アメリカン・ニューシネマ
アメリカ映画のジャンル
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用語・定義

日本で呼称される「アメリカン・ニューシネマ」について、『現代映画用語事典』(2012)は「アウトローやアンチ・ヒーローを主人公にすえて多くは反体制を志向」し、「リアリズム表現を基本に (…) 時に暴力の直接的な描写や不道徳とされた性的関係を扱っている」と述べ、物語構造・登場人物や取りあげられる題材が従来のハリウッド映画から大きく変化したことをその特徴と指摘している[5]。
また評論家の川本三郎はとりわけ物語と登場人物の変化に注目し、アメリカン・ニューシネマとは「五〇年代のアメリカ社会が築き上げたいわゆるアメリカン・ウェイ・オブ・ライフに対する反抗によって作られたもの」[3]と述べ、「アメリカン・ニューシネマとは、新しく登場したプロテスト世代の論理と感覚の表現だったといっていい」と指摘している[6]。
映画評論家の田山力哉は、『未知との遭遇』『エレファント・マン』『スター・ウォーズ』なども「アメリカン・ニューシネマ」作品に数えながら[7]、とくに『ダーティ・ハリー』 や『わらの犬』のような作品が代表的だとして「アメリカ映画は暴力描写が主流を占めるという時代がきた」と述べている[8]。
著述家の宮崎有史は、アメリカン・ニューシネマの特徴を「それまでのハリウッドで守られてきた伝統を破壊するもの」として、具体的には以下4つの慣行を破っていると述べている[9]。
- 映画に、始まりと真ん中と終盤があるべきだ、という慣習を無視している。
- 急激な場面転換が多用され、映画の中の時間がごちゃまぜにされている。
- プロットそのものも一貫しておらず、動機や説明がなされていない。
- 喜劇と悲劇、善玉と悪玉のような対称的な存在が区別しにくくなり、かつ交換が可能である。
そしてこれらは、特定のクリエイターたちが明確な意図をもって行ったものではないとして、様々な解釈がなされ、具体的にどの作品が該当するかなどの議論こそが「アメリカン・ニューシネマ」の本質だと述べている[9]。
ただ、評論家の樫本慶次はジョナス・メカスなどの実験映画の系譜を重視して「本質的にはアンダーグラウンド映画を落して〈アメリカン・ニュー・シネマ〉を論じてはならない」と述べるなど、日本でもこの言葉の定義は一様ではない[10]。
一方、英語圏においても、「若者という主題」や「暴力的・性的表現」に注目した定義が行われている。オックスフォード大学出版局の『映画学事典』では、「ニュー・ハリウッド」が、社会に反旗を翻す登場人物やハッピーエンドの拒否、プロダクション・コード(ヘイズ・コード)の本格的な解体によって可能になった性・暴力・麻薬などの露骨な映像描写によって特徴づけられる、と指摘している[11]。また映画研究者の小野智恵は、アメリカ映画研究史をふりかえる文脈において、ニュー・ハリウッドについて「多くは (…) 体制批判などの『政治』、犯罪行為などの『暴力』、あるいは『セクシュアリティ』といった主題を扱い、手法的にはハリウッドの形式的・内容的な慣習の批評、解体・再構築、新たな解釈、融合、といった試みを行うものであった」と指摘している[12]。
アメリカの「ニュー・ハリウッド」は1970年代以降のハリウッドにおける映画製作全般を指して使われることがあり、この場合には1977年の『スター・ウォーズ』第1作までを含める研究者もいる[4]。アメリカでは他に「アメリカン・ニューウェーブ(American New Wave)」や「ハリウッド・ルネサンス(Hollywood Renaissance)」などの呼称が提案されている[11]。
またこれらとは全く別に、60年代前半にニューヨークなどでジョナス・メカスらが開始した反ハリウッド的な自主映画制作の動きを指して「ニュー・アメリカン・シネマ (New American Cinema)」と呼ぶことがある[13][14]。
起源
1967年8月にアーサー・ペン監督『俺たちに明日はない』がアメリカで公開されると[15]、その激しい暴力描写や犯罪を美化するかのような物語に当初は批判が集まった。しかし当時アメリカの映画批評界で大きな影響力をもっていたポーリン・ケイルは『ニューヨーカー』誌(10月13日号)でこの作品を取り上げ、「いま人々が感じ、話し、書いている題材をそのまま映画の世界に持ち込んでいる」新しい試みとして絶賛した[16]。さらに『TIME』誌(1967年12月8日号)はこの作品を表紙に掲げて「ニュー・シネマ:暴力、SEX、アート」なる見出しで特集記事を組む。そして「映画が描く自由の衝撃」と題する長文の解説記事で、ヨーロッパで始まっていた新しい映画の動きとこの作品を結びつけて論じてみせた[17]。
アメリカでは、1967年12月末にはマイク・ニコルズ監督『卒業』が公開され、この二つの作品は翌年2月にアカデミー賞を受賞する[18]。そして1969年に、きわめて低予算で製作されたデニス・ホッパー監督『イージー・ライダー』が大方の映画関係者の予想を裏切って全米で大ヒットすると[19]、ハリウッド映画の世界で新しい潮流が始まったことが多くの人に強く意識されるようになった[2][18]。
独占禁止法訴訟やTVの普及、若者の意識変化などによって長期の低迷傾向にあった大手映画会社がこれに目をつけ、映画の新しい作り手・俳優を次々に投入してゆくことになる[18]。その代表例として、監督ではフランシス・フォード・コッポラ、マーティン・スコセッシ、ウィリアム・フリードキン、ポール・シュレーダー、テレンス・マリックなどが挙げられる。
日本では、『キネマ旬報』誌が1968年4月上旬で上記『TIME』記事などアメリカ映画の動向を紹介する特集記事を掲載。『俺たちに明日はない』『ある戦慄』『殺しの分け前/ポイント・ブランク』『冷血』『地獄の天使』(1967)の5作品を「アメリカン・ニュー・シネマ」として紹介し、この語が定着するきっかけとなった[1]。
歴史
1940年代までの黄金時代のハリウッド映画は、観客に夢と希望を与えることに主眼が置かれ、英雄の一大叙事詩や、正義の味方による勧善懲悪、夢のような恋物語が主流であり「ハッピー・エンド」が多くを占めていた。1950年代以降、スタジオ・システムの崩壊やテレビの影響などにより、ハリウッドは製作本数も産業としての規模も低迷し、またジョセフ・マッカーシーの「赤狩り」が残した後遺症の傷も深かった。映画界ではウォルト・ディズニーやロナルド・レーガンたちが赤狩りに全面協力した。アルフレッド・ヒッチコックやチャールズ・チャップリン、フリッツ・ラング、ウィリアム・ディターレ、ダグラス・サークといった戦前戦後を通じてヨーロッパから移住、亡命してきた映画作家たちや、ニコラス・レイ、アンソニー・マン、サミュエル・フラーらいわゆる「B級映画(B movie)」とよばれる中小製作会社の低予算映画作家のなかにその萌芽はあった。
一方、ヨーロッパにおいては、戦後イタリアのネオレアリズモとシネマ・ヴェリテの手法が各国の若者に深い影響を与え、1950年代中期ロンドンのフリー・シネマに始まり、1950年代末期から、フランス、パリのヌーヴェルヴァーグ[20]、ロンドンのブリティッシュ・ニュー・ウェイヴ、プラハのチェコ・ヌーヴェルヴァーグ、ドイツのニュー・ジャーマン・シネマ、映画『灰とダイアモンド』に代表されるポーランド派、スイス、ジュネーヴを中心とするヌーヴォー・シネマ・スイス、そして南米ブラジルのシネマ・ノーヴォ、ニューヨークのニュー・アメリカン・シネマ、東京(羽仁進、大島渚ら)まで飛び火し、世界に広がるニューシネマ運動が起きていた。
いずれも若い監督による新しい感覚や手法を特徴としている。当時ニューヨークには、ヨーロッパからの移民であったジョナス・メカスやD・A・ペネベイカー、リチャード・リーコックらのドキュメンタリー作家や、現代美術作家アンディ・ウォーホル、スタン・ブラッケージ、ジャック・スミスら実験映画作家、ネオレアリズモの影響を色濃く受けたジョン・カサヴェテスらがそれに呼応していた。またカリフォルニア州にも、10代にしてビアリッツの「呪われた映画祭」(1949年)に参加したケネス・アンガーなどの実験映画作家がいた。60年代の代表的なニュー・シネマには『イージー・ライダー』[21]『ウッドストック』や、『俺たちに明日はない』などがあった[22]。
まだジャーナリズムの熱意が高かった60年代には、アメリカ市民がベトナム戦争の実態を目の当たりにすることで、ホワイトハウスへの信頼感は音を立てて崩れていった。戦争に懐疑的になった国民は、アメリカ政府の矛盾点に目を向け、若者のヒッピー化、反体制化が見られ、人種差別、ドラッグ、エスカレートした官憲の暴力性などの現象も顕在化した。そして、それを招いた元凶は、政治の腐敗というところに帰結し、アメリカの各地で糾弾運動が巻き起こった。アメリカン・ニューシネマはこのような当時のアメリカの世相を投影していたと言われる。上述のとおり『TIME』誌は、『俺たちに明日はない』を大特集してこの新しい米国映画の動向を詳細にレポートした。
ニューシネマと言われる作品は、反体制的な人物(若者であることが多い)が体制に敢然と闘いを挑む、もしくは刹那的な出来事に情熱を傾けるなどするのだが、最後には体制側に圧殺されるか、あるいは悲劇的な結末で幕を閉じるものが多い。つまり「アンチ・ヒーロー」「アンチ・ハッピーエンド」が一連の作品の特徴と言えるのだが、それはベトナム戦争や大学紛争、ヒッピー・ムーブメントなどの騒然とした世相を反映していた。それと同時に、映画だけでなく小説や演劇の世界でも流行していたサルトルの提唱する実存主義を理論的な背景とした「不条理」も一部反映していたとする説もある[要出典]。
低予算映画の流れにはロジャー・コーマンらがおり、アメリカン・ニューシネマの底辺部を、彼ら独立系の映画作家、映画プロデューサーが支えた。そこにはピーター・ボグダノヴィッチ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン、ピーター・フォンダ、アーサー・ペン、マーティン・スコセッシ、フランシス・フォード・コッポラらがいた。
終焉
ベトナム戦争の終結とともに、アメリカ各地で起こっていた反体制運動も下火となっていき、それを反映するかのようにニューシネマの時代も徐々に終焉することになる。1979年の『地獄の黙示録』がニュー・シネマの最後の作品との説もある[要出典]。
70年代の半ばになると、『タワーリング・インフェルノ』(1974年)を筆頭に、『ジョーズ』(1975年)、『ロッキー』(1976年)、『スター・ウォーズ』(1977年)、『スーパーマン』(1978年)といった明るい商業主義的な映画が人気を博すようになり、スティーヴン・スピルバーグやジョージ・ルーカスのような作家たちをハリウッド・ルネサンス(Hollywood Renaissance)とも呼ぶようになった。
町山智浩は、敗戦により落ち込んでいたアメリカ国民が、”明るく希望のあるエンタメ作品”を求めたと、ニュー・シネマの終焉を良いことであると記述した[23]。
また、翻訳家・批評家の今野雄二は「友情と思いやりに幻想を求めた男たちの甘ったれた現実逃避が、結局、アメリカン・ニュー・シネマの貧しい本質」であるとしている[24]。
映画評論家の遠山純生は「アメリカン・ニューシネマ」の語が日本の映画雑誌や書籍においてどのように用いられてきたかを検証し、「定義付け不可能な実質のない言葉だという認識がありながら、内実が曖昧にされたままだらだらと使い続けられてきたのが日本における“(アメリカン・)ニューシネマ”」と結論づけている[1]。
主な作品
上述のとおり日本語の「アメリカン・ニューシネマ」に統一的な定義は存在しないため、網羅的な作品一覧をつくることは困難だが、ここでは主要な日本語文献で代表的映画と明記されている作品を以下に挙げる[25][3] [9]。
| タイトル/原題 | 公開年 | 監督 | 出演 | あらすじ、補足等 |
|---|---|---|---|---|
| 俺たちに明日はない Bonnie and Clyde |
1967年 | アーサー・ペン | ウォーレン・ベイティ フェイ・ダナウェイ |
世界恐慌時代の実在の銀行強盗カップル、ボニーとクライドの無軌道な逃避行。 |
| 卒業 The Graduate |
マイク・ニコルズ | ダスティン・ホフマン アン・バンクロフト |
年上の夫人に翻弄される若者の精神的葛藤と自立。サイモン&ガーファンクルの「ミセス・ロビンソン」や「サウンド・オブ・サイレンス」も有名。 | |
| 暴力脱獄 Cool Hand Luke |
スチュアート・ローゼンバーグ | ポール・ニューマン | フロリダの刑務所を舞台に、社会のシステムに組み込まれることを拒否する囚人を描く。 | |
| 泳ぐひと The Swimmer |
1968年 | フランク・ペリー | バート・ランカスター | 高級住宅地に水泳パンツひとつの姿で現れた男の眼を通し、アメリカ上流階級を痛烈に皮肉る作品。 |
| 真夜中のカーボーイ Midnight Cowboy |
1969年 | ジョン・シュレシンジャー | ジョン・ヴォイト ダスティン・ホフマン |
ニューヨークの底辺で生きる若者2人の固く結ばれた友情とその破滅に向う姿を描く。 |
| ワイルドバンチ The Wild Bunch |
サム・ペキンパー | ウィリアム・ホールデン ロバート・ライアン |
西部を荒らしまわる強盗団「ワイルドバンチ」の壮絶な最期。 | |
| イージー・ライダー Easy Rider |
デニス・ホッパー | ピーター・フォンダ デニス・ホッパー |
社会的束縛を逃れて自由な旅を続ける若者たちが直面する社会の不条理と無残な最期。冒頭のテーマ曲が有名。 | |
| 明日に向って撃て! Butch Cassidy and the Sundance Kid |
ジョージ・ロイ・ヒル | ポール・ニューマン ロバート・レッドフォード |
西部を荒らしまわった実在の強盗の友情と恋をノスタルジックに描く。ラストシーンと主題歌が著名。 | |
| アリスのレストラン
Alice's Restaurant |
アーサー・ペン | アーロ・ガスリー | 現代の吟遊詩人アーロのほろ苦いユーモアをたたえた彷徨。 | |
| 夕陽に向って走れ
Tell Them Willie Boy Is Here |
エイブラハム・ポロンスキー | ロバート・レッドフォード | 1909年に起きた、インディアン事件の実話をもとに、アメリカの病根を追求した作品。 | |
| ひとりぼっちの青春 They Shoot horses, Don't They? |
シドニー・ポラック | ジェーン・フォンダ | 存在しない賞金のために狂ったようにダンス大会で踊り続けるカップルを描く。 | |
| M★A★S★H マッシュ M*A*S*H |
1970年 | ロバート・アルトマン | ドナルド・サザーランド | 朝鮮戦争での野戦病院の人々を描いたブラックコメディー。 |
| 小さな巨人 LITTLE BIG MAN |
アーサー・ペン | ダスティン・ホフマン フェイ・ダナウェイ |
121才の主人公がその生涯を語るアメリカ先住民として、また白人として生きた男のアメリカ史。 | |
| いちご白書 The Strawberry Statement |
スチュワート・ハグマン | ブルース・デイヴィスン | 学園紛争に引き裂かれていく男女2人の恋。 | |
| ソルジャー・ブルー Soldier Blue |
ラルフ・ネルソン | キャンディス・バーゲン ピーター・ストラウス |
白人が無抵抗の先住民の村に対して行った、無差別虐殺であるサンドクリークの虐殺を扱う作品。 | |
| キャッチ22
Catch-22 |
マイク・ニコルズ | アラン・アーキン | 人間の愚かしい戦争をパロディ化しながらも、人間だけが有する豊かな生命力、人間愛を謳い上げた作品。 | |
| ジョー
JOE |
ジョン・G・アヴィルドセン | ピーター・ボイル | ドラッグ・カルチュア(麻薬文化)に蝕まれている現代アメリカの若者たちと、戦争体験をもつ旧世代との、決して埋めることのできない溝を鋭く捉えた作品。 | |
| ファイブ・イージー・ピーセス Five Easy Pieces |
ボブ・ラフェルソン | ジャック・ニコルソン | 裕福な音楽一家に育ちながら、他の兄弟とは異なる流転の青春を送る男の心象を淡々と描く。エンディングが印象的な作品。 | |
| モンテ・ウォルシュ Monte Walsh |
ウィリアム・A・フレイカー | リー・マーヴィン ジャック・パランス |
文明の波が西部に押し寄せてきた西部開拓時代末期、花形だったガンマンやカウボーイたちが辿る哀れな末路を描く。 | |
| 真夜中のパーティー The Boys in the Band |
ウィリアム・フリードキン | ケネス・ネルソン レオナルド・フレイ |
ゲイ仲間の誕生日パーティに集まったホモセクシの仲間たちを描く[9]。ハリウッド映画史において初めて「同性愛を真正面から描いた」作品である。 | |
| バード★シット
BREWSTER McCLOUD |
ロバート・アルトマン | バッド・コート | 鳥のように自由な飛翔を夢みる少年の話を中心に、人間社会の愚かしさをパロディ化した作品。 | |
| フレンチ・コネクション The French Connection |
1971年 | ウィリアム・フリードキン | ジーン・ハックマン ロイ・シャイダー |
麻薬組織に執念を燃やす刑事の活躍。若者や反体制側でなく、体制側の視点から社会病理を描く。 |
| バニシング・ポイント Vanishing Point |
リチャード・C・サラフィアン | バリー・ニューマン | デンバーからカリフォルニアまで、15時間で陸送する賭をした男の「消失点」を描いた物語。 | |
| 愛の狩人 Carnal Knowledge |
マイク・ニコルズ | ジャック・ニコルソン アート・ガーファンクル |
優等生と不良の二人の男子大学生が、人生や愛について考え、様々な女性との関係が描かれる。 | |
| さすらいのカウボーイ The Hired Hand |
ピーター・フォンダ | ピーター・フォンダ ウォーレン・オーツ |
相棒とともに西部を旅した流れ者が、かつて捨て去った妻子の元に帰るが、受け入れてもらえるはずもなく…。 | |
| 断絶 Two-Lane Blacktop |
モンテ・ヘルマン | ジェームズ・テイラー ウォーレン・オーツ |
車に乗ってアメリカ中を渡り歩く3人のストリート・レーサーたちの愛と孤独を描く。 | |
| 哀しみの街かど
The Panic in Needle Park |
ジェリー・シャッツバーグ | アル・パチーノ | よりよい世界を望みながらも、麻薬による失調が自らをもさいなむという、救いのない青春の愛と孤独を描く。 | |
| ラスト・ショー
The Last Picture Show |
ピーター・ボグダノヴィッチ | ティモシー・ボトムズ | テキサスの田舎町を舞台としたニュー・シネマ青春群像劇の名作。 | |
| ソルジャー・ボーイ
Welcome Home, Soldier Boys |
リチャード・コンプトン | ジョー・ドン・ベイカー | ベトナム戦争から故国に帰還した4人の青年を待っていたものは何か、人生の哀しいアイロニーとして、戦争に傷つけられた青年の姿を描く。 | |
| 時計じかけのオレンジ A Clockwork Orange |
スタンリー・キューブリック | マルコム・マクダウェル | 麻薬と暴力とセックスを生きがいに幅を利かす近未来の非行少年グループの一人を描く[9]。 | |
| ラストムービー
THE LAST MOVIE |
デニス・ホッパー | デニス・ホッパー | 映画撮影のために南米ペルーの村に赴いたスタントマン、カンザスは、撮影後ドラッグに溺れ、放蕩にふけるうち、映画作りを模した村での奇妙な儀式に巻き込まれる… | |
| 黒いジャガー Shaft |
ゴードン・パークス | リチャード・ラウンドトゥリー | 黒人私立探偵の活躍を描くブラックスプロイテーション の草分け的な作品[9]。 | |
| 脱出 Deliverance |
1972年 | ジョン・ブアマン | ジョン・ヴォイト バート・レイノルズ |
自分の男らしさを試すためにすすんで危険に挑んだ4人の男たち…人間の弱さや卑屈さを醜く露呈していく姿を描く。 |
| 明日に処刑を…
Boxcar Bertha |
マーティン・スコセッシ | バーバラ・ハーシー | 30年代不況期のアメリカを舞台に、貨車(ボックス・カー)で渡り歩いたホーボーと呼ばれる浮浪者の1人である娘とアナーキストの青年が、列車強盗をくり広げる、という実話。 | |
| ハロルドとモード 少年は虹を渡る Harold and Maude |
ハル・アシュビー | ルース・ゴードン バッド・コート |
19歳の自殺を演じることを趣味としている少年と、79歳の天衣無縫な老女との恋を描く。 | |
| グライド・イン・ブルー
Electra Glide In Blue |
1973年 | ジェームズ・ウィリアム・ガルシオ | ロバート・ブレイク | モニュメント・バレーを舞台に、夢破れた男たちの孤独、挫折、哀愁を描く。 |
| アメリカン・グラフィティ
American Graffiti |
ジョージ・ルーカス | リチャード・ドレイファス | 車に恋にロックンロール…青春のエネルギーを発散させる1962年のアメリカ地方都市に生きる若者たちの生態を描く青春映画。 | |
| ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー Dirty Mary Crazy Larry |
ジョン・ハフ | ピーター・フォンダ ヴィック・モロー |
カーレース用の車を手に入れるために現金強奪に成功した若者3人組と、それを追う警察とのカー・アクション。 | |
| デリンジャー
Dillinger |
ジョン・ミリアス | ウォーレン・オーツ | アメリカ中西部一帯を荒しまわり、アメリカ犯罪史上最も有名なギャングとして、五指に数えられる銀行強盗ジョン・デリンジャーの生涯を描く。 | |
| ペーパー・ムーン
Paper Moon |
ピーター・ボグダノヴィッチ | ライアン・オニール | 聖書を売りつける詐欺師の男と、母親を交通事故で亡くした9歳の少女との、互いの絆を深めていく物語を描いたロード・ムービー。 | |
| スケアクロウ Scarecrow |
ジェリー・シャッツバーグ | ジーン・ハックマン アル・パチーノ |
偶然出会った二人の男のロードムービー。荒くれ者のアウトローと「スケアクロウ」な生き方をする陽気な男。正反対の二人が織り成す奇妙な交流と友情、そして悲劇。 | |
| 地獄の逃避行 Badlands |
テレンス・マリック | マーティン・シーン シシー・スペイセク |
15歳の少女ホリーと25歳のキットの愛と罪の逃避行を広大な荒野をバックに描いたカントリー色鮮やかなロード・ムービー。 | |
| ロング・グッドバイ The Long Goodbye |
ロバート・アルトマン | エリオット・グールド | 探偵のフィリップ・マーロウが友人の死をきっかけにある事件に巻き込まれていくレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の映画化。 | |
| 北国の帝王
Emperor of the North Pole |
ロバート・アルドリッチ | リー・マーヴィン | 1930年台のオレゴン州を背景に、鉄道を利用して移動するホーボーと呼ばれた浮浪者たちの中の帝王と、彼らの無賃乗車を拒む冷酷な車掌との戦いを描く。 | |
| さらば冬のかもめ The Last Detail |
ハル・アシュビー | ジャック・ニコルソン ランディ・クエイド |
窃盗を犯した若い水兵を護送する2人のベテラン海軍下士官。3人に間に奇妙な友情が芽生える。 | |
| ミーン・ストリート Mean Streets |
マーティン・スコセッシ | ハーヴェイ・カイテル ロバート・デ・ニーロ |
ニューヨークを舞台にそれぞれに青春を爆発させる若者たちの孤独、友情、挫折等を描く。 | |
| セルピコ Serpico |
シドニー・ルメット | アル・パチーノ | ニューヨーク市警察に根強くはびこっている腐敗、汚職にたった1人で挑戦した正義の男セルピコの苦難の物語。 | |
| 続・激突!/カージャック
The Sugarland Express |
1974年 | スティーヴン・スピルバーグ | ゴールディ・ホーン | 若い男女がおもいがけない事のなりゆきで罪を犯し、警察に追跡されながらテキサス周辺300マイルにおよぶ逃避行をやってのけたという1969年に実際に起きた事件を素材にしたアクション。 |
| 破壊!
Busting |
ピーター・ハイアムズ | エリオット・グールド | 一介の平刑事が、警察の上層部と結託した麻薬組織を追う。 | |
| カンバセーション…盗聴… The Conversation |
フランシス・フォード・コッポラ | ジーン・ハックマン | プロの盗聴屋が若い男女を尾行し、会話を盗聴したことから捲き込まれる恐怖劇。 | |
| レニー・ブルース
Lenny |
ボブ・フォッシー | ダスティン・ホフマン | 1950年代から60年前半のアメリカでショー・ビジネス界に生きた異端児レニー・ブルースの生涯を描く。 | |
| ハリーとトント Harry and Tonto |
ポール・マザースキー | アート・カーニー | ニューヨークのアパートを立ち退かされた老人が愛猫を連れてシカゴへ向かうロードムービー。道中で様々な人々と出会う。 | |
| チャイナタウン
Chinatown |
ロマン・ポランスキー | ジャック・ニコルソン | アメリカ西海岸最大の近代都市としての様相をととのえつつあった1930年代のロサンゼルスを舞台に、政治的陰謀に巻き込まれた私立探偵の活躍を描く。 | |
| ボウイ&キーチ
Thieves like us |
ロバート・アルトマン | キース・キャラダイン | 大恐慌の風が吹きあれる1930年代のミシシッピーを舞台に、銀行強盗でその日の糧を得ながら生きる若いアウトロー郡像を描く。 | |
| スパイクス・ギャング
en:The Spikes Gang |
リチャード・フライシャー | リー・マーヴィン | 流れ者の老銀行ギャングと三人の少年の愛情と憎しみを描く西部劇。 | |
| サンダーボルト Thunderbolt and Lightfoot |
マイケル・チミノ | クリント・イーストウッド ジェフ・ブリッジス |
犯罪に熟練した朝鮮戦争世代の中年男と、当時ようやく終結したベトナム戦争世代の若者のロードムービー。 | |
| カッコーの巣の上で One Flew Over the Cuckoo's Nest |
1975年 | ミロス・フォアマン | ジャック・ニコルソン ルイーズ・フレッチャー |
精神異常を装って刑期を逃れた男と、患者を完全統制しようとする看護婦長との確執。 |
| 狼たちの午後 Dog Day Afternoon |
シドニー・ルメット | アル・パチーノ | 無計画に銀行を襲い人質を取って立て籠もった銀行強盗がマスコミによってヒーローのように祭り上げられていく。実際の銀行強盗事件を題材にした作品。 | |
| タクシードライバー Taxi Driver |
1976年 | マーティン・スコセッシ | ロバート・デ・ニーロ | 社会病理に冒され、異常を来した男の憤り。 |
| ウディ・ガスリー/わが心のふるさと
Bound for Glory |
ハル・アシュビー | デビッド・キャラダイン | フォークの父、アメリカ最大の吟遊詩人と謳われたウディ・ガスリーの自伝映画。 | |
| ミスター・グッドバーを探して Looking for Mr. Goodbar |
1977年 | リチャード・ブルックス | ダイアン・キートン | 都会で生きる孤独な美人教師が、麻薬とセックスに溺れ転落する様を描く[9] 。 |
| ディア・ハンター The Deer Hunter |
1978年 | マイケル・チミノ | ロバート・デ・ニーロ | ベトナム戦争に駆り出された男たちの悲劇。 |
| 帰郷 Coming Home |
ハル・アシュビー | ジェーン・フォンダ ジョン・ヴォイト |
出征する海兵隊員とその妻、そして負傷帰還兵の三者三葉の出会いと別れを描く[9]。 | |
| 天国の日々
Days of Heaven |
テレンス・マリック | リチャード・ギア | 20世紀初頭のアメリカ中西部の農場を舞台に、農園主と、収穫のためにやとわれた兄妹と兄の恋人がくりひろげる愛憎劇。 | |
| ミッドナイト・エクスプレス Midnight Express |
アラン・パーカー | ブラッド・デイヴィス | 麻薬所持・密輸の罪で捕まったアメリカ人旅行者の青年が、トルコの刑務所に投獄された実話を描く[9]。 | |
| ドッグ・ソルジャー Who'll Stop the Rain |
カレル・ライス | ニック・ノルディ チューズデイ・ウェルド |
ベトナム戦争をバックに麻薬汚染層の実態を描いたアクション・ムービー[9]。 | |
| 地獄の黙示録 Apocalypse Now |
1979年 | フランシス・フォード・コッポラ | マーロン・ブランド マーティン・シーン |
ベトナム戦争映画の金字塔。 |
| クレイマー、クレイマー Kramer vs. Kramer |
ロバート・ベントン | ダスティン・ホフマン メリル・ストリープ |
離婚や教育権をテーマに、新しい家庭や親子関係を模索した当時のアメリカの社会問題を描き出す人情ドラマ[9]。 | |
| 天国の門
Heaven's Gate |
1980年 | マイケル・チミノ | クリス・クリストファーソン | 1890年代のワイオミング州を舞台にしたロシア・東欧系移民の悲劇を扱った映画 |
| レイジング・ブル
Raging Bull |
マーティン・スコセッシ | ロバート・デ・ニーロ | 世界ミドル級チャンピオンの栄誉に輝き“ブロンクスの猛牛”と呼ばれた男ジェイク・ラモッタの数奇な人生の浮き沈みを彼の自伝を基に描く。 |
ドキュメンタリー映画
ドラッグやロック、カウンターカルチャーなどアメリカン・ニューシネマの精神を継承する作品を挙げる[9]。
| タイトル/原題 | 公開年 | 監督 | 出演 | あらすじ、補足等 |
|---|---|---|---|---|
| ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間 Woodstock |
1970年 | マイケル・ウォドレー | ジミ・ヘンドリックス サンタナ |
1969年に行われた野外コンサート「ウッドストック・フェスティバル」の模様を記録したドキュメンタリー映画。 |
| エルビス・オン・ステージ Elvis: That's the Way It Is |
デニス・サンダース | エルヴィス・プレスリー ジェームズ・バートン |
エルヴィス・プレスリーのステージ完全復帰までを描いたドキュメンタリー映画。 | |
| アメリカン・ニューシネマ 反逆と再生のハリウッド史
A DECADE UNDER THE INFLUENCE |
2003年 | テッド・デミ | ロバート・アルトマン | 60年代後半から70年代にかけてハリウッドが変容した時代を描くドキュメンタリー。 |
| イージー・ライダー☆レイジング・ブル
EASY RIDERS, RAGING BULLS: HOW THE SEX, DRUGS AND ROCK 'N' ROLL GENERATION SAVED HOLLYWOOD |
ケネス・ボウサー | デニス・ホッパー | 『 イージーライダー 』 ( 1969年 デニス・ホッパー監督) から『 1980年 レイジング・ブル 』までを軸に、この時期のアメリカ映画史についてのドキュメンタリー。 |
関連文献
(欧文)
- Buskin, Peter. Easy Riders, Raging Bulls: How the Sex-Drugs-and-Rock 'N' Roll Generation Saved Hollywood (Simon & Schuster, 1998)ISBN 0747590141
- Harris, Mark. Pictures at a Revolution: Five Movies and the Birth of the New Hollywood (Penguin, 2008)
- Hunter, Aaron and Martha Shearer. Women & New Hollywood: Gender, Creative Labor & 1970s American Cinema (Rutgers University Press, 2023)
- Krämer, Peter. The New Hollywood: From Bonnie and Clyde to Star Wars (Columbia University Press, 2006)
- Kuhn, Annette and Guy Westwell. Oxford Dictionary of Film Studies, 2nd ed. (Oxford University Press, 2020)
(邦文)
- 高橋洋二編『アメリカン・ニューシネマ '60-'70 < 別冊太陽 >』平凡社、1988
- キネマ旬報編『世界の映画作家24 アメリカン・ニューシネマの俊英たち』キネマ旬報社、1974
- 田山力哉『アメリカン・ニューシネマ名作全史』3巻、社会思想社、1981-1994
- 小野智恵「ニュー・ハリウッド 1967-1980」(杉野健太郎責任編集、日本映画学会監修『アメリカ映画史入門』三修社、2024)
(映像資料)
関連項目
- 『青春の殺人者』(1976年)、『太陽を盗んだ男』(1979年) - 長谷川和彦による和製ニューシネマ。
- 『テルマ&ルイーズ』(1991年)- 「90年代の女性版アメリカン・ニューシネマ」と呼ばれたことがある[27][28][29]。
- 『アメリカン・ニューシネマ 反逆と再生のハリウッド史』(2003年)- アメリカン・ニューシネマについてのドキュメンタリー映画。
- 『ジョーカー』(2019年)- 「現代版アメリカン・ニューシネマ」と称されたアメコミ映画。