岸本佐知子
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1960年、神奈川県生まれ[1][3]。幼少期には父の読み聞かせで『クマのプーさん』に親しみ、小学校から中学校にかけての愛読書は中勘助『銀の匙』、志賀直哉『小僧の神様』、ジュール・ルナール『にんじん』(岸田國士訳)の3冊だった[2][5]。中高一貫の女子校に通い[6]、中学時代に夏休みの宿題で英語の絵本を訳して教師に褒められたことが、後の翻訳への興味につながった[2][3][7]。また中学3年生のとき筒井康隆の作品を知り、「読む前と後とで人生が変わるくらいの衝撃」を受けた[5]。
上智大学文学部英文学科を卒業した[1][2]。大学時代にはリチャード・ブローティガンの作品に強い衝撃を受け、卒業論文のテーマにも選んだ[7][8][9]。
大学卒業後はサントリー宣伝部に勤務し、6年半の会社員生活を送った[10]。在職中、会社帰りに翻訳学校に通い始め、中田耕治のクラスで学んだ[7][11]。
退社後、翻訳家として活動を始め、海外文学の紹介を進めた。スティーヴン・ミルハウザー、ニコルソン・ベイカー、リディア・デイヴィス、ミランダ・ジュライ、ショーン・タン、ルシア・ベルリンなどの作品の翻訳で知られる[1][2][12]。ルシア・ベルリンについては、生前の短篇集を入手して「いつか絶対に訳したい」と考えていたところ、2015年刊の『A Manual for Cleaning Women』を機に再評価が始まり、のちに『掃除婦のための手引き書』として24篇を訳出した[12]。
また、『翻訳の世界』編集部にいる友人の依頼で同誌に奇妙な味わいのエッセイを連載し、柴田元幸に高く評価された[11]。これらの文章を含む第一エッセイ集『気になる部分』を2000年9月に白水社より刊行した[13][14]。同書を読んだ筑摩書房編集者の松田哲夫との縁から、2002年にPR誌『ちくま』で連載「ネにもつタイプ」が始まり、約5年間の連載を経て2007年に『ねにもつタイプ』として単行本化された[13]。同書で2007年の第23回講談社エッセイ賞を受賞した[1][2][4]。『ねにもつタイプ』は、川上弘美、小川洋子、北村薫らにも愛読されていると紹介された[13]。以後、『なんらかの事情』『ひみつのしつもん』などのエッセイ集を刊行している[2][4]。
文芸誌『MONKEY』創刊号からは連載「死ぬまでに行きたい海」を担当し、2020年に同名単行本が刊行された[15][16]。2024年には、各媒体に寄稿した単行本未収録の文章を集成した『わからない』を刊行した[14]。2026年には、『ネにもつタイプ』第4弾『あれは何だったんだろう』を刊行した[17]。
2015年から日本翻訳大賞の選考委員を務める[18][19]。2018年から読売新聞の書評欄で評者を務め、2019年には同紙「本よみうり堂」の読書委員を務めた[20][21]。2020年にはすばる文学賞選考委員を務めた[22]。
著書
単著
- 『気になる部分』(白水社)2000年、のち白水Uブックス 2006年[14]
- 『ねにもつタイプ』(筑摩書房)2007年、のちちくま文庫 2010年[4]
- 『なんらかの事情』(筑摩書房)2012年、のちちくま文庫 2016年[4]
- 『ひみつのしつもん』(筑摩書房)2019年、のちちくま文庫 2023年[4]
- 『死ぬまでに行きたい海』(スイッチ・パブリッシング)2020年、のち新潮文庫 2025年[15][16]
- 『わからない』(白水社)2024年[14]
- 『あれは何だったんだろう』(筑摩書房)2026年3月[17]
共編著
- 『変愛小説集 日本作家編』(岸本佐知子編、講談社)2008年、のち講談社文庫 2014年
- 『『罪と罰』を読まない』(三浦しをん、吉田篤弘、吉田浩美と共著、文藝春秋)2015年、のち文春文庫 2019年
- 『kaze no tanbun 特別ではない一日』(西崎憲編、小説「年金生活」を収録、柏書房)2019年
- 『ベストSF 2020』(大森望編、小説「年金生活」を収録、竹書房文庫)2020年
- 『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』(西崎憲編、小説「メロンパン」を収録、柏書房)2021年
アンソロジー
「」内が岸本の作品
- 『おでかけアンソロジー ふたり旅』(だいわ文庫、2026年3月)「経堂」