トヨタ・GRヤリス
トヨタ自動車のハッチバッククーペ型乗用車
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GRヤリス(ジーアールヤリス、GR YARIS)は、トヨタ自動車が生産しているハッチバッククーペ型のスポーツカーである。
| トヨタ・GRヤリス GXPA16/MXPA12型 | |
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24式 RZ GR-DAT 2024年4月 - | |
| 概要 | |
| 製造国 |
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| 販売期間 | 2020年9月4日 – |
| 設計統括 | 齋藤尚彦 |
| ボディ | |
| 乗車定員 | 4名 |
| ボディタイプ | 3ドアハッチバッククーペ |
| エンジン位置 | フロント |
| 駆動方式 | |
| プラットフォーム |
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| パワートレイン | |
| エンジン | |
| 最高出力 |
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| 最大トルク |
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| 変速機 | |
| サスペンション | |
| 前 | マクファーソンストラット式 |
| 後 | ダブルウィッシュボーン式 |
| 車両寸法 | |
| ホイールベース | 2,560 mm |
| 全長 | 3,995 mm |
| 全幅 | 1,805 mm |
| 全高 | 1,455 mm |
| 車両重量 | 1,110 - 1,300 kg |
| 最大積載量 | 141 L(VDA法、4名乗車時) |
| その他 | |
| タイヤサイズ |
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| ブレーキ | ベンチレーテッドディスク |
概要
『GR』を展開する「GAZOO Racing カンパニー」が開発した車種で、本ブランドの専売車種としては2019年に発売された「GRスープラ」に続く2台目の車種である。「GRスープラ」および2012年に発売された「86」は同業他社(BMW、SUBARU)との共同開発によって作製した車種であったが、本車種はトヨタが独自に開発したものである。また、同社における四輪駆動の市販スポーツカーとしては、1999年に生産を終了したST205型セリカGT-FOUR以来となった。
2020年に発売されたコンパクトカーの4代目ヤリスと車名は同じだが、一部のメカニズムを除いて別の車種として設計されている[1]。
2024年4月にはマイナーチェンジが行われ、内外装およびメカニズムの大幅な改良が行われたが、その際には改良モデルは「進化型GRヤリス」と称された[2]。しかしその後、2025年4月にも改良モデルが発売されたため、それ以降は2020年9月発売の初期モデルが「20式」、発売当時「進化型GRヤリス」と呼ばれた2024年以降の改良モデルが「24式」、それ以降の改良モデルは年毎に「25式」、「26式」と呼ばれてる[3][4]。本稿でもそれに準じて記載する。
経緯
トヨタは1999年のシーズンを最後に世界ラリー選手権(WRC)より撤退したが、2017年から再び参戦している。その際に用いられたベース車両は3代目ヤリス(日本名:ヴィッツ)であったが、同車種の開発段階では競技車両への転換を想定していない設計だったこともあり、競合相手の車両に比べて不利となる部分(全長を伸ばしにくいサスペンションの構造や高めの全高など)が多く、さらなる戦闘力の向上を図るには競技での使用を前提とした専用車種の開発が必須となっていた。
そこでホモロゲーションモデルとして本車種の開発がスタートし、グループAの公認取得条件となる25,000台の生産を目標に掲げた[5]。最高峰のWRC[注釈 1]は当然ながら、市販車に近い規定のローカルラリー等でも勝てることを目指した。
生産と開発
2009年(平成21年)に発売されたスーパーカー「レクサス・LFA」専用の生産設備であった「LFA工房」を基礎として、本車種の生産から稼働する『GRファクトリー』と呼ばれるスポーツカーなどの少量生産に対応したベルトコンベアを用いないセル生産方式の生産設備を愛知県豊田市の元町工場に導入した[6]。
開発はドライバーから現場で開発ドライバーのフィードバックを受けてその場で改善し、すぐにコース上に送り返すというモータースポーツのテストと同じ手法が採用された。開発ドライバーは石浦宏明と大嶋和也がメインで、WRCドライバーのオイット・タナク、ヤリ=マティ・ラトバラ、クリス・ミーク、全日本ラリー王者の勝田範彦らもテストを行った。トヨタには成瀬弘を祖とする市販車のテストドライバーたちが多数いるが、競技車のドライバーがメインの開発ドライバーとなるのは同社では珍しい事例である。
メカニズム

ボディは3ドアで、屋根をCFRP製にするなど軽量化・低重心化・剛性の強化が図られている[7]。これによりパワーウェイトレシオは4.71 kg/PSに達する。またWRカーにする上で重要な空力特性も考慮され、リアのルーフ位置を下げてリアスポイラーに風を当てやすくなっているほか、リアフェンダーは大きく盛り上がっている。そのほか、低重心化のために補機用バッテリーやインタークーラー冷却スプレー用のタンクは後部の荷室下部に配置される[8]。
プラットフォームとしてはTNGAを採用するものの、モータースポーツでの過酷な使用状況における走行性能を考慮した結果、(GAプラットフォームとしては初となる)車両の前半部分と後半部分で車両クラスの違うものを組み合わせるハイブリッド構造を用いて設計されている[9]。前半はヤリス等のコンパクトカーが採用するGA-Bプラットフォームを、後半はカローラ等のミドルサイズ車に採用されるGA-Cプラットフォームを用いることで、軽量かつ強靱なシャシを実現した[9]。こういった背景から、単独のプラットフォームで構成される4代目ヤリスと同一車種であるとはみなされないため、グループAの公認取得にはGRヤリスのみで25,000台[10]の生産が必要となる[注釈 2]。
サスペンションはフロントがストラット式、リアがダブルウィッシュボーン式となる。セッティングはグレードごとにタイヤ銘柄や想定される走行シーンを配慮してセッティングが変更されている[8]。ブレーキは対向ブレーキキャリパー(フロント: 4ポット、リア: 2ポット)に大径ローター(フロント: 2ピース、リア: ドラムインディスク)が奢られる。リアブレーキにドラムインディスクが採用されたのはサイドターンなどのモータースポーツでの使用を考慮したためである[8]。
24式ではボディのスポット溶接打点数を約13%増加、構造用接着剤の塗布部位を約24%拡大して剛性向上が図られた[2]。25式ではGRカローラの改良モデルで採用された高剛性ボルトをシャシ締結部の一部に採用し、足回りではショックアブソーバーとEPSチューニング(『RZ』/『RZ "High performance"』のみ、グレード別設計)の最適化が施された[11]。
26式ではソフトウェア改良により、EPSやトルクセンサーのトーションバー剛性の最適化が施された。
エンジン

エンジンは『RS』を除く全グレードで、新規開発となる「ダイナミックフォース スポーツエンジン」の第1弾である、排気量1.6 Lの水冷直列3気筒DOHCターボエンジン「G16E-GTS」型を搭載する[12]。ヤリスに搭載された1.5 Lの水冷直列3気筒DOHCエンジンの「M15A-FKS」/「M15A-FXE」型と気筒数は同一だが、G16E型はモータースポーツでの使用を念頭に置いた専用設計のエンジンとなる[13]。このエンジンはトヨタ自動車の下山工場にて製造生産が行われる[14][15]。
シリンダーの内径(ボア)が87.5 mm、そして行程(ストローク)が89.7 mmとなり、排気量が1,600 ccを僅かに上回る1,618 ccとなったのは、ラリーでの常用域において最大の性能をrally2の上限排気量である1,620 cc以下で発揮できるように設計されたためである[13]。圧縮比は10.5で、直噴とポート噴射の併用技術「D-4ST」を採用する[16]。最高出力272 ps、最大トルク37.7 kgm(340 N/m)を発生し、0 - 100 km/h加速は5.5秒以下、最高速度は230 km/hを実現する[17]。なお同エンジンは、ダイナミックフォースエンジンの特徴であるレーザークラッドバルブシートではなく、バルブシートを工夫して打ち込んでいる[18]。これはメンテナンスやチューニングのしやすさも考慮しているためである[18]。インタークーラーはラリーでのメンテナンス性を考慮して空冷式を採用している[16]。なお『RZ "High performance"』には冷却スプレー機能が追加装着され、『RZ』および競技向けグレードの『RC』にもオプション設定されている[19]。このほか、A25A-FKS型エンジンやM20A-FKS型エンジン、M15A-FKS型エンジンと同様にアイドリング時の振動対策として1次バランサーシャフトがクランクシャフトの直下に組み込まれている[16]。
『RS』にはノーマルのヤリスと共通の、最高出力120 PS, 最大トルク145 N·mを発揮するM15A-FKS型 直列3気筒 1.5 L 自然吸気エンジンが搭載される。
24式以降ではエンジン出力が224 kW(304 PS)/ 400 N·m(40.8 kgf·m)に向上され、アイドリングストップシステムが廃止された。また、このタイミングで1.5 L車は廃止された。
ドライブトレイン

写真左側がマニュアルトランスミッション、右側がエンジン。
トランスミッションは当初、CVTを採用する『RS』を除く全グレードで、既存の12代目カローラシリーズ(セダン/ツーリング/スポーツ)[注釈 3]およびC-HRなどで先行採用された、自動ブリッピング機能を持つ「iMT」(インテリジェントマニュアルトランスミッション)を搭載[20]。トランスミッションの型式はEA67F[21]で、サプライヤーはアイシンとなる[22]。パーキングブレーキは『RS』を除き、基本的にサイドターンを実現するため、電動ではなく手引き式となっている。
2024年のマイナーチェンジ(24式)ではそれまでのiMTに加えて、8速AT「GR-DAT」(GAZOO Racing Direct Automatic Transmission)を選択できるようになった。GR-DATはレクサス・NXの2.4Lターボエンジン車に採用されるトルクコンバーター付き8速ATをベースにトヨタとアイシンが共同開発し、製造はアイシンが担当する[23]。型式はUC80F[21]。制御ソフトウェアをスポーツ走行用に最適化し、プロドライバーの変速操作と同等のギア選択を図っている[24]。 25式ではGR-DATの制御最適化が行われた[11]。GR-DAT車の車両重量はiMT搭載車と比べて20 kg重くなる。
ギア比は以下の通り[25]。
| ギア段階 | iMT (2020 - 2023年) | iMT (2024年-) | GAZOO Racing Direct Automatic Transmission |
|---|---|---|---|
| 1速 | 3.428 | 3.538 | 4.435 |
| 2速 | 2.238 | 2.238 | 2.809 |
| 3速 | 1.535 | 1.535 | 1.933 |
| 4速 | 1.162 | 1.162 | 1.407 |
| 5速 | 1.081 | 1.081 | 1.266 |
| 6速 | 0.902 | 0.902 | 1.000 |
| 7速 | - | - | 0.793 |
| 8速 | - | - | 0.650 |
| 後退 | 3.83 | 3.831 | 3.590 |

プロペラシャフト後端に繋がっているのが電子制御式カップリング。
四輪駆動システムとしては、電子制御式カップリングを用いた新開発のスポーツ四輪駆動システムを採用した。この技術は往年の「GT-FOUR」に対するヘリテイジの意味も込めて「GR-FOUR」を名乗る[26]。カップリングユニットはジェイテクト製のITCCを採用し[27]、前後駆動力配分は、20式ではノーマルモードで60:40、スポーツモードで30:70、トラックモードで50:50となる[25][注釈 4][28]。24式以降では前後駆動力配分が、ノーマルモードは60:40で変更ないが、トラックモードは60:40から30:70までの可変となり、スポーツモードに代わって前後駆動力配分53:47のグラベルモード(低ミュー路向けの設定)が追加された[24]。
四輪駆動車では改造を前提に前後ともオープンデフを採用しているが[12]、『RZ "High performance"』に限り、ジェイテクトが開発したトルセンLSDを装着する[29]。
デザイン
エクステリア
外観ではGRシリーズに共通するファンクショナルマトリックスグリルを採用したフロントバンパーを装備し、ドアはサッシュレスとなる。ボンネットおよびドアはアルミニウム製で、ルーフはCFRP製となる[30]。
24式では内外装ともに大幅なデザイン変更が行われた[2]。外装ではフロントバンパーが競技での破損と修理を想定した3分割構造に変更され、ロアグリルは飛び石などによる破損に対応できるよう樹脂製から鋼鉄製に変更、さらにGR-DAT搭載に伴い開口部が大型化され、『RC』では破損時の交換コスト削減を図るべくヘッドライトがハロゲン仕様に変更された[31]。リアは視認性やカスタマイズを想定してバックランプ位置がガラス下に変更され、これに伴って「GR YARIS」エンブレムがリアハッチ右下に、「GR-FOUR」エンブレムが同左下へ配置が変更されるともに、リアに位置していたトヨタのCIが廃された。また大嶋和也の意見を反映し、テールランプの意匠が一文字に変更された。
インテリア
20式のダッシュボードはベースとなっているヤリスと基本的に共通であるが、ステアリングやシートは専用品となり、『RS』を除く四輪駆動車には前後駆動力配分を変更するモードダイヤルが装備される。通常のヤリスとは異なり、リアシートは2人掛けとなり、空力性能に配慮してルーフが後ろ下がりとなっているため後席のヘッドルームは限られる[32]。
24式以降のモデルでは内装の大幅な変更が行われ、ダッシュボードはベースのヤリスと大きく異なるデザインとなった。操作パネルやディスプレイを運転席側に15度傾け、コクピットが25 mm下げられたほか、スイッチ類の位置変更が行われ、視認性と操作性の改善が図られた。また、計器類はアナログメーターから12.3インチのフルTFTメーターに変更され、メーカーオプション設定だったHUDユニットは廃止された。24式以降ではドライビングポジションは25 mm下がり、ステアリング位置の調節幅も拡大されたことで運転姿勢の改善が図られている。さらに、インナーミラー取り付け位置を上部に移動し、ダッシュボード上端位置を50 mm下げることで前方視界を拡大している[33]。また、縦引きサイドブレーキがオプションにて設定された[注釈 5]。26式では公表はされていないものの、インナーミラーの仕様変更によりミラーが大型化された。
25式ではGR-DAT車のフットレストの大型化が行われた[11]。
26式ではステアリングホイールがヤリス/ヤリスクロスと共通デザインのもの[注釈 6]からはモータースポーツ現場からのフィードバックを受けて専用開発された「GRステアリング」に変更され、DAT車ではパドルシフトの形状変更も併せて行われた[4][34]。
- 20式 RZ "High performance" (欧州仕様車)フロント
2020年9月 - 2024年4月 - 20式 RZ "High performance" (欧州仕様車)リア
2020年9月 - 2024年4月 - 20式 RZ インテリア
2020年9月 - 2024年4月
販売
日本では2020年1月10日の東京オートサロンでのワールドプレミアに合わせて同日から同年6月30日まで先行予約の受付が開始された。先行予約限定の特別仕様車として『RZ First Edition』および『RZ "High-performance・First Edition"』が設定された[35]。先行予約に関しては専用のウェブサイト限定で行われ、最初の3日間で約1000台、予約開始後2週間時点で約2000台の予約があったことが発表された[36]。その後、2020年9月4日に日本で正式に発売された。
日本以外では、2020年にヨーロッパ[37]、オーストラリア[38]、ニュージーランド[39]、南アフリカ[40]、2021年にはタイ[41]、マレーシア[42]、インドネシア[43]、シンガポール[44]、フィリピン[45]、メキシコ[46]、アルゼンチン[47]、台湾[48]で発売された。さらに遅れて2025年8月には中国でも発売された[49]。
ベースとなっているヤリスが販売されない北米市場には導入されず、その代わりとしてカローラスポーツ(北米名:カローラハッチバック)をベースに、GRヤリスと同じパワートレインを搭載したGRカローラが発売された[50]。
ラインアップ
この説では基本的に日本仕様車について記述する。輸出仕様に関しては基本的に『RZ "High performance"』に相当する上級グレードのみが設定される。
通常グレード
RC
ディスプレイオーディオやエアコン[注釈 7]、スマートエントリー、遮音材などの快適装備を省略して軽量化を図った、競技車両のベース車向けのグレードである。エンジンや駆動システムなど基本的なメカニズム部分は『RZ』と共通であるが、フロントブレーキはラリー用のタイヤとホイールが装着できるよう『RZ』のディスクローターを1インチ小径化し、さらにワンピース構造とした『RC』専用品が装備される(前後のキャリパー自体は『RZ』と共通である)。それに加えてタイヤとホイールは『RZ』の18インチから17インチへと変更され、『RC』専用デザインのエンケイ製アルミホイールにブリヂストン製のエコタイヤであるECOPIA EP150を装備する[8](いずれもパッケージオプションの装着で『RZ』と同じものに変更可能)。
24式からは競技ベース車としての立ち位置を高めるべく、カタログやWebサイト上で『モータースポーツ参戦用車両』の呼称が付くようになり[51]、前述の通りヘッドランプがLED→ハロゲンに変更[31]、ボディーカラーが「スーパーホワイトII <040>」のみになる等の変更が行われた。
安全運転支援システムの「Toyota Safety Sense」は前期型では設定なしで、24式ではメーカーオプション設定となり、25式以降は2025年12月から適応となる国産継続生産車の自動ブレーキシステム搭載義務化に対応するため標準装備となった[注釈 8][52]。
- 24式 RC
- 2024年1月改良型 24式 RC リア
- 2024年1月改良型 24式 RC インテリア
RC "Light Package"
2022年6月に追加された仕様[53]。24式以降では未設定。『RC』をベースに、遮音材、リアシート、リアゲートダンパー、リアスポイラー、塗装[注釈 9]を省いたグレード。リアクォーターガラス、バックドアガラスが専用軽量ガラスに変更、バッテリーも専用の軽量バッテリーが装備される。オプションだったエアコン、寒冷地仕様は選択不可。車重が『RC』の1250 kgから1170 kgと軽量化されており、1.6 Lターボ仕様では最軽量グレードとなる。
RZ
1.6 Lのターボエンジン「G16E-GTS」型と四輪駆動システム「GR-FOUR」を搭載したグレードとなる。タイヤおよびホイールはエンケイ製18インチ鋳造アルミホイールとダンロップ製の「SP SPORT MAXX 050」(カローラスポーツ 『G "Z"(HV含)』用と共通品[54])を装着する[55]。
主な装備としては、本革巻きステアリングホイールおよびシフトノブ、アルミペダル、左右独立温度コントロールフルオートエアコン、8インチディスプレイオーディオなどが標準設定され、シートはファブリック素材のスポーツシートとなる。
20式ではスポーツモデルでありながらアイドリングストップ機構も装備されていたが、24式で廃止された。安全運転支援システムの「Toyota Safety Sence」は24式以降より標準装備となった。
RZ "High perfromance"

(欧州仕様車)
『RZ』をベースに装備充実が図られた最上級グレード。BBS製の18インチ鍛造アルミホイール[注釈 10]と20式〜25式ではミシュラン製の「Pilot Sport 4S」、26式からは本車用に設計・開発されたブリヂストン製の「POTENZA RACE」が装備され、トルセンLSDとブレーキの冷却用ダクト、さらにインタークーラーには水をスプレー状にして吹きかけ、エンジンの吸気温度を下げるシステムも搭載される(『RC』/『RZ』にもオプション設定あり)。
外観では、ラジエーターグリルやリアロアバンパーがピアノブラック塗装となり(他のグレードはブラック)、ブレーキキャリパーはGRロゴ付きのレッド塗装(20式のみ『RZ』にもオプション設定あり)となる。24式以降からはGRカローラ同様、「GR-FOUR」ロゴがインタークーラーにプリントされる。内装では、フロントシートは専用設計のプレミアムスポーツシートとなり、シート材質はウルトラスエード(24式以降はブランノーブ)と合成皮革の組み合わせとなる。
RZ "High performance・モリゾウセレクション"
『RZ "High performance"』をベースとしたKINTO専用グレード。2021年6月に追加された[56]。24式以降は設定されない。GRMNと同じくソフトウェアやエンジン、駆動系に強化を施す「アップデートプログラム」と、購入者に好みのカスタムが出来るように購入者自身の運転データを収集し解析、それを元にエンジン制御、ステアリング制御、駆動配分を各自に合わせる「パーソナライズプログラム」の2通りの提供方法を選択可能。
フロントウインドウには1stエディションと同じくモリゾウサイン、ホイールオーナメントにはROOKIE Racingのロゴが付く。また、専用カラーに施されたサスペンションも装備される。KINTOでは原則改造不可が契約の条件だが、原状回復可能を原則として違法にならない程度の改造を許可している。また、トヨタ販売店(GRgarage含む)で取り付けられたパーツは外さずに返却しても可能だが、それ以外で取り付けたパーツは外す必要がある。月額54,300円からで契約期間は約3年としている。
- 20式 RZ "High performance・モリゾウセレクション"
- 20式 RZ "High performance・モリゾウセレクション" リア
- 20式 RZ "High performance・モリゾウセレクション" インテリア
+ Aero performance package
2025年10月に追加された仕様。『RC』および『RZ "High Performance"』にパッケージオプションとして設定される。ダクト付きアルミフード、フロントリップスポイラー、フェンダーダクト、燃料タンクアンダーカバー、可変式リアウイング、リアバンパーダクトを装備する[57]。
- 25式 RZ "High performance" + Aero performance package
- 25式 RZ "High performance" + Aero performance package リア
RS
エンジンが「ヤリス(5ドアハッチバック)」と同じ1.5 Lの自然吸気M15A-FKS型となり、さらに前輪駆動としたモデルである[注釈 11]。これにより車重が『RZ』の1,280Kgから1,130Kgと大幅な軽量化を実現している。トランスミッションは、発進用ギアを兼ね備える『ダイレクトシフトCVT』であり、「ヴィッツ GR」で実用化した「シーケンシャル10段変速MTモード」を搭載する[注釈 12]。パーキングブレーキは『RZ』/『RC』グレードと異なり、「ヤリスクロス」と同じく電動式を採用している。タイヤ[55]およびホイールは『RZ』と共通であるが、ブレーキシステムはフロントが15インチローター、リアが16インチローターとなり、フローティングキャリパーが採用される[30]。
2024年の24式マイナーチェンジで、GR-DAT搭載車が追加されたことに伴い廃止された。
シート等の内装装備に関しては基本的にRZに準じ、8インチディスプレイオーディオも標準装備となる。
- 20式 RS
- 20式 RS リア
RS "Light Package"
2022年4月に追加された仕様[58]。『RS』にフォージドカーボンルーフ(マーブル柄ラッピング)及びBBS製18インチ鍛造ホイール(『RZ "High performance"』用と同等品)を装備、フロント・リアのスタビライザーが外されたグレード。車両重量が1130 kgから1110 kgにまで下がっており、GRヤリス最軽量グレードとなっている。
特別仕様車
First Edition
2020年1月10日から6月30日までのオンライン先行予約のみで販売された特別仕様車。『RZ』をベースとした『RZ First Edition』および『RZ "High performance"』をベースとした『RZ "High-performance・First Edition"』が設定された[35]。First Editionには、マットブラック塗装のラジエターグリル、フロントサイドディフューザー、リアスポイラー、リアバンパーが装備され、ウインドシールドガラスは「モリゾウサイン」入りとなる[59]。また、『RZ "High-performance・First Edition"』にはマットブラック塗装のBBS製鍛造アルミホイールも装備される。予約開始2週間時点では全予約のうち約8割が『RZ "High-performance・First Edition"』であったと発表されている[36]。
RZ "High performance・Sébastien Ogier Edition"
2024年1月25日にラリー・モンテカルロで発表された特別仕様車[60]。2025年3月21日から日本国内のGR Garageにて100台限定で抽選申込が開始された[61]。24式の『RZ "High performance"』をベースに、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team所属のセバスチャン・オジエが監修を行ったモデル。ボディカラーは全車マットステルスグレーで、専用装備として、CFRP製軽量ラリースポイラー、フランス国旗入りの専用BBS製アルミホイールおよびフロントラジエーターグリル加飾、ブルーキャリパー、サイドデカールなどが装備される。四駆制御モードも専用設計となり、四駆制御モードは標準車両の「GRAVEL」「TRACK」に代わって、「MORIZO」モードと「SEB.」モードが設定される。「MORIZO」は豊田章男が考案した駆動力配分で、トラクション性能と旋回性能を両立するため、加速時は前後輪の拘束力を最大(直結)とし、制動時に適宜拘束を緩める仕様となっている。豊田の設定をオジエが気に入ったことから採用に至った。「SEB.」モードは後輪寄りの駆動配分としたモード。
- RZ"High performance・Sébastien Ogier Edition"
- RZ"High performance・Sébastien Ogier Edition" リア
- RZ"High performance・Sébastien Ogier Edition" インテリア
RZ "High performance・Kalle Rovanperä Edition"
上述のオジエEditionと同時に発表された特別仕様車で、こちらも100台限定となる[60]。TOYOTA GAZOO Racing所属のカッレ・ロバンペラが監修を行ったモデル。ボディは専用の3色塗装となり、等速リヤディファレンシャルギア、CFRP製可変ウイングリアスポイラー、TOYOTA GAZOO Racingロゴ加飾入りBBS製アルミホイール、サイドおよびリアバンパーデカールなどが装備される。四駆制御モードは「DONUT」モードと「KALLE」モードが設定される。「DONUT」は前後輪の拘束力を最大(直結)としたドリフト走行向けのモードで、「KALLE」は追加装備される等速リヤディファレンシャルを最大限活かすモードとなっている。
- RZ"High performance・Kalle Rovanperä Edition"
- RZ"High performance・Kalle Rovanperä Edition" リア
- RZ"High performance・Kalle Rovanperä Edition" インテリア
GRMNヤリス
2022年1月14日、東京オートサロン2022にてGRヤリスの500台限定フルチューンモデルとなる『GRMNヤリス』[注釈 13]が発表された[63]。このGRMNヤリスはソフトウェアやエンジン、駆動系に強化を施す「アップデートプログラム」というサービスと、購入者に好みのカスタムが出来るように購入者自身の運転データを収集し解析、それを元にエンジン制御、ステアリング制御、駆動配分を各自に合わせる「パーソナライズプログラム」というサービスがあり、その2通りの提供方法を選択可能[63]。
また、追加装備をつけるパッケージが2つ存在する。1つは「サーキットパッケージ」であり、オンロード性能を向上させるためのGRMNヤリス専用ブレーキ、ビルシュタイン製ショックアブソーバー、カーボン製リアスポイラー、サイドスポイラー、スカートといった追加パーツを装備することが可能[63]。もう一つは「ラリーパッケージ」で、走破性を高めるためのパーツ類をラインナップしており、GRブランドのショックやショートスタビリンク、アンダーガード、ロールバーを追加で装備可能[63]。サーキットパッケージのタイヤおよびホイールは、横浜ゴム製のADVAN A052とGRMN専用設計のBBS製鍛造18インチアルミホイール(マットグレー塗装)の組み合わせとなり、それ以外の標準車およびラリーパッケージにはRC同様、タイヤは交換を前提としたECOPIA EP150が装着され、エンケイ製鋳造17インチアルミホイールが組み合わせられる[64]。
メカニズム面では、ボディ剛性を向上させるために通常のGRヤリスに比べスポット溶接打点数を545点ほど増やしており、またボディー用の構造接着材を延べ12 m分延長している[63]。加えてボディーの軽量化を図るため、綾織CFRP製のカーボンルーフ、カーボンフード、カーボンリアスポイラーなどを装備。またリアシートを全て撤去し、GRヤリス RZ "High performance"に比べ約20 kgの軽量化を達成している[63]。
駆動系ではモータースポーツの過程で鍛えられたトランスミッションを採用しており、クロスギアレシオトランスミッションとローファイナルギヤを両方セットで採用する[63]。ギヤ比はエンジンのパワーバンドを生かすことを目的に1 - 4速をクロスレシオに設定。また、耐久レースなどに使用されることを想定し1、3、4、5速とファイナルギヤに高強度・高靱性のSNCM材を使用、さらにショット処理も施されショックトルクおよび疲労強度の向上を図っている[63]。
2025年12月12日にはスーパー耐久での参戦時に行われたアップデートの要素を取り入れたアップグレードパッケージ「GRMN YARIS UPGRADE by ROOKIE Racing」を発表し、2026年1月14日から5月31日までGR Garageにて期間限定で発売された。ROOKIE Racing仕様の専用加飾(テールランプの後期化とそれに伴うハイマウントストップランプとエンブレム位置の移動、専用マフラーと後期型形状リアガーニッシュの装着、4月19日までの申し込みでテールフィニッシャー部にシリアルナンバー入りプレートの装着)への変更やECU書き換えによりエンジントルク&出力が24式以降と同等以上(305PS)になるほか、専用パーソナライズプログラムの提供が行われる[65]。
- GRMNヤリス Circuit package
- GRMNヤリス"Circuit package"(大阪オートメッセ2022にて、リア)
- GRMNヤリス"Rally package"(大阪オートメッセ2022にて)
- GRMNヤリス"Rally package"(大阪オートメッセ2022にて、リア)
スペック
MORIZO RR
2026年1月9日に東京オートサロン2026で発表。限定数は日本・欧州一部で各100台ずつの計200台で日本国内ではGRのポータルアプリ「GR app」内にて2026年5月27日から6月9日まで抽選申し込みが行われた[66]。MORIZO RRとしてはレクサス・LBXに次ぐものとなる。『RZ "High Performance" + Aero performance package』のGR-DATモデルをベースに、専用ショックアブソーバーとパワーステアリングチューニングを行い、4WDモードセレクトにはGRAVELモードが割愛された代わりにMORIZO RR専用制御である「MORIZOモード」(前後比率50:50)を追加。その他、カーボン製専用リヤウィング、グラベルカーキの専用ボディカラー、ピアノブラック専用ラジエーターグリル、GRフロントスポイラー+GRサイドスカート、BBS製マットブロンズカラー鍛造アルミホイール、専用カラードブレーキキャリパー(イエロー)、「GRステアリング」(イエローステッチ仕様)、MORIZO RR専用エンブレム(バックドア)、MORIZOサイン入りフロントウィンドウが採用される。
- MORIZO RR
- MORIZO RR リア
Sébastien Ogier 9x World Champion Edition
2026年1月9日に東京オートサロン2026で公開され、1月22日にWRC第1戦ラリー・モンテカルロにて正式発表(ワールドプレミア)。「MORIZO RR」同様、限定数は日本・欧州一部で各100台ずつの計200台で日本国内では「GR app」内にて2026年5月27日から6月9日まで抽選申し込みが行われた[67]。セバスチャン・オジエの9度目のWRCドライバーズチャンピオン獲得を記念した特別仕様車で、『RZ "High Performance" + Aero performance package』の6MT車をベースに「Sébastien Ogier Edition」に引き続き4WDモードセレクトにTRACK・GRAVELモードが割愛された代わりに「SEB.モード」(前後比率40:60)・「MORIZOモード」(前後比率50:50)を搭載。他にもTGRの2025年度ワークスカラーから着想を得た専用色「グラビティブラック」やトリコロール加飾入り専用ラジエーターグリル、BBS製マットブラックカラーアルミホイール、専用カラードブレーキキャリパー(ブルー)、専用バイナル(ドア下&リアフェンダー)、グレーステッチ付き革巻き縦引きパーキングブレーキレバー&カバー、「GRステアリング」(トリコロールステッチ仕様)、専用エンブレム(バックドア)、MORIZOサイン入りフロントウィンドウを採用した。
- Sébastien Ogier 9x World Champion Edition
- Sébastien Ogier 9x World Champion Edition リア
年表
- 2019年
- 11月8日 - WRC最終戦ラリー・オーストラリアで『ヤリス GR-4』のティーザー画像が公開される予定だったが、現地の大火災により、ラリーとともに中止された。
- 12月4日 - 豊田章男社長が登場するティーザー映像を公開。
- 12月15日 - TGRF(TOYOTA GAZOO Racing Festival)にて、プロトタイプのデモ走行及び展示を披露。
- 2020年
- 1月10日 - 東京オートサロンにて正式にワールドプレミア[68]。同日より先行予約受付が開始[35]。のちの『RS』となるコンセプトカー『CVT Concept』も同時に披露された。
- 2月5日 - フェルナンド・アロンソ、ホセ・マリア・ロペス、クリス・ミークがテストドライブする動画を公開。
- 2月13日 - 赤色のGRヤリスが、WRC第二戦ラリー・スウェーデンのゼロカーとして走行。
- 6月2日 - 日本でのラインアップが発表。発売時期は同年9月頃とアナウンスされた[59]。
- 6月30日 - 先行予約受付終了[35]。
- 8月21日 - 発売日が同年9月4日と発表された[69]。
- 9月4日 - 公式発表・発売(20式)[70]。
- 2021年
- 2022年
- 2024年
- 1月12日 - マイナーチェンジモデル(進化型GRヤリス/24式)を発表[2]
- 1月25日 - 特別仕様車「Sébastien Ogier Edition」「Kalle Rovanperä Edition」を発表[60]。
- 4月8日 - マイナーチェンジモデルを発売[2]。
- 8月21日 - 『RC』のDCMレス仕様車を除く24式に、ポテンシャルを引き出す「サーキットモード」を提供開始[74]。専用アプリとGPSの位置情報でサーキット内に入ったと判断され、アプリ内のボタンをタップすると液晶メーターが専用モードに変化、アンチラグ制御の追加、スピードリミッター上限速度が引き上げられる。同機能はGRカローラ(25式前期以降)及びレクサス・LBX "MORIZO RR"にも提供される。
- 2025年
- 2026年
- 1月9日 - 特別仕様車「MORIZO RR」を発表[75]。
- 1月14日 - 「GRMN YARIS UPGRADE by ROOKIE Racing」を5月31日までの期間限定で全国のGR Garageにて発売。
- 1月22日 - 特別仕様車「Sébastien Ogier 9x World Champion Edition」を発表[67]。
- 3月13日 - 年次改良モデル(26式)を発表[4]。
- 4月6日 - マイナーチェンジモデルを発売[4]。
- 5月11日 - 24式および25式向けに「GR YARIS PERFORMANCE SOFTWAREシリーズ」を発表。同月13日より全国のGR Garageにて発売[76]。前述の「サーキットモード」を拡張したもので、街中でもシフトタイミングインジケーターが使用可能になり、ステップ数も7に加えて3及び4ステップが選択可能になる"STREET"、"STREET"の機能に加えアクセルを踏んだままクラッチ操作をすることでシフトアップが可能となるフラットシフト機能(6MT車)、変速制御の変更によりシフト操作時の応答性の高速化(GR-DAT車)等を追加した"CIRCUIT"、競技のための特別な設定を可能とする"COMPETITION"の3種がある。なお、"STREET"を購入した後でも"CIRCUIT"及び"COMPETITION"へ、"CIRCUIT"から"COMPETITION"へのアップグレードも可能。GRカローラ(25式前期及び後期)にも同日から設定される。
- 5月27日 - 特別仕様車「MORIZO RR」「Sébastien Ogier 9x World Champion Edition」の抽選申込をGR appにて各100台限定で開始。
モータースポーツ
ラリー

2020年2月にユホ・ハンニネンがテストドライブするWRカー仕様の走行映像が公開され、翌年のデビューに備えていたが、新型コロナウイルス流行の影響による開発の遅れもあり、同年6月15日に投入の見送りが発表されている[77][78][注釈 14]。 2022年の世界ラリー選手権からは、プラグインハイブリッドの新規則・「ラリー1」規定の「GRヤリス ラリー1」が参戦[79]。初年度にカッレ・ロバンペラが史上最年少でドライバーズチャンピオンとなっており、さらにコ・ドライバー/マニュファクチャラーズ部門も併せてタイトル3冠を達成し、翌2023年も全て防衛した。
市販車のGRヤリスも、2022年よりトヨタチームのレッキ車として使用されている[80]。

WRC2クラスのプライベーター向け車両規定である「ラリー2」仕様も開発されており、2022年のラリージャパンにおいて公開されてモリゾウによるデモ走行が行われたほか、2023年の新城ラリー以降の全日本ラリー選手権に賞典外ながらも開発車両が実戦投入された。その後、2024年1月4日に正式にFIAのホモロゲーションを取得し[81]、同年のラリー・モンテカルロでデビューを果たした。
全日本ラリー選手権では2020年11月開催の第4戦ツール・ド・九州でクスコレーシングとオサムファクトリーによりJN-1クラスにGRヤリスが初投入された。2021年からは勝田範彦と奴田原文雄もマシンをGRヤリスに切り替えて参戦。純レーシングカーのシュコダ・ファビアR5と、人馬ともに熟成したスバル・WRX STIに苦戦するが、TGRのワークスマシンを駆る勝田が第7戦ラリー・カムイで初優勝を挙げると[82]、その後グラベル・ターマック問わず4連勝で逆転しチャンピオンを獲得した。2023年途中からは勝田の車両が先述したラリー2の開発仕様に、眞貝知志の車両が8速GR-DATの開発仕様を搭載したGRヤリスに変更されて参戦している。その後、2024年には眞貝の車両が第2戦から外装がマイナーチェンジ仕様のものに変更されたほか、勝田や奴田原、前年までファビアR5で参戦していたヘイキ・コバライネン[注釈 15]の車両がラリー2のホモロゲーション取得後の仕様のものに変更されて参戦している。またこの年から次世代ドライバー発掘プログラムとして、JN-2クラス(2026年シーズンからJN-3クラス)内に同車のワンメイクで行うサブカテゴリー「MORIZO Challenge Cup」(JN-2→3 MCC)を設け、年間成績優秀者にはTGR-WRTの拠点があるフィンランドでの走行機会が提供される[83]。

オーストラリアラリー選手権ではニール・ベイツ・モータースポーツ率いるTOYOTA GAZOO Racing Australiaにより、AP4規定に改造されたGRヤリスが参戦している[84]。
イタリアでは現地法人により、GRヤリスのワンメイクラリーが開催されている[85]。
前輪駆動+1.5 L自然吸気エンジンの『RS』グレードも2021年から各チームによって全日本のJN-5クラスに投入されている。同じパワートレインのヤリス(5ドアハッチバック)に比べると、130kg重いことに起因する加速力の不足や、リアの限界域が馬力に対して高すぎるせいで振り回しづらいといった弱点があり、低速コーナーや摩擦係数の高いタイトコーナー、ヒルクライムでは遅れを取っていた[86][87]。このため豊田自動織機所属の天野智之は、2021年シーズン途中で『RS』から旧型のヴィッツに一旦戻した上で自身8度目の全日本タイトルを獲得している。その一方で摩擦係数の低い路面では進歩したCVT制御の強みが発揮された他、ダウンヒルや高速コーナーでの性能ではボディと足回りの良さでポテンシャルの高さを見せており[88][89]、セッティングの熟成とドライビングの適合を進めた末に天野は2022年の開幕戦新城で『RS』の初優勝を挙げ、同年末に9度目のタイトルを獲得した[90]。
- 2022年全日本ラリー選手権JN-2クラス車両(奴田原文雄搭乗車種)
ラリー2 H2コンセプト
2025年のラリー・フィンランドでは、水素エンジンを使用した「GRヤリス ラリー2 H2コンセプト」が披露された[91]。水素カローラと同様に水素を燃やして走るラリーカーで、お披露目当日はTGR-WRT代表代行のユハ・カンクネンによるデモランも行われた。
サーキット
スーパー耐久


2020年1月の東京オートサロンにてTOYOTA GAZOO Racing(TGR)の姉妹チームとなるROOKIE Racingから、スーパー耐久のST-2クラスへ参戦が発表。規則の関係上で、ラリーより先にサーキットでデビューすることとなった。エンジンは補機類はノーマルだが、ECUチューンにより320馬力にまでパワーアップしている[92]。開幕戦富士24時間レースではモリゾウ(豊田章男トヨタ自動車社長)・井口卓人のタイムアタックで予選1位を獲得し、夜に大雨に見舞われた決勝でも終始レースをリード。同じくデビュー戦であったトヨタ車のGRスープラ・クラウンRSと共にクラス優勝でデビュー戦を飾っている。この時モリゾウ直々に、新車としての問題点を洗い出すために「壊せ」という指示が出ており、終始ハイペースでの周回であったが、全くのノートラブルであった[93]。第2戦のスポーツランドSUGOでは3位、第3戦の岡山国際サーキットでは2位、第4戦のツインリンクもてぎと第5戦のオートポリスでは優勝し、2020年のST-2クラスのチャンピオンを獲得した。
同チームのGRヤリスは2021年の第2戦SUGOを最後に勇退し、G16E-GTS型エンジンをベースとした直列3気筒の水素エンジンを搭載したカローラスポーツに後を譲っているが、2023年の開幕戦と富士スピードウェイでの公式テストに関しては参戦予定だったGRカローラがトラブルに際して参戦できなくなったことから、ST-2クラスとST-Qクラスの差はあるものの再度GRヤリスで参戦[94]し、その後第5戦では開発スケジュールの関係でGRカローラが休戦した代わりに8速GR-DATを搭載したGRヤリスが登場した[95]。プライベーターたちによる運用は続いており、2022年現在のST-2クラスではGRヤリスは最大勢力となっている。
また、ST-Qクラスでは2023年と2024年にDAT(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)やサメ肌サイドミラーの開発を目的にROOKIE Racingから参戦している[96]。また、2025年からはGR Team SPIRITから前年度までROOKIE Racingが使用していた車両をベースに改造を施したものを使用して参戦し[97]、TGRとROOKIE RacingのジョイントチームであるTOYOTA GAZOO ROOKIE Racing(TGRR)からはこの年のニュルブルクリンク24時間レース参戦車両で第5戦[98]、第6戦では開発中の直列4気筒2リッターターボエンジン「G20E」型をGRヤリスにミッドシップ搭載した『GR Yaris M Concept』で参戦した[99][100]。2026年はTGRRに代わりGR Team ORC Field[注釈 16]が第4戦(第2戦は休戦)まで『GR Yaris M Concept』を使用して参戦し、第5戦では前年度に引き続き、TGRRからこの年のニュルブルクリンク24時間レース参戦車両が参戦した。
ニュルブルクリンク24時間耐久レース
2025年はTGRRよりSP2Tクラスに2台のDAT仕様で参戦。メイン車両となる109号車はほぼノートラブルで24時間を走り切りクラス1位(総合52位)[注釈 17]でゴール。もう一台の382号車は109号車のサポート役として参加し[101]、18周のみの走行となったため完走扱いにはならなかった。
翌2026年もTGRRとしてSP2Tクラスにメインカーとなる前年度のマシンから大幅改良が施された109号車と昨年仕様で109号車のサポート役を務める110号車の2台体制で参戦。しかし、2日目の朝(現地時間で17日の明け方)109号車に前後振動が発生。パワートレーン、ドライブトレーンの全交換となり、約8時間後に走行を再開しチェッカーを受けたものの、規定周回数である78周(トップが156周だったためその半分)には到達できず、DNC(Did Not Classify・未完走)となった[102]。その後の分析の結果、改良によるパワーアップによって4WDの電子制御カップリングの冷却が追いつかず、オイルの劣化を招いたことが振動につながったとしており[103]、この年のスーパー耐久第5戦に同車がスポット参戦した際にはダクトを増設し、カップリングケースには耐熱塗装を施すといった対策が取られた[104]。