猟奇の果
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名探偵明智小五郎が活躍する、いわゆる「明智もの」の一つ。
全く同じ顔の人間が二人いたという話であるが、乱歩はうまく書けずに間が持てなくなった。そこで編集長の横溝正史に相談したところ、いっそ『蜘蛛男』のようなスリラー通俗小説にして明智小五郎を登場させる提案をうけた[1]。最初の「いたずらだった」という落ちを、「人間改造術」という着想に変えたため、乱歩は筋の運びの冗漫、其他幾多の欠陥ある事をお詫びしている[2]。そのため前篇と後篇で話が大きく乖離し、登場人物の行動や性格に一貫性がない。また、明智や警察関係者は後篇にしか登場しない。
「もうひとつの結末」として、1946年(昭和21年)に『日正書房』から発表された異文が存在する。知り合いの出版社の求めに応じ「猟奇の果」を復刊した時、話をオリジナルの前半部分だけで終わらせるために新しく書きおろされた[3]。
あらすじ
前篇 猟奇の果
猟奇趣味のある青木愛之助は、靖国神社で友人の品川四郎そっくりのスリを見かける。数日後、品川自身から、偶然見た映画のシーンに自分そっくりの人間が映っていたと相談される。品川の偽者が、あちこちに出没しているらしい。ついには、もう一人の品川が、妻の芳江と逢引きしているところを目撃してしまう。嫉妬にかられ、もう一人の品川のあとをつけていくと怪しい屋敷に入っていく。忍び込んだ愛之助は、そこで乱闘になり銃でもう一人の品川を射殺してしまった。その場を逃げ出し、街をさ迷う彼の前に、以前出会ったことのある「お面のような顔」をした青年が現われる。そして愛之助はそのまま謎めいた地下室へと導かれた。
主要登場人物
前篇 猟奇の果
- 青木 愛之助(あおき あいのすけ)
- 名古屋市の資産家の次男で、猟奇者の青年。
- 品川 四郎(しながわ しろう)
- 通俗科学雑誌社の社長。実際家。
- 青木 芳江(あおき よしえ)
- 愛之助の妻。
- もう一人の品川四郎
- 品川四郎に瓜二つの謎の人物。