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タマリンド

マメ科タマリンド属の常緑高木 From Wikipedia, the free encyclopedia

タマリンド(答満林度[1][2]、羅望子[2]: tamarind学名: Tamarindus indica[3])は、マメ科[注 1]タマリンド属の常緑高木。古くは、エチオピアからインドに渡来した。ヘブライ語の「タマール」(なつめやしの意味)と「インド」から、タマリンドと名付けられた[4]。別名、チョウセンモダマ(朝鮮藻玉)[5]

概要 タマリンド, 分類(APG III) ...
タマリンド
タマリンド
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : デタリウム亜科 Detarioideae
: タマリンド属 Tamarindus
: タマリンド T. indica
学名
Tamarindus indica L
和名
タマリンド、チョウセンモダマ
英名
Tamarind
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リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物種の一つである[6]

名称

属名はアラビア語で「インドのナツメヤシ(デーツ)」を意味する「タムル・ヒンディー」(تمر هندي, tamr hindī)由来する。アラビア語圏でタマリンドが知られるようになったのが、原産地のアフリカから直接持ち込まれたのではなく、果実がナツメヤシ類似の交易品としてインドからもたらされたためと推定される。アラビア語から中世ラテン語tamarindusを経由して、英語になったのは16世紀初頭[7]

分布・形態

アフリカ熱帯が原産で、インド東南アジアアメリカ州などの亜熱帯および熱帯各地で栽培される。インドでは、先史時代から栽培されてきた[8]

樹高は20メートル以上になる常緑高木で、は長さ15 - 20センチメートルの羽状複葉小葉は10 - 20片で長楕円形。。枝先に5弁で径3センチメートル程の総状花序の花を多数つける。黄色に橙色または赤色のすじが入る。

果実は長さ7 - 15センチメートル、幅2センチメートルほどのやや湾曲した肉厚な円筒形のさやで、黄褐色の最外皮は薄くもろい。1個ないし10個の黒褐色で扁平な卵円形の種子との間隙はペースト状の黒褐色の果肉で満たされる。この果肉は柔らかく酸味があり、食用とされる。

半乾燥地に適応しているが、雨の多いところでも生育する。

品種

酸味が弱く甘味が強い生食に適した品種もある。

食用

タマリンドの果実
概要 100 gあたりの栄養価, エネルギー ...
タマリンド、生
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,000 kJ (240 kcal)
62.5 g
糖類 57.4 g
食物繊維 5.1 g
0.6 g
飽和脂肪酸 0.272 g
一価不飽和 0.181 g
多価不飽和 0.059 g
2.8 g
トリプトファン 0.018 g
リシン 0.139 g
メチオニン 0.014 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
2 µg
(0%)
18 µg
0 µg
チアミン (B1)
(37%)
0.428 mg
リボフラビン (B2)
(13%)
0.152 mg
ナイアシン (B3)
(13%)
1.938 mg
パントテン酸 (B5)
(3%)
0.143 mg
ビタミンB6
(5%)
0.066 mg
葉酸 (B9)
(4%)
14 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(2%)
8.6 mg
ビタミンC
(4%)
3.5 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(1%)
0.1 mg
ビタミンK
(3%)
2.8 µg
ミネラル
ナトリウム
(2%)
28 mg
カリウム
(13%)
628 mg
カルシウム
(7%)
74 mg
マグネシウム
(26%)
92 mg
リン
(16%)
113 mg
鉄分
(22%)
2.8 mg
亜鉛
(1%)
0.1 mg
セレン
(2%)
1.3 µg
他の成分
水分 31.4 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
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果実が食用になる。料理の酸味料や食品添加物増粘安定剤として用いられるほか、ピクルス、シロップ、清涼飲料水に加工されるなど、利用範囲の非常に広い果実である。そのほかに甘みと酸味を楽しむために生食、ドライフルーツ、砂糖漬け、塩漬けなどに加工される。香りの主成分はフルフラール2-アセチルフランなど。

インドでは、種子も食用とされる[9]

種子の胚乳部分から抽出して得られたものから、食品添加物としての多糖類を主成分とする増粘安定剤タマリンドガム(タマリンドシードガム)を製造する。

調味料

酒石酸クエン酸による強い酸味をもつ黒褐色の果肉が使われる。果肉だけを集めて固めた数百グラムのブロックか、浸出したエキスの形で売られるのが一般的である。ブロックのものは水に浸して、ペーストのようになったものを調理に用いる。

インド料理では果肉を熱湯に溶かしてチャツネを作るほか、サーンバール(サンバール、サンバルとも)やラッサムの酸味づけに用いる。インドのマクドナルドでは、マクイムリー(McImli:「イムリー」〈इमली〉とはヒンディー語でタマリンドの意)というタマリンドソースをつけてもらうことができる。

インドネシアの東部の山林で生活する人々にとって重要な蛋白源は、鹿肉である[10]。鹿肉は上質ではなく、干し肉にしてタマリンドの果実の酢と煮込まれる[10]

スリランカでは、果肉を加えた塩水で魚を塩漬けにする[9]

タイ料理トムソムパッタイフィリピン料理シニガンの酸味づけにもタマリンドが欠かせない[11]イラク中部と南部ではドルマの酸味づけにタマリンドを用いることがある。

ベトナム料理の甘酸っぱいスープであるカインチュアの酸味づけにもタマリンドを用いる[12]

イギリスリーペリン(LEA & PERRINS)社がウスターソースの原料として用いている。

スープカレーに酸味を加えるために使われることもある[13]

デザート

ラテンアメリカ東南アジアでは、タマリンドの果肉から清涼飲料水を作る。タマリンドの缶ジュースも市販されている。

東南アジアではジャムやソフトキャンディーに加工したり、砂糖漬け、塩漬けのおやつとしても売られる。ベトナムではクラッシュアイスと煎りピーナツを加えたダー・メ(Đá me:「氷タマリンド」の意)や、さらに練乳を加えたスア・ダー・メ(Sữa đá me:「ミルク氷タマリンド」の意)として飲む。

生食にはスイートタマリンドと呼ばれる種類の果実を樹上で成熟させ水分が20パーセント以下にしたものを収穫して用いる。

解毒・脱臭

アフリカではヤム(ヤムイモ)を料理に使う際、ヤムの毒を消すために鍋にタマリンドの果実が入れられる[9]。他の地域では、魚料理の魚臭さを抑えるために用いられる[9]

フィリピンでは、マラリアに効能があるとして葉をタマリンド茶として用いる。

薬用

トマス・エリオット英語版(Thomas Elyot)は著書『The Castel of Helth』(1533年)の中で、タマリンドを「胆汁を浄化するもの」として勧めている[7]

果肉は壊血病の薬として使われてきたほか、インドネシアでは脱毛症エリトリアでは赤痢マラリアコロンビアでは結膜炎スリランカでは黄疸潰瘍、眼病、タンザニアの大陸部ではヘビの咬傷マダガスカルでは胃病の治療に使われる[9]ブラジルでは発汗薬、緩和剤、瀉下薬の薬として販売されており、モーリシャスではリウマチの塗り薬になっている[9]

種子は赤痢の治療に利用され、熱した樹皮はモーリシャスでは喘息の薬として用いられる[9]

材木

材は非常に堅く、耐久力に優れる[9]。そのため、家具、(きね)、工具の柄、砂糖や油の製造過程で用いるひき臼轆轤細工に使われる[9]

材からは、黒色火薬に用いる最高級の木炭の微粉も作れるといわれる[9]

パルプを金属磨きとして用いる地域がある。

民俗

ヌエル族ディンカ族の一部などアフリカの南スーダンのいくつかの民族集団神話では、タマリンドの大木が人間の起源神話にかかわる特別な木となっている[14][15]。ヌエル族の神話によると、タマリンドの木の下にある穴か木の枝から始祖が出現したとされる[16]。その木はヌエル族の居住地に生えていたが、1918年に焼けうせた[16]

東南アジアでは、タマリンドの木はアニミズムと結び付く[17]ラーオ族が暮らすタイの東北部では、精霊を操ったり人に害をなす悪霊をはらったりする杖にはタマリンドが最適とされる[17]。また、ラオスルアンパバーン郡では、タマリンドを火曜日に植えると、そのタマリンドから得た木材は呪力を持つとされた[17]

ミャンマーでは、分娩によって毒気が生じると考えられている[18]。毒気を抜くため、分娩から7日目の女性は毛布を着け、タマリンドの小枝とその他数種の草葉を熱湯に混ぜて大みかに注ぎ、大みかの上に1時間ほど座らなければならない[18]

その他

果実はサルの好物で、マダガスカルキツネザルの主要な食物の1つである。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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