ミニ新幹線

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新在直通運転 > ミニ新幹線
初のミニ新幹線車両として開発された400系

ミニ新幹線(ミニしんかんせん)またはミニ新幹線方式(ミニしんかんせんほうしき)とは、フル規格新幹線の線路を新規に建設することなく、既存の在来線改軌した上で新幹線路線と直通運転新在直通運転という)できるようにした方式で[1]利便性向上の一手段である[2]

検討条件

新幹線と在来線の一体的なネットワークを形成することによって、高速サービスを全国新幹線鉄道整備法の枠外にある地方都市にも拡大しようとする手法(新在直通運転)の一つである。1983年(昭和58年)10月10日に日本国有鉄道内で、続いて1986年(昭和61年)には運輸省でも「新幹線と在来線との直通運転構想検討会」が設置され、検討が始まった[3][4]。このような考えによる本格的な高速列車ネットワークの構築は1981年にフランスが実現したが(TGV[5][6][7]、日本では軌間が異なるなどの点が問題となった。日本のフル規格新幹線と在来線は互換性をもった設計をされていない[8]。改軌方式ことミニ新幹線方式については1987年(昭和62年)に奥羽本線の福島 - 山形間がモデル線区に選定された[4]。なお、ヨーロッパにおいて新在直通という考え方は、1977年にイタリアが最初に実現した。同国は国土の起伏が激しくカーブが多かったため高速新線を建設する必要があったからである。高速新線の営業速度は250 km/hである[9]

ミニ新幹線化の検討条件は線区の状況によってブレが生じるが、輸送人員は5,000人程度以上、乗車時間が3 - 4時間程度以下、在来線区間の延長が100 km程度の範囲に該当する線区と考えられている[10]。実現した線区のデータは次の通り。

  • 山形新幹線:東京駅 - 山形駅間を開業前最短3時間9分[11]
  • 秋田新幹線:東京駅 - 秋田駅間を開業前最短4時間29分[11]

車両の特徴

ミニ新幹線に直通する車両をミニ新幹線車両としている。一般的にミニ新幹線は在来線を改軌した区間を指すことが多いが(土木工学視点)、ミニ新幹線の車両はフル規格新幹線区間に乗り入れる車両と位置付けられている(機械工学電気工学などの視点)[1]。よって「ミニ」という名前のイメージに反し、直進性とカーブ通過性の両立、両区間の確実な集電性能など、フル規格新幹線や在来線優等列車の車両に比べて高度な技術が必要な特別仕様の車両である[12]

法令上の扱い

この方式を採用した鉄道路線は、旅客案内上「新幹線」と称しているが、全国新幹線鉄道整備法の定義では在来線であって、新幹線ではない[13]

安全・公害対策

フル規格新幹線区間上の新幹線列車の運行時間帯は、利用者の数が当初の予想以上に増え、毎日深夜から早朝にかけて保線を行わなければいけない上に、騒音の課題もあった。よって始発が午前6時以降、終着が午前0時以前(所定ダイヤの場合)となっているが、設備の一部が在来線改良であるミニ新幹線はその制約を受けないダイヤを組める[14][15]

年表

前史

  • 1977年 - イタリアがヨーロッパ初の新在直通運転を実現
  • 1981年9月27日 - フランス国鉄SNCFが本格的新在直通高速鉄道「TGV」を開業させる

開発

  • 1983年昭和58年)10月10日 - 日本国有鉄道内で検討を開始
  • 1986年(昭和61年) - 運輸省が検討を開始
  • 1987年(昭和62年)
    • 4月1日 - 国鉄分割民営化
    • 月日不明 - 山形新幹線(福島 - 山形間)がモデル線区に選定
  • 1988年(昭和63年)
    • 4月 - (山形新幹線)山形県とJR東日本等が山形新幹線向けリース会社山形ジェイアール直行特急保有株式会社を設立
    • 8月 - 大蔵省主計官の整備新幹線建設非難を発端とする膠着状態に対し、運輸省がフル規格新幹線、ミニ新幹線、スーパー特急の組み合わせで打開
  • 1990年平成2年)- 山形新幹線向け車両400系試作車落成
  • 1991年(平成3年)9月29日 - (山形新幹線)400系、上越新幹線内にて高速度試験を実施。345 km/hを記録
  • 1992年(平成4年)- (山形新幹線)400系量産車落成

実用化

  • 1992年(平成4年)7月1日 - 山形新幹線(東京駅 - 山形駅)開業
  • 1995年(平成7年)
    • 月日不明 - (山形新幹線)400系、6両編成から1両増結し7両編成化
    • 5月16日 - (秋田新幹線)秋田県とJR東日本が秋田新幹線向けリース会社秋田新幹線車両保有株式会社を設立
  • 1995年(平成7年)- (秋田新幹線)E3系量産先行車落成
  • 1996年(平成8年)- (秋田新幹線)E3系量産車が落成
  • 1997年(平成9年)3月22日 - 秋田新幹線(東京駅 - 秋田駅)開業
  • 1999年(平成11年)12月4日 - 山形新幹線新庄延伸(東京駅 - 新庄駅)開業
  • 2001年(平成13年) - E3系ベースに設計された電気・軌道総合検測車E926形製造
  • 2006年(平成18年)3月 - 新幹線直行特急用高速試験電車E955形落成
  • 2013年(平成25年)3月16日 - (秋田新幹線)E6系営業運転開始
  • 2014年(平成26年)7月19日 - 新幹線初の観光列車「とれいゆ」運用開始
  • 2016年(平成28年)4月29日 - 観光列車第2弾「現美新幹線」運用開始
  • 2019年令和元年)12月15日 - (秋田新幹線)田沢湖線大釜駅に融雪装置設置[16]
  • 2024年(令和6年)3月16日 - (山形新幹線)E8系営業運転開始

特徴

軌間

軌間の違う路線の直通運転には車両側で対応する「異ゲージ直通運転方式」[17]と軌道側で対応する「改軌方式」[17]、それらを組み合わせる方法がある[18]。1983年(昭和58年)国鉄は「改軌方式」で対応することにした。山形新幹線とその新庄延伸・秋田新幹線では標準軌方式を基本としつつ、各線の状況をや輸送を考えて三線軌方式標準軌・狭軌単線並列方式を一部に取り入れた[18]

電気方式

電気方式は新幹線区間が交流50Hz25kVまたは交流60 Hz 25 kVに対して、在来線区間は交流50 Hz 20 kVまたは交流60 Hz 20 kV、直流1.5 kVとなっているため、「車両複電圧・複周波数・交直流方式」、「在来線電車線昇圧・EC方式」、「在来線電車線昇圧・架線下DC方式」のうち一つを選んで直通できるようにする[19]

アプローチ線

新幹線区間と在来線区間の間にはミニ新幹線車両が行き来できるようアプローチ線を設ける[20]。ミニ新幹線でのアプローチ線は下記に設置されている。

  • 山形新幹線 - 東北新幹線福島駅[21]
  • 秋田新幹線 - 東北新幹線盛岡駅[22]

利点・欠点

利点

規格の優位性
  • フル規格新幹線の建設では基本計画、整備計画、工事実施計画ときちんと手順を踏んでいく必要があり、すでに決められた他の区間を出し抜いて先に建設することができない。しかしミニ新幹線ではフル規格新幹線の計画にとらわれず早期に建設が可能である[23]
  • 建設費用が安い[23]
  • 並行在来線の経営分離問題が生じない[23]。(在来線#並行在来線整備新幹線#並行在来線問題を参照)
  • フル規格新幹線同様、東京駅での終着駅名が案内されるため終着駅の知名度向上効果が大きい[23]
  • 標準軌の同じ線路を普通列車と新幹線直通列車が共有できるため(線路を別々ではなく1線にできるため)線路の維持費や保線コストが軽くなる。
利便性向上
  • 接続駅での乗り換えが不要となる。つまり、直通運転の実施が可能となることで所要時間短縮や利用者の負担軽減を図れる[23]。「新幹線直通運転化事業調査報告書(日本鉄道建設公団、2001年)」によると、「通常の乗り換え1回の解消は、乗車時間が30分程度短縮される効果と同等の価値を有する」と示されている[24]
    • 鉄道ジャーナリストの意見ではあるが、山形新幹線や秋田新幹線開業後に利用が増えたのは所要時間を短縮したからであって、乗り換えがなくなったからではない。これは在来線区間の最高速度を95 km/hから130 km/hに引き上げた効果によるものであるとする[25]
    • 山形新幹線構想に関わった鹿野道彦(元衆議院議員)は、内心は福島駅での乗り換えが問題としていたが、周囲への説得には「在来線の改良」を掲げた[26]
  • フル規格新幹線線路上では保線および騒音との兼ね合いから深夜帯の運行が自粛されている[27]が、ミニ新幹線は軌間が異なるのみの在来線であるため、在来線区間では午前0時から午前6時の時間帯にも運行可能である。

欠点

車両
  • 車両に搭載する機材は、フル規格区間とミニ新幹線区間(在来線区間)の両方に対応する必要があり、車両コストが増加する。1988年(昭和63年)現在でミニ新幹線車両の定員1人当たりの車両費は、フル規格新幹線車両の約1.6倍、在来線車両の約3倍と想定されていた[10]
  • フル規格と比較して全長・全幅とも狭小である在来線規格の車両限界を採用しなければならないため、フル規格新幹線車両に比べて輸送力は低い。函館市の構想調査報告書によると比較した車両を明記していないもののミニ新幹線車両は10両編成定員比較で61%、7両編成定員比較で69%である[28]
  • フル規格区間ではホームと車両の間に隙間が空いてしまうため、停車時に張り出すステップを車両側に設置するなどの対策が必要となる[31]
  • さらに後年、ミニ新幹線車両はフル規格用新幹線車両と比べ高速化が難しいとの課題が出ている。例えばFASTEC360による走行試験ではミニ新幹線用車両「FASTECH360Z」に可動式にした集電装置防音カバーのフェイルセーフ性や格納する部分には客室を設けることができないなどの問題が生じた[32]
  • 狭軌在来線のネットワークを寸断するため、改軌区間と非改軌区間で直通列車の運行が不可能となる[33]
  • 三線軌条化しない場合(狭軌線路を併設せず、新幹線直通列車が走行する標準軌線路のみを敷設する場合)、新幹線車両に加えて、改軌区間用の在来線車両を用意する必要が生じる。
乗降施設
  • 一般にフル規格新幹線区間のプラットホーム(高さ1,250 mm)は在来線車両のプラットホームより高い。ミニ新幹線車両が停車する在来線区間のプラットホームを嵩上げせず放置する方法もあるが、その場合は乗降の難易度が上がる。函館市の構想調査報告書によれば、山形新幹線の新庄駅、秋田新幹線の大曲駅の問題を挙げている[34]
鉄道ネットワーク
  • ミニ新幹線への工事期間中は、輸送力の減少が発生する。特に単線区間を改軌する場合は、列車の長期運休が避けられず、代替交通の確保が問題となる[33]
    • 当該区間と隣接する在来線においては、逆に乗り換えが必要となる利用者が発生する恐れがあり、サービスダウンとなる。
    • 災害等が発生した際に、貨物列車などの長距離列車の迂回路として利用できない。
費用対効果
  • 建設費用対効果が低い傾向にある。
    • "高規格専用線を改めて建設すること"に比べれば安価である一方で、標準軌化は全く高速化に寄与しないコストである。また、全線を一度に工事しなくてはならないため一度の投資額が大きく金利コストがかさむ。これに対し狭軌のままで同様の線形改良や軌道強化を行えば、さらに安価かつ交通の分断を伴わないで高速化を実施できる。また、交通を分断しないため「少しずつ」改良することも可能であり、一度に大きな資金を用意する必要もない。
  • ミニ新幹線区間での速度向上効果は限定的。
    • 最高速度・曲線通過速度ともに当該線区の在来線としての規格に制限されるため、最高速度は160 km/h以下(京成スカイライナーの最高速度と同じ)になり、ミニ新幹線区間における時間短縮は改軌に付随して行われる線形改良や軌道強化の度合いに依存する。
    • 改軌後も踏切を残置する場合には、これもまた最高速度を130 km/h以下(JR在来線特急列車やJR西日本の「新快速」の最高速度に同じ)に制限する要因となる。
    • ミニ新幹線区間に単線区間が多いと(特に秋田新幹線と山形新幹線山形 - 新庄間)、列車交換待ちにより所要時間が伸びる傾向にある。このため、2021年3月13日ダイヤ改正における東北新幹線上野 - 大宮間最高速度引き上げによる所要時間短縮で東北・北海道新幹線の東京発着単独運転列車や、上越・北陸新幹線の東京発着全列車で所要時間を1分短縮した一方、山形新幹線・秋田新幹線は所要時間を短縮できなかった[35]。なお山形新幹線・秋田新幹線と併結する東北新幹線列車も所要時間を短縮できておらず、ミニ新幹線の弊害がフル規格区間しか走らない列車にも影響している。

法令

附則 第6条2 新幹線鉄道直通線 既設の鉄道の路線と同一の路線にその鉄道線路が敷設される鉄道であつて、その鉄道線路が新幹線鉄道の用に供されている鉄道線路に接続し、かつ、新幹線鉄道の列車が国土交通省令で定める速度で走行できる構造を有するもの

課題とその解決

オーバーハング形踏切警報機の例
事故防止・雪害防止
踏切事故の問題がある。在来線区間では改良により速度が引き上げられた影響でトラックが今まで通りのタイミング感覚で横断してミニ新幹線車両が急停車することが起きた。特に豪雪地帯の在来線では雪により線路を道路と誤認し鉄道車両に衝突する事故も起きやすく、実際にミニ新幹線車両と衝突事故が起きた。同様の理由で勝手踏切を渡る人や動物をはねる問題が起きた。在来線が雪が降る地域だと、在来線を走行中に車両に付着した雪が、新幹線区間の高速走行中に落下、バラストを巻き上げ、一番外側の窓ガラスに衝突しひびが入った。踏切事故対策として踏切を統廃合して少なくする、警報機遮断機非常ボタンを整備、自動車運転手への踏切視認性の向上(門型踏切、簡易門型踏切、オーバーハング型踏切の導入)、落下雪対策は雪落とし作業の追加とバラスト飛散防止スクリーンを設置した[37]
変電所容量不足
ミニ新幹線車両(400系、E3系)は高速化により従来車(485系など)より出力が1.5から2倍ほど高く、変電所の変圧器の容量が不足したため強化を行った[38]
法令問題
主な運転保安規則(法令)の問題も起きた。新幹線と在来線とは全くと言っていいほど規制が違っていたためミニ新幹線に代表される新在直通は厄介であったが、2001年(平成13年)12月25日に「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」として統合され、新在直通がしやすくなった[39]

路線

採用された路線

この方式で新在直通を図った路線として、2025年時点で山形新幹線奥羽本線福島駅 - 新庄駅間)と秋田新幹線田沢湖線・奥羽本線盛岡駅 - 秋田駅間)の2路線がある。前述のように「新幹線」と称しているものの、法的には在来線である。路線愛称の「新幹線」は山形新幹線の開業準備に入ってからである[40]

山形県 - 山形新幹線(奥羽本線福島駅 - 新庄駅間)
1986年(昭和61年)1月、山形県で開催される第47回国民体育大会「べにばな国体」に合わせてミニ新幹線の整備をできないかとの地元代議士からの提案があった。1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化を経てJR東日本の経営判断により実現へ動き出した[41]
福島駅 - 山形駅間は山形県とJR東日本が山形ジェイアール直行特急保有株式会社を設立、国より補助金を受け完成させた施設と車両をJR東日本がリースで使用する方法をとった。山形駅 - 新庄駅間は財団法人山形県観光開発公社が山形県から補助金、金融機関から融資を受けてJR東日本に全額無利子で貸し付けした[42]。改軌区間で運転される貨物列車のために一部区間で三線軌条を敷設(後に廃止)し、山形駅 - 新庄駅間の改軌にあたっては山形駅 - 羽前千歳駅間に乗り入れる仙山線左沢線列車のために狭軌線路を併設のままで残存させた。この区間のローカル列車については、案内上山形線の名称を使用している。
秋田県 - 秋田新幹線(田沢湖線・奥羽本線大曲駅 - 秋田駅間)
設備改良は日本鉄道建設公団鉄道整備基金からの無利子貸し付けを受け、JR東日本に委託して施工した。完成後公団よりJR東日本が譲渡を受けた。秋田県とJR東日本が秋田県新幹線車両保有株式会社を設立、JR東日本にリースした[42]大曲駅 - 秋田駅間は奥羽本線の狭軌線路と単線並列の形とし、一部区間を三線軌条とするなどして運転の自由度を確保している。同区間では、営業列車としては新幹線直行特急のみ[注 1]標準軌の線路上を運行され、この区間のローカル列車は狭軌の線路を運行している。

これらの路線で運転される特急列車つばさ」や「こまち」は、新幹線直行特急と呼ばれる。

構想されている・された路線

1. 都道府県主導型
山形県
山形新幹線機能強化構想 - 羽越本線高速化(1997年〈平成9年〉)や陸羽西線ミニ新幹線化があがり、山形新幹線の酒田(2000年〈平成12年〉)や大曲(2003年〈平成15年〉3月)への延伸が構想されている。
群馬県・栃木県
両毛ミニ新幹線構想 - 1990年(平成2年)群馬県では、清水一郎知事(当時)が当時開業予定の山形新幹線を参考に上越新幹線高崎駅から上越線新前橋駅経由両毛線前橋駅乗り入れ(約10 km)、さらに栃木県の東北新幹線小山駅まで延伸する構想(91.7 km)を提唱した。延伸先の栃木県でも渡辺文雄知事(当時)が構想に参画する意向を表明した。両毛地域を含む北関東内陸部の東西交通の向上を図り、併せて東北・上越方面との連絡性を高める狙いがあった。群馬県側はJR東日本との間で調査検討委員会を設置したが、清水群馬県知事の在職中死去(1991年〈平成3年〉6月12日)に伴う知事交代の影響により構想自体がとん挫した[43][44][45]
新潟県
信越本線高速化構想 - 2023年(令和5年)度より新潟県では、上越新幹線長岡駅から北陸新幹線上越妙高駅の間を、信越本線をミニ新幹線化して結ぶ案と既存の信越本線をトンネルの設置により線形を改良する案が検討されている。
なお、2003年(平成15年)から2009年(平成21年)にかけても同じ問題が議論され、フリーゲージトレインの導入が候補としてあがっていた。
三重県
三重新幹線構想 - 1995年(平成7年)より三重県は鳥羽・新宮までミニ新幹線敷設を構想している。
和歌山県
和歌山新幹線構想 - 1992年(平成4年)1月1日、和歌山県でも、地元選出の代議士二階俊博を中心に、ミニ新幹線の導入構想明らかにした[46]。平成5年2月和歌山県議会にて小川武議員が仮谷志良知事に対し質問したところ「和歌山県は関西国際空港の至近距離にあって、なお一層国内外の交流が盛んになるということでございます。そうした中で、ミニ新幹線の導入を初めとする在来線の高速化を進めることが非常に重要」との認識を答えた[47]
香川県
四国新幹線建設前倒し構想 - 山形新幹線が具体化した頃に、香川県は、瀬戸大橋線をミニ新幹線(四線軌条)化できないかと考えた。しかし、交直流型車両は値段が高く、採算レベルに乗らないという調査結果が出たため、断念した経緯がある。なお瀬戸大橋とその前後に限っては四線軌条化せずとも本四備讃線四国横断新幹線複々線を敷設できる空間が確保されている。四国新幹線も参照。
2.市町村主導型
北海道
北海道新幹線函館駅乗り入れ構想 - 2023年(令和5年)4月より北海道函館市では、ミニ新幹線車両またはフル規格新幹線車両により新函館北斗駅から函館駅へ乗り入れる構想がある[48]。翌2024年(令和6年)3月に市が庁内周知用の内部文書を作成。フル規格車両で乗り入れを強調していたことが判明(北海道新聞)[49]、同年9月輸送力や経済波及効果を考え、乗入れ車両はフル規格新幹線車両を基本[50]としてミニ新幹線案は終息させた。
3. その他
長崎県
西九州新幹線JR佐世保線乗り入れ構想 - 2025年(令和7年)9月27日に佐世保自由民主会館が「西九州新幹線とJR佐世保線を考えるシンポジウム」を開催し、梅原淳(鉄道ジャーナリスト)、宮島大典佐世保市長、九州旅客鉄道企画部部長、長崎経済同友会代表幹事が登壇し、「佐世保市は1978年(昭和53年)原子力船むつ」の受け入れを引き換えに西九州新幹線の着工に繋がった経緯から当事者で、佐世保線はいずれ改良が必要と思われるから改良案としてミニ新幹線などを検討し、並行在来線として取り扱われない方法を考えるべきである。同市が取り残されないためには(在来線も使える軌道の)ミニ新幹線が最も良い案。(同市が)新幹線が止まる街となる効果は非常に大きい」と提案された[51]

構想の年表

  • 1990年(平成2年)
    • 月日不明(年度表記) - 香川県「四国新幹線建設前倒し構想」
    • 月日不明 - 群馬県「両毛ミニ新幹線構想」
  • 1992年(平成4年) 1月1日 - 和歌山県での「和歌山新幹線構想」構想
  • 1995年(平成7年) - 三重県での「三重新幹線構想」
  • 2000年(平成12年)- 山形新幹線機能強化構想、山形新幹線酒田延伸構想
  • 2003年(平成15年)3月 - 山形新幹線機能強化構想、山形新幹線大曲延伸構想
  • 2023年(令和5年)
    • 4月、北海道函館市での構想「北海道新幹線函館駅乗り入れ構想」
    • 月日不明(年度表記) - 新潟県による「信越本線高速化構想」
  • 2024年(令和6年)9月 - 北海道新幹線函館駅乗り入れ構想、フル規格新幹線車両案を基本としたため終息
  • 2025年(令和7年)9月27日 - 長崎県佐世保市での構想「西九州新幹線JR佐世保線乗り入れ構想」が提案される

整備新幹線で構想された路線

大蔵省による整備新幹線批判対応

1988(昭和63)年度予算編成作業中に大蔵省主計官が整備新幹線建設を非難し膠着した。打開策として1988年(昭和63年)8月の運輸省によってフル規格新幹線、ミニ新幹線、スーパー特急の組み合わせで提示され、同年8月31日に政府・与党申し合わせにより整備内容が決定された。うちミニ新幹線整備区間は下記のとおりである。なお、どの線区でもフル規格実現への願望が強かった[52]

東北新幹線
盛岡 - 沼宮内八戸 - 青森
北陸新幹線
軽井沢 - 長野

西九州新幹線佐賀県区間対応

九州新幹線西九州ルート 新鳥栖駅 - 長崎駅間は一部在来線の長崎本線を挟む関係でスーパー特急方式で建設され、後に武雄温泉駅 - 長崎駅間がフル規格に変更。さらにフリーゲージトレイン導入の計画、試験まで行われたが頓挫し、武雄温泉駅で乗り換えるリレー方式で武雄温泉駅 - 長崎駅間が西九州新幹線として暫定開業した。

開業効果

山形新幹線

東京駅 - 山形駅間を最短3時間9分が2時間27分に短縮され、1995年(平成7年)に1両増結の7両編成化。5往復あった羽田空港 - 山形空港全日空航空便は2002年(平成14年)10月31日に休止[11]。しかし日本エアシステム(のちに日本航空)が2003年(平成15年)4月1日より同路線1日1往復を再開。航空会社の自助努力のみでは維持・充実が困難な路線で、地域と航空会社による共同提案によって優れた路線に羽田空港の発着枠を配分する 国土交通省の「羽田発着枠政策コンテスト」で1日2往復まで回復。キャンペーンや朝便と夜便が設定されたことで、ビジネス客の姿も多く見られるようになった[53]

秋田新幹線

東京駅 - 秋田駅間を最短4時間29分が3時間49分に短縮され、1998年(平成10年)に1両増結の6両編成化した[11]。開業前の平成7年度(1995年度)と開業後の平成9年度(1997年度)を比較すると、東京都 - 秋田県の全交通機関における輸送人員は増加、鉄道の利用者も大幅に増加したが、航空機の利用者は減少した。原因は所用時間の短縮、乗換えの解消と想定された。また環境面においては東京から沿線の角館を訪れた観光客一人あたりの消費するエネルギーが開業前に比べて約8%減少した[54]

車両

車両特徴

車体

ミニ新幹線に用いる車両は在来線の車両限界で設計されている。車長は、フル規格新幹線車両の25 mに対して、ミニ新幹線車両では20 - 23 mであり、車幅は、3,380 mmに対して、2,945 mmとなっている。そのため、新幹線区間では、乗降口とホームとの間隔が開いてしまうため、折り畳み式のステップを車両の乗降ドアの下部に備える[31]

分割併合装置

大都市の新幹線ターミナル駅に乗り入れる場合は新幹線区間の線路容量、ターミナル駅の発着容量に不足をきたすため、多層建て列車にすることも考えなければいけない[10]。たとえば東京駅発着の場合、大宮駅 - 東京駅がJR東日本関連の新幹線が集まる区間で、設定できる列車本数に限りがあることから、多層建て列車にできるよう東京側の先頭車には連結器カバー・電気連結器付き密着連結器超音波測距装置、レーザー測距装置で構成された自動分割併合装置が搭載されている。分割併合時は極力人手をかけないようにかつ基本的な列車防護ルール「一つの区間に2個列車が入らないようにする原則」を崩してしまうために、併結相手列車との距離を検知し絶対に衝突しないように設計し、安全性も確保している[55]

台車および踏面形状

車輪の踏面の位置図
Cの部分が踏面
断面方向
平面方向
蛇行動における輪軸の動き
踏面

車輪の踏面(とうめん)とレールの頭頂面との接触面における接線の傾き(踏面勾配という)は、車両の走行安定性能とカーブ通過性能に大きく影響する。一般的に走行安定性能については踏面勾配を小さくし、カーブ通過性能については踏面勾配を大きくするのがよいとされる[56]

新幹線の場合は東海道新幹線開業時に「新幹線円錐踏面」が開発されている。蛇行動対策として踏面勾配が当時の在来線の半分の小ささとなる1/40に設定さ\れた。しかし摩耗しやすいなどの問題があり、円弧形状に変更され「新幹線円弧踏面」として制定された[57]。「新幹線円弧踏面」をベースにミニ新幹線向けとして、フランジ遊間を拡げることにより輪径差を確保し、フル規格新幹線区間走行時の走行安定性と在来線区間走行時の曲線通過性能の両立を図った「1/16新在円弧踏面」が開発された[57][58]

軸距

軸距(いわゆるホイールベース)については、後述の車両別の詳細のなかの400系およびE3系E6系で説明する。

ブレーキ

在来線区間の走行時はいかなる時でも600 m以内に停止しなければいけなかった(鉄道運転規則600メートル条項」)ために、フル規格区間の走行時よりブレーキ力が大きくなるような設定を加えている[59]

車両別の詳細

400系およびE3系では在来線区間での急カーブへの対応と新幹線区間での直進安定性を確保するため、前後の車輪の車軸の間の距離である軸距(いわゆるホイールベース)を、フル規格新幹線の2,500mmに対して、2,250 mmと短縮しており、車輪の踏面形状は「1/16新在円弧踏面」となっている[58]。なお、狭軌の在来線での標準的軸距は2,100 mmから2,250 mmである[60][61]

E6系では新幹線区間での320 km/hの高速運転に対応するために軸距を2,500 mmにし、従来の「1/16新在円弧踏面」に加え、ヨーロッパの高速鉄道車両のようにヨーダンパを片側2本装備(1台車あたり4本)を備えた。2本は減衰力固定式ヨーダンパ、残り2本は減衰力切り替え式ヨーダンパ(大減衰力と無減衰力の2段階)にし、新幹線区間では減衰力を大きくし高速安定性を確保し、在来線区間では減衰力を小さくしあえて”ゆらゆらと”進めるようにすることで急カーブをスムーズに通過できるようにしている[62][63][64]

E8系は新幹線区間での300 km/hの高速運転に対応するためE6系とほぼ同じ仕様のものを採用している[64]

製作された台車一覧

ミニ新幹線車両用に製作された台車は下記の通り。

  • 試作台車
    • DT9028 - コイルばね円錐ゴム併用式。
    • DT9029 - 円錐ゴム式。
    • DT9030 - 片板2枚支持板ゴム併用式。
    鉄道総合技術研究所で行われていたミニ新幹線用の台車研究で製作され、営業車両ではDT9030(片板2枚支持板ゴム併用式)をベースにし後述する営業車向けDT204/DT204Aが製作された。研究はJR各社が発足した1987年(昭和62年)から初められ、試作台車を試験台に乗せてテストしたところ、240 km/hは安全に速度を出せることを確認できたことから問題ないと判断した[65]
    メーカーの住友金属工業(新日鉄住金→現・日本製鉄)によると、高速走行安定性、曲線通過性、軽量化、保守の簡易化が課題であった。なかでも高速走行安定性と曲線通過性の両立が最も難しかったという。これらの解決にはシミュレーションプログラムや台車試験機などを活用した[66]
  • 400系
    • DT204 - 電動台車
    • DT204A - 電動台車
    • TR7006 - 付随台車
  • E3系
    • DT207 - 電動台車
    • DT207A - 電動台車
    • DT207B - 電動台車
    • TR7005 - 付随台車
    • TR7005A - 付随台車
  • E955系(FASTECH360Z)
    • DT9040 - 電動台車
    • DT9040A - 電動台車
    • DT9041 - 電動台車
    • DT9042 - 電動台車
    • DT9042 - 電動台車
    • DT9042A - 電動台車
    • TR9009 - 付随台車
    • TR9009A - 付随台車
  • E6系
    • DT210 - 電動台車
    • DT210A - 電動台車
    • TR7009 - 付随台車

主電動機

主電動機は次の通り。400系のみ直流モーターを採用している。参考までに国鉄特急用電車485系はMT54形で120 kW、国鉄東北新幹線用電車200系はMT201形で出力は230 kWでいずれも直流モーターである。

集電装置とその周辺

400系の集電装置
E6系の集電装置
集電装置

集電装置は在来線区間の電車線の高低差の大きさに合わせてフル規格新幹線車両用より大きく作られている[59]。フル規格新幹線区間は基準5,000 mmで4,800 mmから5,300 mm、在来線区間(交流区間)は同じく5,000 mmが基準であるが、4,570 mmから5,400 mmと在来線区間は下限値で230 mm低く、上限値で100 mm高い。直流区間だと下限値が4,400 mmと400 mmと拡大する[10][67]。実際に採用された集電装置は下記の通り。

営業車両
  • 400系
    • PS204 - 下枠交差型パンタグラフ
  • E3系
    • PS206 - シングルアームパンタグラフ[68]
  • E6系
    • PS209 - シングルアームパンタグラフ
試験車両
  • E926形(EAST i)
    • PS206 - シングルアームパンタグラフ
  • E955形(FASTECH 360 Z)
    • PS9037A - E955-5に搭載。シングルアームパンタグラフ
    • PS9037B - E955-2に搭載。シングルアームパンタグラフ
集電装置防音カバー

JR東日本はミニ新幹線試験車両E955形(FASTECH360Z)で最高360 km/hでの営業運転を目指していたが、集電装置防音カバーを車体幅の制限が厳しい在来線区間に対応させるため、同区間は格納し、新幹線区間では展開する形を取ったものの万が一故障した場合、走行継続が不可能になるから直後の営業車両E6系では採用されなかった[12]

保安装置

保安装置についても新幹線区間の自動列車制御装置 (ATC) と在来線区間の自動列車停止装置 (ATS) の両方を搭載している[69]。全線ATC化しなかった理由は線区のグレード、工事費や工事期間の抑制との経済的理由である[70]。ミニ新幹線方式の採用区間の保安装置は下記の通り。

  • 山形新幹線
    • 新幹線区間 - ATC-2(2009年<平成21年>9月まで)、DS-ATC(2009年<平成21年>10月から)[71]
    • 在来線区間 - ATS-P[72]
  • 秋田新幹線
    • 新幹線区間 - ATC-2(2009年<平成21年>9月まで)、DS-ATC(2009年<平成21年>10月から)[71]
    • 在来線区間 - ATS-P[72]

営業用車両

  • E3系:1000番台と2000番台が山形新幹線で東北新幹線と直通する営業運転を行っている。
  • E6系 : 秋田新幹線で使用されている。
  • E8系 : 2024年3月16日に山形新幹線で営業運転を開始[73]

過去の営業用車両

  • 400系:山形新幹線専用として使用していた。ミニ新幹線用として最初に投入された形式。2008年12月から2010年春までに順次E3系2000番台に置き換えられた。主電動機(走行用モーター)に直流電動機を採用した最後の新幹線車両であり、フル規格新幹線区間で行われた275 km/h試験ではフラッシュオーバー(フラッシオーバー、閃絡:せんらく)が発生し、たびたび試験を中止をした。設計条件を超える速度での不具合はある意味では最適な設計であったと評価できる[74]
  • E3系0番台:秋田新幹線で使われていた。2013年から2014年まで順次E6系に置き換えられた[75]

試験車両・事業車両など

現役車両

引退した車両

工事方法

改軌は狭軌用枕木を標準軌用に交換する。工法として、人力法、軌きょう縦送り法、枕木交換法、軌道連続更新機法、ミニテックス法がある[76]

高付加価値運用

  • E3系
    • 0番台のR18編成が700番台に改め、観光列車とれいゆ」として改造された。「とれいゆ」は基本的には山形新幹線在来線区間内のみで営業運転を行い、福島駅では在来線ホームに発着したが、団体専用列車で大宮駅を介して上野駅や新潟駅まで運用された[77]
    • 0番台のR19編成を700番台に改め、観光列車「現美新幹線」として改造された。上越新幹線新潟駅 - 越後湯沢駅間)限定運用[78]
    • E3系L65編成のみ400系の塗装「銀のつばさ」にし運用されている[79]

保存

脚注

参考文献

関連項目

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