磁気飽和

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飽和を示す9種類の強磁性材料の磁化曲線。

磁気飽和(じきほうわ、: magnetic saturation)とは、一部の磁性材料に見られる、印加される外部磁界 H を増加させても材料の磁化をそれ以上増加させることができなくなった状態を指す。

この状態では、全磁束密度 B はほぼ横ばいになる。(ただし、常磁性により磁化は磁界とともに極めてゆっくりと増加し続ける。)磁気飽和は、ニッケルコバルト、およびそれらの合金などの強磁性およびフェリ磁性材料の特徴である。強磁性材料の種類によって、磁気飽和レベルは異なる。

磁気飽和は、物質の「磁化曲線」(BH 曲線またはヒステリシス曲線とも呼ばれる)において、曲線が右側に曲がる様子として最も明確に確認できる(右のグラフを参照)。H 磁界が増加するにつれて、B 磁界はその物質の磁気飽和レベルである最大値に漸近的に近づく。厳密には、磁気飽和後も B 磁界は増加し続けるが、その増加率は常磁性によるものであり、磁気飽和前の強磁性による増加率よりも数小さい[2]

磁化力 H磁界(磁束密度) B の関係は、透磁率 または比透磁率 (ここで 真空の透磁率)として表すこともできる。強磁性材料の透磁率は一定ではなく、H に依存する。飽和性の材料では、比透磁率は H とともに増加して最大値に達し、磁気飽和に近づくにつれて減少して1に近づいていく[2][3]

材料によって磁気飽和レベルは異なる。例えば、変圧器に使用される高透磁率の鉄合金は 1.6–2.2 テスラ (T) で磁気飽和に達するが[4]フェライトは 0.2–0.5 T で飽和する[5]。一部のアモルファス金属合金は 1.2–1.3 T で飽和する[6]ミューメタルは約 0.8 T で飽和する[7][8]

飽和により、強磁性物質の透磁率 μf は最大値に達した後、低下する

原理

鉄のような強磁性材料は、磁区と呼ばれる微視的な領域で構成されている。これらは、磁化の方向を変えることができる小さな永久磁石のように振る舞う。外部磁界が加えられる前は、磁区の磁界はランダムな方向を向いており、互いに打ち消し合っているため、正味の外部磁界は無視できるほど小さい。外部磁化力 H が加えられると、それが材料に浸透して磁区を一列に並べる。これにより、個々の微小な磁界が回転して外部磁界と平行になり、それらが合わさって材料から広がる大きな磁界 B が作られる。これが磁化である。外部磁界 H が強いほど磁区の整列が進み、磁束密度 B は高くなる。最終的に、ある強さの外部磁界において、磁壁が移動できる限界まで移動し、結晶構造が許す限り磁区が整列した状態になる。これ以上外部磁界を増加させても磁区構造に変化はほとんど生じなくなる。このとき磁化はほぼ一定に保たれ、磁気飽和したと言われる[9]。飽和時の磁区構造は温度に依存する[9]

影響と用途

関連項目

参考文献

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