2023 KQ14

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仮符号・別名アンモナイト(愛称)[1]
発見日2023年5月16日[3]
2023 KQ14
2021年6月7日にダークエネルギーカメラで撮影された 2023 KQ14
2021年6月7日にダークエネルギーカメラで撮影された 2023 KQ14
仮符号・別名 アンモナイト(愛称)[1]
見かけの等級 (mv) 25.4[2]
分類 極端な太陽系外縁天体(ETNO)
セドノイド
発見
発見日 2023年5月16日[3]
発見者 すばる望遠鏡[1]
発見場所 FOSSIL[注釈 1]
軌道要素と性質
元期:2025年5月5日(JD 2460800.5)[5]
軌道長半径 (a) 246.08 au[6]
近日点距離 (q) 65.895 au[6]
遠日点距離 (Q) 426.26 au[6]
離心率 (e) 0.7322[6]
公転周期 (P) 1409960 (3860 [6]
軌道傾斜角 (i) 11.006°[6]
近点引数 (ω) 198.83°[6]
昇交点黄経 (Ω) 72.073°[6]
平均近点角 (M) 356.48°[6]
次回近日点通過 ≈ 2063年2月[7]
物理的性質
平均直径 220 - 380 km
アルベドが 0.05 - 0.15 の場合で計算)[1]
スペクトル分類 中程度の赤さ[8]
gr = 0.87±0.18
ri = 0.36±0.18
絶対等級 (H) 6.77±0.43[6]
Template (ノート 解説) ■Project

2023 KQ14 とは、太陽の周囲を極めて広い楕円軌道公転する太陽系外縁天体(TNO)である。アンモナイトという愛称で呼ばれることもある。2023年5月16日、マウナ・ケア山頂のすばる望遠鏡によって発見された。この観測は、国際的に主導された掃天観測であるFormation of the Outer Solar System: an Icy Legacy(FOSSIL)の一環として行われた。2023 KQ14 は、その軌道近点・遠点の向きが既知の高近日点楕円軌道をもつ太陽系外縁天体(いわゆるセドノイド)の軌道の向きと一致していないという点で特異であり、遠方にあると予測されている未発見の惑星プラネット・ナインが太陽系外縁天体の軌道を揃えているという仮説に疑問を投げかけている[4]2023 KQ14直径は 220 - 380 km であると予想されている。

2023年に 2023 KQ14 を発見したマウナ・ケア山頂のすばる望遠鏡

2023 KQ14 は、2023年5月16日、ハワイ島マウナ・ケア山頂にある口径 8.2 m のすばる望遠鏡によって[3]、Formation of the Outer Solar System: an Icy Legacy(FOSSIL)の運用中に発見された[1]。FOSSILは主に日本台湾の天文学者による国際協力で2020年に開始され[4]、当初の目標は全天に広がる微光な木星のトロヤ群太陽系外縁天体(TNO)の検出であった[9]2023 KQ14 は観測の第2フェーズ(FOSSIL II)の1年目に発見され、TNOのみの検出に焦点が当てられた[1]

FOSSILの天文学者らは、2023年3月から8月にかけてのFOSSIL観測で 2023 KQ14 を特定し、2023 KQ14太陽から非常に遠いことに気付いた[1]2023 KQ14 の軌道と距離をより正確に決定するために[1]、天文学者のYing-Tung Chenとジョン・J・カヴェラーズは、2024年7月にカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡2023 KQ14 を再観測した[2]。このフォローアップ観測により、Chenは2021年6月と2014年5月に撮影されたダークエネルギーカメラのアーカイブ画像の中から 2023 KQ14プレカバリーを特定した[1][2]2023 KQ14 の発見は、2025年4月14日に小惑星センター(MPC)によって発表され[2]、発見の詳細を詳述した研究論文が2025年7月14日にネイチャー・アストロノミーに掲載された[1]

名称

この小惑星には、発見が公表された際にMPCによって 2023 KQ14 という仮符号が付けられた[2]。仮符号はその小惑星の発見年月を示している[10]。FOSSILの天文学者らは、2023 KQ14太陽系の誕生時から「化石化」した軌道を保っていることを踏まえ、非公式に「アンモナイト」という愛称をつけた[4]。将来、MPCが 2023 KQ14 に恒久的な小惑星番号を与えれば、正式名称が付与される可能性がある[11]

軌道

4つの既知のセドノイド(ピンク色)の軌道と名称を示す図。2023 KQ14 の軌道は左下を向いており、他のセドノイドとは反対を向いている。比較のためエッジワース・カイパーベルト(赤色)の軌道も表示されている。

2023 KQ14太陽の周囲を極めて広い楕円軌道公転しており、太陽系重心[注釈 2]からの距離は近日点で 65.9 au 、遠日点で 438 au である[5]2023 KQ14 が軌道を1周するには約4000年かかる[5]2023 KQ14 の軌道は、軌道長半径が 252 au、軌道離心率が 0.739、軌道傾斜角が 11° である[1][5]2023 KQ14 は発見時には太陽から 71.0 au 離れており[1]、2063年2月に近日点を通過する予定である[7]

2023 KQ14 は、近日点距離が 60 au 以上、かつ軌道長半径が 200 au 以上であり、2025年時点で4つ発見されているセドノイドのうちの1つである[1][13][14]2023 KQ14 は、既知のTNOの中で近日点が 2012 VP113(近日点は 80.6 au )とセドナ(近日点は 76.3 au )に次いで3番目に遠い天体である[1]2023 KQ14海王星(近日点は 30 au )から十分離れているため、 2023 KQ14 の軌道は海王星の重力の影響をほとんど受けない[4][1]2023 KQ14 は既知の惑星の重力の影響から切り離されているため、 2023 KQ14 の軌道は数十億年にわたって力学的に安定しており、45億年前の太陽系誕生以来、変化していない可能性が高い[4][1]。これは、 2023 KQ14 を含むセドノイドの軌道形成には他の天体による重力の影響が関与している可能性があることを示唆している。考えられる要因としては、太陽系の付近を通過する褐色矮星自由浮遊惑星、遠方に存在している可能性がある未発見の惑星(プラネット・ナイン)、太陽が銀河系内の異なる領域を移動したこと、あるいは誕生時の太陽が属していた星団の他の恒星などが挙げられる[1]

軌道の整列

2023 KQ14近日点黄経は、これまで知られている3つのセドノイドの軌道とは一致していない[1]。これまで知られている3つのセドノイドの軌道は近日点黄経が 0° から 90° の間に集中しているが、2023 KQ14 の軌道は反対方向[1]の 271° である[注釈 3]2023 KQ14 の軌道が他と揃っていないことは、これまで知られている3つのセドノイドの軌道の偏りを説明するために最初に提唱されたプラネット・ナイン仮説に疑問を投げかけているが、この仮説を否定するものではない[4][1][14]。もしプラネット・ナインが存在するならば、2023 KQ14 の軌道を少なくとも10億年間安定させるためには、太陽からより遠い距離(2024年時点の軌道長半径の予測は 500+170
−120
 au
)を公転しているはずである[1]

2025年にYing-Tung Chenらが行ったプラネット・ナインが存在しない場合のシミュレーションでは、もし全てのセドノイドの軌道が巨大惑星による摂動によって近点移動をしていたとすれば、2023 KQ14 の軌道が42億年前、つまり太陽系形成約3億年後に、既知の3つのセドノイドと一直線に並んでいた可能性が97%であることが示唆された[1]。この一直線に並んだ軌道群は、セドノイドの異なる近点移動によって徐々に分散していったと考えられる[1]。この場合、セドノイドの軌道は太陽系形成初期に、通過する自由浮遊惑星によって摂動を受けた可能性がある[1]

物理的特徴

2023 KQ14地球から観測すると非常に暗く、見かけの等級は25.4である[2]。この明るさから、幾何アルベドが 0.05 - 0.15 であれば、直径は 220 - 380 km と推定されている[1]。2025年4月にマゼラン望遠鏡で観測された結果、時間経過に伴う明るさの顕著な変化は見られなかった。これは、 2023 KQ14 がゆっくりと自転しているか、形状またはアルベドが均一であることを示唆している[8]。異なる光学フィルターで行われた 2023 KQ14 の観測から、 2023 KQ14 が他のTNOやセドノイドと同様に、やや赤みを帯びた色を示すことが判明した[8]

脚注

関連項目

外部リンク

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