ガンダムF91

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ガンダムF91GUNDAM FORMULA 91)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。初出は劇場アニメ『機動戦士ガンダムF91』。

主人公のシーブック・アノーが成り行きから搭乗し、フロンティアサイドを襲撃するクロスボーン・バンガード(C・V)と激戦を繰り広げる。

本記事では、外伝作品などに登場するバリエーション機についても解説する。

企画は当初「平成ガンダム」として1989年2月にスタートし、大河原は4月から実質的にラフ案作りに入り、バンダイとリンクしながら主役となる新ガンダムのデザインを進めていた[1][2][注 1]。大河原が最初に描いたラフデザインは極めてオーソドックスなRX-78-2 ガンダムのイメージを受け継いでいたが、富野から「劇場作品ということでもっとチャレンジングな作品にしたいので今までのガンダムにはない流れを入れたい」と言われ、新たにデザインが起こされた[3][4][5]。一方、それまで主役として進めていたデザインは、模型企画の『機動戦士ガンダムF90』という形でバンダイのホビー事業部により、プラモデルや漫画のメディアミックスで展開させていくことになった[6][4][2]。富野の意向でMSの全高は15mに小型化された[3]

カラーリングに関しては、スタッフの共通認識として「(宇宙開発機を連想させる)白い機体にしよう」というものがあり、大河原もそのイメージでデザインを進めた[6]。当初はほぼ白一色といえる配色だったが、バンダイからの「製品上の都合もあるからもっと色味を付けて欲しい」という要望で胸を青くするなど、ある程度はガンダム的な配色が踏襲された[6][3][1]。ガンダムを含め、歴代のサンライズのヒーローロボットは日本の鎧武者がモチーフなのに対し、F91には西洋甲冑の格好良さが取り入れられた[6]

富野からは「材質が金属ではないようにしてほしい。F(フォーミュラ)という名前だからフォーミュラカーなどに使われるFRP的なイメージの外装」という要望が出され、当時HONDAの連勝などによって注目を集めていたF1などのイメージを取り入れることになった[6][3]。また、当時の一部の製品で使われ始めていたエッチングパーツガンプラでも使用できることになり、富野から「それなら細かいディテールを集約的に(全体的に使うのではなく部分的に)使おう」という話が出てきた[6]。その結果、大河原からは「最近の車のきれいなラインを使ってガンダムを描いた」というFRPなどの強化プラスチックの素材感をデザインラインで表現したラフスケッチが提出された[6][1][2]。胸部にはそれまでのスタンダードなツインエアインテークではなく、自動車のフロントグリルをイメージソースにした格子模様が取り入れられていた[6][7]。富野から「これいいじゃないか。これはいけるよ」とOKが出たうえ、サンライズのグランドプロデューサーの山浦栄二からも、「変えるならここまでやるしかない」「いろいろゴテゴテ付けて変えてしまったものはそれ以上変えることはできないんだから、シンプルでありながら変わった物が欲しいから」とゴーサインが出た[注 2][1]。その後、安彦良和の作画参考ラフなどを経てデザインは完成した。

富野からは、「分身」や「人の顔(に見える)」というオーダーがあった[8]。「人の顔に見える」というオーダーは、「バイオ・コンピュータが最大稼働時にフェイスマスクをオープンして冷却のためにダクトが露出する」という設定を作り、その時の顔が「人の顔に見える」という仕様で表現した[6][3][1]。「分身」というオーダーには、大河原から出た多重装甲にしたいという意見[注 3]が取り入れられた[4][1]。そして、「リミッターが解除されて普段制限されている機動性を解放すると、機体に塗布されている電子コーティングが剥がれ、帯電しているそれが質量のある残像として見える」という設定が作られた[3]。ヴェスバーは、デザイン的にはνガンダムのフィン・ファンネルのデザインに対する大河原流の回答である[3]。また、背面にヴェスバーをマウントするデザインは『機動警察パトレイバー』に登場するグリフォンのフライトユニットを参考にしたことを、パトレイバーのデザイナーである出渕裕に語っている[9]

なお、2017年にはアニメでの作画による各部パーツバランスの変更や、大河原による新たなアイデアを盛り込むといった構想のもとで制作されたアクションフィギュアが、METAL BUILDシリーズの1つとして発売されている[10]。また、2021年にはそのカラーリングやマーキングをアニメ寄りに変更したバージョンが、同シリーズの1つとして発売されている[11]

『F91』公開後には、サンライズ企画室の仕事として石垣純哉が後継機となる「F92のデザイン・スタディ」をおこなっており、2023年にTwitterで画稿が公開された。背部にはベルガ・ダラスなどと同様のシェルフ・ノズルを装備している。"NEXT FORMULA 3 '91.10.26" と記されているが、石垣はコピーを見るまで存在を忘れていたという[12][13]

設定解説

諸元
ガンダムF91
GUNDAM FORMULA 91
型式番号F91
所属地球連邦軍
建造サナリィ
生産形態試作機
頭頂高15.2m[14]
本体重量7.8t[14]
全備重量19.9t[14]
装甲材質ガンダリウム合金セラミック複合材[14]
出力4,250kW[14]
推力15,530kg×4[14]
4,380kg×6[14]総推力:88,400kg
武装バルカン砲×2
ビーム・サーベル×2
メガ・マシン・キャノン×2
ヴェスバー×2
ビーム・ライフル
ビーム・シールド×1 (1)
ビーム・ランチャー
搭乗者シーブック・アノー
その他アポジモーター×51 (8)[14]

地球連邦軍からの高性能小型MS開発要求に対し、サナリィによって開発されたF9(のちのガンダムF90)はアナハイム・エレクトロニクス(AE)社のMSA-0120を下して採用される。ただ、性能面では満足されたものの、主力MSとして見た場合は不都合な点が散見されることから、実績のないサナリィの機体を量産するには時期尚早と判断され、同機の改良とそのためのデータ収集および評価試験の続行が命じられる[15]。その後、ビーム・シールドやヴェスバーといった新兵器を装備したF90Vタイプの試験運用結果を経て[16][17][注 4]、次期主力機、そしてF9型1号機としてF91が設計・開発される[15]

ハードウェア的には宇宙世紀0116年7月にはほぼ完成し[18][注 5]、宇宙世紀0121年2月[18]から0122年にかけて戦艦エイブラムで運用テスト(実戦も含む)がおこなわれるが、バイオ・コンピュータの調整が難航して完成には至っていない。同年11月20日には月のサナリィ開発部によって試作1号機が公開され[20]、12月にはフロンティアサイドのサナリィ施設に陣を移して継続される[18]。普遍的な高性能機として開発されたへビーガン、Gキャノン、F90とは異なり、その時点での限界性能を達成するというコンセプトを有しており、モードを切り替えることによって並のパイロットでは制御に窮するほどの高性能を発揮することが可能である。これは、かつてニュータイプと呼ばれたような者でしか最大性能を発揮できないポテンシャルを有した超高性能機体であることを意味する[21]

ロールアウト時の名称はF90と同様、型式番号そのままの「F91[22][注 6]」であった。たとえば、ガンダムF91の名称はこの頃に運用されていたエイブラム艦内でも呼称されてはいたが、これは非公然の愛称であり、正式コード名はF91だった。これは、ハウゼリー暗殺とオールズモビルによるF90強奪事件によって、参謀本部内でフォーミュラ計画推進派が発言力を失った事で、極度に保守化していた当時の連邦軍上層にとって「ガンダムという不正規部隊に運用されてきたモビルスーツの名を正規の連邦軍の研究機関であるサナリィ製の試作機であるF91に命名するなど考えられない」という思想的価値観があった[24]故の名称処理だった。

この事情が変わったのはスペース・アークでの運用が始まって以降である。ガンダムF91の機体名に含まれる「ガンダム」は、当初は過去に活躍したMSにあやかり、スペース・アーク艦長代理レアリー・エドベリが命名したもの[25]に過ぎなかった。しかし、上記のような上層部の事情を知る由も無いレアリー達スペース・アークの新米士官たちは、この時F91に正式なコードとしてこの「ガンダム」の名を付け加える処理をしてしまう。このレアリー達の行動によって「ガンダムF91」もしくは「F91ガンダム」のコード名は連邦軍内部でも正式な敵味方識別コードとして組み込まれ、以降ガンダムF91の名称は連邦軍の正式コード名となり「歴史に名を轟かせ」る事になった[24]

シーブックは出撃時に「F91、ガンダム」とも呼称している。

機体構造

頭部
2門のバルカン砲、バイオ・コンピュータを搭載。メインカメラはハイブリッドデュアルセンサーとなっており、高精度の射撃・索敵を可能としている[26]。バイオ・コンピュータの最大稼働の際は、フェイスガード部が展開してダクトが露出し、冷却用触媒の排出を行う[26]
胸部
MS小型化計画に伴い、各種機器の配置・設備・コクピットなどそのレイアウトは従来式から改められた。コクピットハッチは胸部に設置。上面は新型のガンダリウム合金セラミック複合材(セラミック繊維や粒子を合金に混ぜ込むことで、従来より熱や衝撃に対する耐性を大幅に向上させたもの)によって覆われている。胸部前面は正面からの攻撃に対し脆弱な印象を与えるが、機体そのものの機動性によって被弾率を低減するため、運用上の問題はない[26]。胸部から腹部にかけてのフロントグリルヒートシンクであり、出力時には発光現象を起こす[27]
コクピット
球形のコクピッドポッドを採用。脱出カプセルを兼ねる[28]。MSの小型化に伴い、このポッド自体も直径2m程度[29]に小型化しているが、強度はより向上している。操縦席はリニアシートであり、ある程度の加速Gや衝撃を緩和。操縦桿はアームレイカー式がパイロットのコンディションによって支障が出るケースがあったことから、従来のレバー式を採用した[26]。また、リニアシートにはバイオセンサーを導入[26][注 7]。パイロットの意思や感情をピックアップし、追従性や反応速度の向上をもたらしている。また、このバイオセンサーは頭部のバイオ・コンピュータとリンクしており、機体の最大稼働フェイズの判定を行っている[26]
マルチプル・コンストラクション・アーマー(MCA)構造
かつてのサイコフレームの生成技術の応用により、構造材にコンピューターチップ以外の電子回路も鋳込んだマルチプル・コンストラクション・アーマー(MCA)構造と呼ばれる新技術が採用されている[30][31]。次期主力MS開発計画(ATMS)において連邦軍から要求された「最大出力」を達成するため、アルマイア・グッゲンバイガーパワーウェイトレシオの改善を推し進めた[32]が、従来のモノコックやムーバブルフレームではこれ以上の軽量化は限界に達しており、これを打開すべくフレームの構造そのものを見直したことでMCA構造が生まれた[32]
F91にはMCA構造の一部としてもサイコフレームが搭載され[33]機体の反応速度・追従性の向上に寄与している。
MCA構造の採用により、従来は不可能であった小型化や高性能化が可能となった[30]。また、損傷や故障も想定してブロックごとにフェイルセイフシステムが織り込まれているため、他のブロックで補って一部の故障で作動不能になることはない[30]
バイオ・コンピュータ
生物細胞の活動を模したコンピューターと、有機材料の性質を併せ持つコンピューター双方の性質を併せ持つ人工知能[34]である第六世代型の教育型コンピュータである「バイオ・コンピュータ」[35]を機体中枢CPUとして配置し、同じく機体に搭載されたサイコフレームやバイオセンサーと組み合わせることで、人間とバイオコンピュータとの間でのサイコミュアクセスを可能としたシステム[35]。MSではF91において初めて採用された[36][注 8]
F91に組み込まれたシステムは、あくまでも「モニカ・アノー博士がバイオコンピュータをサイコミュ系と連携させることで構成したシステムの仕様」であり、バイオコンピュータそのものの機能としてサイコミュ的な機能があるわけではない[35]。(誤解されがちだが)あくまでもバイオコンピュータそのものは「より人間の脳機能・処理構造との親和性が高められた、優秀な第六世代型の教育型コンピュータ」である[35]
本来は兵器への搭載を前提とした技術ではなく、操縦者に負担をかけないサイコミュデバイスの雛形として開発されていた[37][38][注 9]。バイオコンピュータはニューロン系の構造を有しており、マルチプル・コンストラクション・アーマーやフェイルセイフ機構で複雑に構成された機体を統括するのに最も適していると判断され、搭載が決定した[30]
バイオコンピュータが処理した光学カメラや触感、温度の各種センサーなど機体が得た情報をサイコミュを介してパイロットの脳に直接伝え、パイロットの思考を機体に反映させる[40]。サイコミュが人間の脳に干渉する際の作用を利用しており、その繋がりによって操縦せずとも機械を作動することが可能である一方、マニュアル操縦が行われるとそちらを優先する[41]。また、ユニットの素子構造が人間の脳に近似しているため、パイロットの記憶や感情の領域にまで踏み込んで各種の判断を行う[40][42][注 10]
そしてバイオ・コンピュータのもう1つの役割は、パイロットの技量を分析し、機体のリミッターをコントロールすることである[40]。これは機体の限界性能が常人にコントロールできるものではないため、パイロットを保護する目的で設置されている。バイオ・コンピュータがバイオセンサーを介してパイロットが最大稼働に対応できると判断すれば、機体のリミッター解除を行う。このパイロットの判定と段階的リミッター解除による最大稼働発動機能は、あくまで"F91固有の機能"であり上述のバイオコンピュータのシステムそのものの機能ではない[注 11][44]
F91がこのシステムをMSに搭載した最初の機体であることから、従来のサイコミュとの併用の効果は前例がないため、未知数とされている[36]。F91は、このバイオ・コンピュータのための冷却用触媒が機体各所に添加されており、最大稼働の際は機体各部からそれを放出する[26][注 12]
また、機体各部状況を自己分析させる事でメンテナンスチェックの負担が大幅軽減されている[33]
最大稼動モード
「現時点での限界性能の達成」を目指して建造されたF91だが、カタログスペックと言われるジェネレーターの総出力や総推力は、同年代のC・VのハイスペックMSと同程度である。これは本機の限界性能が常人には扱えないため、リミッターを設置されているためである[45][46]。しかし、パイロットが適正であるとバイオ・コンピュータが判断し、リミッターを解除した最大稼動モードに移行することにより[46]、U.C.0120年代のMSの限界性能を達成するのである。このバイオセンサー稼働状態のリミッター解除時の機動は、F91を“たたき台”として造られたMSであるAE社のネオガンダムを抜きん出るであろう[47]と推測される。そして、最大稼働時は機体表面が高熱を帯びるために機体の冷却が追い付かなくなり[48]、機体各部を強制冷却するMEPEが発生する。
MEPE
MCA構造の副産物であり、装甲表面のビームコーティングに近似する特殊な加工材(主な材料は金属粒子)を剥離させることで機体の強制冷却を行う[37]。この「MEPE(MEtal Peel-off Effect = 金属剥離効果)によって剥離した金属片は、機動慣性方向に機体の輪郭とある程度の質量をもった残像を発生させる。これは金属片によるレーダーのかく乱のみならず、パイロットの肉眼も欺瞞するもので、同時代のMSやMAにおいてはコクピットのモニター画面はコンピューターグラフィックスによって補正されていることから、より一層錯覚に陥りやすいものとなった[37][注 13]。これらの現象は意図された機能ではなく偶発的に発生したものでMEPE自体はあくまで緊急手段であるため製作側はコスト面も含めて発動させたくないとしている。作中発動した本機はそれでも冷却は追い付いてなく手足以外まともに被弾してないのにも関わらずレーダーなどの電気系統に異常をきたしモニターも半分位映し出せなくなっている。
バイオセンサー
F91にはサイコフレームと共に、機体を統括するバイオコンピュータを更に操縦者の記憶領域にもアクセスさせ、逆にバイオコンピュータからの情報を操縦者に相互伝達させるためのアクセス機構の一環として、バイオセンサーが搭載されている[35]
通常の運用にあたってF91にはリミッターが採用されており、その解除はリニアシートに搭載されたバイオセンサーを介してバイオ・コンピュータが判断する[26]。劇中では二度目の出撃でシーブックがバイオセンサーと自身のバイオリズムが合っていることを機体内で確認し、それが母の調整によるものであろうことを推測している。
サイコフレーム
F91にはバイオセンサーと共に、機体を統括するバイオコンピュータを更に操縦者の記憶領域にもアクセスさせ、逆にバイオコンピュータからの情報を操縦者に相互伝達させるためのアクセス機構の一環として、サイコフレームが搭載されている[35]
サイコミュの主増幅器はコックピット周辺に配置されており、バイオ・コンピュータと連動してパイロットの思考を機体に伝達する。劇中では終盤、宇宙空間に漂うセシリーを捜すシーブックの能力を引き上げる為、モニカの提言により「サイコミュとレーダーの座標を組み合わせて知覚能力を高める」といった描写が見られる。
ジェネレーター
胴体に内蔵されておらず、背部に突き出した形で搭載されており[28]、その周囲にはメインスラスターやヴェスバーの部材が取り付けられている。
従来型のAE製MSの基本構造では融合炉とジェネレーターを隔離できなかったことから本体内にコンポーネントするしかなく、性能を維持したまま小型化することが不可能だった[29]。それに対し、サナリィはジェネレーターを外付けにする設計案を実行した[29]。回路や伝動装置のとり回しが困難さを伴ったものの、MCA構造が導入されたことによって高密度実装が可能となり、解決した[29]。躯体の軽量化やジェネレーターの高性能化が進んだため、F91はビーム・シールドやジェネレーターを稼働させる余力が生まれた[49][注 14]。動力には小型の新世代MSに採用された新型熱核反応炉を採用[28]。Iフィールドによってヘリウム3や重水素を縮退寸前まで圧縮・貯蔵し、炉心で反応させる方式を取り、これにより燃料搭載スペースが縮小されたほか、小さな炉心で大エネルギーを発生させることが可能となった。一方、反応炉のシステムが破壊された場合には、縮退された燃料が核爆発を起こすリスクも孕んでいる[31]。この問題は反応炉の原理に関わっていたことから解決できず、後の時代まで引き継がれることになった[28]
肩部
バイオ・コンピュータを冷却するための展開式の放熱フィンが格納されている。これは大気圏内においては安定翼のスタビライザーとして機能する[26]。そのため飛行時は基本展開している。右肩に「F」、左肩に「91」と赤で形式番号が記された特徴的なマーキングは、劇中中盤の出撃時はあったものの途中でなくなって、それ以降記載されなくなる。
マイクロハニカム技術による構造材
前身のF90で採用されたヤシマ重工のマイクロハニカム技術を引き続き導入している[51][注 15]
スラスター
機体各部の計51か所にアポジモーターが存在[53]。背部にはスラスターコンポジットを有し、高い機動力を誇る[27]
ミノフスキー・ドライブ
試験型のミノフスキー・ドライブを搭載したとする資料[54]、フォーミュラ計画において開発された機体には戦艦用であったミノフスキードライブを小型化してたうえで試験的に導入し、F91においては短時間のスラスター出力を補うと推察した資料もみられる[55]
『月刊モビルマシーン』では、サナリィ技術陣がF90Wの初期型ミノフスキードライブを瞬間的な加速システムとしてF91に搭載することを検討しているとされたが、連邦軍からの公式回答は得られていない[24]
『F90設定資料集』において、一説の範疇だがVSBRを中心に「不完全で試験的」だが「ミノフスキードライブ効果」が発生したとする記述がある[33]。これに関連する資料として、ミノフスキードライブには元来登場したVガンダムにおける資料にて「一般普及したVSBRのビーム可変速理論と、ミノフスキーフライトのフィールド形成理論を合わせることでミノフスキードライブの基礎原理となる」[56]という設定が存在している。
ミノフスキー・フライトシステム
『月刊モビルマシーン』によると、F90Aタイプの設計データを継承した本機にもミノフスキーフライトを搭載したという「証言」が複数存在するが、一方で通常の熱核スラスターの搭載のみに留まったという説も根強いという[24]

武装

ヴェスバー
V.S.B.R.(Variable Speed Beam Rifle[57]=可変速ビーム・ライフル[49])。F91の両脇から背面に掛けて備えられているレールに一門ずつ懸架されている稼働砲。高速で貫通力の高いビームから、低速で威力を重視したビームまでを状況に応じて撃ち分けることができ、戦艦の主砲クラスの威力を発揮する[26]。F91のヴェスバーは小型高出力熱核反応炉(ジェネレーター)に直結する[58]形で配置されており、ビーム・ライフルと同等の大きさながら威力と稼働時間の向上に成功している[26][注 16]。また、懸架時はAMBAC作動肢として機能する[59][21]。鉄壁の防御を誇る敵機のビームシールドを一撃で貫通・無効化する能力を持ち、逆にシーブックからはコロニー内戦闘用としては強力すぎると判断される。一方、発砲時はAMBAC機能を失うため、機体そのものが肩部スタビライザーと脚部ストレートバーニアを展開し、準最大稼働状態をとる[26]。また、新開発された大容量のコンデンサーにより連射が可能で本体から分離した状態でも数発は発砲可能である[60][注 17]。なお、ヴェスバーを本体から分離した場合のみ、バックパックの側面スラスターが使用可能となる[62]とする資料がある一方、外側に約30度傾けて取り付けられているので、バーニアの噴射炎を浴びることはないとした資料もみられる[57][59]。『機動戦士ガンダムF91』作中ではビーム・ライフルやビーム・ランチャーのトリガーに連動させてグリップを保持せずに発砲したほか、グリップをマニピュレータで保持しても銃身のブレが生じパイロットが発砲を躊躇う場面も見られた。また、フロンティアI脱出時には四方八方から迫る無人殺戮兵器バグに対処するため、背面に懸架したままグリップを展開せずに数発続けて発砲している。また、ラフレシアからの最初の攻撃を避ける際にセシリーのビギナ・ギナを背面越しに押し上げて回避したため背面から見て左側の1門のマウントレールジョイントが破損したためそのまま投棄している。
マウントレールには他の武装を換装可能としており、ウェポンシステムも用意されていた[50]
ビーム・サーベル
左腰内部に2基収納されている。宇宙世紀0090年代の「シャアの反乱」時におけるアイドリング・リミッターは廃止され、逆にビーム刃形成持続時間が向上している[63][64]。ビーム生成をある程度任意でコントロールすることが可能であり、間欠式ビーム生成機能や高出力稼働に対応したエミッターを内蔵する[65]。ビームを細く絞ることでエネルギー消費を抑えつつ従来型以上の出力を発揮し、軽量化と高効率化によって高速回転させて防御壁として使用することも可能となった[31]。背部ジェネレーターやスラスターによって装着位置は従来の連邦軍製MSのようなバックパックとは異なり、腰部となった。結果的に、取り回しの面で背部装備の方式よりも有利な面が確認されている[21]
また、刀身を通常の倍以上に形成させることが可能で、バグとの交戦の際には前述の高速回転と合わせて多数を巻き込み破壊している。
ビーム・ライフル
専用のビーム・ライフル。15m級のMS用のバランスで構成されており、出力の微調整が可能なため通常の長射程ビームのほか、ビームマシンガンのような速射も可能[65][注 18]。また、同時期の連邦軍製ビーム・ライフルがプルバレル式の廉価型が主流であったのに対し、F91のものはサブセンサーを備えて安定した照準精度を確保した堅実な設計となっている[26]
ビーム・ランチャー
威力が高いビーム兵器。砲身後部にEパックを配する。背面腰部にあるマウントラックにて携行できる。ビーム・ライフルと同原理のビームをパルス状に圧縮して発射するバズーカ型のビーム兵器であり、その形状はMS用のバズーカに近い[66][注 19]。出力・収束率はビーム・ライフルよりも高く、取り回しを気にしなければ接近戦でも使用可能としている[31]。『機動戦士ガンダムF91』作中では詳しい装備の経緯は描写されておらず、ガル・ブラウを沈めたビギナ・ギナと合流した際には所持していなかったが、次の登場シーンであるラフレシアに遭遇した際には既に装備していた。
バルカン砲
頭部両側に1門ずつ、2門設置されている機銃。牽制や威嚇を想定した装備[65]
メガマシンキャノン
本機の胸部両側に1門ずつ、計2門設置されている。既存連邦軍製バルカンよりも強力で、接近戦で用いることにより、MSをも破壊する威力を発揮する[65]
ビーム・シールド
本機の左腕部に設置されている防御兵装。右腰の装甲内に予備発振器を携行する[26]。機体の軽量化とジェネレーターの高出力化に伴い装備可能となったもので、連邦軍のMSとしてはF91ではじめて採用された[21]。機体と接触する部分は機体側のフィードバック回路により自動的にカットされる[36]。F91に装備されているビーム・シールドはコンデンサを搭載し、機体から離れた状態でも短時間は稼動させることが可能[21]。シールドを展開した発生器を敵機に投擲し、攻撃することも可能[68]。『機動戦士ガンダムF91』作中では、バグとの交戦時にシールドのビーム出力を一方向に限定し薙ぎ払って使用したほか、一瞬だけビームを伸長させたビームガンの様な牽制を行う場面も見られる。
デナン・ゲーのビーム・ライフル
バグと交戦し終えたガンダムF91が坑道移動中に拾得し、ラフレシア戦で使用している。連邦軍の装備とCVの装備が共通規格となっていることから使用が可能であった[69]。『機動戦士ガンダムF91』作中では、カラーリングが元の緑色のままのカットとF91用のビーム・ライフルと似た白色となっているカットが混在している。

劇中での活躍

小説版『F91』によれば、練習艦スペース・アークを母艦として、カタパルト・デッキから数回発進テストをおこなっており、C・VによるフロンティアIV襲撃の際には参戦するために出撃するが、コンピュータと機械操作の連携が悪く、すぐに引き返したとされる[70]。このときのパイロットは不明であり、練習生以外のスペース・アークの正規クルーは皆逃げ出している[71]

アニメ版『F91』では、その後連邦軍本隊より取り残され、住民によるゲリラ活動の拠点となったスペース・アーク内で整備されているが、正規の整備マニュアルがほとんど無く、代わりに残されていた開発者のモニカ・アノーの録画映像によるバイオ・コンピュータ接続方法の口頭説明に理解不能の部分があり、起動不能であった。その映像を見せられたモニカの娘リィズ・アノーは、その説明がかつて母に教えられていたあやとりの用語だと気付き、無事起動に成功する。

そして、工学科の学生でMS操縦実習の経験がある上に「母親が作ったコンピューターだから相性がいいだろう」という理由でリィズの兄であるシーブック・アノーがパイロットを任せられることになり、C・Vとの戦いで多大な戦果をあげる。最終的にラフレシアとの戦闘では機体の各部が破壊されるが、最大稼働モードに達した結果、これを撃破する。その後は稼働停止状態に陥るが、バイオセンサー熱感知機能とサイコミュを組み合わせたセンサーに、シーブックのニュータイプとしての感知能力を併せて使い、宇宙空間に放り出されたセシリー・フェアチャイルドを発見することに成功した。小説版では半壊状態になっている。

なお、『機動武闘伝Gガンダム』の終盤に登場する「ガンダム連合」の中に本機も混ざっており、一瞬だけ姿を見ることができる。

バリエーション機

脚注

参考文献

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