朝日のごとくさわやかに
From Wikipedia, the free encyclopedia
「朝日のごとくさわやかに」(あさひのごとくさわやかに、英語: Softly, as in a Morning Sunrise)は、オスカー・ハマースタイン2世作詞、シグマンド・ロンバーグ作曲のジャズ・スタンダードとして知られる楽曲[1][2]。1928年のオペレッタ『ニュー・ムーン』のために書かれた[1][2]。歌詞の内容は、失恋を悔やむものである。当初は物憂げなタンゴの曲調で演奏されていたが、1940年ごろアーティー・ショウ楽団などによりスウィング・ジャズのリズムで演奏されるようになった[3]。1950年ごろには一旦ジャズ・プレイヤーから忘れられていたが、モダン・ジャズ・カルテットが取り上げて以降、クール・ジャズやモード・ジャズ、フリー・ジャズなど様々な解釈の可能性が試され、ジャズ・スタンダードして定着するに至っている[3]。
この曲は当初のオペレッタ『ニュー・ムーン』(1928年)においては、物憂げなタンゴのリズムで演奏され、主人公の親友であるフィリップ(英語: Philippe、テノール)[4]によって歌われていた。同時期にナット・シルクレットによるSPが発売されており、同様の演奏を聴くことができる。1940年版の映画『ニュウ・ムウン』では、ネルソン・エディ(バリトン)が歌唱している[1]。
1930年代には、アーティー・ショウ楽団がレパートリーに加え、タンゴのリズムから4/4拍子のスウィングのリズムに変化している。その後、ベニー・グッドマンやウディ・ハーマンも演奏したが、1950年ごろにはジャズ・プレイヤーからほとんど忘れ去られていた[3]。
1950年代中ごろこの曲は再発見され、多くのモダン・ジャズの演奏者によって可能性を試されることとなった。モダン・ジャズ・カルテットはカノン的対位法を導入し、ほかのクール・ジャズの奏者を触発した。暗い短調の雰囲気により、ソニー・ロリンズ、ソニー・クラーク、リー・モーガンといったハード・バップの奏者にも積極的に採用された。ジョン・コルトレーンの演奏からは、そのシンプルなコード進行がモード・ジャズに適していることも聴き取れる[3]。また、このころから女性ジャズ・シンガーによってもしばしば録音されるようになっている。
1960年代に入ると、エリック・ドルフィーやアルバート・アイラーといったフリー・ジャズの演奏者による新たな解釈も示された。その他、ラテン・ジャズ、スムース・ジャズなどとしても演奏され、ジャズ・スタンダードとして定着するに至っている[3]。
日本語の訳題
原題「Softly, as in a Morning Sunrise」は、コーラス冒頭(その前にヴァースがあるが、しばしば省略される)そのままであるが[5][6]、日本語では「朝日のごとくさわやかに」とされることが多く、また、文体を改め「朝日のようにさわやかに」とされることもある。「朝日のごとく さわやかに」は、明治天皇の御製(1909年)に見える語句である[7]。
村井 2004, p. 17 はモダン・ジャズ・カルテットによる演奏を評して『さわやかに』のイメージにピッタリ」であるが、原題は「朝日のようにそっと」なので、「別にさわやかである必要もないわけだが……
と述べ、またソニー・ロリンズによる演奏については、『さわやか』とは正反対の濃厚な味わい
と評している。
主なカヴァー
男声ボーカル
| アーティスト | 発売年 /
録音年 |
収録アルバム等 | YouTube |
|---|---|---|---|
| ナット・シルクレット(Cond.)
ヴィクター管弦楽団 |
1929 | シングル盤[1][8] | ♬ |
| ジャック・ハイルトン楽団 | 1929 | シングル盤[10] | |
| ネルソン・エディ(Bar.) | 1940 | シングル盤[11] | ♬ |
| ウディ・ハーマン | 不明 /
1944 |
放送録音[3][12] | ♬ |
| ビング・クロスビー
w/ バディ・コール・トリオ |
1957 | ニュー・トリックス | 💽 |
| ボビー・ダーリン | 1959 | ザッツ・オール | 💽 |
| ジミー・ジャスティス | 1962 | The Two Sides of Jimmy Justice[13] | 💽 |
| リチャード・タッカー(Bar.)
w/ スキッチ・ヘンダーソン |
1963 | The Fabulous Voice of Richard Tucker[14][15] | ♬[註 2] |
| フランク・シナトラJr | 2006 | That Face! | 💽 |
女声ボーカル
| アーティスト | 発売年 | 収録アルバム等 | YouTube |
|---|---|---|---|
| ジューン・クリスティ
w/ ピート・ルゴロ楽団 |
1954 | サムシング・クール(モノラル) | 💽 |
| 1960 | サムシング・クール(ステレオ再録) | 💽 | |
| ヘレン・メリル | 1958 | ザ・ニアネス・オブ・ユー | 💽 |
| アビー・リンカーン | 1959 | アビー・イズ・ブルー | 💽 |
| ロレツ・アレキサンドリア | 1962 | ディープ・ルーツ | 💽 |
| ナンシー・ウィルソン
w/ グレート・ジャズ・トリオ |
1982 | ホワッツ・ニュー | |
| 研ナオコ | 1983 | Naoko Mistone | |
| ダイアン・リーヴス | 1991 | I Remember[16] | 💽 |
| ロザンナ・ヴィトロ | 1993 | Softly | |
| ジェニー・エヴァンス
w/ ダスコ・ゴイコヴィッチ |
1997 | シャイニー・ストッキングス(英語: Shiny Stockings)[17] | |
| カトリーヌ・マドセン | 2006 | Supernatural Love | 💽 |
| ケイコ・リー | 2009 | フラジャイル(英語: Fragile)[18] | |
| ドリーン・シャファー | 2009 | Groovin’ [19] | |
| ヒラリー・コール
w/ ベニー・グリーン |
2010 | ユー・アー・ゼア~デュエッツ(英語: You Are There)[20] | |
| 渚ようこ | 2014 | シングル盤[21] |
混声ボーカル
| アーティスト | 発売年 | 収録アルバム等 | YouTube |
|---|---|---|---|
| レイ・コニフ楽団&合唱団 | 1960 | Say It with Music (A Touch of Latin)[22][註 3] | 💽 |
| ロバート・ショウ (Cond.) | 1962 | Yours Is My Heart Alone[23][24] |
インストゥルメンタル
| アーティスト | 発売年 /
録音年 |
収録アルバム等 | YouTube |
|---|---|---|---|
| アーティ・ショウ楽団 | 1938 | シングル盤[25][26][註 4] | ♬ |
| ベニー・グッドマン(Cl.) | 不明 / | 放送録音[3][27] | ♬ |
| マントヴァーニ楽団 | 1954 | Plays The Music of Sigmund Romberg[28] | 💽 |
| モダン・ジャズ・カルテット | 1955 | コンコルド[25][29][註 5][註 6] | 💽 |
| 穐吉敏子(Pf.)トリオ | 1956 | ザ・トシコ・トリオ | 💽 |
| リー・モーガン(Tp.)
w/ ハンク・モブレー・カルテット |
1956 | イントロデューシング・リー・モーガン | 💽 |
| アル・コーン(Sax.) | 1957 | コーン・オン・ザ・サキソフォン | 💽 |
| ソニー・ロリンズ(Sax.) | 1957 | ヴィレッジ・ヴァンガードの夜[25][31] | 💽 |
| テリー・ギブス(Vib.) | 1957 | ジャズ・バンド・ボール(セカンド・セット)(英語: A Jazz Band Ball (Second Set)) | 💽 |
| バディ・デフランコ楽団 | 1979 /
1957年 |
クローズド・セッション(英語: Closed Session)[32] | 💽 |
| バド・シャンク(Sax.)・カルテット
ft. クロード・ウィリアムソン |
1957 | バド・シャンク・カルテット | 💽 |
| ソニー・クラーク(Pf.)
w/ ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズ |
1958 | ソニー・クラーク・トリオ[25] | 💽 |
| ビンス・ガラルディ(Pf.)・トリオ | 1958 | A Flower Is a Lovesome Thing | 💽 |
| ポール・チェンバース(Ba.)・クインテット | 1958 | ポール・チェンバース・クインテット | 💽 |
| ウィントン・ケリー(Pf.)
w/ ポール・チェンバース、ジミー・コブ |
1959 | ケリー・ブルー | 💽 |
| スタンリー・ブラック(Pf.) | 1959 | 南国のセレナード(英語: Friml & Romberg: in Cuban Moonlight)[33] | 💽 |
| ソニー・クリス(Sax.) | 1959 | アット・ザ・クロスロード(英語: At the Crossroads) | 💽 |
| ウィル・デイヴィス(Pf.)・トリオ | 1959 | ハヴ・ムード・ウィル・コール(英語: Have Mood Will Call....)[34][35] | 💽 |
| アーネット・コブ(Sax.) | 1960 | Movin’ Right Along | 💽 |
| アート・ペッパー(Sax.)
w/ ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブ |
1960 | ゲッティン・トゥゲザー | 💽 |
| シャーリー・ホーン(Pf.) | 1960 | Embers and Ashes[註 7] | 💽 |
| ジャッキー・デイヴィス(Org.) | 1960 | Tiger on the Hammond[36] | 💽 |
| ルー・ドナルドソン(Sax.) | 1960 | サニー・サイド・アップ | 💽 |
| ハワード・マギー(Tp.) | 1961 | マギーズ・バック・イン・タウン | 💽 |
| ボビー・ティモンズ(Pf.)・トリオ | 1961 | イン・パーソン | 💽 |
| ロン・カーター(Ba.) | 1961 | ホエア | 💽 |
| ジョン・コルトレーン(Sax.) | 1962 | ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード[25][註 8] | 💽 |
| アルバート・アイラー(Sax.) | 不明[註 9]/
1962年 |
ザ・ファースト・レコーディング(英語: The First Recordings)Vol.2[37] | 💽 |
| エリック・ドルフィー(B.Cl.) | 1999 /
1963年 |
伝説のイリノイ・コンサート | 💽 |
| チャック・ウェイン(Gt.) | 1964 | タペストリー(英語: Tapestry)[38][39] | 💽 |
| ラリー・ヤング(Org.)
w/ ウディ・ショウ、ジョー・ヘンダーソン、エルヴィン・ジョーンズ |
1966 | ユニティ[25] | 💽 |
| エリック・クロス(Sax.) | 1967 | Grits & Gravy | 💽 |
| 寺内タケシとバニーズ | 1967 | 世界はテリーを待っている[40] | |
| リチャード・デイヴィス(Ba.) | 1970 | ミューゼズ・フォー・リチャード・デイヴィス | 💽 |
| 本田竹曠(Pf.)トリオ | 1972 | ジス・イズ・ホンダ | 💽 |
| ジム・ホール&ロン・カーター | 1973 | アローン・トゥゲザー | 💽 |
| ズート・シムズ(Sax.)・カルテット
w/ ルイ・ベルソン、ハンク・ジョーンズ |
1973 | ズート・アット・イーズ(英語: Zoot at Ease) | 💽 |
| 渡辺貞夫 | 1974 | ライヴ・アット・ピット・イン[41] | |
| ザ・グレイト・ジャズ・トリオ | 1977 | アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード | |
| バーニー・ケッセル(Gt.) | 1977 | ライブ・アット・サムタイム(英語: Live at Sometime)[42] | |
| ジョン・スコフィールド (Gt.) | 1978 | ジョン・スコフィールド・ライヴ | 💽 |
| ジョン・クレマー(Sax.)
w/ カール・ブルネット(英語: Carl Burnett) |
1979 | ネクサス(英語: Nexus for Duo and Trio)[43] | |
| チェット・ベイカー(Tp.)&ウォルフガング・ラッカーシュミッド(Vib.) | 1979 | バラッズ・フォー・ツー | 💽 |
| ジャック・シェルドン(Tp.)&ヒズ・ウェスト・コースト・フレンズ | 1980 | エンジェル・ウィングス(英語: Angel Wings)[44] | 💽 |
| ワーレン・ヴァシュ(Cort.)
w/ ハンク・ジョーンズ、 ジョージ・デュヴィヴィエ、アラン・ドーソン |
1981 | Iridescence[45] | |
| クエスト
( デイヴ・リーブマン、リッチー・バイラーク、ジョージ・ムラーツ、アル・フォスター) |
1982 /
1981年[46] |
QUEST[25][47] | |
| フレディ・ハバード(Tp.) | 1999 /
1982年 |
Above & Beyond[25] | 💽 |
| クヌード・ヨリエンセン(Pf.)& Bengt Hanson(Ba.) | 1996 / | Bojangles[48] | 💽 |
| J.J.ジョンソン(Tb.)&アル・グレイ(Tb.) | 1984 | シングス・アーゲッティング・ベター・オール・ザータイム(英語: Things Are Getting Better All the Time)[49] | |
| ドロシー・アシュビー(Harp) | 1984 | 朝日のようにさわやかに | |
| ケニー・ドリュー(Pf.) | 1985 | バイ・リクエスト(英語: By Request)[50] | |
| ジョン・ラーキン(Pf.、a.k.a. スキャットマン・ジョン) | 1986 | John Larkin[51] | ♬ |
| チャーネット・モフェット(Ba.) | 1987 | チャーネット・モフェット(英語: Net Man)[52] | 💽 |
| エミリー・レムラー(Gt.)
w/ ハンク・ジョーンズ、バスター・ウィリアムス、マーヴィン・“スミティ”・スミス |
1988 | イースト・トゥ・ウェス | 💽 |
| レイ・アレクサンダー(Vib.)・カルテット
w/ ペッパー・アダムス、アルバート・デイリー、ハーヴィー・シュワルツ、レイ・モスカ(英語: Ray Mosca) |
1988 | Cloud Patterns | 💽 |
| ミシェル・カミロ(Pf.) | 1989 | オン・ファイア | |
| ニック・ブリグノーラ(Sax.)
w/ ケニー・バロン、 デイヴ・ホランド、ジャック・ディジョネット |
1990 | On a Different Level[25][53] | 💽 |
| デイヴ・ウェックル(Dr.) | 1990 | マスター・プラン | 💽 |
| スティーヴ・グロスマン(Sax.) | 1991 | In New York | 💽 |
| ドン・ブレイデン(Sax.)・カルテット
w/ トム・ハレル、ベニー・グリーン、クリスチャン・マクブライド、カール・アレン |
1991 | The Time Is Now[54] | 💽 |
| スタン・ゲッツ(Sax.)&ケニー・バロン(Pf.) | 1992 | ピープル・タイム | 💽[註 10] |
| ビレリ・ラグレーン(Gt.) | 1992 | 枯葉(英語: Standards) | 💽 |
| ジュニア・マンス・トリオ | 1994 | 朝日のようにさわやかに(英語: Softly as in a Morning Sunrise)[55] | |
| ビレリ・ラグレーン・トリオ
w/ アンドレ・チェカレリ、 クリス・ミン・ドーキー |
1994 | Live in Marciac[56] | 💽 |
| ロイス・キャンベル(Gt.)
ft. デイブ・ストライカー |
1994 | 6×6[57] | 💽 |
| ジオバーニ・イダルゴ(Perc.)
ft. ミシェル・カミロ |
1997 | Hands of Rhythm | 💽 |
| エド・シグペン(Dr.)・リズム・フィーチャーズ | 1998 | It’s Entertainment | 💽 |
| マーク・リボー(Gt.) | 1999 | Yo! I Killed Your God[58] | |
| ジャン=ミシェル・ピルク(Pf.)・トリオ | 2000 | Together: Live at Sweet Basil | 💽 |
| ケニー・バロン(Pf.)&レジーナ・カーター(Vn.) | 2001 | フリーフォール | 💽 |
| チャールズ・ガイル(Pf.) | 2001 | Jazz Solo Piano | 💽 |
| エリス・マルサリス(Pf.) | 2004 | On the First Occasion[59] | |
| ジョージ・ベンソン(Gt.) | 2004 | イリプレイサブル[註 11] | |
| 上原ひろみ(Pf., Key., Syn.) | 2008 | ビヨンド・スタンダード | 💽 |
| ドクター・ロニー・スミス(Org.) | 2009 | The Art of Organizing | 💽 |
| フレッド・ハーシュ(Pf.)・トリオ | 2012 | アライブ・アット・ザ・ヴァンガード(英語: Alive at the Vanguard)[60] | 💽 |