スマートメーター

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主にヨーロッパで採用されているOpen smart grid protocol英語版に基づくスマートメーター
日本で導入されているスマートメーターの一つ。自動検針機能の他、顧客には日別・時間別の電気使用量を確認できるサービスを提供する[1]

スマートメーター(英語:Smart meter)とは、通信機能を備え、電力ガス水道などの使用量をデジタルで計測する電子式計器である[2]。従来のアナログ式誘導型電力量計とは異なり、電力使用量を30分などの一定期間ごとに計測し、データを電力会社などの事業者に遠隔で送信することができる[3]。これにより、検針員による目視での検針業務が自動化されるほか、需要家へのリアルタイムエネルギー使用量の可視化、HEMSと連携した電力需要の最適化が可能となる[4]

第一世代スマートメーター(日本)

日本における第一世代スマートメーターは、30分ごとの電力使用量をデジタルで計測する機能を有し、データ送信のために主に3つの通信経路(Aルート、Bルート、Cルート)を備えている[5]

Aルートを通じて送配電事業者へ自動的にデータが送信されることで、従来は検針員が行っていた毎月の目視検針が不要となり、大幅な人件費削減や業務効率化といった社会便益をもたらした[6]。加えて、遠隔操作によるアンペア(契約容量)の変更や、引越し時における迅速な通電・遮断が可能となり、顧客サービスの向上が図られた[7]

さらに、Bルートを通じて需要家の宅内機器(HEMSなど)と直接通信することで、電力消費量のリアルタイムな「見える化」が実現し、省エネ行動の促進や、時間帯別の多様な電気料金プランの提供という便益を生み出した[8]。また、Cルートを通じて第三者の事業者にデータを提供することで、新たなエネルギー関連サービスの創出基盤となっている。

次世代スマートメーター(日本)

2022年5月に経済産業省の「次世代スマートメーター制度検討会」が公表した取りまとめでは、次世代スマートメーターに求められる主な機能と、そこから得られる社会的な便益が以下のように整理されている[9]

レジリエンスの強化
Last Gasp機能(停電検知機能)や遠隔アンペア制御機能が搭載される。これにより、停電発生時に即座に警報が送信され、従来は把握が難しかった低圧線などの停電箇所を早期に特定して復旧時間を短縮できるほか、災害時における大規模な計画停電を回避する便益が見込まれている[9]
再エネの大量導入と系統の需給安定化
データ取得の高粒度化として、有効電力量・無効電力量・電圧などを従来の30分値から5分値等の短い間隔で取得・保存する機能が追加される。太陽光発電などの分散型電源が増加する中で、高頻度データを活用した配電系統の高度な運用が可能となり、再生可能エネルギーの導入拡大や送電ロスの削減といった便益が期待されている[9]
需要家利益の向上と社会コストの低減
通信方式の拡充により「IoTルート」が標準搭載される。これにより、電気だけでなくガスや水道メーターとの共同検針が容易になり、システム整備等の社会コスト低減という便益をもたらす。また、高頻度データの提供を通じて、デマンドレスポンスや見守りサービスなど、需要家向けの多様なサービス創出が想定されている[9]

日本における導入計画

日本では2014年より本格的な導入が開始され、国のエネルギー基本計画に基づき、2024年度末までに国内の全世帯および全事業所への第1世代スマートメーターの導入が概ね完了した。

第1世代スマートメーターの導入においては、一般送配電事業者によって仕様が異なっており、主に計量部と通信部が「一体型」となっている東京電力PG仕様(他7社含む)と、それぞれが独立した「ユニット型」となっている関西電力送配電・九州電力送配電仕様の違いが存在していた[10]

しかし、2025年度からは、通信容量の拡大やデータ取得の高頻度化、共同検針を見据えた「次世代スマートメーター」への置き換えが順次開始される[11]。この次世代型への移行にあたっては、サプライチェーンの相互代替性の確保や機器調達コストの低減を目的に、これまでの各社個別仕様を改め、全国の一般送配電事業者10社で共通化された「10社統一仕様」が新たに採用されることとなった[12]

海外における導入状況と技術動向

欧州連合(EU)では、2009年の第3次エネルギーパッケージにおいて、費用対効果が認められた加盟国に対し2020年までに80%のスマートメーター普及を求める目標を掲げ、イタリアスウェーデンなどで早期に普及が進んだ[13]経済産業省の「次世代スマートメーター制度検討会」の調査によると、ドイツオランダオーストリアなどの欧州各国では、電力のインバランス精算単位に合わせた「15分値」での細かなデータ取得が採用されており、日本(30分値)よりも高粒度なデータ活用が先行している[14]

アメリカ合衆国では、2009年の再生投資法(ARRA)による補助金を契機にスマートグリッドの構築が加速し、カリフォルニア州テキサス州など独自のエネルギー政策を持つ州を中心に導入が拡大している[15]

近年、これら海外における新たな技術動向として、スマートメーターを単なる計測・通信機器ではなく、高度な情報処理能力を持つ「エッジ端末」として活用する検討が進んでいる。クラウドに膨大な生データを全て送信するのではなく、メーター自身がローカルでデータを高速処理することで、太陽光発電電気自動車(EV)といった分散型電源(DER)が大量導入される電力網において、リアルタイムかつ柔軟な監視・制御を行う次世代インフラへの進化が期待されている[16][17]

問題点

国内における問題点

スマートメーターの導入に伴う懸念として、詳細な電力使用データから在宅状況や個人の生活パターンが推測される可能性があるため、プライバシーの保護や個人情報の適切な取り扱いが課題とされている[18]。また、通信ネットワークを介して外部と接続される性質上、サイバー攻撃による大規模停電の誘発やデータ改ざんといったセキュリティリスクに対する対策が不可欠である[19]

さらに、一部の需要家からはメーターが発する電磁波や過敏症への懸念が提起されている。これに対応するため、日本でも第86回電力・ガス基本政策小委員会での議論を経て、2028年4月より「オプトアウト制度」が導入されることとなった。これは、希望する需要家が計量器ごとに4万4,000円の事務手数料を負担することで、スマートメーターの通信機器を取り外す(遠隔検針を拒否し、目視検針等に切り替える)ことができる制度である[20][21]

諸外国における問題点

  • スマートメーターでは、節電や電力制御に有効な情報として、きめ細やかなデータ収集が可能であるが、一方でプライバシーの観点で課題があるとの声がある。スマートメーターの標準化を行っているアメリカ国立標準技術研究所は、データを欲しがる層を次のように例示している[22]。事業者、電力顧問会社、保険会社、マーケター、司法関係者、民事訴訟人、家主、探偵、報道機関、債権者、そして犯罪者である。
  • 2015年12月、ウクライナサイバー攻撃による数万戸の大規模停電が発生した。先の収集データが誘引になることもあって、スマートメーターを利用する電気系統は、攻撃を受ける現実的な危険にさらされている。スマートメーターに不具合が生じると、電力やガスの供給が一気に途絶えるおそれがある[23]プエルトリコではスマートメーターのプログラムを書き換えることにより電気料金を浮かせる犯罪が起こっていたと、2010年5月に連邦捜査局が報告している[24]
  • スマートメーターは通信機能を保有しているため、電磁波による人体への影響を気にする声(電磁波過敏症)がある。
    • アメリカのスマートメーターは、メーター同士が電波をリレーして通信する方式が普通である。この場合、コンセントレーターに数百台分のメーターのデータが集められるので、そこへ近いメーターほど通信量が増える[25]。メーターの普及率が高いカリフォルニア州を中心に健康被害が訴えられている[26]。出典の調査によると、アンケート回答者の68%がメーカーをPacific Gas and Electric Company だと応えた。主訴は睡眠障害、頭痛、耳鳴りなど様々で、回答者のほとんどがアナログメーターを望み、その設置料金の請求を不当だと回答した。オーストラリアではビクトリア州だけがスマートメーターを大々的に導入し、同州市民から健康被害が訴えられた。
  • スマートメーターは品質にばらつきがあり、最悪の場合メーターが発火して火災の原因となった事例が報告されている[27]。また、先のカリフォルニア州ではメーター設置後に約1500人もの顧客が、電気代がそれまでより何倍にもなったと苦情を述べている[28]
  • スマートメーターでは、当たり前ではあるがメーターを通る電力しか計量されない。よって、違法に回路を迂回し、盗電をされている場合は勿論計量されない。検針員の業務が不必要になった事により、電力盗難のセキュリティーの面で問題が発生している。ハフポストによると、カナダAwesense社を筆頭に無線通信技術+クラウドコンピューティングを活用した、盗電、漏電、機材故障個所特定システムが開発されており、現段階でもシステム導入後の非常に素早い投資回収能力を理由に、北アメリカを中心に加速的に普及が始まっている点を踏まえ、将来的には電力会社の基本インフラとして機能すれば、根本的に解決されるべき問題点としている[29]
  • アメリカ合衆国では「消費者側にスマートメーターを受け入れるかどうかの選択権を与えるべき」という主張が、消費者団体を中心に一定数存在しており、カリフォルニア州やメリーランド州など一部の州では、スマートメーターの設置を拒否することができるオプションを認めている。ただしその場合、アナログメーターへの交換・検針業務などの追加コストが発生するため、消費者側は手数料を支払わねばならない[27]

脚注

参考書籍

関連項目

外部リンク

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