自画像 (グルーズ)
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グルーズは、同時代のロココ様式の画家の作品とは大きく乖離した、独創的な芸術観にもとづく道徳的絵画を制作した。彼は美術愛好家、特にパリの知的サークルに属する美術愛好家にすぐに知られるようになり、なかでも哲学者で美術批評家でもあったドゥニ・ディドロに高く評価された。グルーズは、1769年に王立絵画彫刻アカデミーの正会員として認められている[4]。
本作は、グルーズが50代後半の時に描かれた[3]。この自画像は、ほかのアカデミー会員の画家たちのものとは異なっている。彼らの自画像はパレットや絵筆などの画家の道具とともに描かれたが、本作にはそうした道具が描かれていない[2]。一方で、ここには、グルーズの絵画の特徴であるイリュージョニズムを引き立てる見せかけの額縁や、画家への親近感を促す近距離からの描写が見られる。おそらく、画家は、何よりも人間の、そして芸術家としての自尊心を捉える心理的アプローチに関心を持っていたのであろう[2]。
本作が描かれた当時は、グルーズにとって辛い時期であった[3]。彼は1759年に美しい女性アンヌ・ガブリエルと結婚していたが、彼女は自堕落な女性であったらしく、スキャンダルをたびたび起こし[5]、彼の結婚生活は破綻していた。しかし、当時のグルーズは、自身の最も重要な風俗画を制作している[3]。