樋口尚文
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佐賀県唐津市生まれ。芝中学校・高等学校を経て、早稲田大学政治経済学部を卒業。中学時代から8ミリ映画を制作し、ぴあフィルムフェスティバル(PFF)に『ファントム』で入選(1983年)[1]。一方で映画論の執筆も開始し、ダゲレオ映像評論賞に入賞。1985年に初の書き下ろし映画評論集を出版。1987年には、株式会社電通に入社。以来、CMプランナーとして多くのTVCMを企画。クリエーティブプランニング局部長、クリエーティブディレクターを経て、2017年に独立、合同会社オブスキュラに所属[2]。
30年の電通勤務のかたわら、映画評論家、映画監督として活動。キネマ旬報、朝日新聞、読売新聞、映画秘宝などを中心に評論を寄稿。2021年に刊行した編著『大島渚全映画秘蔵資料集成』(国書刊行会)は「キネマ旬報映画本大賞2021」で第一位に選出される。また、キネマ旬報でのテレビドラマ時評「テレビ・トラベラー」は17年にわたる長寿連載となった。2013年よりYahoo!ニュースにて映画レビューコラム「樋口尚文の千夜千本」を連載。文化庁芸術祭、芸術選奨、キネマ旬報ベスト・テン、毎日映画コンクール、日本映画プロフェッショナル大賞、日本民間放送連盟賞、藤本賞、優秀外国映画輸入配給賞、神奈川芸術祭映像コンクール、TOHOシネマズ学生映画祭などの審査委員を委嘱される。日本文藝家協会会員[3]。
2013年、閉館が決まった銀座シネパトスを舞台にした初の劇場用映画『インターミッション』(出演:秋吉久美子、染谷将太、香川京子ほか)[4] を監督。2018年、劇場用映画の第2作『葬式の名人』(原案:川端康成、出演:前田敦子、高良健吾、有馬稲子ほか)を大阪府茨木市市制施行70周年記念事業として監督。2019年、ティ・ジョイ配給で全国公開[5]。(関連項目=映画評論家一覧)
2022年、評論業・監督業のかたわら、東京・神保町に文化発信拠点としてシェア型書店「猫の本棚」を開店し、プロデュースする[6]。また同年より日本大学芸術学部映画学科の非常勤講師を委嘱される。
2026年、『砂の器 映画の魔性 監督野村芳太郎と松本清張映画』で第79回日本推理作家協会賞 評論・研究部門候補[7]。
著書
- 『ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグ』(北宋社、1985年)
- 『映画の復讐』(フィルムアート社、1992年)
- 『グッドモーニング、ゴジラ 監督本多猪四郎と撮影所の時代』(筑摩書房、1992年/復刊・国書刊行会、2011年)
- 『テレビヒーローの創造』(筑摩書房、1993年)
- 『女優と裸体』(読売新聞社、1994年)
- 『黒澤明の映画術』(筑摩書房、1999年)
- 『大島渚のすべて』(キネマ旬報社、2002年)
- 『「砂の器」と「日本沈没」 70年代日本の超大作映画』(筑摩書房、2004年)キネマ旬報映画本大賞2004 第10位
- 『「月光仮面」を創った男たち』(平凡社新書、2008年)キネマ旬報映画本大賞2008 第11位
- 『ロマンポルノと実録やくざ映画 禁じられた70年代日本映画』(平凡社新書、2009年)キネマ旬報映画本大賞2009 第5位
- 『万華鏡の女 女優ひし美ゆり子』(ひし美ゆり子共著、 筑摩書房、2011年/ちくま文庫、2020年)キネマ旬報映画本大賞2011 第9位
- 『テレビ・トラベラー 昭和・平成テレビドラマ批評大全』(国書刊行会、2012年)キネマ旬報映画本大賞2012 第12位
- 『女優水野久美 怪獣・アクション・メロドラマの妖星』(水野久美共著、 洋泉社、2012年)キネマ旬報映画本大賞2012 第20位
- 『実相寺昭雄 才気の伽藍 鬼才映画監督の生涯と作品』(アルファベータブックス 叢書・20世紀の芸術と文学、2016年)キネマ旬報映画本大賞2016 第12位
- 『「昭和」の子役 もうひとつの日本映画史』(編著、 国書刊行会、2017年)キネマ旬報映画本大賞2017 第4位
- 『映画のキャッチコピー学』(洋泉社、2018年)キネマ旬報映画本大賞2018 第51位
- 『有馬稲子 わが愛と残酷の映画史』(有馬稲子共著、 筑摩書房、2018年)キネマ旬報映画本大賞2018 第35位
- 『フィルムメーカーズ20 大林宣彦』(責任編集、宮帯出版社、2019年)
- 『秋吉久美子 調書』(秋吉久美子共著、筑摩書房、2020年)キネマ旬報映画本大賞2020 第2位
- 『大島渚全映画秘蔵資料集成』(編著、 国書刊行会、2021年)キネマ旬報映画本大賞2021 第1位
- 『砂の器 映画の魔性——監督野村芳太郎と松本清張映画』(筑摩書房、2025年)
以上単著。共著は多数。
映画(監督作品)
- 『ゲリラになろうとした男』(1979年 8mm 脚本・監督 / 出演:小山登美夫 / 科学技術館サイエンスホールのPCB=ぴあシネマブティック〈高校生監督特集〉にて公開) 日本映像フェスティバル特別賞、第二回ぴあ自主制作映画展(後のPFF)佳作
- 『ファントム(DES FANTOMES)』(1983年 8mm 脚本・監督 / 出演:利重剛 / 渋谷PARCO SPACE PART3のPFF=ぴあフィルムフェスティバル'83にて公開、2024年PFFによりデジタイズされ国立映画アーカイブのぴあフィルムフェスティバル2024にて回顧上映) ぴあフィルムフィスティバル'83入選、神奈川芸術祭映像コンクール特別賞[8]
- 『愛・賭け・遊び』(1985年 8mm 脚本・監督 / 出演:室井滋 / 神奈川近代文学館で上映後、テレビ神奈川で全篇放映) 神奈川芸術祭映像コンクール大賞
- 『インターミッション』(2013年 DCP 脚本・監督 / 出演:秋吉久美子、染谷将太、香川京子 / オブスキュラ・東北新社配給で銀座シネパトス限定ロードショーの後、全国各地で公開[9]。KADOKAWAの角川映画レーベルよりDVDリリース)2014年の台北映画祭(台北電影節)で招待上映。2022年、銀座シネパトス閉館10周年にちなんで池袋HUMAXシネマズにて、本作の制作・公開過程に取材したWOWOW「ノンフィクションW」”名画座が消える日”と二本立てでリバイバル公開。
- 『「青春の殺人者」という事件の現場』(2014年 DVD/BD 総監督・聞き手 /長谷川和彦監督へのロングインタビュー作品(キングレコード「青春の殺人者」DVD、ブルーレイの映像特典として収録)[10]。
- 『葬式の名人』(2019年 DCP 監督 / 出演:前田敦子、高良健吾、有馬稲子 / ティ・ジョイ配給で2019年全国公開)。2019年上海国際映画祭、2020年トロント日本映画祭で招待上映。第11回TAMA映画賞最優秀女優賞(前田敦子)[11]。
TVCM
株式会社電通のCMプランナー、クリエーティブ・ディレクターとして、木村拓哉を起用したニコンデジタル一眼レフカメラDシリーズ・コンパクトデジタルカメラCOOLPIXシリーズ、田中麗奈・石原さとみ・滝沢秀明の「第一でナイト」シリーズをはじめ、石川遼・武井咲・東出昌大らを起用した第一生命、大沢たかお・加瀬亮を起用した明治ヨーグルトLG-21、R-1、吉高由里子起用のニベアサン、浅野温子・秋吉久美子を起用したコーセーコスメポート「グレイスワン」など多くのTVCMを企画。「コマーシャル・フォト」「広告批評」によれば、このほか97年には奥田民生作の「サーキットの娘」にのってパフィーがスクーターで街に繰り出すヤマハ「Vino」のTVCMを企画した。
「デザインの現場」誌によれば、映画関連のCMで樋口が企画したものは、黒澤明が自作の映画「夢」の一挿話「飛ぶ夢」のために描いたコンテをアニメ化した90年の「共同石油」企業CMがある。監督は大林宣彦、音楽は樋口康雄、ナレーターは映画評論家の石上三登志で、クリオ賞、IBA賞、ニューヨーク・フェスティバルなどの国際広告賞にノミネートされた。「ブレーン」誌によれば、99年の映画「御法度」(大島渚監督)公開時のTVスポットも企画している(複数バージョンが存在するこのCMは、「御法度」DVDに特典として収められている)。
1992年にTCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞受賞。東京コピーライターズクラブ会員。
音楽
- コンサート『冨田勲 映像音楽の世界 SOUNDS OF TOMITA』(2018年9月17日 東京国際フォーラムC / 指揮:藤岡幸夫、演奏:オーケストラ・トリプティーク、司会:中江有里)を監修・企画・司会[12]。
- コンサート『冬木透 の世界 』(2019年3月2日 渋谷文化総合センター大和田さくらホール / 指揮:高橋奨、演奏:オーケストラ・トリプティークを監修・企画・司会[13]。
- コンサート『小松左京 音楽祭』(2019年11月30日 成城学園澤柳記念講堂ホール / 指揮:松井慶太、演奏:オーケストラ・トリプティークを監修・企画[14]。