地対艦ミサイル連隊

From Wikipedia, the free encyclopedia

第5地対艦ミサイル連隊12式地対艦誘導弾

地対艦ミサイル連隊(ちたいかんミサイルれんたい、Surface-to-Ship Missile Regiment:SSMR)は陸上自衛隊地対艦ミサイルを主装備とする連隊編制の野戦特科部隊である。隊長は1等陸佐が充てられる。第1特科団に3個、第2特科団に3個、東北方面隊直属に1個の計7個連隊が編成されている。

部隊編制の例[2]

野戦特科地対艦ミサイルを運用し、日本に対する侵攻勢力の艦船の撃破を任務とする部隊である。陸上自衛隊の連隊としては唯一、連隊名に片仮名が用いられている。

日本は四方を海に囲まれているため、日本への侵攻勢力は上陸作戦を行う必要がある。侵攻勢力の上陸阻止のため陸上自衛隊においては、浅海用地雷など独特の装備が開発・配備されてきた。その後対艦ミサイルの発達に伴い、艦船攻撃手段として1988年(昭和63年)からは88式地対艦誘導弾システムの取得・配備が開始され、この運用部隊として1991年(平成3年)度から地対艦ミサイル連隊が6個新編された。その後、本格的な侵略事態生起の可能性の低下から中期防衛力整備計画 (2005)において整理縮減の対象となり、1個連隊が廃止された。しかし、南西諸島海域への中国人民解放軍の進出を受けた防衛力の南西シフトに伴い、88式地対艦誘導弾システムの後継である12式地対艦誘導弾システムへの装備の更新が西部方面隊から行われ、2023年(令和5年)度から西部方面隊に地対艦ミサイル連隊が2個新編された。中期防衛力整備計画に代わるものとして2022年(令和4年)12月16日に閣議決定された防衛力整備計画においては、おおむね10年後の編制定数として、7個連隊を保持するとしている[1]

  • 連隊本部
  • 本部管理中隊(指揮統制装置×1基、捜索・標定レーダー装置×12基、中継装置×12基)
  • 第1地対艦ミサイル中隊
    • 中隊本部
    • 指揮小隊(射撃統制装置×1基)
    • 射撃小隊(発射機×4基、装填機×4基)
  • 第2地対艦ミサイル中隊
  • 第3地対艦ミサイル中隊
  • 第4地対艦ミサイル中隊

88式地対艦誘導弾システムを装備した初期の新編時は、高射特科群のように野戦整備部隊として直接支援隊を編制内に加えていたが後方支援体制の改編よりに方面後方支援隊隷下の特科直接支援中隊へと改編された。また当初、連隊が保有する車載式レーダーでは水平線の向こう側が死角となり索敵が不可能であった。遠洋の敵艦船に対しては、海自P-3C哨戒機からの敵艦船に関する音声情報を基に、陸自側が手作業で目標情報をシステムに入力して誘導弾を発射することになっており、複数の敵艦船への迅速な対応という観点で連隊は能力に課題を残していた。これを自動化して解消するために2014年(平成26年度)以降、火力戦闘指揮統制システム海上自衛隊指揮統制システムの連接および地対艦ミサイル連隊と海自・空自とのリンク機能が開発され、導入に至っている[3][4]

沿革

  • 1992年(平成4年)3月27日:第1地対艦ミサイル連隊(88式地対艦誘導弾装備)が第1特科団隷下に北千歳駐屯地において編成完結。
  • 1993年(平成5年)
    • 3月27日:第4特科群に第3地対艦ミサイル連隊準備隊を編成。
    • 3月30日:第2地対艦ミサイル連隊(88式地対艦誘導弾装備)が第1特科団隷下に美唄駐屯地において編成完結。
  • 1994年(平成6年)3月28日:第3地対艦ミサイル連隊(88式地対艦誘導弾装備:第3射撃中隊、第4射撃中隊欠)が第1特科団隷下に上富良野駐屯地において編成完結。
  • 1995年(平成7年)3月28日:第3地対艦ミサイル連隊第3射撃中隊、第4射撃中隊を新編。
  • 1996年(平成8年)3月29日:第4地対艦ミサイル連隊(88式地対艦誘導弾装備)が東北方面隊直轄部隊として八戸駐屯地において編成完結。
  • 1998年(平成10年)3月26日:第5地対艦ミサイル連隊(88式地対艦誘導弾装備)が西部方面隊直轄部隊として健軍駐屯地において編成完結。
  • 2000年(平成12年)3月28日
  1. 北部方面隊の後方支援体制変換に伴い、第1~第3地対艦ミサイル連隊の直接支援隊廃止し、整備部門を北部方面後方支援隊第101特科直接支援大隊へ移管。
  2. 第12特科連隊内に第6地対艦ミサイル連隊編成準備隊を編成。
  • 2001年(平成13年)3月27日:第6地対艦ミサイル連隊(88式地対艦誘導弾装備)が東部方面隊直轄部隊として宇都宮駐屯地において編成完結。
  • 2002年(平成14年)3月27日:東部方面隊の後方支援体制変換に伴い、第6地対艦ミサイル連隊直接支援隊を廃止し、整備部門を東部方面後方支援隊第301特科直接支援中隊へ移管。
  • 2003年(平成15年)3月27日:第5地対艦ミサイル連隊を西部方面特科隊に編合。西部方面隊の後方支援体制変換に伴い、第5地対艦ミサイル連隊直接支援隊廃止し、整備部門を西部方面後方支援隊第101特科直接支援隊直接支援中隊へ移管。
  • 2006年(平成18年)3月27日:東北方面隊の後方支援体制変換に伴い、第4地対艦ミサイル連隊直接支援隊を廃止し、整備部門を東北方面後方支援隊第303特科直接支援中隊に移管。
  • 2010年(平成22年)3月26日:第4地対艦ミサイル連隊を東北方面特科隊隷下に編合。整備支援部隊が東北方面後方支援隊第102特科直接支援隊直接支援中隊に改編。
  • 2011年(平成23年)4月21日:第6地対艦ミサイル連隊(宇都宮駐屯地)が廃止。
  • 2016年(平成27年)3月:第5地対艦ミサイル連隊に12式地対艦誘導弾が配備される。
  • 2019年(平成31年)
    1. 第301地対艦ミサイル中隊(12式地対艦誘導弾装備)が第5地対艦ミサイル連隊隷下に奄美大島の瀬戸内分屯地で新編。
    2. 西部方面特科隊の後方支援体制変換に伴い、第5地対艦ミサイル連隊の整備支援部隊が西部方面後方支援隊第101特科直接支援隊第2直接支援中隊へ改組。
  • 2020年(令和2年)3月26日:第302地対艦ミサイル中隊(12式地対艦誘導弾装備)が第5地対艦ミサイル連隊隷下に宮古島駐屯地で新編。
  • 2022年(令和4年)
    • 3月16日:第4地対艦ミサイル連隊第3射撃中隊(八戸駐屯地)を廃止[5]
    • 3月17日:第303地対艦ミサイル中隊(12式地対艦誘導弾装備)が第5地対艦ミサイル連隊隷下に健軍駐屯地で新編。
  • 2023年(令和5年)
    • 3月15日:第4地対艦ミサイル連隊第2射撃中隊(八戸駐屯地)を廃止[6]
    • 3月16日:
    1. 第303地対艦ミサイル中隊が健軍駐屯地から石垣駐屯地に移駐[7]
    2. 第304地対艦ミサイル中隊(12式地対艦誘導弾装備)が第5地対艦ミサイル連隊隷下に健軍駐屯地に新編[8]
    3. 第305地対艦ミサイル中隊(88式地対艦誘導弾装備)が第3地対艦ミサイル連隊隷下に上富良野駐屯地に新編[9]
  • 2024年(令和6年)3月21日:
  1. 東北方面特科隊廃止に伴い、第4地対艦ミサイル連隊(八戸駐屯地)を東北方面隊直轄部隊に改編。整備支援部隊が第307特科直接支援中隊に改編。
  2. 西部方面特科隊の第2特科団への改組に伴い、第5地対艦ミサイル連隊(健軍駐屯地)を第2特科団に編合[10]。整備支援部隊が第102特科直接支援大隊第2直接支援中隊に改組。
  3. 第7地対艦ミサイル連隊が第2特科団隷下に勝連分屯地において新編[11][12]
    1. 第5地対艦ミサイル連隊第301~第304地対艦ミサイル中隊を基幹として、第1~第4地対艦ミサイル中隊(12式地対艦誘導弾装備)が新編。
    2. 整備支援部隊として西部方面後方支援隊第102特科直接支援大隊第3直接支援中隊が新編。
  4. 第306地対艦ミサイル中隊(88式地対艦誘導弾装備)が第1地対艦ミサイル連隊隷下に北千歳野駐屯地に新編。
  • 2025年(令和7年)3月24日:
  1. 第1地対艦ミサイル連隊第4射撃中隊(北千歳駐屯地)を廃止[13]
  2. 第2地対艦ミサイル連隊第4射撃中隊(美唄駐屯地)を廃止。装備を第8地対艦ミサイル連隊第3地対艦ミサイル中隊に配置換え。
  3. 第3地対艦ミサイル連隊第4射撃中隊(上富良野駐屯地)を廃止。
  4. 第4地対艦ミサイル連隊第2地対艦ミサイル中隊・第3地対艦ミサイル中隊を八戸駐屯地に新編[14]
  5. 第1~4地対艦ミサイル連隊隷下の射撃中隊を地対艦ミサイル中隊に改称。
  6. 第8地対艦ミサイル連隊が第2特科団隷下に湯布院駐屯地において新編[15][10]。整備支援部隊として西部方面後方支援隊第102特科直接支援大隊第4直接支援中隊が新編。

地対艦ミサイル連隊の一覧

第1地対艦ミサイル連隊から第4地対艦ミサイル連隊、第8地対艦ミサイル連隊第3射撃中隊は88式地対艦誘導弾システムを装備、第5・第7・第8地対艦ミサイル連隊(第3射撃中隊除く)は12式地対艦誘導弾システムを装備している。第5地対艦ミサイル連隊の一部中隊(不詳)は25式地対艦誘導弾システムを装備する。

独立地対艦ミサイル中隊の一覧

いずれも300番台の称号を冠する独立中隊であるが、新編当初から地対艦ミサイル連隊隷下に編合されている。隊長は3等陸佐が充てられる。第301~第304中隊は、第5地対艦ミサイル連隊隷下に12式地対艦誘導弾システムを装備し逐次編成され、2024年(令和6年)3月に第7地対艦ミサイル連隊のナンバー中隊へと改編された。第305~第306中隊は、北部方面隊地域で編成され88式地対艦誘導弾システムを装備している。

第301~第304地対艦ミサイル中隊

部隊名 第301地対艦ミサイル中隊 第302地対艦ミサイル中隊 第303地対艦ミサイル中隊 第304地対艦ミサイル中隊
前身部隊 第4地対艦ミサイル連隊
第4射撃中隊
創設 2019年(平成31年)3月26日 2020年(令和2年)3月26日 2022年(令和4年)3月17日 2023年(令和5年)3月16日
編成地 瀬戸内分屯地 宮古島駐屯地 石垣駐屯地 健軍駐屯地
上級部隊 第5地対艦ミサイル連隊
主要装備 12式地対艦誘導弾
廃止 2024年(令和6年)3月20日 2024年(令和6年)3月20日 2024年(令和6年)3月20日 2024年(令和6年)3月20日
廃止地 瀬戸内分屯地 宮古島駐屯地 石垣駐屯地 健軍駐屯地[注 1]
後継部隊 第7地対艦ミサイル連隊
第1地対艦ミサイル中隊
第7地対艦ミサイル連隊
第2地対艦ミサイル中隊
第7地対艦ミサイル連隊
第3地対艦ミサイル中隊
第7地対艦ミサイル連隊
第4地対艦ミサイル中隊

第305~306地対艦ミサイル中隊

部隊名 第305地対艦ミサイル中隊 第306地対艦ミサイル中隊
創設 2023年(令和5年)3月16日 2024年(令和6年)3月21日
編成地 上富良野駐屯地 北千歳駐屯地
上級部隊 第3地対艦ミサイル連隊 第1地対艦ミサイル連隊
主要装備 88式地対艦誘導弾
駐屯地 上富良野駐屯地 北千歳駐屯地

部隊配置

脚注

関連項目

Related Articles

Wikiwand AI