためには出自が良い方が望ましい」というシラの提案から、亡き主人の名である「ファーティマ」を名乗り、学者の娘として振る舞う。ペルシアで培った知識を誇りとし、しばしば固執するが、一方でモンゴル文化の吸収にも貪欲で、当初は話せなかったモンゴル語も数年で貴人と流暢に話せるほど上達している。
- オゴタイ即位直後、ソルコクタニの命令でチャガタイの元に潜入を試みるが、たまたま持っていたベゾアール石(モンゴルでは「ジャダ石」と呼ばれる)をドレゲネから盗んだものと勘違いされ、ドレゲネの元に引き渡される。モンゴルでの生活に慣れ復讐心が揺らぎつつあったが、ドレゲネの境遇や想いを知って共鳴し、ドレゲネの侍女となってモンゴル帝国への復讐を共に誓う。経験不足と不器用な性格から復讐に向けた策略は思うように進まないが、シタラの行動は思いがけず関わる人々を変えていく。やがて帝国がもたらす繁栄や幸福そのものを憎むようになり、また権力闘争を経て無辜の人を陥れることに抵抗を感じなくなり、救いのない運命を自覚していく。
- 「シタラ」という名はイブン・スィーナーゆかりの女性の名から取られた[注 3]。
- ドレゲネ
- 声 - 小清水亜美[12]
- オゴタイの第6妃で、のちに第2妃へ昇格[注 4]。ナイマン族の出。繊細な性格で気難しいが、少々抜けたところもある。
- 最初の夫はメルキト族のウハズ氏族の長ダイル・ウスン。モンゴルに対抗する部族間同盟のための政略結婚であり、ダイルとは親子ほどの年の差があったが[注 5]、ダイルの娘クランの手助けもあり、徐々に夫や氏族への愛着を抱く。しかし氏族はモンゴルに降伏し、女はモンゴルに引き渡され、男は後に反乱を起こして討伐された。ダイルらの討伐を指揮したのがオゴタイであり、ドレゲネはオゴタイの妻となったことで生かされ、子ももうけた。
- 夫を討ったオゴタイひいてはモンゴル帝国を強く憎み、オゴタイの面前でも敵愾心を隠さず、宮廷内で孤立している。息子グユクの育児も乳母やカダクに任せきりであったが、やがてグユクに自分の姿を重ねるようになり、成長後は「グユクちゃん」と呼び溺愛している。
- なす術がないまま憎しみを募らせる日々を過ごしていたが、ダイルの形見であるジャダ石の紛失事件をきっかけにシタラと出会い、モンゴル帝国への復讐に向けて結託することとなる。
トゥースの人々
- ファーティマ
- 声 - 桑島法子[12]
- シタラを奴隷商から引き取った、学者一族の女性。ムハンマドの母。学者だった夫を亡くし、遺品の書物を大切に保管している。
- 奴隷商からの依頼と「知識を求めることは全てのイスラム教徒の努め」という本人の信条から、シタラに教育を行う。シタラを娘のように愛し、将来はムハンマドの妻にすることを考えていた。最期はシタラを庇ってモンゴル兵の凶刃に倒れる。
- ムハンマド
- 声 - 齋藤潤[12]
- ファーティマの息子。トゥースでは秀才として有名な少年で、シタラに学問の大切さを気付かせるきっかけを与えた。シタラや他の奴隷たちからは「坊ちゃん」と呼ばれる。
- 保守的な神学の講義だけでは飽き足らず、より学問を深めるため、シタラが屋敷に来た年の秋にニーシャプールへ旅立つ。シタラとは手紙のやり取りをしていたが、モンゴル軍のニーシャプール侵攻後は消息不明となる。第1話でシタラと生涯再会することはないと明言されているが、同時に「のちに高名な学者[注 6]となる」とも添えられており、読者には生き残っていることが示唆されている。
- 伯父
- 声 - 最上嗣生
- ムハンマドの伯父で、ファーティマの兄。ファーティマたちが暮らす屋敷の主人。私塾の教師で、シタラにクルアーンの読誦を教える。
- モンゴル襲来時に他の奴隷たちとともに避難するも捕まり、奴隷たちと引き離されたまま故人となる。
- ズムッルド
- 声 - ニケライ ファラナーゼ
- ファーティマに長年仕える奴隷。海に面した西の国の出身。
- トゥース陥落後、捕虜としてモンゴルに送られる途中、トゥースの民軍に属していた弟のミハイルがモンゴル兵に処刑される姿を目の当たりにしてしまう。失意のまま病に倒れ、息を引き取る。
- 名は『千夜一夜物語』の登場人物から取られた[15]。
- アニース
- 声 - 伊瀬茉莉也
- シタラと同時に買われ、ファーティマに仕える奴隷。掃除や整理整頓が得意。学問に夢中だったシタラに奴隷としての生き方を諭す。
- 捕虜となった後は、ムハンマドが生きている可能性を心の支えにしていたが、ニーシャプールの陥落を知った翌朝、モンゴル兵に掴みかかって斬り捨てられる。シタラは自ら死を選んだと考えている。
- 名は『千夜一夜物語』の登場人物から取られた[15]。
- 奴隷商
- 声 - 高岡瓶々
- 名前は漫画では「タージル」、アニメでは「アフマド」。シタラに教養を身につけさせれば奴隷としての価値が高まると考え、ファーティマの家にシタラを預ける。
- カマルッディーン
- 声 - 前田弘喜
- ムハンマドに法学を教えていた教師。
モンゴル帝国
- チンギス・カン
- 声 - 玉鷲一朗(モンゴル語)
- 初代皇帝。本名はテムジン。草原に割拠する諸部族のひとつに過ぎなかったモンゴルを1代で大帝国に押し上げた巨星。作中では意図的に正面から描かれず、後ろ姿のみの登場[16]。
オゴタイ家
- オゴタイ[注 7]
- 声 - 下野紘[12]
- チンギス・カンの三男。父の崩御後、その遺言に従い、2代目皇帝の座につく。その際に古の君主号であるカアンを復活させ、以後「大カアン」と呼ばれるようになる。酒好きで、常に赤ら顔で描かれる。
- チンギス・カンの息子四兄弟の中では調整役であり、父から「賢さ」を評価されて後継に指名された。柔和で鷹揚な性格の持ち主で気前が良く、周囲から尊敬を集めるが、人知の及ばぬ事柄まで見通しているかのような高い視座を持つ底知れぬ人物。ボラクチンが陰ながら手を汚すことを黙認するなど、感情に流されないドライな一面も併せ持つ。
- 帝国の繁栄には武力以外の拡大も必要であるとの先進的な考えを持ち、商工業の振興や通商路・駅伝の整備、都の造営など、モンゴルの伝統に囚われない政策を推進する。帝国の繁栄によってドレゲネやシタラを始めとする被征服民にも幸福を享受させたいと考えているが、その寛大で傲慢な考えは彼女たちの復讐心を一層頑なにする。
- ボラクチン
- 声 - くじら[17]
- オゴタイの第1妃。元はチンギス・カンの妃だったが、チンギス・カンの死後にオゴタイが相続した(レヴィレート婚の一種)。オゴタイが帝位についてからは「大カトゥン」と呼ばれる。
- オゴタイよりかなり年上で、子がなく、実家の血筋も特に良いわけではないため、なぜ正妃となったのか訝しむ者もいるが、冴えない容姿と控えめな態度からは窺えない聡明さと智謀を持つ人物。通商の発展によってモンゴルの繁栄を目指すオゴタイの考えを早くから理解し、その実現のために手を汚すことも厭わず裏側からオゴタイを支える。
- 趣味は鉱石集めで、錬丹術に関心を寄せ、漢籍も読みこなす。オゴタイ即位後もトルイ家に軍事力と発言力が掌握されたままの現状を危惧し、趣味を生かして謀略を巡らせ、ドレゲネとシタラを仲間に取り込み利用する。やがて二人が権力奪取を狙っていると読み警戒するが、復讐心には気づいておらず、彼女たちの行動に違和感を募らせる。
- クチュを次期皇帝候補に推していたが、クチュの急死を受け、その息子であるシレムンを皇太子に立て、モゲをシレムンの補佐役と大カトゥンの後継に指名する。
- 史料が少ない人物であり、創作と割り切って大胆に脚色されている[6]。史実ではチンギス・カン存命中にオゴタイと結婚しており、レヴィレート婚ではない[18]。
- キルギスタニ
- 声 - 新谷真弓[19]
- オゴタイの第3妃。コデンの母。子供のように小柄な見た目で、言動も感情的で騒々しく、他の妃に対抗意識を燃やす。息子を「コデンちゃん」と呼ぶ子煩悩で、息子の出世のためには越権行為も辞さない。
- 史料が少なく出自に関して諸説ある人物であるが、本作ではコデンの母という説に従っている[20]。また本作では最初からオゴタイの妃であるが、史実ではチンギス・カンからオゴタイにレヴィレート婚で相続されたと考えられている[21]。
- モゲ
- 声 - 朝井彩加[19]
- オゴタイの第4妃。快活明朗で裏表がなく、社交的な性格。頭が良くないと卑下するが、人を見る目は確か。
- ボラクチンと同じく、元はチンギス・カンの妃。ボラクチンと仲が良く、彼女の病気を治すためにシタラと引き合わせる。ボラクチンは自身の謀略にモゲを巻き込むことを避けてきたが、謀略を察したモゲは彼女と手を携えることを望み、諜報などを手伝うようになる。
- グユク
- 声 - 花江夏樹
- オゴタイの長男で、ドレゲネとの子。母譲りの繊細な性格で、複雑な家庭環境で育ったことから感受性が人一倍強く、限られた相手にしか心を許さない。幼少期にはしばしば癇癪を起こし、カダクが養育係につくまでは乗馬などの皇子の嗜みもできなかった。
- 一見臆病に見える言動と虚弱体質から、皇帝の器ではないと周囲から軽んじられてきたが、キプチャク遠征の最中、クチュの急死によって一躍後継者候補として担ぎ上げられることとなる。本人に皇帝になるつもりはなかったが、死に際のコルゲンに諭され、帝国内部の被征服民の怨讐を背負う覚悟を固める。
- オグルガイミシュ
- グユクの妃。メルキト族の出。カダクと並び、グユクが心を開く数少ない人物。
- コデン
- 声 - 丹羽哲士
- オゴタイの次男で、キルギスタニとの子。クチュとは信頼関係にあるが、グユクのことは軽侮している。母と違って常識的で、暴走気味な母に手を焼く。クチュと別動隊で南宋攻略に向かう。
- クチュ
- 声 - 山本隼
- オゴタイの三男。母は既に亡くボラクチンからオゴタイの後継者候補として後見を受けているものの、ボラクチンの謀略に気づいて以来、傀儡にされまいと独自にボラクチン排除に動く。次期皇帝として意欲を燃やし、周囲からもその資質を評価されている反面、弱い立場の者の心情に無頓着なところがあり、コルゲンから不安視されていた。
- 南宋攻略の司令官に任じられ順調に進軍していたが、陣中に疫病が流行した際に体調を崩す。病床でボラクチンに対する恐れから人間不信に陥り、周囲の者をことごとく遠ざけた結果、唯一残った漢人の医師に毒を盛られ急死する。
トルイ家
- トルイ
- 声 - 鈴木崚汰[12]、雨果(モンゴル語)
- チンギス・カンの四男(末子)。武勇に優れ人望も厚いが、学問には興味が薄い。トゥースを制圧した軍勢を指揮し、『原論』の写本を奪った張本人。
- 末子相続の慣習により、オッチギン(炉の主)として父の残した軍事力や財産の大部分を継承。約2年間監国として国政を代行し、オゴタイ即位後も依然クリルタイで強い発言力を持つ。好戦派で、第二次金朝遠征を推し進めるほか、東欧への侵攻も視野に入れる。
- 家族愛が強く兄思いだが、ボラクチンなどオゴタイの周囲はトルイ家が皇帝を上回る武力を持ち続けていることを警戒している。金との戦いで戦功をあげるも、病に倒れたオゴタイの身代わりとなるため、ボラクチンが仕込んだ「悪霊を封じた水」を飲み急死する。
- ソルコクタニ・ベキ
- 声 - 久野美咲[19]
- トルイの正妃。ケレイト族の出で、ネストリウス派キリスト教の信者。
- 洞察力に優れた聡明な人物。オッチギンの妃としての自覚を持ち、モンゴル族の多くが草原の外の知識に関心が薄いことを憂え、帝国発展のために西方の知識を取り入れて後の世代に伝えることを責務と考えている。そのため夫の西方遠征にあたって『原論』を求め、指南役としてシタラを側に置く。しかし、そのために払われた犠牲を知るシタラの目には、他者の犠牲に無頓着な言動に映り、強い憎しみを買うことになる。
- シタラは表向きはソルコクタニに従順に仕えているため、ソルコクタニ自身はシタラを信頼しており、オゴタイ即位後にチャガタイの動向を監視する密偵としてシタラを任命する。
- 夫の急死後は意欲を失い、オゴタイ家の傘下に入ることを受け入れかけるが、その姿勢に対するシタラの憤懣からの叱咤により、まだ若い息子たちを守り育てる責務を思い出し、トルイ家の独立を守る決意を固める。
- モンケ
- トルイとソルコクタニの長男。父の死後、当主となる。ジュチ家とともにキプチャク遠征を任じられる。
- クビライ
- 声 - 石橋陽彩
- トルイとソルコクタニの次男。
- フレグ
- 声 - 村瀬歩
- トルイとソルコクタニの三男。極端に小柄な容姿で描かれる。父の死後、圧迫を加えていくオゴタイ家に不満を抱く。
- アリクブケ
- トルイとソルコクタニの四男。
ジュチ家
- ジュチ[注 8]
- 声 - 野島健児[12]
- チンギス・カンの長男。ホラズム遠征で多くの死者を出し、チャガタイからなじられる。シタラがモンゴルに連行されてからの8年の間に死去。
- 本編では1221年春にタールカーンで四兄弟が合流するシーンに登場するが、これは四つの王家を説明する上で序盤にジュチを登場させておく必要性から、意図的に史実から変えた創作である[23]。『もっと!天幕のジャードゥーガル』掲載の描き下ろし漫画では、捕らえたクルトガンを助命しようとする姿が描かれている。
- オルダ
- 声 - 佐藤正幸
- ジュチの長男。
- バトゥ
- 声 - 堀金蒼平
- ジュチの次男。父の死後、当主となる。キプチャク遠征の総司令官を務める。モンケと親しい。飄々とした性格だが、幼少期から弓を向けられても怯えず微笑むなど、不敵な面がある。グユクのことを愚鈍と見下している。
チャガタイ家
- チャガタイ
- 声 - 浪川大輔[12]
- チンギス・カンの次男。ジュチには辛辣だが、オゴタイやトルイとは仲が良い。
- 一本気で厳格な性格で、しばしば他者に強い言葉をかける。しかしそれは「多民族国家になっていくモンゴルで弱者や女性が守られるには、チンギス・カンが定めた法の遵守を徹底させねばならない」という考えによるもので、オゴタイは「優しい」と評している。
チンギス・カンの血族
家臣ほか
- シラ
- 声 - 入野自由[12]
- サマルカンド出身のペルシア語(シタラたちの母国語)通訳。抜け目のない人物。
- 少年のうちにモンゴル軍に捕らえられ徴発兵にされるが、前線行きを免れるためにモンゴル語を必死で覚え、若くして通訳となる。トルイ家に仕えており、ファーティマとシタラが襲われた現場にも居合わせた。
- モンゴルへの復讐心を燃やすシタラとは対照的に、才能次第で出世が叶う帝国の環境を気に入っている。シタラを『原論』の指南役に推薦し、その後もシタラを自分と同じく出世を目指す仲間と認識してたびたび手助けする。
- ペルシア総督府ができたことを機にペルシアへ共に帰ることをシタラに提案するが、その後毒殺事件に巻き込まれ、シタラがモンゴルへの復讐を画策し自分もそのための踏み台にされていることに気づく。事件を経てグユクとカダクの部下となり、ドレゲネとシタラを警戒するようになる。
- カダク
- 声 - 沼田祐介
- ドレゲネとグユクの側近で、グユクが信頼を置く数少ない人物。ナイマン族の出で、立身出世によりモンゴル族を見返すという志を持つ。
- ドレゲネのジャダ石がなくなった際にシタラを犯人と勘違いし、ドレゲネの元に連行する。シタラがドレゲネの側近となって以降は同僚のような立場になるが、その後もシタラを警戒し続ける。
- 元はオゴタイ家で文字の読み書きの指南をしていたが、オゴタイの命で、グユクが数え4歳の時から養育係を務める。周囲から無能扱いされるグユクの資質を見抜き、成人後も運命共同体のように補佐する。
- チンカイ
- 声 - 上田燿司
- ウイグル人の官僚。オゴタイの治世では書記官の長を務める。かつては行商人だった。
- チンギス・カンに招かれた長春真人(声 - 上別府仁資)を案内する道中でモンゴルに移送中のシタラと会っており、シタラの教養の深さを知って「モンゴルに必要な賢者」と評価する。
- モンゴル族の多くが文字を軽視して学ばないため、帝国の大きさに比べて書記官が少ないことを嘆いている。
- イルケ
- 声 - 間宮康弘
- オゴタイに仕える将軍で、筆頭家臣。ジャライル族の出。かつてはオゴタイの養育係だった。息子の密通事件後、表舞台から退く。
- イルチダイ
- 声 - 中谷一博
- イルケの息子。オゴタイのケシク(皇帝の世話や護衛を担当する当直係)に任じられる。父と望まぬ結婚をした女性(声 - 並木さくら)を不憫に思い、密通事件を起こすが、オゴタイの調停により不問となる。のち、父の跡を継ぐ。
- アルグン
- 声 - 橘龍丸
- イルケの従者。オイラト族の貧しい家に生まれ、奴隷として売られた。イルチダイとは兄弟のように扱われて育つが、真の兄弟のように打ち解けることはなかった。イルケの命を受けてイルチダイとともにオゴタイのケシクとなり、奴隷身分から解放される。
- 生真面目で口数が少なく無欲。幼い頃から数を数えることが好きで、物覚えが良く、語学の才能も持つ。イルチダイの密通事件に巻き込まれるが、チンカイに能力を買われ書記官となり、ペルシア総督府と関わっていく。
- 自己が希薄で、自由の身になってからも判断を人に委ねる癖があったが、ボラクチンに仕える同族の奴隷(声 - 土屋李央)と親しくなり、初めて自ら判断して婚約を結ぶ。しかし直後にその女性はボラクチンによってペルシアへ向かう兵士に下賜され、絶望する。その後かつての自分との共通点を見出したドレゲネに「希望」を命じられ、密偵となる。
- トマトスープは「女性誌でなければ主人公にしようと思っていたキャラクター」と語っており、シタラとは同じ奴隷出身でありながら違う答えに至る人物として描かれる[7]。
- スベエデイ・バートル
- 声 - 佐久間元輝
- チンギス・カンの代から帝国に仕える大将軍。金国攻略やキプチャク遠征など数々の戦に帯同する。
- シギ・クトク
- 声 - こばたけまさふみ
断事官 (戦争で獲得した領地や遊牧地を法に基づき公正に分配する役職)を務める官僚で、司法全般や税制などにも関わる。南宋遠征で副将を務める。
ペルシア総督府
- コルグズ
- ペルシアに駐在するチン・テムル将軍の書記官。元はジュチ家に仕えていた。有能で正義感が強く、平民から成り上がった努力家であるが、その出自と高圧的な性格から敵は多い。
- 荒廃したペルシアを憂いてオゴタイにペルシア総督府を作るよう上申し、チン・テムルの死後、チンカイの推挙で新たにペルシア総督となる。チン・テムルの統治下で厚遇された勢力から反感を買い、エドク・テムルに告発されるが、勝訴して総督としての地位を固める。
- 本作では登場人物が現代的なカタカナ語を使用する場面があるが、コルグズの台詞では意図的に多用される。
- シャラフッディーン・ホラズミー
- ペルシア人書記官。平民からホラズムの長官に取り立てられ書記となったが、長官の寵愛を失ったことで追放同然にモンゴル帝国の下で働くようになった。コルグズの総督着任により甘い汁を吸えなくなった一人で、コルグズに対して面従腹背している。
- エドク・テムル
- チン・テムルの息子。コルグズに反発する勢力に担がれ、コルグズを告発して総督の地位を狙うが、敗訴する。
メルキト族
- ダイル・ウスン
- 声 - 石田彰[24]
- ドレゲネの最初の夫で、メルキト族のウハズ氏族の長。「カム」と呼ばれるシャーマンでもある。
- 森の狩猟民メルキトと草原の遊牧民モンゴルの間には長年の対立があり、テムジン(のちのチンギス・カン)の台頭で均衡が崩れてからも、ナイマン族と同盟を組むなどして生き残りに尽力してきた。やがて巫術で一族の未来を予知し、娘のクランをチンギス・カンに捧げ、一族の女たちをモンゴルに引き渡して降伏する。しかし残った男たちと反乱を起こし、オゴタイに討たれる。
- ドレゲネとの別れ際に餞別として渡したジャダ石は、以後ドレゲネの心のよすがとなり、シタラとの運命の出会いをもたらすこととなる。
- クラン
- 声 - 水瀬いのり[24]
- ダイルの娘。人懐っこく、嫁いできたばかりで塞いでいたドレゲネともすぐに打ち解ける。一族を守るためチンギス・カンの妻となり、コルゲンを産む。
- チンギス・カンの死後はオゴタイが相続したが、以前と変わってしまった自分ではドレゲネに合わせる顔がないとして、オゴタイの元ではなく息子の領地で暮らしている。ドレゲネには前を向いて生きてほしいと願っており、父が残したジャダ石がドレゲネを過去に縛っていると考え、息子にジャダ石を持ち出させる。
- クルトガン
- 声 - 千葉翔也[24]
- ウドイト氏族の長の末子で、クランとは幼なじみ。メルゲンと呼ばれる弓の名手の一人。彼の氏族はモンゴルへの降伏に参加せず、逃亡と抵抗を続けていたが、やがてチンギス・カンに滅ぼされ、彼も殺される。その最期は『もっと!天幕のジャードゥーガル』掲載の描き下ろし漫画で描かれている。
評価
2023年度の「このマンガがすごい! オンナ編」で、歴史物としては初の1位を獲得した[25]。2026年には第55回日本漫画家協会賞コミック部門大賞を受賞[26]。
ライターの島田一志は、リアルサウンド ブックにおける自身の記事で本作の物語を称賛し、『ヒストリエ』や『チ。-地球の運動について-』のファンは本作を気に入るだろうと評した[27]。
モンゴル帝国史研究者の宇野伸浩は、モンゴル帝国を描いた作品でありながらイスラーム世界から物語を始めている点がオリジナリティが高く、またイスラーム世界とモンゴル世界のどちらにも偏らず、帝国の繁栄と負の側面、グローバル化といった様々な視野から当時の世界情勢を公平に描けていると評価している[18]。
アルジャジーラは2026年7月10日の記事で「激動の歴史的時代を再現するにとどまらず、モンゴル帝国の中心で生き残りを図るイスラム教徒のペルシャ人少女の物語を通じて、戦争がもたらす影響に対する人間的な視点を提示している」と評した[28]。
書誌情報
- トマトスープ『天幕のジャードゥーガル』秋田書店〈ボニータコミックス〉、既刊6巻(2026年7月15日現在)
- 2022年8月16日発売[29]、ISBN 978-4-253-26446-4
- 2023年2月16日発売[30]、ISBN 978-4-253-26447-1
- 2023年9月14日発売[31]、ISBN 978-4-253-26448-8
- 2024年8月16日発売[32]、ISBN 978-4-253-26449-5
- 2025年4月16日発売[33]、ISBN 978-4-253-26450-1
- 2026年7月15日発売[34][35]、ISBN 978-4-253-01818-0
- 副読本 - 谷川春菜・トマトスープ『もっと!天幕のジャードゥーガル』秋田書店〈ボニータコミックス〉、2026年7月15日発売[34][36]、ISBN 978-4-253-01820-3
テレビアニメ
2025年4月にテレビアニメ化が発表され[37]、2026年7月から9月までテレビ朝日系列『IMAnimation』枠ほかにて放送された[38]。テレビアニメ版の英名は「Jaadugar: A Witch in Mongolia」。
制作
サイエンスSARU代表取締役の藤田雅規は本作のアニメ化の理由として、「原作がこれまでにない斬新な作品でスタジオの皆が強く心をひかれたこと」「本作をアニメーション化することはサイエンスSARUにとって間違いなく新しいチャレンジになると確信したこと」「テレビ朝日の遠藤プロデューサーがこの作品をぜひ一緒にやろうと言ってくれた熱意」の3点を挙げている[39]。もともと「こんなアニメがあったらいいのに」という思いから本作のアイデアを膨らませていったというトマトスープは、アニメ化に謝意を示した[37]。トマトスープはアニメ化に当たってサイエンスSARUを指名していたという[40]。
総監督の山田尚子は原作を新鮮で衝撃的な驚きに溢れる作品と評し、「力強く、可愛らしく」作り上げていくと語った[41]。監督のアベル・ゴンゴラはモンゴルやペルシアの文化とそれらを継承してきた人々に敬意を抱きつつ、その歴史を独自に解釈したと述べた[41]。加藤還一は「現代の私たちにも通じる葛藤や出会い、未来への希望を感じて頂ければ幸い」とコメントした[41]。
ゴンゴラは色彩にこだわったと語っており、ヒストリカルな空気感を出すために彩度を抑え、『わんぱく王子の大蛇退治』のような初期のカラー映画からインスピレーションを得たほか、ペルシアやモンゴルの古い絵画に見られる色の質感を取り込むことに挑戦したという[42]。
キャラクターデザイン・作画チーフの吉田健一がサイエンスSARU作品にその役割で参加するのは初めてで[43]、原作漫画ありきのキャラクターデザインを手がけるのも初めてであった[42]。吉田は元々モンゴルや中東の歴史が好きで[42]、原作漫画を連載当初から読んでいた[44]。
制作に当たってはモンゴルとペルシア両方の文化が徹底的にリスペクトされ、時代考証の専門家やトマトスープへの確認が何度も重ねられた[42]。モンゴルでロケハンも行われ[41][45]、その様子はYouTubeで公開されている[45]。
声優のキャスティングと演技の方向性については、シリアスな物語とマンガ的なキャラクターデザインのバランスを取った、ナチュラルすぎないリアルな芝居が志向された[42]。序盤の侵略シーンでは「自分たちとは違う言語を話す人たちが突然襲ってくる恐怖」を表現するためモンゴル側の人物の会話はモンゴル語で進められ、モンゴル[注 9]出身の俳優や力士(玉鷲一朗と玉正鳳萬平[46])が声優として参加した[47]。
エンディング映像は水彩画を使ったペーパーアニメーションで、青瀬きいろが手がけた[48]。
スタッフ
- 原作 - トマトスープ[37]
- 総監督 - 山田尚子[38]
- 監督 - Abel Gongora[38]
- キャラクターデザイン・作画チーフ - 吉田健一[38]
- デザインワークス - 尾崎智美、木下絵李、石松、やぼみ、齋藤睦
- シリーズ構成 - 加藤還一[38]
- 演出チーフ - 藤倉拓也[12]
- 美術監督 - 樺澤侑里[12]
- 美術設定 - 樺澤侑里、齊藤優香、若宮柊子、田尻健一
- 色彩設計 - 今野成美[12]
- 撮影監督 - 高橋直希[12]
- 編集 - 廣瀬清志[12]
- 音響監督 - 小沼則義[12]
- 音響制作 - ビットグルーヴプロモーション
- 音楽 - 日野浩志郎[38]
- プロデューサー - 遠藤一樹、稲垣豪、宮川泰地、田中康太、中川瑛美、松井優子
- アニメーションプロデューサー - 三角理恵
- モンゴル文化・歴史考証 - 谷川春菜
- モンゴル文化・歴史考証協力 - 諫早庸一、宇野伸浩、白石典之、中村篤志、永島育
- イスラム文化・歴史考証 - 桝屋友子
- イスラム関連考証 - 高橋和夫
- モンゴル語指導 - バトゥエワ・アリュウナ(Batueva Aryuna[49])[50]
- アニメーション制作 - サイエンスSARU[37]
- 製作 - 天幕のジャードゥーガル製作委員会
主題歌
各話リスト
| 話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 初放送日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1幕 | 天にあるもの 地にあるもの | 加藤還一 | Abel Gongora | 吉田健一 | 2026年 7月4日 | |
| 第2幕 | サファルに咲く薔薇 | 山田尚子 |
|
| ||
| 第3幕 | 消しえぬ炎 | 佐藤寿昭 | 安部祐二郎 |
| 7月11日 | |
| 第4幕 | 井上美緒 | 霜山朋久 |
| 7月18日 | ||
| 第5幕 | 蛇のまだらは外側に人のまだらは内側に | 加藤還一 | 笹木信作 | 石郷岡範和 |
| 7月25日 |
| 第6幕 | メルゲンの民 | 佐藤寿昭 | 安藤雅司 | 松永浩太郎 | 阿見圭之介 | 8月1日 |
| 第7幕 | 兄弟 | 井上美緒 |
| 安部祐二郎 |
| 8月9日 |
| 第8幕 | 大カトゥン ボラクチン | 佐藤寿昭 | 村越麻海 |
| 8月16日 | |
| 第9幕 | 井上美緒 | 松永浩太郎 |
| 8月23日 | ||
| 第10幕 | 知恵 | 佐藤寿昭 | 前場健次 |
| 8月29日 | |
| 第11幕 | 不器用な石 | 加藤還一 |
| 井分詢也 |
| 9月5日 |
| 第12幕 | いつもと変わらない草原 | 加藤還一 | ちな |
|
| 9月12日 |
放送局
| 放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 [53] | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年7月4日 - 9月12日 | 土曜 23:30 - 日曜 0:00 | テレビ朝日(製作参加) ほか系列フルネット全24局 | 日本国内[注 10] | 字幕放送[54] / 連動データ放送[54] / 『IMAnimation』枠 |
| 2026年7月5日 - 9月13日 | 日曜 1:00 - 1:30(土曜深夜) | BS朝日 | 日本全域 | 製作参加 / BS/BS4K放送 / 字幕放送[55] / 『アニメA』枠 |
| 日曜 22:30 - 23:00 | AT-X | 日本全域 | CS放送 / 字幕放送[56] / リピート放送あり | |
| 2026年7月12日 - 9月27日 | 日曜 22:00 - 22:30 | テレ朝チャンネル1 | 日本全域 | CS放送 |
| 2026年8月1日 - 10月18日 | 土曜 21:00 - 21:30 | アニマックス | 日本全域 | BS/CS放送 / 字幕放送[57] / リピート放送あり |
| 初回は1時間スペシャルとして2話連続放送(テレ朝チャンネル1、アニマックスを除く)。 | ||||
| 配信開始日 | 配信時間 | 配信サイト | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2026年7月5日 | 日曜 0:00(土曜深夜) 以降順次更新 |
| |
| 日曜 0:00 - 0:30(土曜深夜) | ニコニコ生放送[58] | ||
| 日曜 1:30 - 2:00(土曜深夜) | ABEMA アニメチャンネル | リピート放送・見逃し配信あり |
関連商品
- BD BOX - 2027年2月3日発売予定[59]、第1幕 - 第12幕ならびに映像特典・音声特典収録、品番HPXR-3280。
- オリジナルサウンドトラック(2枚組) - 2026年9月30日発売、日野浩志郎、品番VPCG-83586[60]。
- 公式ファンブック - 2026年11月25日発売予定、MdN編集部編、インプレス発行、ISBN 978-4-295-20927-0[61]。
| テレビ朝日系列 IMAnimation | ||
|---|---|---|
| 前番組 | 番組名 | 次番組 |
あかね噺(第1期)
|
天幕のジャードゥーガル
|
|
その他
2026年8月22日から2027年8月21日にかけて、日本・モンゴル民族博物館(兵庫県豊岡市)にてコラボ特別展「モンゴル帝国の美しき女性たち」を開催[62]。ドレゲネとソルコクタニを描いたアニメイラストがキービジュアルとなり、アニメを通してモンゴル帝国女性の生き様を探るという企画になっている[62]。