ジュドー・アーシタ

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性別
職業 ジュニア・ハイスクール2年[3]
ジュドー・アーシタ
Judau Ashta[1]
矢尾一樹[2][注 1]
詳細情報
性別
職業 ジュニア・ハイスクール2年[3]
所属 エゥーゴ[注 2]
出身 サイド1・1バンチ / シャングリラ[5]
生年月日 宇宙世紀0073年10月10日[6]
血液型 B型[7][注 3]
身長 165cm[3]
体重 56kg[3]
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ジュドー・アーシタ(Judau Ashta[1])は、テレビアニメ機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する架空の人物、および同作品の主人公。ΖΖガンダムのメインパイロットを務める14歳の少年[10][11]。当時のガンダムシリーズにおいて、過去作に由来するイメージの刷新を図った造形がなされるとともに[12]、従来とは異なる新しいニュータイプとして描かれた[5][13][14][15]アバンタイトル次回予告のナレーションも兼任する。担当声優矢尾一樹[2][注 1]

『機動戦士ガンダムΖΖ』

シャングリラでの生活
サイド1のスペースコロニーシャングリラにて、ジュドーはリィナと兄妹二人で暮らしていた[11]。シャングリラは政治的腐敗ゆえに運営が行き届いていないため[17]、彼らの両親は出稼ぎに出たまま帰らず、さらに父親は行方不明となっていた[18]。親からの仕送りは受けていたものの、ジュドーたちの生活は空気税や生活費をまかなうだけでも経済的に苦しい状況にあった[19]。妹を養い、かつ彼女を上流階級の「山の手の学校」へと入学させるのに必要な学費を稼ぐため、ジュドーは学校にほとんど通わず、イーノ・アッバーブビーチャ・オーレグなどの仲間たちと共にジャンク屋稼業に精を出していた[20]
アーガマの寄港
グリプス戦役の終結後、なおも勢力を保つアクシズは宇宙世紀0088年2月29日に「ネオ・ジオン」を標榜し[21]、地球圏制圧へと動きだす[11][22]。一方、戦役で疲弊したアーガマは修理と補給のため、同年3月1日にシャングリラへと寄港する[23]。このことを知ったジュドーは、ジャンク屋仲間と共に、アーガマに所属するモビルスーツ(MS)Ζガンダムを盗み出し大儲けしようと画策する[11]。シャングリラに流れ着いたティターンズの敗残兵ヤザン・ゲーブルと共にアーガマに侵入した際、ジュドーは心神喪失状態のカミーユ・ビダンと交感し、ニュータイプの片鱗を見せる[24]。その後、人命を軽んじるヤザンに憤りを覚えたジュドーは、成り行きで乗り込んだΖガンダムを操縦し[注 4]、ヤザンの乗るモビルワーカーを撃退する[26]。アーガマの艦長であるブライト・ノアは、アムロ・レイ[注 5]やカミーユといった過去のガンダムのパイロットたちの面影をジュドーに重ねる[28]
程なくして、ネオ・ジオンの派遣したマシュマー・セロ率いる巡洋艦エンドラがシャングリラに入港する[29]。アーガマはその襲撃を受けるが、依頼されたジュドーが再びΖガンダムを駆り、迎撃に成功する[29]。そしてブライトの要望や[30]ファ・ユイリィ、リィナからの説得により[31]、合流した志願兵のルー・ルカともあわせて、仲間たちと共にアーガマに乗艦する[32]。パイロット候補生となったジュドーはマシュマーのMS部隊による度重なる攻撃を退け、同年3月16日における最新鋭機ΖΖガンダムの稼働に伴い[23]エゥーゴのパイロット(最終的には中尉待遇[33])として否応なく第一次ネオ・ジオン抗争に身を投じていく[23]
人々との交流
ジュドーは大人の都合で動かされる社会や戦争を疎み、個人的な動機や直感に基づいて行動する[34]。それゆえ彼は自身の生活やリィナのため[35]、後には彼女がネオ・ジオンに囚われたため、やむを得ず参戦していた[24]。しかし戦いを通じて、ネオ・ジオンの非人道性[24]、ネオ・ジオンあるいはザビ家といった抽象的なもののために死ぬ人々、そして地球連邦事大主義を目の当たりにしたジュドーは、たとえ妹を奪還し得たとしても戦いを見届けようと考えはじめる[36]。さらに彼はその最中で、ネオ・ジオンのニュータイプ兵士エルピー・プル[37]、そしてネオ・ジオンを率いる孤高のニュータイプであるハマーン・カーンと邂逅する[38]。プルは共鳴した「お兄ちゃん」のジュドーを慕ってエゥーゴに寝返り、様々な場面で彼を支える[39]
ハマーンとの因縁
ジュドーがリィナを取り戻すべくアクシズに潜入した際、彼のプレッシャーを初めシャア・アズナブルのものと錯覚したハマーンは[40][注 6]モウサで遭遇したジュドーに興味を抱くようになる[42][注 7]。ジュドーは彼女からニュータイプの資質を買われ、同志となるよう誘いを受ける[44]。彼は惹かれるものを感じつつも[45][46]、拒絶する[47]。地球降下後のダカールにおいては、かつてアステロイドベルトで経験した苦難や[48]、地球圏の人間に対する嫌悪をハマーンから吐露されるが[49]、ジュドーは彼女に構わず、己の目的であるリィナ救出を優先する[50]。その姿勢を詰るハマーンの銃撃から彼を庇ったリィナが負傷したことで、ジュドーは激昂し、彼が放った強大なプレッシャーはハマーンを圧倒する[51]。ハマーンはそれでもなおジュドーを説得しようと試み続け[52]、ニュータイプによる世作りへと誘う[53]。ニュータイプとしてハマーンと共鳴するジュドーは[54]サラサ・ムーンの言葉を受けてハマーンの本心に近づいていくとともに[53]、自身とハマーンが同じ本質を持つとも認識することになるが[55][注 8]、戦争の元凶である彼女をあくまで拒む[58][注 9]
戦う意志
ダカールでの戦闘の最中、リィナが安否不明となったことでジュドーは失意に沈む[56]。しかし仲間の叱咤や応援により、戦争を終わらせるために戦うという決意を新たにする[56]。後にはコロニー落としによる犠牲者の思念を感受して苦しむほか[60]、ジュドーを守るために自爆したプルや[61]ラサラ・ムーンエマリー・オンスなどといった親しい人々の死を受けて心の傷を重ねる[62]。またカミーユからは思念で語りかけられ、精神感応を通じて想いを託される[63]。これらの経験を経てジュドーは自身のニュータイプ能力を強めていき、バイオセンサーを介してΖΖガンダムの戦闘能力を向上させるようにもなる[63][注 10]。そしてハマーンとの応酬を重ねるうちに、ニュータイプならば自分のためだけに戦うものではないと悟る[14]。アクシズでの戦闘中、ザビ家の血を引く者として大義を掲げるグレミー・トトに対しては、今は人類全体が再出発すべき段階にあると告げ[65]、独善を糾弾する[66]。人間の可能性を信じるジュドーの思念は、能力を通じて多くの人々に伝わる[63]。そして彼の呼びかけとプルの思念とが、グレミーに支配されていたプルツーを解放する[67]
決着
第一次ネオ・ジオン抗争の最終局面となる宇宙世紀0089年1月17日[22]、ジュドーはモウサにてハマーンとの一騎討ちに臨む[42]。カミーユやかつて戦死した者たちの意志は集結して力となり、ジュドーを守り支える[68][69]。その力でジュドーは分離したΖΖガンダムを再合体させた後[63]、ハマーンの抱く憎悪や精神的な弱さを見抜いて彼女に諭す[70]。激戦の末、ハマーンが搭乗するキュベレイを撃破したジュドーは、敗北[注 11]を認め述懐する彼女を救おうとして手を差し伸べる[74]。ハマーンはそれを拒むものの[75]、彼のような「強い子」に出会えたことに満ち足りながら自決する[76]。直後、重体のプルツーはニュータイプ能力を用いてジュドーを危機から救い、安堵のうちに絶命する[77]。ネオ・ジオンの内紛および自滅的な敗北により抗争は終結するが[78]、戦局に対し遅々とした対応を見せ、旧弊な姿勢を崩さないエゥーゴや地球連邦軍の大人たちに、ジュドーは無益に死んでいった人々のことを思い憤慨する[79]
木星への旅
ジュドーはその後ルーと共に、木星船団ヘリウム3輸送艦ジュピトリスIIの乗員に志願する[80]。宇宙世紀0089年3月15日[81]、月面都市フォン・ブラウン市においてジュピトリスIIに乗船する間際[82]、シャアの妹であるセイラ・マスに保護されていたリィナと再会する[80]。人間の可能性を内省し[83]、また自分をさらに高めるために[84]、妹や仲間たちが見送る中、ジュドーはフロンティアである木星へと旅立つ[85][69][注 12]

『GUNDAM EVOLVE../10』

OVA作品『GUNDAM EVOLVE』において制作された短編の一つ。ジュピトリスIIのクルーとなったジュドーは、歴戦のニュータイプという評価を艦長から受けている[89]。また搭乗機として、ΖΖガンダムのパーツを修復し代用のBパーツと合わせたZZ-GRを用いている[90][91]。宇宙世紀0090年10月10日[89]、亡命を希望するシャトルとそれを追うネオ・ジオン残党のMS部隊がジュピトリスIIに迫る。哨戒任務中のジュドーはZZ-GRで迎撃するが、シャトルから現れたキュベレイMk-IIを庇ったことで推進剤を使い果たしてしまう。しかし、リィナが「バースデープレゼント」として送り出していた新造のBパーツと再ドッキングすることで強化型ΖΖガンダムを復元させ、敵部隊を掃討してジュピトリスIIへ帰艦する。艦上での戦いでは、強化型ΖΖの複数の火器を同時に稼働させ、別個の標的を捕捉しながら撃破する。

コンセプト

企画

機動戦士Ζガンダム』の続編として制作された『ΖΖ』では、今までの陰鬱でシリアスなイメージを払拭すべく[12]、「明るいガンダム」を目標に、ポジティブな主人公が設定されることになった[92]。その一方で、総監督富野由悠季は、物語が明るく楽しいだけのものにとどまらず、ある程度の重みも継いで哀愁をまとうことを目指していた[93]

1985年の晩秋周辺に作成された企画資料によれば、ジュドーは「『Ζ』の主人公カミーユよりも若く、新しいファンとなるべき子供達の共感を得やすく設定」され、「身の回りの『ざわつき』をナイーブに受止めるジュドーの感性がより多くの子供達の支持を集め、第二のアムロ・レイに育つ」ことが目指された[94]。また『ΖΖ』の物語は、制作側から次作の方針として「少年少女たちの一歩進んだ宇宙観を投入して、より豊かで、冒険心に富んだ番組」が挙げられたように[95]、主人公となる少年の目線を通して進められた[24]。さらに、アムロやシャア、カミーユといった過去作における「その時どきのニュータイプ」とは一線を画す、革新を経て「さらなる展開を得たニュータイプ」の登場が示唆された[94]。そこでは、心根が優しくかつたくましい、野心を秘めた少年ジュドーが戦いによって成長しながら「真のニュータイプとして覚醒していく」とされていた[94]

『ΖΖ』放送以前のインタビューにおいて、プロデューサー内田健二は、『ΖΖ』の見どころを紹介する際にニュータイプについて問われ、以下のように答えた。

NTニュータイプとして覚醒に成功した人物は、いません。アムロは覚醒しかかっていたが、今回「Ζ」で描いてみたら(目覚めはしたが)眠りにおちてしまった。カミーユの覚醒は明らかに失敗。それが最初からの意図であったので、暗い話になってしまった。その功罪からいって、「ΖΖ」では必ず成功させたいですね[96]

また富野は、『ΖΖ』ではジュドーのみが「『イデオン』に……エスパーになっちゃう」と述べ、さらに、『Ζ』という現実認知の物語にジュドーが影響されることはなくとも、彼はそれを人の意志として感じ得るとしていた[93]

制作

キャラクターデザインを担当した北爪宏幸は、富野から「未来の貧乏人」を描くよう指示され、「下町っ子のイメージ」を捉えた[97]。衣装をデザインする際には、参考資料として富野から渡された海外の子供服のカタログなどを用いた[98][注 13]。また北爪は個々のキャラクターについて述べるにあたり、ジュドーは「真面目で明るい行動派の主人公」であり、確実にニュータイプだと語った[97]。その上で、カミーユやアムロのような神経質さを取り払った[97]。さらに、自身が『機動戦士ガンダム』の影響を受けたことから、ジュドーの髪をややウェーブにすることでアムロの持つ雰囲気を継がせたという[98]

脚本を担当した一人の鈴木裕美子は、「ひきずるものが多すぎた」カミーユに対し、そういったもののないジュドーは「ずいぶんラク」だと考えていた[100]。しかしメタフィクション的な連載コラム「ガンダム保母さん日記」によれば、『ΖΖ』序盤のシナリオ作りに臨むにあたって、ジュドーは「主人公としての責任感をまったく感じられない」、自分の都合でしかガンダムに乗ろうとしないキャラクターだったため、曲がりなりにも素直に動くアムロやカミーユとは異なり扱いに難儀したという[101]。また『Ζ』との明確な差別化を狙い[102]、『Ζ』から引き続き登場したウォン・リーとの衝突において、ジュドーは彼の「修正」には絶対に負けないものとした[103][注 14]

声優の矢尾一樹は、『Ζ』に何度か出演したものの『ガンダム』に関する知識はなかったため、『ΖΖ』と以前のガンダム作品との違いに実感が持てず[105]、またジュドーというキャラクターには暗いイメージを持っていた[106]。自身との年齢差が大きいキャラクターを演じることに悩みを覚えはしたが、性格はわかりやすいため演技しづらくはなかったという[105]。演技の際には「十四歳の純情少年」であることや「子供らしさ」[106]、「天真爛漫に明るく」演じることを意識し[105]、またかわいらしく[107]、高めのトーンを用いるよう心がけたが[105]、終盤では同化し[108]、最終回あたりでは地で演じていたと語っている[106]

番組の放送中に『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』制作が企画されたことにより、シャアやアムロの『ΖΖ』出演の機会はなくなった[109][注 15]。『ΖΖ』放送終了後、富野は制作に関する心境を以下のように説明している。

ジュドーという主人公を設定したのは、「ΖΖ」にはアムロとシャアを出したくなかったからです。彼らとは違うガンダムの世界を確立したかった。むしろ2人の出る幕をなくしたくて、ジュドーという強いキャラクターを作りました。それが「ΖΖ」に取りかかる時の心境でした[注 16]。〔中略〕ただ、「ガンダムの世界」に引っぱられて「ジュドーの世界」にならなかったのが心残りですね。もっと楽しい世界にしたかったんですが、どうしてもそうならないところが、ガンダムの世界が持つうっとおしさなんでしょう。ジュドーに対して申しわけなく思います[注 17]。そうはいっても、ジュドーを設定しなければ、ひたすら陰々滅々にのめりこむ方向に行ったでしょうし、プランニングは間違っていなかったと思います[111]

富野は、視聴者を意識した作品づくりをするならば、主人公にはジュドーではなくルーのようなキャラクターが置かれ、あわせてイーノのようないじめられ役が登場するとも語った[116]。ジュドーを『ΖΖ』の主人公に据えた効果については、インタビューで以下のように述べている。

ジュドーのようなキャラにしたおかげで「Ζ」に絶対にならないで終われた[注 18]。ニュータイプ論みたいな面倒なことにもっていかないですんだ。〔中略〕それはバックボーンに置いておけばいいという思いが、〔『ΖΖ』を〕異常な番組にしないで済んだ要因だと思う[118]

初期案

1985年10月に作成された『ΖΖ』の企画書では、「明るいガンダム」というコンセプトは確立されていなかった[119]。そこで描かれるジュドーは、実際の本編のような妹思いの側面を持たない「普通の性格」で[120]、「暴走族のお尻についている」できのよくない13歳の少年である[120]。パイロットとして経験を積み成長した彼は、「第一次ニュータイプになって、地球人にメッセージを残して、火星に旅立つ人となる」とされていた[121]。また『Ζ』の登場人物であるエマ・シーンが引き続き登場するが、彼女に対する思いを拒否されたジュドーは女性不信に陥り、さらにはマザーコンプレックスも加わって[注 19]、ルーのような若い女性からの好意を受け入れない[120]。また、暴走族という設定やエマやシャアのような人々の存在が作用して、幾分大人びたイメージとなっていた[122][注 20]

企画書の段階では、シャアによるハマーン殺害によって「シャアの逆襲」が前景化されており、過去作からの影響が垣間見える[119]。ジュドーの成長は、敵パイロットとして教師の役割を果たすシャアによりもたらされる[119]。シャアは地球連邦政府高官の暗殺に携わり、連邦政府による宇宙移民の承認を見届けた後、地球侵攻を開始したハマーンを殺す[119]。その後、シャアと敵対したジュドーは己の意思を全世界に伝え、シャアの手口を「自分が納得するだけの姑息なもの」だと指弾する[119]。シャアは納得し、人々は自発的な宇宙進出へと促される[119]。ここにおいて、シャアは人間としてもニュータイプとしてもジュドーと同程度の覚醒に至ることができない[121]。そして、大人になることで訪れかねないニュータイプとしての衰えに思い至ったジュドーが、「学習するため」と称して火星開拓に参加するという結末が示される[119]

人物

設定・造形

14歳のスペースノイド[123]。ウェーブがかった[98]ダークブラウンの髪で[19]、端整な顔立ちをしている[124]。気ままで無鉄砲な性格であり[125]、明るくバイタリティに溢れる[24]。非常に妹思いである[1]。物事は徹底的にやらなければ気が済まず[56]、世の中を見返したいという願望を持つ[126]プチ・モビルスーツの操縦を特技とし[3][注 21]、操縦技術に対する自信ゆえに陽気に振る舞っている[124]。費用がかかるために未経験なものを除き、スポーツ全般を得意とするという記述もある[9]。好きな言葉は「一カク千金」[128]。趣味はバイク[7]。好物はハンバーグカレー[3]、妹リィナの作ったもの[128]

兄妹、特に妹がいるという設定は、『ΖΖ』以前の、自閉的・内向的で人間関係をうまく構築できない一人っ子というガンダム主人公の人物像とは異なると指摘されている[129]。富野はその理由として、そのような系譜とは違うものがあってよいという発想を挙げた上で、より大きな要因として、2人の女の子をおおむね育て終えたという彼自身の親としての実感を述べている[129]

名の「ジュドー」はビートルズの楽曲「ヘイ・ジュード」から、姓の「アーシタ」は「明日」から取られている[130][注 22]

ニュータイプとして

ジュドーは「ニュータイプを苦悩から解放し、テレビシリーズの『ガンダム』を軟着陸させた主人公」と評価される[54]。『Ζ』で描かれた救いなきニュータイプの挫折に対し[133]、『ΖΖ』ではジュドーの旅立ちによってニュータイプの希望が再提示される[92][注 23]。また自身がニュータイプであることを特別視せず[136]、なおかつニュータイプ論にも無関心な、「ニュータイプを意識しない新たなニュータイプ」とも言われる[5]。一方で、ジュドーはカミーユの意志を継ぎつつも[122]、「鬱屈せず、快活で外交的な性格を持っている」ような「健全なニュータイプとして覚醒するために作り出された」からこそ、地球からの離脱を余儀なくされたとも評されている[122]

ニュータイプ能力において、ジュドーはハマーンと同等のものを持つという[11]。最高のニュータイプ能力を持つカミーユに次ぐとも言われる[137]。さらに、ニュータイプのランクではカミーユに次ぐ2位となっている。[7][注 24]さらに、ニュータイプの素質では「キャラクター中もっとも高」いとされる[7][注 25]。素質の高さを示す例としては、「死んだと思われていた妹の存在を感じたり、戦闘中に敵と心を通わすこともできる」ことが挙げられている[7]。『機動戦士ガンダム ニュータイプ伝説ぴあ』では、ジュドーはハマーンと比較して「互角以上のニュータイプ」である一方、「パイロットのニュータイプとしては、明らかにハマーンのほうが格上」だとされる[139][注 26]。それと同時に、「ジュドーの強さはニュータイプ能力の高さではなく、子どもの元気と素直さを失わないこと」に由来しており、「そのたくましさに、カミーユは “次代のニュータイプ” として期待し」[63]、そして「ハマーンは未来ある子どものニュータイプであるジュドーに期待をし、またその力を改めて見たとき、彼が自分に勝る存在だと納得したのだろう」と評される[140]

『ΖΖ』制作陣による批評

総監督の富野由悠季によれば、ジュドーは「精神的な強さ」に優れている[141]。『Ζ』におけるカミーユが自身の尺度で測った相手の心情を考えていたのに対し、「いい意味で何も考えない主人公でいられるキャラクター」であるジュドーは、相手の行動に対して本能的に反応することができるという[115]。さらに富野は、ジュドーはカミーユに対するアンチテーゼではなく[注 20]、「心的なモーメントとしては内向して」いるカミーユと「個のありようとしては根ざすところは同じ」であり、「ポジティブにするか、ネガティブにするかの違いだけ」だと強調する[142]。そして「カミーユがちょっと踏ん張ったら、ジュドーになる」として、「2人が裏表でだぶって見えるかもしれないけど、人とはそういうもの」だという見解を述べている[142]

また富野はジュドーの木星行きという結末について、ニュータイプは宇宙から地球へ戻ってくると退化するという当時の構想に基づき、「あいつジュドーなら、そういうニュータイプ能力の訓練をきちっとやっちゃうんだろうなという事です」と語り、もし木星から帰還したジュドーが登場する場合は、アムロやカミーユよりも「もう少しふっきれて、きれいな形のニュータイプで現れるんじゃないかと思いますよ」と述べている[135][注 27]。一方、上野俊哉は富野との対談時、この結末を当時の若者世代に見られる一種の老いとも言える自意識のなさと関連づけた[143]。彼の指摘では、ジュドーはシャアのように業を背負う者ではないことから、そのような自覚とは別のシステムや党派に従う場合、人間に起こり得る変容というガンダム的なテーマとは全く異なる文脈において、ジュドーは虐殺者となり得るのではないかとされた[143]。これに対して富野は、その可能性を意識したからこそ、未解決の課題として終わらせるという「ズルイしスケベなやり方」をした節があると認めている[143]

設定制作の近藤康彦は、ジュドーが新世代のニュータイプであるのに対し、「『女』としての欲望、業とかにとらわれていて、どうしても翔べない」ハマーンは、彼を成長させる礎となる「ニュータイプの中のオールドタイプ」であり、「第一世代のアムロと第三世代のジュドーの中間に位置する存在だといえる」と述べている[14]

脚本を担当した一人の鈴木裕美子は、ジュドーは「俗に言ういい子ではありませんが、人と共に喜んだり悲しんだりが出来る子」だとしており、SF作家ゼナ・ヘンダースンの著作に登場する「ピープル」、自らの有する不思議な力を「戦争の道具としてではなく感情を分かち、高め合うものとして生活の中で自然に使」う人々に「一番近い」のではないかと述べた[15]。また「ジュドーはアムロやカミーユに比べるとニュータイプの能力は落ちても[注 28]、力を一番自然に身につけていた」といい、「その大地に根ざした能力こそ、それまでのニュータイプ——ハマーンさえもが持っていなかった力」であるがゆえに「ハマーンはジュドーを恐れた」とも述べている[15]

その他の作品

『機動戦士ガンダム 英雄伝説』
雑誌『SDクラブ』に1990年1月から5月まで連載された、青木健太・松川健一による漫画作品。宇宙世紀0094年が舞台。
第二次ネオ・ジオン抗争時に消息を絶ったアムロを捜索するため、シャングリラを訪れたカイ・シデンに協力するガンダム・チームとヤザンやネオ・ジオン残党の間で武力騒動が発生するが、ΖΖガンダムに搭乗したジュドーが駆けつけて鎮圧する。
機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス
長谷川裕一による漫画作品。宇宙世紀0091年が舞台。1990年当時、『ΖΖ』と『逆襲のシャア』を繋ぐことを意図して描かれた[144]
木星圏のオリュンポス・コロニーで暮らしていたジュドーのところに、アムロが現れる。ジュドーとアムロは協力してネオ・ジオンの残党が発掘した巨大機動兵器「巨神」の発動を阻止し、そのパイロットとして利用されていたミネバ・ラオ・ザビを救出する。ジュドーおよびアムロの乗機として、プロトタイプΖΖガンダムの改修機である「メガゼータ」が登場する。
機動戦士Vガンダム外伝
同著者による漫画作品。「グレイ・ストーク」と名乗るニュータイプの男性が登場する。彼は木星船団(同作品群での呼称は「ヘリウム船団」)のリーダーで、自前のMS「ガンプ」のパイロットとしても活躍し、「木星じいさん」を自称する。『機動戦士クロスボーン・ガンダム』の外伝作品などにも登場する。この人物の正体がジュドーだとほのめかされることもあるが、明言は避けられている[145]
機動戦士ガンダム ムーンクライシス
松浦まさふみによる漫画作品。宇宙世紀0099年が舞台。
ジュドーはルーと思われる人物と共に仕事を続けており、木星からヘリウム船団の一員として地球へ帰還し、ビーチャと思われる人物と再会する描写がある。シャアの反乱など地球圏での騒動は知らないようだが、何らかの変化は感じ取っている。

搭乗機

アニメでの搭乗機

その他の作品での搭乗機

反響

アムロやカミーユとの比較で、ジュドーは多く批判された一方[135]、「普通の生活の中でニュータイプだったジュドーは本物だ」という意見も寄せられた[135]。この見解に対し富野は、ニュータイプの具体的な定義づけは『ΖΖ』でも未遂に終わったとした上で[148]、「とても、なるほどと思います。中略正しいとは言いませんが、とても好きですね」と答え、「ジュドーはミーハーっぽくてがさつだけれど、やっぱりジュドーの方が本当じゃないのというようなところまでファンが言ってくれてる」ことについて、「僕自身、認める部分もあるわけです」と述べている[135]

中島紳介は『ΖΖ』の物語について、アムロやカミーユが持つ「暗く繊細な幼児性」とは別物の、「最初から地球とのしがらみなど感じていない本物の新人類が中略不良少年なりのやり方で戦おうとする」ものと述べている[149]。また、『ΖΖ』を「家族を軸とした再話の試みとして展開」する作品として『機動戦士Vガンダム』を評価しており、中でもジュドーという年少の主人公が持つ純粋性は『Vガンダム』の主人公ウッソ・エヴィンにも共通するだけでなく、「より増幅された形」で描かれているとしている[149]

人気投票

  • 『愛と戦いのロボット 完全保存版』で発表されたアンケート「みんなで選ぶロボットアニメーションベスト100」では、「一番カッコイイヒーローは?」で第76位にランクインした[152]
  • 2020年に行われた「全クロスボーンガンダム人気投票」のキャラクター部門ではグレイ・ストークが第17位にランクインした[154]

脚注

参考文献

関連項目

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