キウイフルーツ
ツツジ目マタタビ科マタタビ属の植物の実
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キウイフルーツ(英: kiwifruit)は、ツツジ目マタタビ科マタタビ属の雌雄異株の落葉蔓性植物の果実の一種。学名Actinidia deliciosaまたはActinidia chinensisの果実である[2]。温帯の果樹で、秋に果実が実る[3]。果実は果物として食用に供される。

A = A. arguta, C = A. chinensis, D = A. deliciosa, E = A. eriantha, I = A. indochinensis, P = A. polygama, S = A. setosa.

| 100 gあたりの栄養価 | |
|---|---|
| エネルギー | 255 kJ (61 kcal) |
|
14.66 g | |
| 糖類 | 8.99 g |
| 食物繊維 | 3 g |
|
0.52 g | |
| 飽和脂肪酸 | 0.029 g |
| 一価不飽和 | 0.047 g |
| 多価不飽和 | 0.287 g |
|
1.14 g | |
| トリプトファン | 0.015 g |
| トレオニン | 0.047 g |
| イソロイシン | 0.051 g |
| ロイシン | 0.066 g |
| リシン | 0.061 g |
| メチオニン | 0.024 g |
| シスチン | 0.031 g |
| フェニルアラニン | 0.044 g |
| チロシン | 0.034 g |
| バリン | 0.057 g |
| アルギニン | 0.081 g |
| ヒスチジン | 0.027 g |
| アラニン | 0.053 g |
| アスパラギン酸 | 0.126 g |
| グルタミン酸 | 0.184 g |
| グリシン | 0.06 g |
| プロリン | 0.044 g |
| セリン | 0.053 g |
| ビタミン | |
| ビタミンA相当量 |
(1%) 4 µg(0%) 52 µg122 µg |
| チアミン (B1) |
(2%) 0.027 mg |
| リボフラビン (B2) |
(2%) 0.025 mg |
| ナイアシン (B3) |
(2%) 0.341 mg |
| パントテン酸 (B5) |
(4%) 0.183 mg |
| ビタミンB6 |
(5%) 0.063 mg |
| 葉酸 (B9) |
(6%) 25 µg |
| ビタミンB12 |
(0%) 0 µg |
| コリン |
(2%) 7.8 mg |
| ビタミンC |
(112%) 92.7 mg |
| ビタミンD |
(0%) 0 IU |
| ビタミンE |
(10%) 1.46 mg |
| ビタミンK |
(38%) 40.3 µg |
| ミネラル | |
| ナトリウム |
(0%) 3 mg |
| カリウム |
(7%) 312 mg |
| カルシウム |
(3%) 34 mg |
| マグネシウム |
(5%) 17 mg |
| リン |
(5%) 34 mg |
| 鉄分 |
(2%) 0.31 mg |
| 亜鉛 |
(1%) 0.14 mg |
| マンガン |
(5%) 0.098 mg |
| セレン |
(0%) 0.2 µg |
| 他の成分 | |
| 水分 | 83.07 g |
| |
| %はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース | |
野生種のサルナシの近縁にあたり、中国に分布するオニマタタビ(シナマタタビ)からニュージーランドで改良されて作出された栽培品種であり、ニュージーランドの国鳥キーウィに因んで名をつけられている[4]。
なお、近縁種にも商品名に「キウイ」と名付けられて流通しているものがある(後述)。ベビーキウイはキウイフルーツが未熟なうちに収穫した果実あるいは原種というわけではなく、サルナシの果実であり別種の植物である[5]。
概要
商業流通の歴史は浅く、1906年にニュージーランドが新しい果樹のキウイフルーツとして、中国原産のActinidia deliciosaやActinidia chinensisの品種改良に成功、1934年頃から商業栽培を開始し[6][7]、世界各国で食べられるようになった果物である。
ビタミン、ポリフェノール、カロテノイド、フィトステロールなどの抗酸化化合物を含有し、特にポリフェノールは果物類の中でも多い[2]。一方でシュウ酸カルシウムの結晶が特有の口腔刺激性をもつことからシュウ酸含量の少ない系統を選抜していく必要があるとされる[8]。
「キウイフルーツ」という名称は、ニュージーランドからアメリカ合衆国へ輸出されるようになった際、ニュージーランドのシンボルである鳥の「キーウィ (kiwi)」に因んで1959年に命名された(果実と鳥の見た目の類似性から命名された訳ではない)[9][10]。カタカナでは「キーウィーフルーツ」「キーウィフルーツ」「キウィフルーツ」などの表記も使用される。
日本へは1966年(昭和41年)に[3]、アメリカ合衆国から果菜(ベジタブルフルーツ)の一種として輸入され出回るようになった[10]。また、日本でも栽培や独自品種の開発が行われている[11]。
なお、その他のマタタビ属の近縁種にも「キウイ」という名称を利用して流通しているものがある。例: オニマタタビ(A. chinensis、ゴールドキウイ、ゴールデンキウイ)、サルナシ(A. arguta、ベビーキウイ、ミニキウイ)、シマサルナシ(A. rufa、ミニキウイ)など。
植物としての特徴
分類と品種
種としてのキウイフルーツは、以前は Actinidia chinensisという単一の種の下に変種がいくつかあるとされていたが、1980年代に Actinidia deliciosa、Actinidia setosa、Actinidia chinensis の別々の種に分類された[14]。標準和名はオニマタタビである(Actinidia chinensis[12]、Actinidia deliciosa[15]。なお、Actinidia setosaはシノニムとされる[16]。)
A. deliciosa と A. chinensis の主な差異は植生の形態、花および果実の形態、染色体の数である[14]。
ニューエメラルドという品種は両性種であるが、それ以外の多くの品種は雌雄異株である[17]。2009年にA. chinensis (2n=58) の遺伝子地図の作成を通して、A. chinensisがXY型の性染色体を持つ性決定様式であることが示された[18]。
A.deliciosa
A.chinensis
A.chinensisは黄・赤色果実品種[19]または中国系キウイフルーツ[8]という。
- ゴールドキウイ(ホート16A種)
- A.chinensisに属する品種[2]。ニュージーランド産を中心にゴールド・キウイという果肉が黄色いものも出回っている。果皮の色が薄く、尻部がすぼんでいる[3]。グリーンキウイよりも酸味が弱く、甘みが強い[3]。「ゼスプリゴールド」が最もポピュラー[3]。
- レインボーレッドキウイ
- A.chinensisに属する品種[2]。静岡県で中国系品種を育成したもので、果肉は周囲が黄緑色で中心部が白く種子の部分が赤いのが特徴[3]。果皮は無毛。糖度が高いため甘く、酸味は抑えられている。主な産地は、静岡県、愛媛県、福岡県。
- さぬきゴールド
- A.chinensisに属する品種[2]。香川県で育成され2005年(平成17年)に品種登録された品種[3]。果実は160 - 180グラムと大型で、糖度も16 - 18度と高い[3]。
その他の品種
栽培
産地
中国が原産地であるが、ニュージーランドで多くの新しい品種が作られた[3]。主な産地として以下がある。
中華人民共和国
ニュージーランド
ニュージーランドにとっては外貨が獲得できる貴重な農産物であり、首相が自ら店頭でPRするなど国を挙げた販売戦略を行っている[21]。日本で出回っている輸入キウイフルーツの9割以上はニュージーランド産である[10]。
日本
日本ではニュージーランド産やチリ産、アメリカ産の輸入品が通年流通しているが国産品もあり[3]、量が多くないが愛媛県、福岡県、和歌山県、香川県などで栽培されている[10][3]。国産は11 - 4月ごろに出回る[3]。
なお、シマサルナシが、紀伊半島東南部を東限として、四国の太平洋岸、淡路島東南部、九州の沿岸地域、山口県の島嶼部、南西諸島に自生分布しており、国外では朝鮮半島南部の島嶼部、台湾にも一部自生が報告されている[22]。絶滅危惧種に指定されており、キウイフルーツには無いポリフェノールを含有していることから、三重県熊野市や御浜、紀宝両町では、新たなご当地フルーツとして産地化を図っている[23][24]。
統計
2015年の全国収穫量は2万7800トン[25]。農林水産省の調査品目(果樹)の一つであり、日本では1970年代、ミカンの過剰生産による価格大暴落を受けて、愛媛県を発端として、ミカン農家や関連農協により、転作作物として全国に広まった経緯がある。そのため、生産上位県はミカン産地を兼ねていることが多く、また地形、気候条件などによりミカンよりキウイフルーツの方が栽培に適していた産地(ミカンと比較すると耐陰性、耐寒性が高く、耐乾性、耐塩性に劣る)では、安価な極早生種栽培より安定した収入が得られたため、主産地として発展していった。また、産地によっては蒟蒻芋(群馬県)、桑(栃木県)、ブドウ(山梨県)栽培からの転作例もある。尤も、このキウイフルーツ栽培も、1990年代にオレンジ輸入自由化に伴って、転作が急激に進行したために生産過剰気味になって価格が暴落し、耕作放棄地や作物転換が増加した。後に産地が連携して安定供給を図ったことで、2000年以降は価格も生産量も安定し、現在に至っている。国内生産の主な品種はヘイワードで、その他、各県がオリジナル品種を開発している。また、ニュージーランドのゼスプリによる「ゴールデンキウイ」などのライセンス品種を、愛媛県と佐賀県で栽培しており、宮崎県都農町にも大規模な農園を開発中である。尚、主力輸入先のニュージーランドが南半球に位置するために収穫時期が国内産と重ならないことで、海外輸入品と競合することが少なく、生産を相互補完している。 2018年の輸入量は10万6,082トンで輸入金額は409億5,179万円である。
日本国内の主な産地
- 栃木県 - 小山では桑畑からの転作で、キウイ栽培が始められた。[26]
- 群馬県 - 甘楽町が一大産地。[27]
- 甘楽町、富岡市
- 神奈川県 - 国内4 - 5位。足柄平野一帯に産地が分布し、山北町からミカン栽培の転作作物として始められた[28]。「あしがらキウイ」としてブランド化を進めているほか、「香緑」も産出する。
- 山梨県 - レインボーレッドなどを特産。産地はブドウ栽培からの転作となっている。
- 静岡県 - 国内4-5位。種の周りが赤い「レインボーレッド」は富士市南松野の農家、小林利夫によって育成された品種[29][30]。
- 岐阜県 - 旧・洞戸村(現・関市)で1979年に生産組合を結成して栽培を本格化。
- 関市
- 和歌山県 - 国内3位。ミカン栽培からの転作により、紀の川市を中心に栽培が勧められ広まった。特にキウイ栽培に適した紀ノ川南岸の龍門山北嶺などに大規模な産地が展開する[31]。「熟姫」などの県独自ブランドがある。
- 徳島県 - 徳島県の場合は、1981年の寒害によってミカン産地が壊滅的被害を受けた後に、代替作物として始められたものである。
- 香川県 - 「香緑」「さぬきゴールド」「さぬきエンジェルスイート」「讃緑」など品種開発を盛んに推し進める。また県と香川大学により開発された「さぬきキウイっこ」は、農地所有適格法人及びJAなどを通じて流通されている[32]。
- 愛媛県 - 栽培面積、生産、出荷量、販売額とも国内1位で、1970年代からミカン栽培からの転作によって産地が発展した。その経験を活かし、産地間で連携し、安定供給を図っている。ゼスプリによる契約産地の一つにもなっている。[33] 爽のしずくなど菓子の加工品生産も盛ん。[34]
- 福岡県 - 国内2位。八女市立花町がその殆どを占める。八女市は自治体単位で生産量日本一であり、「甘熟娘」「キラキラ・キウイ」「甘うぃ」などのブランド品を開発しているほか、キウイワインなどの加工品生産も盛ん[35]。
- 八女市
- 佐賀県 - 唐津市からミカンによる転作で広まる。ゼスプリによる契約産地の一つにもなっている[36]。
- 大分県 - ミカンに代わる転作作物として国東半島を中心に栽培が広まった[37]。
利用
栄養価
ネコとキウイの関係
ソラレンを含むというデマについて
キウイフルーツ果実にソラレンという光毒性物質が含まれるとする記事がネット上に散見されるが、これはメディアが拡散した何の根拠もないデマであり、現在では否定されている。この誤情報の大本は、2011年に三空出版から刊行された一般向けの書籍であった。三空出版では、この記述に根拠がなかったことを認め、書籍中の記載を削除するとともに、ホームページ上に公式にお詫びと訂正を掲出している[40]。
この誤った情報を、2015年7月27日に放送されたTBSのバラエティ番組がエビデンスの確認を怠ったまま紹介したため、ウェブサイト等を通じて一気にデマが拡散した。その後、日本テレビやテレビ朝日、その他のテレビ局の番組でも、やはりエビデンスの確認を行わないまま同様の情報を紹介したため、誤情報がさらに広まった。この経緯については、駒沢女子大学のサイトに詳しく記されている[41]。
キウイフルーツにソラレンが含まれることを示す学術的な資料はどこにも示されていない。唯一それらしい記載がされていた(寺尾純二(2016), p. 526)の記述についても、日本ビタミン学会は正式にその誤りを認め、2021年発刊の同雑誌第95巻第5・6号の前付け(iiページ)において、ソラレンを含む果物から「キウイの記載を削除する」との訂正がなされている。
さらに、主要な商業栽培品種であるグリーンキウイ(ヘイワード種)やサンゴールドキウイ(ZESY002種)の果実を用いた実験によって、これらの果肉からも果皮からもソラレン類(ソラレン、5-メトキシソラレン、8-メトキシソラレン、アンゲリシン)が一切検出されないことが報告されている[42]。
表記・呼称

キウイフルーツ(キーウィーフルーツ、英語: kiwifruit)の名はニュージーランドで生まれたものである。
英語での表記・呼称
ニュージーランドで栽培が開始された当初、この果物は原産地の名をとってチャイニーズグースベリー(Chinese gooseberry)と呼ばれた。販売促進を狙い、現地の輸出商社によってキーウィフルーツ(kiwifruit)の愛称を与えられたのは、1959年のことであったとされる。古い名称は、ニュージーランド産とオーストラリア産のものを区別したいときにわずかに使用されることがある。
北アメリカでは単にkiwiと呼ぶことが多い。ニュージーランドではkiwiはあくまでも鳥の名およびニュージーランド人(キーウィ (人))、または「ニュージーランドの」という形容詞のことであり、kiwifruitをkiwiと呼ぶことはしないため、注意が必要である。
日本語での表記・呼称
「キウイフルーツ」「キーウィーフルーツ」「キーウィフルーツ」「キウィフルーツ」などと表記され、それらを略した「キウイ」などという表現も使用される。
食物アレルギーの原因となることがあるので、この果物を使用した加工食品では、それを表記することを厚生労働省の通知により「特定原材料に準ずるもの」として推奨されている。その厚生労働省の通知では、「キウイフルーツ」と表記されている。
中国語での表記・呼称
原産地の中国では、古くから自生のシナサルナシ(支那猿梨)を指す語としては「獼猴桃」(びこうとう。拼音: ミーホウタオ)が一般的であり、李時珍の『本草綱目』に収載されるなど、生薬の名としても使われた。現在でも中国本土では、栽培品のキウイフルーツもこの語で指すのが一般的である。「獼猴」はアカゲザルを意味し、サルが好んで食べる果実という命名である。
一方、香港や台湾で栽培品のキウイフルーツを指す語は、kiwifruit の音訳である「奇異果」(広東語: ケイイークオ、台湾語: キーイーコー。中国語: チーイーグオ 拼音: )が一般的であり、台湾では「幾維果」(拼音: ジーウエイグオ)の名もある。ほかに「陽桃」(「羊桃」「楊桃」とも。拼音: ヤンタオ。スターフルーツまたはヤマモモを指すこともある語)、「毛梨」(拼音: マオリー)、「藤梨」(拼音: トンリー)の語がある。
参考画像
- 雄花(左)と雌花(右)
- 雌花
- キウイフルーツの雌花
- 果実の断面(緑色品種)
- 毛の殆ど無い黄色品種
- 果皮の拡大
- 枝
- 近縁種のサルナシの果実
参考文献
- 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、193頁。ISBN 978-4-415-30997-2。
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、67頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、134 - 137頁。ISBN 4-12-101834-6。
- 寺尾純二「生体における一重項酸素の生成と消去―酸化ストレスとの関わりを考える―」『ビタミン』第90巻第11号、日本ビタミン学会、2016年、525-536頁、doi:10.20632/vso.90.11_525、ISSN 0006-386X、NAID 130006283666。
