牧歌的情景
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| ロシア語: Пастушеская сцена 英語: Patoral Scence | |
| 作者 | フランソワ・ブーシェ |
|---|---|
| 製作年 | 1730年代初頭 |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 61 cm × 75 cm (24 in × 30 in) |
| 所蔵 | エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク |
『牧歌的情景』(ぼっかてきじょうけい、露: Пастушеская сцена, 英: Patoral Scene)は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが1730年代初頭にキャンバス上に油彩で制作した風景画である。ロシア皇帝エカチェリーナ2世のコレクションに入った作品で、1770年代にサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に収蔵されて以来[1]、同美術館に展示されている[1][2]。

この絵画は、ブーシェが留学していたローマからパリに戻った後の1730年代初頭に描かれた。イタリアで彼は多くの模写を行い、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの素描を収集したのに加え、モニュメンタルな装飾絵画の原理に親しんだ[1]。
フランス帰国後、王立絵画彫刻アカデミーに入会を認められたブーシェは、イタリアで学んだ事柄を自身の絵画に適用した[1]。ブーシェはサロンなどの室内装飾によって一躍有名になり、神話画、風俗画、田園的主題の絵画だけでなく、壁画装飾、タピストリーの下絵、挿絵など様々なジャンルの作品を手掛けた[1][2]。
本作はルーヴル美術館 (パリ) 蔵の『田園生活の魅力』[3]などと同様、美しい野原や田園を舞台に若い羊飼いの男女が恋愛場面を繰り広げる、いわゆる「パストラル」 (牧歌) を表す作品である[2]。この主題は、ヘレニズム時代の文学作品『ダフニスとクロエ』以来、西欧文化において長い伝統を持っている。陰りのない理想郷を謳ったこの主題が、ロココの時代に絵画の主題として愛好されたのは当然であったが、ブーシェはこの分野においても第一人者であった[2]。本作に見られる達者な筆さばきと明るい色彩は、鑑賞者の目を楽しませる装飾的効果を存分に持っている。五感の喜びこそが、この時代の芸術の最大の主題であった[2]。