ラリーカー

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ラリーカーは、FIA(国際自動車連盟)または各国のAuthority Sport Nationale(日本では日本自動車連盟)によって公認・運営されているラリー競技において、一般的な自動車から競技仕様に改造された(世界ラリー選手権ラリー1規定を除く)競技車両である。これらは世界ラリー選手権(WRC)などのラリー競技で使用され、舗装路や未舗装路、雪・氷上など多様な路面環境に対応するため、強化されたシャシー、サスペンション、駆動系および安全装備を備えている。ラリーカーは各種グループ規定に基づいて開発され、トップカテゴリーでは高度な技術とパフォーマンスが求められる[要出典]

アウディ クワトロ A2 
MINIのような小型車は古くからラリーで好まれ、テクニカルなコースでは大排気量勢をしばし打ち破った
グループ 4 ランチア・ストラトス HF は、ランチアが1974 年、1975 年、1976 年に世界ラリー選手権で優勝するのに貢献しました。
トヨタ・GRヤリス ラリー1 

サーキット専用に設計・製造されるフォーミュラカー(F1マシンなど)とは異なり、2025年現在のラリーカーは自動車メーカーが量産する市販車を改造ベースにして、認められる範囲内で競技用の改造を行なう(世界ラリー選手権ラリー1規定を除く)。メーカーが国際自動車連盟 (FIA) や日本自動車連盟 (JAF) のようなモータースポーツ統括団体に対して申請を行い、ホモロゲーション(公認)を受けたモデルをベース車両にすることができる。公道を走行するので、改造の際はある程度競技国の安全基準を満たす必要があり、競技中もナンバープレートをつけて走行する。

規定

FIAが公認するラリーカー向けの規定はグループAグループRally(旧称グループR)、グループNグループR-GTグループB(1982年~1986年)などがあり、それぞれベース車の年間生産台数、エンジン形式、排気量、過給器の有無、駆動方式(2WD/4WD)といった細かな条件が指定されている。グループによって改造許容範囲は異なるが、市販車に近い状態に留めて性能とコストを抑えようとすると、高性能4WDスポーツカーを量産できる(=4WD車が多く売れる市場と顧客を持っている)メーカーだけに偏りやすい。そのためトップカテゴリでは、車種やエントリー台数を増やすために改造範囲を広くし、普通の大衆車でも参加できるようにするのが一般的である。WRカースーパー2000グループR5AP4などの規定がこれに相当する。2022年から施行されたWRCトップカテゴリのラリー1規定では、市販車の骨格(モノコック)を用いる必要が無くなっており、市販車のラインナップや特性に左右されない開発が可能となっている。

ベース車両

現代のトップカテゴリのラリーカーのベース車両は、小回りの良さやコスト、メーカーの招致などを鑑みてCセグメント以下のハッチバック型小型車が採用される。20世紀までは高速域でのハンドリングに優れるクーペセダンがベース車として好まれた時代もあったが、シャシー技術の進歩や全幅の拡大化の許容などもあり、小型車でも高速域で戦えるようになった。近年は乗用車化の著しいクロスオーバーSUVをベース車とする例も増えている。FIA格式のアフリカラリー選手権や、欧州の一部のラリーでは、通常ラリーレイドにしか用いられないサイド・バイ・サイド・ビークル(S×S)が出走可能な場合もある[1]

左右操舵位置

ラリー競技では、開催国や地域の交通習慣や車両規格に応じて、競技車両の操舵位置(ステアリング位置)が左右どちらの場合もある。世界ラリー選手権(FIA World Rally Championship、WRC)を含む多くの国際ラリー大会では、基本的に左ハンドル(Left-Hand Drive: LHD)の車両が主体となるが、国やクラスによっては右ハンドル(Right-Hand Drive: RHD)の車両が用いられる例もある。これは、競技車両のベースとなる市販車が元々LHDまたはRHDであることや、ステアリング位置がドライバーの慣れやマーケット事情を反映するためである[要出典]

国際ラリー車では競技規則上、操舵位置自体はFIAで制限されていないものの、実際の選択は国ごとの交通規制(左側通行・右側通行)や、車両のベースとなる市販車の仕様、参戦チームの戦略やドライバーの慣れに影響される。たとえば、日本国内のラリー競技ではJAF規定に基づき右ハンドル車が多く使われるが、国際ラリーではLHD車両が主流である[要出典]

国際ラリー競技、とくに世界ラリー選手権(WRC)においては、左ハンドル(LHD)車両が主流となっている。その主な理由として、競技が開催される多くの国・地域が右側通行を採用している点が挙げられる。右側通行の環境では、ドライバーが車両左側に座ることで、コーナー外側や道路端の視認性が向上し、特に高速ステージやブラインドコーナーにおいて有利とされる。

また、WRC車両は市販車をベースとしたホモロゲーションモデルから発展してきた経緯があり、ヨーロッパ市場を中心とした左ハンドル仕様の市販車が基礎となるケースが多かったことも、LHD車両が主流となった一因である。加えて、サスペンション配置やペダルレイアウト、重量配分などを含めた車両設計をLHD前提で最適化しやすい点も、ワークスチームにとっては合理的であった。

仕様変更点

ボディ補強

ルノー・クリオR3の内装

ベースカーからの大きな仕様変更点として、乗員の安全を守るロールケージ、4~5点式シートベルト、車載消火器、他多数の装備が義務付けられる。ボディの外観はベースカーから大きく変更できないが、ボディ底面を守るアンダーガード、マッドフラップ、リアウィング、夜間走行用のライトポッドなどは公認された部品を装着できる。内装は軽量化のため後部座席や遮音材、エアコンなどを取り外し、もしくは未装着で簡略化している。助手席はナビゲーターの席として必要となる。ラリーではサイドターンを駆使するため、電動式の普及で市販車に設定されることが少なくなったハンドブレーキバーが現在でも活躍している。また、パンクやクラッシュに備えてスペアタイヤと工具を積む必要がある。このため同タイプのサーキット用のレーシングカーに比べると総重量は重くなる。同じくタイムアタックを行う競技のジムカーナに比べ、ラリーカーは安全性と信頼性のために多少重くともきちんとしたボディ補強を施している。また路面の変化やイレギュラー(路面に掻き出された砂利や落ち葉など)に柔軟に対応できる様に、セッティングはジムカーナよりもマイルドにされることが一般的である[2]

エンジン

エンジンのパワーアップは規制されており、トップカテゴリではリストリクターを装着して吸気量を制限し、最大馬力を抑える。一方でトルクやエンジン制御(ECU)のチューニングに関しては緩い傾向があり、エンジンの開発はパワー以上にレスポンスやドライバビリティ(運転しやすさ)が重視される。

灯火類

FIA付則J項では、各車両は後方に最低2つの赤色灯を装備しなければならず、これらは市販車の「バックフォグ型」灯火であっても、FIA承認の「雨天用リアライト(rain lights)」であってもよいと定められている[3][注 1]。グループA規定下で製作された1990年代のラリーカーでは、後方視認用灯火として市販車由来のリアフォグランプやテールランプを用いる例が多く、2026年現在一般的なFIA承認レインライト(中央高輝度灯)が明確に装備されるようになるのは、2000年代初頭のワールドラリーカー(WRカー)規定以降(例 プジョー・206 WRC フォード・フォーカスWRC)である。

サスペンション

路面がグラベルかターマックかで、足回りのセッティングや空力パーツは異なる。車高はターマック路面ではサーキット用レーシングカーのように低くする場合もあるが、グラベル路面ではサスペンションストローク量を多く取るため、高めに設定する。 時間や距離を表示する計測機器も多数取り付けられており、近年の海外のラリーではGPSで他車との距離やクラッシュ位置の情報も把握できる「セーフティトラッキングシステム」も装着される。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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