そこをなんとか
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『そこをなんとか』は、麻生みことによる日本の漫画。片瀬小波が監修する。『MELODY』(白泉社)にて2007年6月号から2018年10月まで連載された。単行本は同社の花とゆめコミックススペシャルレーベルにて、全15巻が刊行されている。作品題名は、楽子が依頼人のため相手に食い下がって連発する「そこを何とか!」にちなむ。
2007年、司法制度改革により司法修習修了者が急増したため、弁護士の就職難という事態が発生する。その一人、改世楽子はかつてのバイト先の客であった菅原を頼って事務所に入所し、先輩弁護士の東海林弘明と弁護士として業務に当たる。主人公が新司法試験の合格者であることをはじめ、近年改正された法律など比較的新しい法知識を盛り込む。また、離婚に関する交渉や遺産の相続問題といった訴訟以外の弁護士の業務を扱うほか、国選弁護人や裁判員制度といった司法制度も扱う。
登場人物
改世 楽子 ()- 本作の主人公の新米弁護士。通称は「らっこ」。25歳。司法制度改革による新司法試験の初年度の合格者であり、新第60期の司法修習生として司法修習を受けた。酒量は底なしで、学生時代にキャバクラでアルバイトしており、その時の客だった菅原に「もし他に就職先が決まらなかったら雇う」ことを賭けた飲み比べで勝利。それを理由に菅原弁護士事務所に押し掛け、採用してもらう。
- 九州出身。実家は貧乏で「文系が得意なら弁護士におなり」という親の助言を(真に)受けて法曹界を志す。弁護士として大金を稼ぐことを夢見ているが、小さな事務所での下働きばかりなことと、弁護を引き受けてもなぜか高確率で依頼料が安く落ち着いてしまうことから、理想とは少々違う現実を歩みつつある。
- 性格は天真爛漫でどこか呑気。菅原いわく「苦労人なのにスレてない」。無邪気に堂々と金持ちの夢を語る一方で、依頼人の窮状に肩入れして金にならない労働をしたりと、基本的に人情派である。また、キャバクラ勤めの経歴などでもわかる通り結構ちゃっかりしていて弁護士らしい堅苦しさや迫力とは無縁。そのため依頼人からは「あなたが弁護士?」と疑問の目を向けられることもある。住まいは外国人比率が高いゲストハウスであるが、選んだ理由は「安かったこと」と「何となくカッコ良かった」に加え、「賑やかなのが好き」で「一人暮らしなんて寂しくやり切れない」ことで、同居している外国人相手に法律相談を行っている(ただし報酬は食糧で受け取っているとのこと)。
東海林 弘明 ()- 菅原弁護士事務所の先輩弁護士。クールでビジネスライク。人情に流されがちな所長を抑えて事務所の屋台骨を支える。仕事面では超有能で、依頼人に不利な状況をひっくり返したり、依頼人を丸めこんでより多くの依頼料を引き出したりしている。そのあまりにも抜け目の無い仕事ぶりで楽子を唖然とさせることもしばしば。楽子を苦手なタイプとしており、楽子が事務所に押しかけた当初は追い返そうとした。厳しいが的確なフォローで楽子を指導する。
- 名門私立・聖応大学の出身。大学在学中に司法試験に受かるなど、かつてはエリート街道を突っ走っていた。一旦は大手弁護士事務所に就職したが、その直後トラブルに遭い退職、頼っていった恩師の菅原に誘われ、彼が開く事務所で弁護士生活をスタートさせた。中道に誘われ、第21話で別の事務所へと移籍する。かなりの犬好き。また、酒には弱い。
菅原 耕太郎 ()- 菅原弁護士事務所の所長。楽子と東海林のボス弁。かつて聖応大学の法学部で教鞭を執っており、東海林も彼の教え子だった。現在も別の私立大学で客員教授を務める。つまり弁護士法5条に規定する学識経験者に該当する弁護士[1]。
- 温厚な人格者だが、依頼人に情で押されて依頼料を値切られることも多い様子。そのため事務所ではしっかり者の東海林が幅を利かせ、彼自身は所長であるにもかかわらず普段は少々存在感が薄い。
久保田 亜紀 ()- 菅原弁護士事務所の事務員。ボブカットの女性。常に無表情で淡々と仕事をこなす。実家は四国で「うどんの国」で知られている地域の出身[2]。
- かつて菅原の教え子だったが、大学在学中に交際中だった男性の子供を妊娠。しかし結婚することができず、未婚のまま息子の昴を出産、シングルマザーとして働きながら育児を続けている。冷静沈着で楽子よりも仕事ができると評判だが、家庭では事務所とは全く違う一面を見せる。事務所の仕事と育児に追われる日々が続いていたが、同じアパートに住む同じシングルマザーの不当解雇事案の解決をきっかけに、予備試験[3]を受ける決意を菅原や楽子に伝えた[4]。
中道 志織 ()- 東海林の司法修習の同期の女性弁護士で、大手である奥山・城之内弁護士事務所に所属。企業の担当をしており、たびたび楽子の扱う案件の相手方の弁護士としても登場している。
- その後、大手の事務所なりの苦労に嫌気がさし、東海林を誘って別の事務所へと移籍した。楽子に対してはやや苦手意識を持っている。
- かつて東海林と交際していたが、第46話で行きつけのレストランの店長兼料理人と結婚した。
赤星 光貴 ()- 楽子の司法修習同期で、奥山・城之内弁護士事務所に所属。お金持ちのエリート。
- 楽子に気があり、「合コンの下見」と称して食事をおごるなどさりげなくアプローチしているが、楽子は全く気がついていなかった。しかし、楽子が受任した傷害事件の依頼者から弁護過誤で訴えられそうになった際、彼女の代理人として共に依頼者の嘘を暴き、窮地を救ったことを契機に、自分の思いを楽子に伝えた[5]。
書誌情報
- 麻生みこと『そこをなんとか』白泉社〈花とゆめコミックススペシャル〉、全15巻
- 2008年3月10日 初版発行、ISBN 978-4-592-18785-1
- 2009年3月10日 初版発行、ISBN 978-4-592-18786-8
- 2009年11月10日 初版発行、ISBN 978-4-592-19823-9
- 2010年9月10日 初版発行、ISBN 978-4-592-19824-6
- 2011年5月10日 初版発行、ISBN 978-4-592-19825-3
- 2012年3月5日 初版発行、ISBN 978-4-592-19876-5
- 2012年10月10日 初版発行、ISBN 978-4-592-19877-2
- 2013年5月10日 初版発行、ISBN 978-4-592-19878-9
- 2014年7月18日 初版発行、ISBN 978-4-592-19879-6
- 2015年3月5日 初版発行、ISBN 978-4-592-19880-2
- 2015年12月4日 初版発行、ISBN 978-4-592-21826-5
- 2016年10月5日 初版発行、ISBN 978-4-592-21827-2
- 2017年7月5日 初版発行、ISBN 978-4-592-21828-9
- 2018年1月4日 初版発行、ISBN 978-4-592-21829-6
- 2018年12月5日 初版発行、ISBN 978-4-592-21830-2
なお、コミックス収録時は連続するエピソードが巻をまたがないように話の順序が一部入れ替えられている(その際、入れ替えにより台詞などに矛盾が生じる点については雑誌掲載時から変更が加えられている)。