建国大学校
韓国の私立大学
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歴史
医師・民族運動家だった劉錫昶(ユ・ソクチャン、号・常虚(サンホ/상허))[1][2]は、1931年5月12日に「中央実費診療院(중앙실비진료원)」通称「民衆病院(민중병원)」を、京城府(現:ソウル特別市)鐘路に設立した。これは、建国大学校病院のルーツである。同時期には、「保健時報(보건시보)」を創刊した。1946年5月15日には、「朝鮮政治学館(조선정치학관)」が設立された[3][4]。
建国大学校博物館が2016年に制作した「開校70周年特別企画展」パンフレットでは「創学85周年・開校70周年(창학 85주년・개교 70주년)」と書かれていた。「創学」は診療院が設立された1931年、「開校」は政治学館が設立された1946年を基準としている [5]。
朝鮮政治学館の設立当初所在地は、ソウル鍾路区楽園洞(낙원동)282番地だった。入居した建物は、西北学会(서북학회)が1908年に建てたもので、ソウルでも最も古い部類に入る2階建て煉瓦造りの建物だったようだ。オソン(오성)学校・普成(ポソン)専門学校 (高麗大学校の前身)などの校舎として使用された後、1941年に建国大学創立者である劉錫昶が引き継いだ。1985年に現在のソウルキャンパス構内に移転・復元され、建国大学校博物館の建物として使用されている[6]。朝鮮政治学館の法学科(법학과)は、現在の法科専門大学院(법학전문대학원)のルーツである[7]。朝鮮政治学館は「民族私学」を掲げ、当時ソ連の占領下にあった平安・咸鏡・黄海出身の知識人からなる西北学会の拠点でもあった。
1949年9月9日には、「財団法人政治学院(재단법인 정치학원)」と「政治大学(정치대학)」が設立された。1949年11月11日~1951年11月11日には、劉錫昶が第2、3代の理事長を務め、初代総長はオ・ファヨン(오화영)が務めた。1950~53年の朝鮮戦争では、釜山への移転を余儀なくされた。民衆病院は朝鮮戦争で破壊され、1958年に再建された。劉錫昶が教育事業を手がけるようになったのは、日本による植民地支配からの解放後、自国が二度と不幸な運命を辿らないように指導的才能を育成する必要を感じ、残りの人生を教育に捧げることを決意したことが動機とされている[8]。1955年にソウル特別市城東区毛陳洞(모진동/モジンドン)[9]、現在の広津区に新校舎を設立する。これが現在の「ソウルキャンパス」へと発展した。1959年2月26日には、学校名が「建国大学校」となり、劉錫昶が初代総長となった[3]。
1980年1月5日、忠清北道忠州市に第二キャンパスとして「忠州キャンパス(現:グローカルキャンパス)」が設立された[10]。
1990年7月27日には、運営している学校法人の名称も「建国大学校」となった[11]。
大学への評価
ソウル在住経験がある日本人エッセイストの夏川大輔は、2008年に出版した著書で、建国大学について、「校名に『国』が入る三国大(引用者注:他は東国大学校、檀国大学校)のひとつで、いずれも昔は誰でも行ける学校、農業の大学という印象が強かったが、現在は高水準。広大なキャンパスを持つ。獣医と畜産学部はソウル大に比肩する」と述べていた[12]。
イギリスのグローバル大学評価機関である「タイムズ高等教育(Times Higher Education、略称“THE”)」が発表した、「2025 THE アジア大学評価」で、アジア93位、国内15位となり、歴代最高成績を記録した。前年比アジア順位は14ランク、国内順位は2ランク上昇した。 この「アジア大学評価」には、アジア35ヶ国853大学、韓国内44大学を対象としている。この評価では、研究品質(30%)、研究環境(28%)、教育環境(24.5%)、産学協力(10%)、国際化(7.5%)の計5分野を基準としているが、建国大学校は、産学協力、国際化の部門で躍進した[13]。
韓国の大手新聞である中央日報が毎年発表している「全国大学評価」では、建国大学の評価は2016年から上昇傾向で、2022年に初めてトップ10に入った。2025年は、東国大学校、中央大学校と並んで8位だった。研究・教育能力についての学問分野の評価では、言語、文学、人文学の分野で「最上」等級だった。「高校生選考大学」指標では5位を記録した[14]。
韓国映像メディア「FOCUS」のYouTubeチャンネルが2025年に公開した動画では、2024年に建国大学のメディアコミュニケーション学科を卒業したとされる日本人女性の証言があった。この中では、韓国への大学留学において、建国大学は「最近とても人気になった印象」「私が留学した当時くらいは、延世大学、高麗大学、いわゆるSKYの大学の人気が非常に高かった」「私が卒業したくらいから建国大学の人気がグッと上がった」「私の感覚だと日本のGMARCHくらいのレベル感かと思う」[15]などと述べられていた。
韓国政府の教育部による「5周期教員養成機関能力診断評価(5주기 교원양성기관 역량진단 평가)」は、1998年から開始された、教員養成機関の教育経営・条件、教育課程、成果など、3つの領域・26の指標をもって周期的かつ体系的に診断・評価する制度である。2021年に発表された評価では、建国大学の師範大学(사범대학、日本の大学では教育学部に相当)は最優秀(A)等級、教育大学院(교육대학원)は、再教育過程が最優秀(A)、養成過程が優秀(B)等級を受けた。この調査の対象となった韓国内154の大学のうち、師範大学が最優秀等級を受けた大学が11校、教育大学院が最優秀等級を受けた大学は6校だった。師範大学と教育大学院が、ともに最優秀等級を受けたのは建国大学が唯一である[16]。
理念・スローガン
「誠・信・義(성・신・의)」を、古くから教育理念の標語として掲げている。「誠」は真実と知性、「信」は社会生活の根幹、「義」は正義と勇気を意味している[17]。
広告物などで使用されることが多い、時期によって変わるスローガンとしては、2024年8月以降では「建国、世界を導く緑色の波(건국, 세계를 이끌 녹색의 물결)」を掲げている。これは、学生、職員、教授などを対象とした公募で決まったものである。建国大学を、国家と人類が直面した難題解決を主導する研究中心、産学中心の革新大学に発展させていくというビジョンも提示された[18]。
これとは別に、2025年3月6日に発表されたスローガンは、ソウルキャンパスは「KONKUK WAVE 2031」、グローカルキャンパスは「KONKUK GLOCAL RISE UP 2031」である。「2031」という数字は、創学100周年を迎える2031年を意味している。この年までに、「国内TOP5・世界100大学」に進入する目標を掲げている[19]。
校歌
象徴的な動物・マスコットキャラクター
象徴的な動物は牡牛である。ソウルキャンパスの屋外には、牡牛像(황소상)が2つある。1つ目は、開校25周年の1971年に建立された銅像[22]。2つ目は、開校70周年の2016年に建立された、表面が黄金色の像である[23]。
建国大学のマスコットキャラクターは、牛をモチーフとしたデザインの「ク(쿠、KU)」である[24]。2019年5月7日に決定した。当時の学生が考えた案から公募で選ばれており、パク・ジュンソン(박준선、機械工学科に在学していた)の案をもとにしているが[25]、その後に使用されているイラストでは、より可愛らしいものに変えられている。「ク」を使った、多様なグッズが制作され、第一学生会館(제1학생회관)の店舗などで販売されている(2020年の情報)[26]。これらは、総学生会デザインマーケティング局(총학생회 디자인마케팅국)の学生たちが、業者選定からデザインまで全て担当して制作している。[27]。建国大学の公式YouTubeチャンネルでは、「ク」の着ぐるみが、スポーツに挑戦したり[28]、K-POP楽曲に合わせて踊る[29]など、コミカルな内容の動画をたびたび配信している。
建国大学の学生コミュニティ(학생 커뮤니티、KUNG)のマスコットキャラクターは、ソウルキャンパスの一鑑湖(後述)に生息しているアヒルをモチーフとした「コンドギ(건덕이)」である。韓国著作権委員会には2020年3月24日に登録された[30]。
キャンパス
ソウルキャンパス



建国大学の創設当初から使用されている[31]。ソウルキャンパス(서울캠퍼스)の位置は、ソウル特別市広津区である。2026年時点における建国大学の公式ホームページでは、陵洞路(능동로/ヌンドンノ)120が代表的な住所として書かれている[32]。しかし、建国大学校病院では「区住所(구주소)」として華陽洞(ファヤンドン)4-12と書かれており[33]、キャンパスの敷地は広大なので、複数の行政区域にまたがっていると思われる[34]。
1950年代ごろの記録写真では、ソウルキャンパスが立地した場所は、現在と比べて桁違いに建物が少ない田園地帯だった[35][36][37]。市街地化が進んでいなかった時期に、建国大学が広大な土地を取得できたことは、その後の学校経営にとって有利となった。
2005年時点の情報では、ソウル首都圏における大学の教地面積(교지 면적)は、建国大学は369万820m²(平方メートル)で最も大きく、延世大学校321万1222m²、成均館大学校239万6306m²、ソウル大学校140万3000m²、高麗大学校108万8959m²などを引き離していた。一方で建物面積(건물 면적)は、ソウル大72万3760m²が最も大きく、延世大45万9210m²、高麗大40万7258m²、建国大23万3421m²、成均館大16万7592m²だった[38]。これらの数字は、その後は変化していると思われるが、建国大学は敷地面積に比べると建物配置にゆとりがあることを意味している。1980年代ごろなどの航空写真[39]と比較すると、ソウルキャンパスの敷地では建物が増え、全体的な緑地面積が減少していることは否めないが、それでも2020年代ごろでも樹木は多い。キャンパスの北側に位置しているソウル子供大公園も含めて、この一帯は緑地が多い。
ソウルキャンパス敷地の北東側には、公立学校である九宜中学校、ソウル九宜初等学校が、すぐ近くに隣接しており、教育施設の配置が密集した地域となっている。
- 一鑑湖


キャンパス内には、「一鑑湖(イルガモ / 일감호)」と呼ばれている広大な人工湖がある。一鑑湖の周辺地域は都会のオアシスである。春の桜並木[40]、夏の緑葉[41]、秋の紅葉[42]、冬の雪景色[43]など、季節によって表情を変える、沿岸の樹木や水面などの自然は、韓国各地の大学キャンパスの中でも屈指の美観である[44]。
一鑑湖は、1955年から1957年9月にかけて造成された[45]。5万5千㎡の面積がある。初期には漢江から約2kmの水路を通じて水源を確保したが、現在は近隣の都市化により取水が中断され、降雨と地下水に依存している。学内構成員から「コンドギ(건덕이)」「コンガス(건구스)」と呼ばれるアヒル、ガチョウをはじめ、多様な鳥類、魚類が生息している。湖内には、牛が横たわる形状に似て名付けられた人工島「ワウ島(와우도)」があり、この島には都心では珍しいサギなどの鳥類が生息している。建国大学創設者の劉錫昶が、ここは歴史が続く限り、いつまでも存続する教育機関であることを考え、若者が自然な雰囲気の中で浩然之気(호연지기[46])を発揮できる空間づくりを目的として、費用を投じて湖を造成したようだ。冬季には水面が凍結しやすいため、1950~60年代ごろには氷上競技(スケート)大会が実施されたこともあった。釣り大会なども開催されたが、その後は事故がたびたび発生したため、現在は大学の祝祭期間中に同好会「水中探査部(수중탐사부)」が主管するボート体験を除き、湖への立ち入りが禁止されている[47]。
一鑑湖の北東側には、湖が造成された時から存在している、歩行者用の石造アーチ橋「虹霓橋(ホンイェギョ / 홍예교)」がある[48]。
2020年代ごろにおける一鑑湖の水質は、化学的酸素要求量(COD)、懸濁固形物、クロロフィルa、大腸菌などの環境基準は満たしている。しかし、毎年夏になると気温上昇で、藻類の発生や臭いなどの問題が発生している。黄色いショウブの花を育てる、緑藻の除去、モーターボート走行による水の循環などの対策が実施されているが、より根本的な対策である、底に溜まった有機物と汚染物質を除去するために、水の中に空気による微細な気泡を大量に発生させる「加圧浮上法」を実施するのは、平均水深が1~2mなどの制約がある一鑑湖では難しいようだ[49][50]。
- 交通
ソウルキャンパスへの出入り口として、2024年時点では7つの門がある[51]。
ソウルキャンパスの開設からしばらくの間は、鉄道駅が直結しておらず、公共交通機関はバスのみだった[52]。1980年に、ソウル交通公社2号線の華陽駅(現:建大入口駅)が開業し、鉄道が直結するようになった。1996年からは、ソウル交通公社7号線と交差する乗換駅となった。
ソウルキャンパスへの最寄り駅としては、建大入口駅が利用される場合が多い。しかし、新千年館など、北寄りの建物へ行くならば、7号線の子供大公園駅のほうが近い場合もある[53]。KU Leaders HOUSEなど、一鑑湖よりも東側の建物ならば、2号線の九宜駅からでも、建大入口駅と距離は大差なく、付属中学校・高等学校などは九宜駅のほうが近い。
仁川国際空港~面牧洞(中浪区)間を結ぶ空港バス(リムジンバス)6013系統(運行会社:空港リムジン)は、途中で建国大学に停車する[54]。ソウルキャンパス西端の道路である陵洞路を経由している[55]。
グローカルキャンパス
韓国中部の忠清北道忠州市忠原大路に位置している[56][57]。1980年に開設された。開設時の名称は「建国大学校忠州大学(건국대학교 충주대학)」だったが、その後は「忠州キャンパス(충주캠퍼스)」、2011年には現名称の「グローカルキャンパス(글로컬캠퍼스)」に改名された[58]。「グローカル(GLOCAL)」は、「グローカル化(glocalization)」に由来している。
法律上、建国大学校の両キャンパスは同じ学校法人が設立した全く異なる2つの大学である。グローカルキャンパスはソウルキャンパスの分校であり、大学の行政も独立的に行われる。入試難易度にも差があるようだ。学部・学科名も異なる点が多い。
- 交通
最も近い鉄道駅である韓国鉄道公社の忠州駅から地理的に離れている。グローカルキャンパスに直結している公共交通機関はバスのみである。キャンパス北西端に位置しているバス停留所は「建国ターミナル(건국터미널)」と呼ばれている[59][60]。忠州駅の北東側に位置している忠州共用バスターミナル(충주공용 버스터미널)[61]~グローカルキャンパス間を結ぶ市内バスが運行されている[62][63]。
建国大学のソウルキャンパスとグローカルキャンパスを結ぶ公共交通機関としては、ソウルキャンパスの最寄り駅である建大入口駅から、ソウル交通公社2号線で東へ2駅先の江辺駅で接続している、東ソウル総合バスターミナルから発着する、忠州市とを結ぶ市外バスが運行されている。東ソウル~建国ターミナル間は所要2時間程度である。2026年3月3日からの、建国ターミナル発→東ソウル行きのダイヤにおける1日当たり運行便数は、建国始発の直通バス(日曜日、祝日は運休)が7便、忠州市南部の水安堡市外バスターミナル(水安堡温泉などの玄関口)始発が5便、合わせて12便が運行されている。建国ターミナル発では他にも、安山市・仁川広域市行きが1日3便(火・水曜日運休)、安養市・富川市行きが1日1便運行されている。運行会社は、安山・仁川線は親善高速、他は京畿高速である[64]。
2019年末ごろの時刻表では、建国ターミナル発の市外バスにおける1日当たり出発便数は、東ソウル行きが20便、城南行きが4便、安養・富川行きが8便、安山・仁川行きが4便だった[65]。その後、城南行きは廃止され、他の路線も便数が減少した。新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)の影響で、グローカルキャンパスでは2020~21年度は非対面(オンライン)で授業が実施された[66]ことから、当時は通学バスが運行を休止しており[67]、この影響は市外バスにも及んだと思われる。また、後述する中部内陸線の開通で、旅客需要がバスから鉄道に転移したことも原因だと思われる。
東ソウル~水安堡線は、ソウル近郊~一竹IC(安城市 (京畿道))間では中部高速道路、一竹IC~水安堡間では一般道路を経由し、忠州市内では韓国交通大学校忠州キャンパス、建国ターミナルを経由する[68]など、鉄道路線から地理的に離れた地域を結び、大学生、水安堡温泉への観光客などの輸送を担う路線である。京畿高速と大元高速が共同運行しているが、年間3億ウォンの赤字が出ていたことを理由に、2025年6月1日から休止していた[69]。地元自治体である忠清北道や忠州市による財政支援を受け、同年12月15日から運行を再開した[70]。
韓国鉄道公社の中部内陸線が2024年までに段階的に開通し、忠州市へは、ソウル首都圏の板橋駅からKTXを利用して、約1時間でアクセス可能となった[71]。しかし、KTXの始発駅である板橋駅の位置は京畿道城南市で、ソウル市中心部から離れている。ソウルキャンパスからグローカルキャンパスへ、中部内陸線を利用する場合のルートは、建大入口駅→(ソウル交通公社2号線)→江南駅→(新盆唐線)→板橋駅→(中部内陸線KTX)→忠州駅→(バス)→グローカルキャンパスとなり、途中で3回乗り換える必要がある。2025年12月30日現在では、板橋駅~聞慶駅間の高速列車「KTXイウム」(忠州駅を経由)の定期運行本数は1日4往復[72]と少ないことなどを考えれば、ソウル~忠州間の移動では、運行便数の多さ、グローカルキャンパスのような特定の場所へ直通している点などで、バスのほうがまだまだ利便性が高いのが現状である。
中部内陸線の線路は、グローカルキャンパス北側の近くを横切っていることから、2016年には建国大学関係者が忠州市に対して「建国大駅(건국대역)」の設置を提案したことがあった。これに対して忠州市側は「現実的に容易ではない問題」と回答し、その後は進展が無い[73]。
近年では日本との直行便が増加している、韓国中西部の清州国際空港の最寄り駅である清州空港駅から、KORAIL忠北線を経由して忠州駅へ行くことができる。
付属学校
いずれもソウルキャンパスの東側に校舎が存在している。
- 建国大学校師範大学付属高等学校
- 建国大学校師範大学付属中学校
関連施設
都正宮 慶原堂

建国大学ソウルキャンパスの建物では、「都正宮慶原堂」が、再建前のルーツも含めて最も古い。これは、19世紀に朝鮮王族だった李夏銓(イ・ハジョン、生年:1842~62年)の生家である都正宮(トジョングン)の邸宅だった。李夏銓は、一時は有力な王位継承者候補とされていたが、1862年に逆謀を図ったという疑いを受けて死罪になった[74]。慶原堂は、李夏銓への祭祀をするために1872年に建てられ、1900年頃に消失したが、1920年代ごろに再建された。韓屋ではあるが、西洋式と日本式の建築技法も混ざっている[75]。1977年にソウル特別市の民俗文化遺産に指定された。元の位置は鍾路区社稷洞262-85番地だったが、1979年に城山路(ソンサルロ)の建設工事にともない、建国大学校ソウルキャンパスの北東側に移築され、建国大学校博物館が管理している[76][77]。2014年に修復工事が完了した[78]。
建国大学校博物館


「建国大学校博物館(건국대학교 박물관)」は、1963年3月に開館した当初は、中央図書館(現・言語教育院の建物)1階に位置し、1967年2月には同図書館3階に移転した。建国大学のルーツである朝鮮政治学館の建物(1908年に建てられた)を、ソウルキャンパスの中心部、一鑑湖の北西角の近くに移築した。レンガを除いた基礎部分と階段部分、中間部分に挟まれた石材は、全て以前の建物からそのまま移して復元したとされている[8]。この建物の内部へ博物館機能を移転し、1985年11月23日に竣工された[79]。建物は、歴史的、建築史的価値が認められ、2003年6月に近代文化遺産登録文化財第53号に指定された[76]。
博物館内部は、1階は大学創立者である劉錫昶の生涯を紹介した「常虚記念展示室(상허기념전시실)」[80]、2階は時期によって展示内容が入れ替わる「歴史遺物展示室(역사유물전시실)」[81]、地下は収蔵庫となっている[82]。
考古、歴史、美術、民俗、学校歴史資料など6千点を所蔵している。この中には、1448年に刊行された韓国初の韻書「東国正韻(동국정운、国宝第142号)」、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)以前における朝鮮王朝時代前期の相続分配について記した「栗谷李珥先生家分財記(율곡 이이 선생가 분재기、宝物第477号)」などの歴史的な古文書もある[83]。
2026年2月時点の情報では、観覧時間は毎週月~金曜日の午前10時~午後4時(午後12時~午後1時は昼食で未開放)。休館日は土・日曜日、祝日。観覧料は無料である[84]。
言語教育院
建国大学ソウルキャンパスでは、他の場所から移築された前述の建物を除けば、「言語教育院(언어교육원)」の建物が最も古いものの一つだと思われる。当初は「中央図書館(중앙도서관)」として建設された。1957年に工事が始まり、1958年に完成した。建物の形状は、中心となる円から3方向に建物の構造が広がっている構造で、同じく1950年代に建設された、フランス・パリにある国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)本部(マルセル・ブロイヤーなどが設計)の建物[85][86]から影響を受けた。設計を手がけた韓国人建築家の金重業(キム・ジョンオプ)は、世界的建築家ル・コルビュジエの弟子として西洋建築を学んだ。
建国大学の中央図書館は、1989年に現在の「常虚記念図書館」(後述)[87]に機能が移転し、旧図書館の建物が言語教育院に転用された[88]。言語教育院の建物は、ソウル特別市の文化財に指定されているので、改装などを実施するのが難しいようだ[89]。
言語教育院の組織は、1971年設立の「視聴覚教育センター」が母体で、1990年に現名称となった。当初は、韓国人の在校生に対する英語教育が中心だったが、1992年に第2外国語教育プログラムを開設。1998年からは、外国人のための韓国語教育プログラムを開設した[90][91]。
言語教育院の韓国語正規課程では、1年4学期(春・夏・秋・冬)、学期別に10週課程、1~2級(初級)、3~4級(中級)、5~6級(高級)のレベル別授業といった内容である[92]。一方で、短期プログラム「KU:Learn」は、2026年度の1~2月から廃止された[93]。
日本人向けに、韓国の大学への留学を仲介している「アーエデュケーション株式会社」ホームページでは、建国大学ソウルキャンパスは交通などの利便性が高い一方で、「残念なのは、ソウルの大学語学堂の中でも学費が高いところです」「建国大学校語学堂(引用者注:言語教育院)は、2024年冬学期より語学堂で唯一、書類選考で合否が決まることになってしまいました。他の語学堂は書類に不備が無く、入学資格を満たしていればどなたでも入学できますが、建国大学校語学堂は合格・不合格を内部で決めた基準に適した学生の中、先着順で入学可否を選別して決めるという方式になった」[94]と書かれていた。
常虚記念図書館

前述した旧・中央図書館の機能を移転・拡充させるために、常虚記念図書館(상허기념도서관)[95][96]が建設された。常虚とは、建国大学創設者である劉錫昶の号である。1987年3月に着工し、1989年3月4日に竣工された[8]。建築家の張錫雄(チャン・ソグン)によって設計された。延べ面積7000余坪の地下1階、地上6階建てで、韓国の伝統建築造形美を現代化し、教育と研究機能を効果的に遂行できると評価され、1989年、ソウル市建築大賞を受賞した。完成当時には、大学図書館では東アジア最大の規模とされていた。2019年時点では、国内外の書籍130万冊と約4千席の閲覧室を有していた[97]。
2022年3月の情報では、図書館1階のロビーには「新入生向けの特別テーマ書棚」が設置され、新入生がさまざまな教科書を便利に読んだり借りたりできるようになっている。新入生向けの特別蔵書棚には、2168冊の各種教科書が揃っており、教科書購入負担を軽減している。「新入生向け推薦図書」コーナーには1089冊の書籍が用意されていた。できるだけ市内の大型書店と同じ方法で本を並べて、学生が軽く立ち寄って手軽に本を広げて見ることができるように配慮したようだ[98]。
建国大学校病院

「建国大学校病院」は、設立当初から「救療済民(구료제민)」「仁術報国(인술보국)」の標語を掲げている。1931年に開設された「中央実費診療院(民衆病院)」をルーツとしており、ソウルキャンパスの敷地に移転したのは1971年である[99]。現在の病院の建物は2002年に着工され、2005年8月に完成した。地下4階、地上13階、延べ面積2万5000坪の規模である。2009年には「がんセンター(암센터)」が開設された。2011年には、韓国政府の保健福祉部による医療機関認証で最優秀評価を受けた。同年には、韓国の大学病院で初めて世界保健機関(WHO)健康増進病院として認定された。[100]。
2017年11月には、アメリカ・インテュイティブサージカル社が開発した第4世代の手術ロボット「ダビ(ヴィ)ンチXi」[101]を使用した「ロボット手術センター(로봇수술센터)」の稼働を開始した。2025年8月からは第5世代の「ダビンチ5」[102]が導入された。2026年4月6日には、ロボット手術の件数が累計5千件を突破したことを祝う記念式典が実施された。この時点で、21の手術室のうち3つはロボット手術専用だった[103]。
建国大学校病院での有名人の死去事例としては、男優キム・ジュヒョク(2017年に交通事故死)[104]、ジョンヒョン(SHINee、2017年に自殺)[105]、男優チョ・ミンギ(2018年に自殺[106])などがある。
女優イ・ダヘは、建国大学映画科に在籍していた2010年に、脳出血で入院した10歳の女の子など、経済的な理由から治療を十分に受けられない小児患者の治療費のために、建国大学校病院へ5千万ウォンを寄付した[107]。男性音楽グループSG Wannabeのメンバーであるイ・ソクフンは、自身の息子が誕生したのが建国大学校病院だったことが縁で、2019年には自身の楽曲「君だったんだね」の音源収益金を寄付[108]、2025年には低所得層の小児患者たちの健康回復のために1000万ウォンを寄付した[109]。
建国大学校病院は2006年から、地元の広津区に対して米の寄付を毎年実施している。最初は1千kgから始まり、2024~26年には毎年5千kg、2026年までの累計で4万7300kgとなった。米の寄付以外にも、低所得住民対象の外来検査費支援など、地域住民の健康を推進するための様々なプロジェクトも実施している[110]。
建国大学校忠州病院
忠州(現:グローカル)キャンパスに医科大学が設立されたのは1986年である。忠州市に存在していた「新羅病院(신라병원)」を建国大学が買収し、「建国大学校忠州病院」となった。忠清北道の北部地方では唯一の大学病院とされており、23の診療科、299病床を運営している[111]。ソウルキャンパスに隣接している前述の建国大学校病院とは異なり、忠州病院とグローカルキャンパスは地理的に離れている。忠州病院の住所は、忠州市クグォン大路82番地である[112]。
新千年記念館
ソウルキャンパスにある「新千年記念館」は、「新千年館(새천년관)」の略称が用いられることが多い。2000年に完成したことから、この名称となった。新千年館の地下には、客席数805席の「大公演場(대공연장)」[113][114]。客席数313席で、4か国語対応の同時通訳施設がある「ウゴク国際会議場(우곡국제회의장)[115]」がある[116]。大公演場、ウゴク国際会議場は、新千年館の地下2階に本社を置く企業「ウィニアート(위니아트、weneed Art)」が運営している[117]。
大公演場、ウゴク国際会議場は、入学式、卒業式など、学校行事で使用されるだけでなく、大学関係者以外に貸し出されることも多い。大公演場では、K-POP[118]、クラシック音楽オーケストラのコンサートなどに使用されている[119]。2022年12月9日には、大公演場で「第58回大鐘賞映画祭」が開催され[120]、建国大学出身の女優キム・ヘユンも出席し、母校への凱旋となった[121]。
ウゴク国際会議場は、企業の見本市などにも使用された事例がある[122]。
KU Leaders HOUSE

この施設の略称は「KU:L HOUSE(クールハウス)」である。ソウルキャンパスの南東側、一鑑湖と付属高等学校の間に位置している。2006年度の2学期に開館し、民間資本の誘致を通じて建てられた学生寮である[123]。外国人留学生などが宿泊している。
利川スポーツ科学タウン
ソウルキャンパスが位置しているソウル特別市と、グローカルキャンパスが位置している忠清北道忠州市の中間付近に位置している、京畿道利川市大月面(대월면)には、運動部選手のための施設「利川スポーツ科学タウン(이천스포츠과학타운)」がある。2002年に計画され、翌03年から工事が始まり、2005年9月に完成した[124]。2005年の報道では、工事費250億ウォンが投じられた。2005年時点では、約6万坪の敷地に、メーンスタジアム、天然芝サッカー場、野球場、テニスコート、体育館、200人収容の宿舎などが完成していた。これらの施設には、「黄善洪スタジアム」「柳想鐵グラウンド」(いずれもサッカー選手の名前)「李鍾範野球場」「李亨澤室内テニス場[125]」など、建国大学出身の有名スポーツ選手の名前が付けられた。2005年以降では、ゴルフ練習場なども予定され、地域住民にも開放されると報道されていた[126]。
ソウルキャンパスに隣接する「スターシティ」の敷地は、以前はグラウンドとして使用されていた。この機能を移転する目的で、スポーツ科学タウンは建設された。しかし、利川はソウルキャンパスから所要1時間程度とされ、地理的に遠く不便である。2017年ごろから、スポーツ科学タウンの施設の多くが運営を停止し、柳想鐵の名前が付けられたサッカー場には雑草が生い茂っていること、野球場は週2日程度しか使用されていないことなどが、2019年に報道された[127][128]。2021年10月28日には、建国大学と、OBの李亨澤が2009年から運営している「李亨澤テニスアカデミー財団(이형택 테니스 아카데미재단)」が協定を結び、李亨澤が8千万ウォン相当の現物寄付を実施して、彼の名を冠した屋内テニス場の施設を修理することが決まった[129]。
収益事業
建国乳業・建国ハム
「建国乳業(건국유업)」「建国ハム(건국햄)」は、建国大学校畜産大学を母体として1964年に設立された。収益金全額を奨学金として寄付している。既存の乳加工および肉加工事業を基盤に、健康機能食品事業、外食事業、ペット事業、食材再流通事業を重点育成している[130][131]。会社名(회사명)は「(学)建国大学校 建国乳業・建国ハム((학)건국대학교 건국유업 · 건국햄)」で、本社はソウルキャンパス創意館・別館(창의관 별관)2階、中央研究所はソウルキャンパス生命科学館付属棟(생명과학관 부속동)、工場は忠清北道・陰城郡の大所面(대소면)にある[132]。
スターシティ
ソウル交通公社2号線の高架橋がある道路「峨嵯山路(아차산로/アチャサルロ)」よりも南側のソウルキャンパスの土地は以前、大学所属スポーツ選手が使用するグラウンドとして使用されていたが、21世紀初頭に「スターシティ(스타시티)」[133]が建設された。スターシティの運営主体「建国AMC(건국AMC、Asset Management Corporation)」は2002年に設立され、建国大学校の発展のために財政的支援を行う資産管理会社である。「スターシティ」事業では、2万5千坪の大学南側敷地に、延べ床面積20万坪規模の住宅・商業施設が建設された[134]。
スターシティは、「ロッテシネマ」などが入居している「シティゾーン(시티존)」、「ロッテ百貨店・建大スターシティー店(롯데백화점 건대스타시티점)」[135]が入居している「スターゾーン(스타존)」などで構成されている[136]。
東西方向の道路である峨嵯山路と、南北方向の道路である陵洞路(地下にはソウル交通公社7号線)の交差点の北東角、建国大学病院の西隣に位置している施設も、スターシティの一部で、これは「ヤングゾーン(Young Zone、영존)」と呼ばれている、商業施設中心の中層建物である[137]。
スターシティ敷地の南西部に位置している、高層マンション「ザ・クラシック500」は、不滅の価値を意味する「クラシック」と、韓国社会を代表する「500世代の名士」の意味を組み合わせた造語である。地上50階建てのA棟、地上40階建てのB棟の2棟からなる超高層ビル「ザ・クラシック500」は、2009年6月15日に完成したプレミアムシニアレジデンスであり、高品格なホテル式居住サービスとヘルスケアを提供している[138]。
ザ・クラシック500A棟の8~20階には、一般客向けの宿泊施設「ザ・クラシック500 ペンタズホテル(PENTAZ HOTEL、펜타즈 호텔)」[136][139]が入居している[140]。このホテルは、2012年5月にオープンした。「PENTAZ」は、完全無欠な数字「5」を意味するラテン語「Penta」と、空間の概念「Zone」を組み合わせた造語で、「時代を超越した完結性を備えた最高の位置」という意味が込められているようだ。「トラベラーズチョイスアワード」で最優秀ホテルに選定されただけでなく、2017年には国内ホテル「上位1%」の評価を獲得。「トリップアドバイザー」では2016年「最高施設」に指定されたようだ[141]。
スターシティ敷地の南東部に位置している高層マンション「ザ・シャープ・スターシティ」は、2003~06年に建設され、A~Dの計4棟で構成されている。ポスコ建設(포스코건설、現・ポスコE&C)が事業主体のようだ。
2001年に学校法人建国大学校の理事長に就任した女性キム・ギョンヒ(김경희)[142]は、 大学創立者である劉錫昶の長男ユ・イリュン(유일윤)の妻である。ユ・イリュンは、1978年に事故死した[143]。キム・ギョンヒの主導で、スターシティ事業が推進された。スターシティ事業の開始以前には、学校法人建国大学校は収益事業の経営が悪化していた。医科大学の学生たちが、付属病院確保のための学内示威を実施し、付属病院は2000年に医薬分業問題により、ソウル、忠州の両病院の経営が急速に悪化していた。1998年のIMF危機や、首都圏 (韓国)での大学・工場・公共庁舎・大型建設物等の新増設を規制した韓国政府の法律「首都圏整備計画法」[144]により、法人の主収入源だった建国乳業がやむなく忠清北道・陰城郡へ工場を移転したことなどが、法人財政の悪化につながった。
スターシティ事業の収益金で、学校法人の財政は好転した。2001~12年には大学及び付属中高校へ1947億ウォン、2001~08年には付属病院に1196億ウォンが拠出された。建国大学は、2001~06年に教育施設投資として、芸術文化館(예술문화관)、尚虚研究館(상허연구관)、動物生命科学館(동물생명과학관)、産学協同館(산학협동관)、法学館(법학관)、第2学生会館(법학관)、医生命科学研究棟(의생명과학연구동)、利川スポーツ科学タウンなど、22棟を新・増築した。この6年間で、教育施設延べ面積は9万9674坪から16万7129坪へと68%も増加した。教員の新規採用も増え、全教員数は2000年の605名から、2012年には1067名に増加した。土地価額は、クラシック500の場合、2011年決算書の土地価額は267億ウォンだったが、2012年公示地価を基準とした土地価額は1871億ウォンに上昇した。2009年に完工したクラシック500は、2013年時点の入居契約率が97%だった[145]。
建国大学の「収益用基本財産評価額(수익용 기본재산 평가액)」は、スターシティ事業の効果で、2003年の2448億ウォンから、2022年には1兆1745億ウォンに増加した。韓国の全国私立大学の中で最も多いとされている[146]。2025年10月時点では1兆1767億9978万4千ウォンである。韓国の「大学設立/運営規定」によると、大学は年間学校会計運営収益総額(基準額)に該当する金額の収益用基本財産を確保しなければならない。2025年10月時点では、建国大学の確保基準額は2543億150万5千ウォンとなるので、確保率462.8%となる。韓国の4年制大学154校の平均確保率が100.6%であることと比べれば突出した数字である[147]
一方で、事業を推進したキム・ギョンヒは、のちに大学資金の私的流用が発覚した。11億4千万ウォンの業務上背任、3億6500万ウォンの横領、2億5千万ウォンの背任収載などの容疑で、2014年8月に検察によって拘留なしで起訴された。検察の起訴内容では、キム・ギョンヒが所有していたアパート(スターシティペントハウス、스타시티 펜트하우스)のインテリア工事に、大学の財団資金5億7000万ウォンを投じたことなどが、背任とされていた。大法院は、2017年4月26日の判決で、懲役10か月および保護観察1年を確定させた。これにより、建国大学理事長を辞任した[148]。
建国大学は、キム・ギョンヒ理事長時代に、拡大路線を成功させた。一方で、彼女による大学資金の公私混同が発覚し、功罪両方の側面を残した。
キム・ギョンヒは、自身の半生について述べた著書「希望で花を咲かせ(희망으로 꽃을 피워)」を2020年12月に出版した[149]。彼女は西洋画家でもあり、2023年までに11回の個展、300余回のグループ展を開催したとされている[150]。
2017年から学校法人建国大学校の理事長を務めている女性ユ・ジャウン(유자은)は、ユ・イリュン、キム・ギョンヒ夫妻の娘で、いずれも理事長経験者である。ユ・ジャウンは、劉錫昶の長孫女で、高麗製鋼創業者ホン・ジョンニョル(홍종렬)の孫娘でもある[151]。建国大学トップは2020年代でも、創業者の子孫・親族による同族経営が続いている。
建国大学校同門会館
「建国大学校同門会館(건국대학교동문회관)」は、スターシティーの東側に位置しており、学生OB団体である「建国大学校総同門会(건국대학교 총동문회)」の拠点である。同門会館は、普段は「KUコンベンションウェディングホール(컨벤션웨딩홀)」として、会議・結婚式場として使用されている[152][153]。
学生・教員数
2025年10月1日時点で在学生の総数は、ソウルキャンパスでは学部1万4938人[154]、一般大学院博士課程655人、一般大学院碩士課程1176人、特殊大学院博・碩士4083人だった[155]。グローカルキャンパスでは、学部6791人[156]。大学院では、碩士・博士・統合の各課程を合わせて、一般大学院210人、教育大学院10人、創意融合大学院71人、医学専門大学院128人だった[157]。
2026年2月20日の第139回学位授与式(학위수여식、卒業式に相当、韓国の大学では卒業式は春と夏の年2回)は、ソウルキャンパスの新千年記念館大公演場で開催され、グローカルキャンパスの卒業生と合同だった[158]。学士3569名(内訳はソウルキャンパス2252名、グローカルキャンパス1317名)、碩士857名、博士144名、計4570名が卒業した[159]。学位授与式に参加する学生が着用する「学位服(학위복)」は、大学側が貸し出している。OBで構成される「総同門会(총동문회)」が支出した4億ウォンで、学士3640着、修士510着など新しい学位服が総4150着が用意された[160]。建国大学では、1950年の第1回卒業生から、2026年2月までの卒業者総数は27万6060人とされている[161]。
2026年2月26日に開催された入学式では、ソウルキャンパスでは3938人の新入生と、約1200人の両親が参加した[162]。入学式は参加人数が多いため、2020年代ごろでは、新千年記念館大公演場をメイン会場として、ウゴク国際会議場をサブ会場、学生会館プライムホール(학생회관 프라임홀)を保護者待合室として使用している[163]。
グローカルキャンパスの入学式は、同キャンパスの建国体育館(건국체육관)で開催され、新入生数1748人だった[164]。
- 中退率
学校における「中途退学」「中退」のことを、韓国語では「中途脱落(중도탈락)」と呼称している。
2020年度における建国大学のデータは、在籍学生2万3122人に対して中途脱落学生655人、中退率2.8%。2021年では、在籍学生2万2978人に対して中途脱落学生692人、中退率3.0%だった。ソウル圏の上位15大学全体の平均中退率は、2020年度は2.9%、2021年度は3.1%だった[165]。
2023年度では、新入生の中途脱落は、建国大学の場合9.55%だった。同年におけるソウル地域の大学全体の新入生中退率は10.29%で、初めて10%を超えた。建国大学はソウル全体の水準に近い。ソウル地域全体での新入生中退者数は8818人で、初めて8千人を超えた[166]。
2024年度の中退率(全体)は2.9%だった。単科大学別に見ると、留学生専用である国際大学が11.8%で、他に比べて突出して多かった[167]。
- 教員数
2025年時点での教員(교원)数(大学院を含む)は総計2313人である。内訳は、専任教員(전임교원)では、教授(교수)387人、副教授(부교수、日本の「准教授」に相当)110人、助教授(조교수)160人、計657人。非常任教員(비전임교원)では、兼任教員(겸임교원)458人、招待教員(초빙교원)64人、講師(강사)506人、その他教員(기타교원)628人、計1656人である[168]。
留学生
留学生(外国人学生)数は、2021年度は1813人、2024年度は2328人、2025年度は2228人と、2020年代前半ごろは2千人前後で推移してきた。2025年における学生数のうち国家・地域別トップ10は、中国618人、モンゴル465人、ベトナム283人、日本164人、中国(同胞)97人、ミャンマー74人、フランス43人、アメリカ40人、ドイツ39人、インドネシア35人だった[167]。
ソウルキャンパスでは2023年9月に、「国際大学(국제대학)」が設立され、傘下に「国際通商ビジネス学科(국제통상비즈니스학과)」と「文化メディア学科(문화미디어학과)」を開設し、2024年3月に初めて外国留学生を入学生として迎えた[169]。国際大学は、留学生専用の単科大学である。既存の韓国人学生が主に在籍している学部・学科での講義が、留学生にとって就職に直結しにくい場合があったり、難易度が高すぎるとの声があったことから、外国人留学生専用の専攻を設けることで、将来に韓国と自国の架け橋となって活躍しようとする留学生にとって、より勉強しやすい環境づくりを目指しているようだ[170]。
国際大学には「国際教養教育センター(국제교양교육센터)」もある。このセンターでは、留学生の教養教育課程を担当しており、大学の講義・発表・討論などで必要な韓国語能力向上のためのレベル別韓国語課程と、韓国の政治・経済・社会・文化全般についての知識を積むことを目指している[171]。
グローカルキャンパスでは、2023年3月時点の情報では、171名の正規留学生が在籍していた。国籍の内訳は、学部生は中国122人、ベトナム24人、エジプト1人、コンゴ1人。院生は中国21人、ベトナム1人、バングラディッシュ1人だった。グローカルキャンパスのアートデザイン学部は国内外で人気が高く、中国教育部の承認のもと、中国にある現地の高校に特別なコースを設置し、その高校を卒業したら当該学部に受け入れるプログラムも実施している。外国人留学生募集は、大学ホームページを通じた学生から直接のオンライン申請と、中国にいる数社のエージェント(代理店)経由での申し込みと、大きく2つのルートで受け入れを行っている。中国からの留学生の多くはエージェンシー経由であり、その場合コミッション(手数料、一人につき学費の1/5相当)を支払う必要があるため、できるだけ学生からの直接の申し込みを増やすために、建国大学の国際研究所関係者が中国内の協定校等に出向き、現地での学生募集を行っている。
一時期にはベトナムを、今後の留学生募集のメインマーケットとしてとらえていたが、韓国全体として、ベトナム人留学生は入国後に不法就労したり失踪したりするケースが多発したこともあり、2020年代ごろには経済的により安定した中国人留学生向けの募集に再びシフトしている[172]。
学部・学科
韓国の総合大学では、内部に複数の単科大学(단과대학)が存在しているという形式の組織を持つ事例が多い。日本の大学ならば「○○学部」と呼称している組織を、建国大学校を含む韓国の総合大学では「○○大学」と称している。例えば、日本の大学ならば「文学部」と称している組織は、建国大学校では「文科大学(문과대학)」と称している。
英語訳は、例えば「芸術デザイン大学(예술디자인대학)」の場合、英語名称は“College Of Art & Design”[173]である。「建国大学校」は“Konkuk University”なので、大学全体は総合大学を意味する“University”、単科大学は“College(カレッジ)”を英語訳に当てはめている。
建国大学校では、内部組織の規模が大きい順に、「大学校(대학교)>単科大学(단과대학)>学部(학부)>学科(학과)あるいは専攻(전공)」という扱いである。単科大学の傘下に学部がある場合と、そうではない場合が混在している。
「学科」は“Department”と訳している。例えば、前述した「映画科」の、2024年以降における後身組織は、「芸術デザイン大学」の傘下にある「媒体演技学科(매체연기학과)」だが、この英語名称は“Department of Media Acting”[174]である。
自由専攻学部
韓国の大学における「自由専攻学部」については、「リベラル・アーツ・カレッジ#韓国における事例」の項目を参照してほしい。
建国大学で2009年度入学から新設された「自律専攻学部(자율전공학부)」は、同時期の韓国の大学に導入された類似学部と同様に、法学専門大学院(ロースクール)の新設による法学部の定員を吸収することが目的だった。建国大学の自律専攻学部は、4年生まですべての専攻を選択し、受講して履修した専攻単位によって専攻の学位を受けることができた。2~4年生の時に特定の専攻学科を選び、成績優秀者に対する奨学金の恩恵や国際交流プログラムなど多様な支援がなされた[175]。設立時の定員は人文系80人、自然系40人など計120人だった[176]。人文と自然科学を結ぶ融合的知識を備えた人材を養成するための教育プログラムを標榜していた[177]。
自律専攻学部は、2015年度から「融合人材学部(융합인재학부)」に改名され、4年生1学期から詳細専攻(公共人材(공공인재)と科学人材(과학인재))を選択して学位を取得する方法に変更した[178]。融合人材学部の「公共人材専攻(공공인재전공)」は、2018年度から「社会科学大学」傘下の「融合人材学科(융합인재학과)」となった[179]。
韓国政府の教育部が2024年1月30日に発表した「2024年大学革新支援事業及び国立大学育成事業基本計画」では、「無専攻(무전공)」人員を一定比率以上選抜する場合、財政支援インセンティブとして成果評価で加点するとした。自由専攻学部のように無専攻で選抜した後、大学内のすべての専攻を選択できる「類型1」と、系列または学部単位で募集する「類型2」の比率を合わせて「母数」(全体の募集人員から保健医療・師範系列人員を除いた数、芸術・宗教系列は大学別に自主的に除外)の25%以上であれば評価点数で10点加点する[180]。
教育部の方針を受けて、建国大学でも2025年度新入生から「自由選考学部」が新設された。学生たちは自己適性に応じて専攻を決定し、学業満足度を高め、人工知能(AI)時代に不可欠な学問間融合能力も開発することを教育目標として掲げている。2025年度時点での募集定員は、「常虚教養大学(상허교양대학)」傘下に設置された「KU自由専攻学部(前述の「類型1」に相当)」で308人、各単科大学の自由専攻学部(類型2に相当)で422人、計730人だった[181]。「KU自由選考学部」の英語訳は“KU School of Liberal studies”[182]である。KU自由専攻学部では、獣医科大学、芸術デザイン大学、師範大学など、一部の単科大学を除く学内全学科を対象に100%自律専攻選択を保証する。単科大学内の自由専攻学部も、入学系列内で一部学科を除く全学科に進むことができる[183][184]。自由専攻学部に入学した学生は、2学期(학기)修了後に学部・学科・専攻を選択したり、学生が直接設計する自己設計専攻教育課程を履修することができる[185]。
ソウルキャンパス
いずれも2025~26年ごろの組織名である[186]。
- 文科大学(문과대학)[187]
- 国語国文学科(국어국문학과)
- 英語英文学科(영어영문학과)
- 中語中文学科(중어중문학과)
- 哲学科(철학과)
- 史学科(사학과)
- 地理学科(지리학과)
- メディアコミュニケーション学科(미디어커뮤니케이션학과)
- 文化コンテンツ学科(문화콘텐츠학과)
- 文科大学自由専攻学部(문과대학자유전공학부)
- 理科大学(이과대학)[188]
- 数学科(수학과)
- 化学科(화학과)
- 物理学科(물리학과)
- 理科大学自由専攻学部(이과대학자유전공학부)
- 建築大学(건축대학)
- 建築学部(건축학부)(2026年に建築学教育認定対象の5年制「建築学専攻(건축학전공)」が開設され、4年制の「建築工学専攻(건축공학전공)」と共に運営[189])
- 工科大学(공과대학)[190]
- 社会環境工学部(사회환경공학부)
- 機械航空工学部(기계항공공학부)(2025年に「機械・ロボット・自動車工学部(기계·로봇·자동차공학부)」と「航空宇宙・モビリティー工学科(항공우주·모빌리티공학과)」に分割[191])
- 電気電子工学部(전기전자공학부)
- 化学工学部(화학공학부)
- コンピューター工学部(컴퓨터공학부)(2025年に「スマートICT融合工学科(스마트ICT융합공학)」を吸収[191])
- 産業経営工学部 産業工学科(산업경영공학부 산업공학과)
- 産業経営融合学部(산업경영융합학부)(2026年に「新産業融合学科(신산업융합학과)」と「Kビューティー産業融合学科(K뷰티산업융합학과)」を統合[192])
- 生物工学科(생물공학과)(2025年に「化粧品工学科(화장품공학과)」を吸収[191])
- 化工学部(화공학부)
- 先端融合工学部 材料工学科(첨단융합공학부 재료공학과)
- 先端融合工学部 生物工学科(첨단융합공학부 생물공학과)
- 先端融合工学部 産業工学科(첨단융합공학부 산업공학과)
- 産業経営工学部 新産業融合学科(산업경영공학부 신산업융합학과)
- 工科大学自由選考学部(공과대학자유전공학부)
- 社会科学大学(사회과학대학)[193]
- 政治外交学科(정치외교학과)
- 経済学科(경제학과)
- 行政学科(행정학과)
- 国際貿易学科(국제무역학과)
- 応用統計学科(응용통계학과)
- 融合人材学科(융합인재학과)[194]
- グローバルビジネス学科(글로벌비즈니스학과)
- 社会科学大学融合選考学部(사회과학대학융합전공학부)
- 経営大学(경영대학)[195]
- 経営学科(경영학과)
- 技術経営学科(기술경영학과)
- 不動産科学院(부동산과학원)
- 不動産学科(부동산학과)
- KU融合科学技術院(KU융합과학기술원)
- 未来エナジー工学科(미래에너지공학과)
- スマート運転滞空工学科(스마트운행체공학과)
- スマートICT融合工学科(스마트ICT융합공학과)
- 先端バイオ工学部(첨단바이오공학부)(2025年に「幹細胞再生工学科(줄기세포재생공학과)」と「医生命工学科(의생명공학과)」を統合[191])
- システム生命工学科(시스템생명공학과)
- 融合生命工学科(융합생명공학과)
- 獣医科大学(수의과대학)
- 獣医予科(수의예과)
- 獣医学科(수의학과)
- 芸術デザイン大学(예술디자인대학)[196]
- 師範大学(사범대학)[201][202][203]。
- 日語教育科(일어교육과)
- 数学教育科(수학교육과)
- 体育教育科(체육교육과)
- 音楽教育科(음악교육과)
- 教育工学科(교육공학과)
- 英語教育科(영어교육과)
- 教職科(교직과)
- 常虚教養大学(상허교양대학)
- KU自由専攻学部(KU자유전공학부)
- 国際学部(국제학부)
- 国際大学(국제대학)
- 国際通商学科(국제통상학과)
- 文化メディア学科(문화미디어학과)
- 融合科学技術院(융합과학기술원)
- 先端バイオ工学部(첨단바이오공학부)
- 生命工学部 システム生命工学科(생명공학부 시스템생명공학과)
- 生命工学部 融合生命工学科(생명공학부 융합생명공학과)
- 融合科学技術院自由専攻学部(융합과학기술원자유전공학부)
- 生命科学大学(생명과학대학)[204]
- 動物資源・食品資源・流通学部(동물자원·식품과학·유통학부)(2025年に「動物資源科学科(동물자원과학과)」「畜産食品生命科学科(축산식품생명공학과)」「食品流通工学科(식품유통공학과)」を統合)[191]
- 動物資源専攻(동물자원전공)
- 食品科学専攻(식품과학전공)
- 食品流通専攻(식품유통전공)
- 環境保健・山林造景学部(환경보건·산림조경학부)(2025年に「環境保健科学科(환경보건과학과)」と「山林造景学科(산림조경학과)」を統合)[191]
- 環境保健専攻(환경보건전공)
- 山林造景専攻(산림조경전공)
- 生命科学特性学科(생명과학특성학과)
- 食料資源科学科(식량자원과학과)
- 生命科学大学自由専攻学部(생명과학대학자유전공학부)[205]
- 動物資源・食品資源・流通学部(동물자원·식품과학·유통학부)(2025年に「動物資源科学科(동물자원과학과)」「畜産食品生命科学科(축산식품생명공학과)」「食品流通工学科(식품유통공학과)」を統合)[191]
グローカルキャンパス
いずれも2025年時点のもので、学部名のみを表記している[206]。
- デザイン大学(디자인대학)
- 人文社会融合大学(인문사회융합대학)
- 科学技術大学(과학기술대학)
- 医療生命大学(의료생명대학)
- 医科大学(의과대학)
- 教養大学(교양대학)
- KU革新共有学部(KU혁신공유대학)
大学院
- 一般大学院(일반대학원)
- 教育大学院(교육대학원)
- 創意融合大学院(창의융합대학원)
- 医学専門大学院(의학전문대학원)
映像・演技系学科
学科の概要
演劇映画学科(具体的な名称は大学ごとに異なる)を設置している韓国の4年制総合大学は数多く存在している。建国大学の場合、演劇映画学科に相当する組織が設置されたのは2004年なので、中央大学校(1959年開設)、漢陽大学校(1960年開設)、東国大学校(1962年開設)[207]などに比べれば後発である。現代(21世紀前半ごろ)の韓国において、演技力が高い俳優が多いのは、大学で演技を学んだ人が多いことも理由であることは、複数の日本人演出家からも指摘されている[208][209][210][211]。
建国大学で演劇映画学科に相当する組織は、2004年に、芸術学部(現:芸術デザイン大学)の傘下として「映像アニメーション専攻(영상애니메이션 전공)」「映画芸術専攻(영화예술전공)」として新設された後、再編と改名が繰り返されてきた。映像アニメーション専攻は、2008年には「映像専攻(영상전공)」、2014年には「映像学科(영상학과)」に。映画芸術専攻は、「映画専攻(영화 전공)」(別名:映画科 (영화과)[212]、2014年には「映画学科(영화학과)」に改称された。
2016年には、映像学科と映画学科を統合して「映画・アニメーション学科(영화·애니메이션 학과)」となり、2018年には「映像映画学科(영상영화학과)」に改称した。2024年には「映像学科(영상학과)」と「媒体演技学科(매체연기학과)」[213]に再分割された[214]。
2024年の再編における映像学科は、映像制作のみを専門とした教育内容で、2015年以前の映像アニメーション専攻→映像専攻→映像学科の流れを継承しており、アニメーション、コンピューターグラフィックスなどの授業もカリキュラムに組み込まれている[215]。一方で媒体演技学科は、名称からも分かるように演技教育に重点を置いており、2015年以前の映画芸術専攻→映画専攻→映画学科の流れを継承しているが、実写の映像制作も実施している点では映像学科と重なる部分もある[216]。
学科名が数年おきに変更されてきたことから、日本で発売されてきた韓国人俳優の名鑑では、建国大学出身俳優について「映画芸術学科」「映画科」といった表記が混在していることが多い。また、これらの学科の上部組織である単科大学・学部名も変更されてきた。2011年11月23日に韓国の映画情報サイト「シネ21(씨네21)」が配信した記事では、「建国大学校 芸術文化大学 芸術学部 映画科(건국대학교 예술문화대학 예술학부 영화과、当時の名称)」[217]との表記があった。「芸術文化大学(예술문화대학)」は「芸術デザイン大学」の前身組織だが、2011年当時では、芸術文化大学の傘下に「芸術学部(예술학부)」と「デザイン学部(디자인학부)」[218]が存在していた。
再編と改名が繰り返されてきたが、媒体演技学科のSNSでは、2026年度の新入生で「23기(期)」[219]としており、ルーツである組織が設立された2004年から通算している。
映像学科の「あいさつ文(인사말)」では、映像デザイン、VR(バーチャル・リアリティ)、アニメーションなどの革新的な分野を中心に勉強する教育内容であることが述べられている[220]。一方で、媒体演技学科ホームページの「인사말」では、現代の演技は、演劇、ミュージカルなどの舞台、映画、放送、ウェブ、OTTプラットフォームなど、さまざまな媒体を通じて発信されていること。さまざまな媒体の中に、それぞれの演技法、演技論、演出表現法が存在し、これらに関連した教育をしていることが述べられている[221]。
2004年設立の映画芸術専攻から、2024年設立の媒体演技学科にかけての、演技教育を専攻する学科では、カメラの前での演技に集中する独自のカリキュラムを運営してきた[222]。ソウル首都圏の大学の演技学科は、公演と演劇を中心としたカリキュラムを運営していることが多いが、建国大学の演技学科はカメラの前での演技が多く、卒業公演などを除けば、舞台に立つ機会は少ないようだ[223]。
もっとも、媒体演技学科になってから、劇場での舞台公演は少しずつ増加傾向である。例えば2025年11月18~24日には、建国大学ソウルキャンパスと同じく広津区に位置している劇場「ブラインドアートホール(블라인드 아트홀)」で、媒体演技学科の在学生と、以前の卒業生が出演する公演プロジェクト「KU PLAY(クプレイ)」による初の演劇「ロマンは蜃気楼(낭만은 신기루)」が開催された。これには、同年に入学したキム・ウソク(FANTASY BOYS)も出演した[224][225][226]。この作品の担当教授の一人である男優ユ・ジテは、建国大学公式ブログの記事で、「俳優たちが演技だけでなく執筆と制作能力まで備えた『能動的な芸術家』として成長できるように企画した」「KU PLAYを通じて独立した創作生態系を構築」する予定であると述べていた[227]。「ロマンは蜃気楼」は、2019年に入学し、2025年時点では4年生だった女優ナムグン・ユジン(남궁유진)[228]が脚本を手がけた。彼女によると、ユ・ジテが教授に就任してから、学科の内容が変わり、自分で戯曲を書くように勧められたようだ[229]。
2026年3月13~14日には、芸術文化館の地下1階B103スタジオで、新入生歓迎公演として、アメリカ生まれの戯曲「Almost, Maine」が開催された[230]。
2025年10月1日時点のデータでは、映像映画学科には3学年に2人、4学年に13人、計15人(内訳は男4人、女11人)が在籍していると書かれていた。この時点で、2024年に実施された学科分割から2年目となり、映像学科、媒体演技学科の欄には3~4学年が多数在籍していることから推測して、映像映画学科の在籍者は、おそらく休学・留年者である可能性が高いと思われる。1~4学年全体の合計では、映像学科は187人(内訳は男32人、女155人)、媒体演技学科は130人(内訳は男26人、女104人)が在籍している。これらの学科が属している芸術デザイン大学の全体では1311人(内訳は男265人、女1046人)である。建国大学ソウルキャンパス全体では 1万4938人(内訳は男7858人、女7080人)なので、芸術デザイン大学では女子学生が突出して多い[231]。芸術・美術大学に女子学生が多い傾向は、日本と共通している[232]。
映画などの制作では、同じく芸術デザイン大学傘下の美術、衣装などの学科と協力することが多く、全体が有機的に動いて作品を作っている[233]。
有名人の教員
有名人の教員としては、韓国のベテラン映画監督ホン・サンスが教授を務めていた時期があった。2022年のインターネットニュースでは、ホンの姿が建国大学で目撃されていた[234]が、現在は退任した。2010年の情報では、ホンは3~4学年の授業を担当し、4学年では学生たちの卒業映画制作を指導していた[235]。ホンが監督した作品では、建国大学での教え子が俳優として出演した事例もある[236][237]。2016年5月9~15日には、建国大学開校70周年記念として、同大学の映画館「KUシネマテーク」(後述)にて、ホンが監督した映画作品のうち9本の上映会が開催された[238]。
男優ユ・ジテは、2023年度2学期から建国大学の映像映画学科(当時)に赴任し[239]、2026年1月時点の情報では媒体演技学科の助教授(조교수)[240]である。卒業映画上映会などの主任教授を担当している[241]。2026年3月19日に実施された、日本の光学機器メーカー「ニコン」の韓国法人「ニコンイメージングコリア(Nikon Imaging Korea、니콘이미징코리아)」と媒体演技学科との間で結ばれた、ニコン側が映画用カメラ「ZR」、「NIKKOR Z」レンズなどの映像制作機器を無償提供することなどを約束した業務協約(업무협약、MOU)の締結式では、シン・ジホ(신지호)媒体演技学科教授・芸術デザイン大学長と共に、ユ・ジテも出席した[242]。
学科出身の映像作家
建国大学の公式ブログが2020年に配信した記事では、映画科出身の映画監督として、以下の5人を挙げていた[243]。
- チョン・ダウォン(2004年入学):代表作「ガール・コップス」2019年
- チョン・ゴウン(2004年入学):代表作「小公女」2018年
- パク・ソンジュ(박선주)(2006年入学):代表作「秘密の庭園」2019年
- キム・ハンギョル(2007年入学):代表作「最も普通の恋愛」[244]2019年
- パク・ヨン(박연、2013年入学):代表作「オナド(어나더、アニメーション作品)」2019年
シン・ジュファンも映画科出身で、男優・映画監督として活動している[245]。演出兼主演で参加した映画「SEXKING(セックスキング)」(2013年)は、トロント韓国映画祭「Best Korean Short」、第8回パリ韓国映画祭「2013年FLYASIANA最優秀短編賞」を受賞した。映画とテレビを行き来して活動している[246]。
サ・ジウン(사지웅)は、映像映画学科出身(入学は2014年)の男性映像作家である。大学入学当初は俳優を目指していたが、その後は映像制作に転向した。大学で最も役立った授業として、一学期に作品一つを必ず作らなければならない「制作ワークショップ」を挙げていた。2010年代後半ごろから、短編映画、ミュージック・ビデオ(MV)、企業CF(CM、コマーシャルメッセージ)などの映像制作を開始した。2020年時点では、企業の映像広告制作を専門とする「(株)ブリッジインパクト(브리지임팩트、BRIDGE IMPACT)」の総括プロデューサーを務めていた[247]。2020年ごろに発表されたCFとしては、イタリアのファッションブランド「メトロシティ」[248]、ロッテグループ傘下の「ロッテショッピング」が手がけているeコマース部門「ロッテオン(LOTTE ON)」(出演:OH MY GIRL・スンヒ)[249]などがある。
その後は、韓国の大手芸能事務所「SMエンタテインメント」の「パフォーマンスディレクター(퍼포먼스디렉터)」として、SM所属歌手・グループのMV制作などを手がけている[250]。aespaの楽曲「Next Level」(2021年)のMV[251] では、パフォーマンスだけでなくカメラワークまで提案したとされており、他にはRIIZEの楽曲「Fly Up」(2025年)[252]なども手がけている。サ・ジウンは、アーティストのカムバック(新曲発表)初の音楽放送現場へ一緒に行き、ファンの反応などを研究することもしているようだ[253]。Red Velvetのミニアルバム「Queendom」(2021年)[254]、テヨン(少女時代)のアルバム「INVU」(2022年)[255]などでも、“Creative Director”として「사지웅」の名前を確認できる。
2024年9月19日には、媒体演技学科主催の「エンターテインメント分野卒業先輩特講(特別講義)(엔터테인먼트 분야 졸업선배 특강)」として、サ・ジウンによる「現実的な就職話と境界のない経験について」をテーマとした講義が、芸術文化館415号室で開催された[256]。媒体演技学科ホームページ内“Notice”欄では2025年9月29日付で、卒業生・卒業予定者を対象とする、SMの「パフォーマンスディレクティング担当者(퍼포먼스 디렉팅 담당자)」採用募集が掲載され[257]、おそらくサ・ジウンが縁だと思われる。
出身・在校芸能人
日本向けの書籍「韓国スター完全名鑑2023」(コスミック出版、2022年)では、出身校が建国大学「映画芸術学科」あるいは「映画科」の俳優として、以下の名前が書かれていた。
- 男優:アン・ジェホン(2005年入学)[258]、イ・ウォングン(2011年入学)[259][260]、イ・ジョンソク(2011年入学[258]、2016年卒業[261])、イ・ミンギ(2006年入学)[258]、オム・テグ(2004年入学)[262]、コ・ギョンピョ(2009年入学)[258]、ソン・ガン、ペ・ユラム(2005年入学)[263]、ホン・ジョンヒョン、 ミンホ(SHINee、2010年入学[264]、2015年卒業[265])、ユ・アイン(2010年入学)[258]。
- 女優:オム・ヒョンギョン(2008年入学)[266]、キム・ジョンウン(2009年入学)[258]、キム・ヘユン(2015年入学[267]、2019年卒業[268])、コン・ミンジョン、チェ・スビン(2014年入学)[258]、チャン・ヒジン(2012年入学)[269]、パク・ジュヒ(2006年入学)[270]、ファンウ・スルヘ(2010年入学)[258]、ペ・ドゥナ(2007年入学)[258]、ヘリ (Girl's Day)(2013年入学)、ホン・スア(2005年入学)[271]、リュ・ヘヨン(2010年入学)、ワン・ジヘ。
他の情報によれば、男優イ・ミンホ[258]、女優パク・ハンビョル[258]、男優クァク・ミンギュ(いずれも2006年入学)[272]、女優イ・ミソ、男優ユゴン、男優チョン・ウィチョル(いずれも2007年入学)[273]、男優カン・ギョンジュン(2008年入学)[266]、女優イ・ダヘ[274]、女優パク・イェヨン[275](いずれも2009年入学)、女優イ・ギヨン[276](2010年入学)、YouTuberペク・ジンギョン(백진경、イギリスに移住し、「名誉英国人(명예영국인 )」の別名で活動[277]、2010年入学[278])、女優ソウ、女性トロット歌手イ・ジャヨン(いずれも2011年入学)[279]、女優キム・ユミ(2012年「ミスコリア眞」受賞、当時は3学年・休学)[280]、女優ソン・セビン(2012年「親環境文化広報大使選抜大会ミスエコクイーン」受賞)[281]、男優キム・ミンソン(김민성)[282]、女優パク・イェジュ(いずれも2012年入学)[269]、女優コ・ジュヨン[283](2013年入学、子役出身)、女性アナウンサー:キム・ドヨン(김도연、2013年入学)[284]、女優アン・シウン(안시은、2014年入学)[285]、男優カン・テオ(2015年入学)[286]、男優パク・ソンホ、女優パク・シウ、女優ジウ(いずれも2016年入学)[287]、女優イ・ヨンウン(2021年入学)[288][289]なども出身者である。
K-POPアイドルグループメンバーを経験した出身者で、前述の「韓国スター完全名鑑2023」に書かれていなかった人物は、以下のとおりである。
- 男性:チャンミン(東方神起、慶熙大学校ポストモダン音楽科から2009年に転学)[258]、ソン・ドンウン(BEAST→HIGHLIGHT、2011年入学[290] 、のちに東国大学校演劇学部に転学し、2017年卒業[291])、JIN(防弾少年団(BTS)、2011年入学、2017年卒業[292])、JAY B(GOT7、国際サイバー大学校エンタテインメント学科に転学[293])、イ・スウン(Boys Republic、2015年入学[294])。
- 女性:パク・ウンジ(Nine Muses、2015年卒業[265])、キム・ヒョナ(4minute、2011年入学[279]、中退(ko:현아)、キム・ダソム(SISTAR、2013年入学)[295][296]、スビン(Dal★Shabet、2013年入学)[297][298]、ナヒョン(SONAMOO、2014年入学)[299]、ナヨン (TWICE)(2014年入学、長期休学中とされている)。
媒体演技学科の発足後では、キム・ガラム(LE SSERAFIMの結成当初メンバー)が2024年に[300][301]、キム・ウソク(FANTASY BOYS)が2025年に入学した[302]。2026年には、子役出身の女優パク・ミンハが入学した[303]。
古今東西の学校と同様に、有名芸能人が学生として在籍することは、建国大学にとって広告塔としての側面もある。2010年代前半ごろに制作された建国大学の広報映像では、当時に在校していた芸能人の出演を複数確認できる[304][305][306][307][308]。
ミンホ(SHINee)は、建国大学校師範大学付属高等学校、建国大学映画科、建国大学芸術デザイン大学院映画演技専攻と、高校から大学院まで一貫して建国大学の系列に在籍した。2013年12月に配布された「2014年建国大学定時募集案内」では、大学在学中だったミンホが表紙に登場した[309]。2017年5月16日には、学校広報大使活動を通じて建国大学を広く知らしめることに貢献したとして、ミン・サンギ(민상기)総長(当時)から功労牌(공로패)が授与された[310]。
大学院出身の芸能人
建国大学の大学院で2015年に設置された「映画演技MFA実技修士」は、韓国最初の映画演技修士課程として、教授と学生が1対1で演技指導を受けて、演技力を磨ける授業が行われた。ミンホ(SHINee)が1期生で、イ・ジョンソクが2016年入学の2期生だった[311]。
男優オム・テウンは2010年に建国大学の言論広報大学院・放送映像コンテンツ学科(언론홍보대학원 방송영상콘텐츠학과)[312]、男優チュウォンは2013年に同大学院の放送通信融合学科(방송통신융합학과)へ入学した。いずれも碩士課程で、入学時の学科名は異なるが、いずれも「放送映像専攻(방송영상전공)」と書かれていたので、実質的には同じ専攻である[313]。いずれも、建国大学に在籍したのは大学院のみである。
2011年に建国大学映画科へ入学した女性トロット歌手イ・ジャヨンは、大学院まで進学し、言論広報大学院では「TVプログラム(番組)に登場する大衆歌謡の特性に関する研究」論文で言論学碩士(2017年)、政策大学院では「国家災難と大衆歌謡の社会的機能に関する研究」論文で政策学博士学位(2022年)を取得した[314]。
2010年代前半以前における現役芸能人への入学優遇
2011年11月の情報では、当時の「建国大学校芸術文化大学芸術学部映画科」は、演出科製作専攻(연출과 제작전공)は内申(내신)30%、大学修学能力試験(修能、수능)70%。演技専攻(연기전공)は内申20%、修能30%、実技考査(실기고사)50%で選抜。定員は演出18名、演技8名と書かれていた[217]。
一方で、K-POPに詳しい日本人音楽ライターの酒井美絵子は、2011年の著書で、建国大学を含めた韓国の大学における、芸能人(予備軍を含む。韓国語では「芸能人」を意味する単語は「演芸人(연예인)」)のための学部・学科(演劇演技科、実用音楽科、演技放送科など)について、「推薦制度が充実していて、面接重視の大学が多いため、高校時代に勉強する時間のなかった芸能人にも入りやすい。大学には様々なオーディション情報が集まるので、オーディションを受けたり、練習生を目指したり、大学教授の推薦で仕事を紹介してもらうことなどが可能だ」と述べていた[315]。
実際、この当時では、芸能活動の特技を認められて大学に進学した芸能人が多かった。韓国では1994年から、大学入試の多様化によって、教科成績だけでなく、学生の素質、適性、特技、素養などを反映して選抜するとの趣旨で、「特例入学(특례입학)」の制度が導入された。韓国各地の大学では、放送演芸活動経歴に加算点を付与するなど、演芸特技者(芸能人)たちの入学を優待してきた[316]。
明知大学校、東国大学校、中央大学校、漢陽大学校、同徳女子大学校などでは、国内外の演劇・映画・ドラマ関連分野で個人賞を受賞したり、ドラマや映画に一定回数以上出演した俳優に対して、応募資格を得られる要項を設けていた。歌手の場合、アルバムを発表したことがあれば大学入学時に認められる。慶熙大学校ポストモダン音楽学科(포스트모던음악학과)には、チャンミン(東方神起、のちに建国大学映画科に転学)など、歌手の入学が多かった[317]。
建国大学の場合、2012年以前の入学では、「演芸特技者銓衡(연예특기자 전형)」(「演技優秀者特別銓衡(연기우수자 특별전형)」と表記した記事もある。「銓衡(전형)」は「選考」と同じ意味)[318])」という制度があった。選考方式は芸能経歴50%、面接50%で採点しており、入学試験の時点ですでに芸能活動実績が豊富だった人物が、学業成績を問われることなく入学することが可能だった[319]。これは実質的な一芸入試である。ペ・ドゥナ、イ・ミソ、ユゴン、チョン・ウィチョル[273]、キム・ジョンウン、イ・ダヘ、カン・ギョンジュン、オム・ヒョンギョン[266]、ユ・アイン、イ・ギヨン、ファンウ・スルヘ[276]などの俳優が、この選抜で合格した。
当時の建国大学には、「演芸人特別奨学金制度(연예인 특별 장학금 제도)」も存在していた。日曜新聞(일요신문)が2011年6月6日に配信した記事では、建国大学広報チームによる、「公認の賞を受けた演芸人だけを入学させる」「東国大学校、中央大学校など他校に比べ演芸・文化系専攻の後発組だった建国大学校は、特別奨学金制度のおかげで評判と知名度の面で大きな期待効果を示した」とのコメントが掲載されていた[320]。この奨学金は、初学期の授業料[321](450万ウォン)を全額支援した後、その後は半学期に15学点(학점、日本の大学における「単位」に相当)以上を履修し、学点(大学の成績評価値であるGPA)3.0以上などの条件を満たせば、4年間の全額奨学金を支給する制度だった。2011年には、女優ソウ、歌手キム・ヒョナ(4minute)が、演芸特技者銓衡の奨学生として入学した。
同時期には、韓国の複数の大学でも、世間への話題づくり、知名度向上を目的として、俳優、K-POPアイドルなどの現役芸能人を入学させるために、似たような奨学金制度が存在していた。他校の事例では、ク・ハラ(KARA)は、2011年に誠信女子大学校メディア映像演技学科(미디어영상연기학과)に入学し、「実技優秀奨学金(실기 우수 장학금)」として年間授業料の70%が免除されていた。BEAST(のちにHIGHLIGHT)メンバー4名(ヨン・ジュンヒョン、チャン・ヒョンスン、ユン・ドゥジュン、イ・ギグァン)は、2010年に東新大学校に入学し、授業料を4年間全額免除されていた。しかし2019年には、大学側が放送活動を出席として認めるなどの不正な優遇をしていたと韓国政府の教育部が認定し、BEASTメンバーを含む芸能人7名の単位と学位は取り消しとなった[322]。
芸能人学生の多くは高所得者である一方、仕事で多忙なため、授業など学校生活を十分にできていない事例が珍しくないにもかかわらず、一般学生に比べて過度な特恵を受けているとの批判があった。東亜日報が2011年に配信した記事によると、当時の建国大学では、一般学生はGPAで4.5満点中4.2以上を取らなければ、授業料が一部免除される成績奨学金をもらえなかった。なお、東国大学や中央大学のように演劇・映画関連の長い歴史を持つ大学は、芸能人に対する特別な奨学金は出していなかったようだ[323]。
2010年前後の韓国では、世界の先進国と比べて大学授業料が高額であるとの指摘が相次いでいた。2007年に漢陽大学校の李栄(イ・ヨン)教授が発表したデータによると、韓国の私立大学の平均的な授業料は7000万ドル(当時の為替レート換算)水準で、アメリカ1万8000ドル、オーストラリア1万3000ドルに比べると低いが、日本の5800ドルなどに比べると高い。韓国の国公立大学の授業料は3600ドルで、日本3700ドル、カナダ3300ドルに近い水準だが、ヨーロッパ(欧州)諸国の1000ドル以下などに比べると高かった。韓国私立大学の収入に対する授業料依存率は65.3%で、アメリカの約20%に比べて高い。韓国私立大学の1大学当たり平均積立金は260億ウォンで、アメリカの名門大学であるハーバード大学26兆ウォン、イェール大学15兆ウォンに比べて桁違いに少なかった[324]。
2011年のデータでは、経済協力開発機構(OECD)加盟42か国の中で、国公立大学の学部と大学院の授業料は、韓国が年間570万ウォンで、アメリカの680万ウォンに次いで2番目に高い。韓国の公的な奨学金の割合は教育費全体の6%に過ぎず、OECD平均の半分程度とされていた[325]。現役芸能人に対して奨学金を出して優遇することには、こうした観点からも批判されていた。
建国大学の場合、演芸特技者銓衡による入学枠は限られていたことから、この枠を使った合格は狭き門だったことには留意してほしい。女優キム・ジョンウン(2009年時点で35歳)、イ・ダヘ(2009年時点で24歳)が入学した2009年度の場合、競争率24倍だった[274]。2011年に演芸特技者枠で入学したのは、女優ソウ(2011年時点で26歳)、歌手キム・ヒョナ(4minute、2011年時点で19歳)、女性トロット歌手イ・ジャヨン(2011年時点で53歳)の3名で、競争率15.33倍だった[326]。最後の演芸特技者銓衡となった2012年度入学の選考では、3名が選ばれ、その一人が女優チャン・ヒジン(2012年時点で29歳)だった[269]。2012年度入学では、「芸術文化大学芸術学部(映画銓衡-演技)(예술문화대학 예술학부(영화전공-연기))」における演芸特技者銓衡は募集人員3名に対して、志願49名、競争率16.33倍だった。一方で、演技専攻一般銓衡(연기전공일반전형)は、募集人員10名、志願1968名、競争率196.8倍[327]と高かったので、一般受験者に比べれば芸能人経験者は優遇されていたのは事実だろう。
建国大学の演芸特技者銓衡で合格した芸能人は、高校卒業年齢から何年も経過していた俳優・歌手の社会人入学が珍しくなかったのが特徴である。キム・ジョンウンの場合、過去に建国大学の忠州キャンパス(現:グローカルキャンパス)を中退していた[328]。
演芸特技者銓衡が存在していた時期でも、ミンホ(SHINee、2010年入学)[329]、ソン・ドンウン(BEAST、2011年入学)[290]など、大学入学時点ですでにK-POPアイドルグループメンバーとしてデビューしていた者が、定時募集(정시모집)すなわち一般銓衡で合格したことが、当時のインターネットニュースで報道されている。特例枠・一般枠の両方を使って、芸能人経験者を相次いで入学させていたのが実態である。
演技など芸能系学科は、芸能界の仕事で役立つ知識を教えることを使命としているので、芸能人経験者が学業成績を問われずに入学することは、必ずしも非合理とは言い切れない。しかし、建国大学では、2013年度入学の募集からは、演芸特技者銓衡を廃止して、芸能人も一般の受験生と同様に実技試験を受けさせることが2011年11月に発表された。一般受験生との公平性を保つことや、韓国政府の教育科学技術部(当時)から選考方式を簡素化するよう求めた指示などが影響していた。
他校の事例では、同時期の東国大学校演技学部(연극학부)には、「演技才能優秀者銓衡(연기재능우수자전형)」(「専攻才能優秀者銓衡(전공재능우수자 전형)」 と表記していた場合もある)という、建国大学などと同様の、芸能人に対する特例入学制度があった。K-POPアイドルグループメンバー経験者では、ユナ (少女時代)、ソネ(Wonder Girls)(いずれも2009年入学)[330]、ソヒョン(少女時代、2010年入学)[331]、ソンミ(Wonder Girls)、ホ・ガユン(4minute、いずれも2011年入学)[332]などが、この制度を使って入学した。2011年11月17日に中央日報が配信した記事では、東国大学関係者のコメントとして、芸能人入学生の頻繁な休学・除籍が繰り返されたため、学科側から今後は採用しないようにとの要請があり、廃止の可否は来春に決定すると書かれていた[319]。もっとも、この記事が配信された2011年では、日本などでK-POPブームが盛り上がり、前述したメンバーが所属していたグループの多くが日本などで活動する機会が多かったことも、休学・除籍の背景だったと思われる。
漢陽大学校では、芸能人が来ても卒業率が10%に満たないこと。一般銓衡で入学し、きちんと教育を受けた学生たちは勉強も演技も上手であること。祝祭(大学祭)で芸能人の招聘が容易になること以外、特例入学で大学が得る利益は無いなどの理由から、2010年代初頭ごろから芸能人特例は廃止して、一般学生が実技を通じて応募できる「特技者銓衡」を導入するようになった[333]。
2012年9月27日に韓国大学新聞(한국대학신문)が配信した記事によれば、建国大学映画科の2013年度入学の募集で導入された制度「芸体能優秀者銓衡-演技一般(예체능우수자전형-연기일반)」では、第1段階の実技試験選考では、志願者が自身の演技、歌、演奏、ダンスなどの素質を示す自由演技の成績を評価し、募集人員の10倍である140名を選抜する。第2段階の実技試験選考では、自由演技成績(70%)と学生簿(30%)を反映し、最終合格者を選抜するとされていた。大学修学能力試験の最低学力基準は適用しない。2013年度募集では、定員14名に対し1768名が志願し、競争倍率126.29倍だった。建国大学の関係者は「今年の入試では有名ガールグループ(걸그룹、女性K-POPアイドルグループ)メンバーや既存スター級俳優なども一般受験生と同じ条件で実技試験を受けている」と説明していた[334]。
「学生簿」は、「学生生活記録簿」の略称である。学生簿選考は国語、数学、英語のような授業科目の習熟度を評価する教科型と、授業科目以外の活動を評価する非教科型があり[335]、日本の推薦入学に近い。
建国大学映画科の2013年度入学では結果的に、当時の女性K-POPアイドルグループで現役メンバーだったヘリ (Girl's Day)、スビン(Dal★Shabet)が最終合格した[336]。この時には、韓国のインターネットニュースサイト「mydaily」記者チェ・ジエが、「彼女らは、全て芸能特技者典型ではなく、一般典型で合格したものの、実技の点数が大きな割合を占める学科の特性上、これまでの芸能活動が他の受験者に比べてプラス要因として働いたことは否定できない」と論評していた[337]。ヘリは、大学入学直前の2012年にSBSテレビで放送されたドラマ「おいしい人生(맛있는 인생)」で女優デビューしていた。スビンは、後年に自身で作詞・作曲した楽曲を発表するなど、多才な人物である。スビンは、建国大学に合格した直後の2012年11月に配信されたインタビューで、芸能活動と受験準備を並行させるのが大変だったとの趣旨の発言をしていた[338]。
2014年10月13日に韓国大学新聞が配信した記事では、最近では韓国各地の大学で、芸能人特例の廃止が相次ぐ傾向であること。1998年に新設され、H.O.T.、Sechs Kies、Fin.K.L、Baby V.O.X、神話など、1990年代後半ごろにデビューした第1世代K-POPアイドルグループメンバーを積極的に入学させていた京畿大学校の多重媒体映像学部(다중매체영상학부)[339]、同じく1998年に新設された同徳女子大学校の放送芸能科(방송연예과)なども、その後は芸能人募集に消極的になったと書かれていた。キム・ホソプ(김호섭)建国大学広報室長(当時)は、「実際に宣伝効果があるのは一般入試で入学した芸能人」「当大学にはSHINeeミンホが2010年に定時入学し、学校イメージが向上した」「特例入学は厄介者だ。批判世論が高まり学校宣伝には役立たない。大学界で特例が消えつつあるのはそのためだ」と述べていた。建国大学は、2010年に芸能特技者銓衡で入学したガールグループメンバー(おそらく4minuteキム・ヒョナ?)に4年間の奨学金特典を提供するとしたが、当該メンバーは2014年7月に休学し、大学生より歌手として生きたい意向を表明したため、建国大学は面目を失ったとも書かれていた[333]。
2015年3月22日に建国大学は、「教育の充実と学問競争力強化」を前面に掲げて、類似した専攻10個を統合する内容の学事構造調整を実施し、2016年入試から映画学科と映像学科を統合すると発表した。大学側は、映画学科の学生たちの「低い就職率」を学科統廃合の根拠に挙げた。 4大保険(国民年金、国民健康保険、雇用保険、産業災害補償保険[340])が適用される職場に就職しなければ、大学評価の主要指標である就職率に反映されないという理由である。これに対して、当時の在校生が中心となって「映画学科非常対策委員会」を結成し、決起集会、24時間リレーハンスト座り込み、授業ボイコットなどの反対運動を実施した。ミンホ、コ・ギョンピョ、シン・ジュファン、ヘリ (Girl's Day)、チェ・スビンなど、当時の在校あるいは出身者だけでなく、当時は大学進学年齢には達していなかった子役出身の女優キム・ユジョンも、手書きのメッセージを記したプラカードを持った画像をSNSに投稿する「1人示威」運動に参加した[341][342][343]。大学側は、これまで通り演技、監督、映像など多様なカリキュラムを運営し続けると説明していた[344]。
結果的に統合は実施され、「映画・アニメーション学科」が発足し、2018年には「映像映画学科」に改称された。2016年度入学での専攻別の定員は、アニメーション30名、演出15名、演技15名だった[345]。この出来事からは、2015年ごろの建国大学経営陣が、芸能人が入学するための受け皿としての性格が強かった映画学科に対して冷淡になった可能性が推測できる。男優パク・ソンホ、女優パク・シウ、女優ジウなどが入学した2016年度における映画・アニメーション学科の芸体能優秀者銓衡には、1496人が志願し、競争率99.73倍だった[287]。
21世紀初頭ごろのK-POPアイドルグループメンバーが、大学に進学した事例が珍しくないのは、韓国では学歴が重視されるため、芸能活動をするとしても大学を卒業しておいたほうがいいと考えられる傾向。韓国には徴兵制があるため、男性タレントの場合は学業を理由に軍に入るのを遅らせるなどの目的も理由とされている。他の大学では、芸能人と大学関係者が癒着して、裏口入学や不正な卒業が発覚した事例がたびたびある[346]。ダンス系アイドルグループのメンバーは、たいていの場合、年齢が10~20歳代ごろの時期しかできない事例が多いので、年を重ねても続けることが可能な職業である俳優になるための職業訓練として、大学の演技系学科に進学するという思惑もあると思われる。
2010年代後半~20年代ごろになると、K-POP界全体の傾向として、大学に進学せずに音楽活動に集中する事例が増えていると指摘する報道が相次いだ[347]。学閥に対する先入観がぼやけ、K-POPの地位が高まり、活動適齢期に国内外で認知度を高めるほうが有利だと判断するアイドルが増えたこと。大学に進学したとしてもスケジュールが忙しいので学生生活が難しい。海外活動が増え、新曲発表の周期も短くなり、学業に集中する余力が無いなどの要因が挙げられている[348]。それでも、どちらかと言えば女性に比べると男性グループメンバーのほうが、兵役を遅らせることを目的に大学進学をする事例は多い傾向は変わっていないようだ[349]。同時期には、芸能人が大学に進学する場合でも、時間や空間に縛られることなくインターネットを通じて授業を受けることができる大学通信教育「サイバー大学」に入学する事例も増加している[350]。
2010年代前半ごろは多かった、K-POPアイドルグループメンバー経験者による建国大学への入学は、2013年度入学から演芸特技者銓衡が廃止されたこと、2016年に実施された映画学科・映像学科の統合、K-POP界全体における大学進学への意識変化などが複合的に作用したのか、2010年代後半ごろになると激減した。2024年発足の媒体演技学科に入学したK-POPアイドル経験者では、キム・ガラムの場合は大学入学前の時点で、所属グループだったLE SSERAFIMを脱退していた。キム・ウソクの場合、所属グループFANTASY BOYSは、同時期の男性グループの中では、人気はそれほど高くない。
2020年代ごろの入学試験
建国大学は、2024年に映像映画学科を再分割して、映像学科と媒体演技学科を発足させた。
2020年代ごろになると、建国大学の「芸体能優秀者銓衡-演技一般」は「KU演技優秀者(KU연기우수자)」と改称された。スポーツ選手に対しては「KU体育特技者(KU체육특기자)」[351]と称しており、これは日本の「スポーツ推薦」に相当する。演技優秀者や体育特技者については、一般的な入試で入学する学生とは、選考方法や難易度が異なる性質である。
韓国の大学入試は、大きく分けて随時募集と定時募集がある。媒体演技学科は随時募集である。媒体演技学科の入試における選考方法は、2023年秋に実施された試験(24年度入学)では、1次では非対面で学生簿100%(定員の25倍数を選抜)、国語、英語85%+進路選択科目15%、進路選択科目は国語、英語、数学。社会達成度上位3科目。2次では実技試験、自由演技(3分以内、練習時間30分以内)だった[352]。K-POPグループメンバー経験者では、キム・ガラム(元LE SSERAFIM、2024年入学)、キム・ウソク(FANTASY BOYS、2025年入学)が、この選考方法のもとで入学した。
キム・ガラムの場合、彼女が通っていたソウル公演芸術高等学校の演劇映画科演劇専攻では、他に2人も同時に媒体演技学科へ最終合格したとの情報がある[353]。芸術高校に通っていた学生が、大学の演技学科に進学する事例は珍しくないと思われる[354]。ガラムについては、ソウル市内にある演技の私塾「イアンアクターズ演技学院(이안 액터스 연기학원)」[355]にも通っていたとの情報もある[356]。大学受験における演技の実技試験に合格することを目指している私塾は、韓国に複数存在している。これらの塾がYouTube動画で公開している宣伝動画に、合格者が登場した事例はいくつもある[357]。建国大学の映画学科~映像映画学科出身の女優キム・ヘユンが2015年度入試で合格した直後の2014年11月には、彼女が通っていた演技塾「ティアイ入試演技アカデミー(티아이입시연기아카데미)」が、本人の合格インタビュー動画をYouTubeで公開した[267]。
2025年秋に実施された試験(26年度入学)では、1段階は実技(非対面)100%(定員の10倍数を選抜)、非対面の映像提出(2分以内)。2段階では実技(対面)70%(自由演技3分以内)+学生簿(教科定量20%)+学生簿(出欠定量)10%、学生簿反映比率は国語(50%)、英語(50%)に変更され、実技を重視する選考方法となった。
2023年度以前の映像映画学科・演技専攻では定員15名だったが、媒体演技学科に改称された2024年度の入学からは25名に増えた[358]。韓国の大学では、外国人、在外同胞、農漁村学生、特殊教育対象者、北朝鮮離脱住民(脱北者)とその子などは「定員外(정원외)」として入学できる枠がある。2025年の新入生では、媒体演技学科は定員内(정원내)25名+定員外12名=計37名、映像学科は定員内35名+定員外5名=40名だった。定員内に限った競争率は、媒体演技学科43.6倍、映像学科12.6倍だった。芸術デザイン大学全体の競争率は15.4倍だったことと比べれば、媒体演技学科の競争率が最も高い[359]。
媒体演技学科の入試は、2027年度入学でも再び変更される予定だ。「演出優秀者銓衡(연출 우수자 전형)」として、10人を募集する。これは、普段のシナリオや作品構成に関心がある学生を対象とする。1段階では書類評価100%で募集人員の10倍数を選抜し、2段階では、実技試験が3時間で、志願者のストーリー構成能力を集中的に評価する。一方で、演技優秀者の入学枠は、これまでの25人から15人に減らされ、1段階では学生簿のカリキュラム100%、2段階では対面で自由演技と特技実演を100%で最終合格者を選別する[360]。
映像学科の場合、定員は2024年入学時点で35名だった。映像学科の入学試験は、映像制作のみを専門とする学科であることから、媒体演技学科とは選考方法が大きく異なっている。合計1000点のうち、修能600点、実技400点が反映される[361]。実技試験は、画用紙に指定されたイメージを描く内容で[362][363]、美術大学における絵画系学科の試験に近い。
卒業条件・卒業後の進路
2021年に「シネ21」が配信した記事では、「建国大映像映画学科(当時)は卒業が難しいことで有名だ」「卒業希望者は、こうして製作された卒業作品を、卒業作品審査委員会に提出しなければならず、審査委員の評価で平均点数である70点以上を得れば卒業することができる」と書かれていた[364][365]。女優キム・ヘユンの場合、卒業作品として、自ら脚本・監督を務めた、「宅配便を装った犯罪」をテーマとしたスリラージャンルの短編映画を製作したとインタビューで述べていた[366]。
学科の公式ホームページでは、卒業後の進路として、媒体演技学科は、俳優(演技者)、創作者(監督、演出、作家など)、企画者(製作者、プロデューサーなど)、スタッフ(美術、技術など)、教育者(教授、講師など)、エンターテインメント(国内外の投資配給・制作会社、国内外のマネジメント、国内外のキャスティングディレクターなど)[367]。映像学科は、映像デザイン、映画、アニメーション、ゲームコンテンツ企画および開発者、視覚効果(VFX) 専門家などを挙げている[368]。
関連施設・イベント

学科が存在している芸術デザイン大学の学舎は、ソウルキャンパスの北西側に位置し、陵洞路に面した、外壁がカラフルな「芸術文化館(예술문화관)」である[369][370][371]。芸術文化館の建物は、2005年9月9日に着工され、2007年に完成した。地下3階、地上9階建て、延べ面積6360坪である。計画段階では、「次世代の国家競争力を導く文化産業育成のための教育インフラを構築し、映画や映像芸術活動が活発に行える文化交流の場として活用」との謳い文句だった[372]。
2016年の情報では、映画・アニメーション学科の教授だったソン・ナグォン(송낙원、2026年時点でも媒体演技学科の教授[373])が、「韓国映画振興委員会と同じレベルの録音室がある。10億ウォン程度の低予算映画を撮影できる装備と設備を備えている」と述べていた[374]。
芸術文化館の1階には映画館「KUシネマテーク(시네마테크)」[375][376]がある。もともと講堂だった施設を利用して映画館となった[377]。2011年3月17日に開館した。開館当時の収容人数は152席で、上映前の広告は無いのが特徴である[378]。国内外の独立映画、芸術映画を中心に上映している。観客は、建国大学の学生よりも、地域住民と江南圏住民のほうが多い傾向のようだ[379]。学生など大学関係者は割引価格で鑑賞できる[380][381]。
学生たちが製作した映画作品の上映会も、KUシネマテークでたびたび開催されている。例えば2025年では、6月19日に映像学科が主催した「第2回建大映像祭(제2회 건대 영상제)」[382]、6月20日に媒体演技学科が主催した「第2回KUフレーム映画祭(제2회 KU 프레임 영화제)」[383][384]、12月5~7日に「第10回 建国大学校媒体演技学科卒業映画上映会(제10회 건국대학교 매체연기학과 졸업영화상영회)」[385][386][387]が開催された。
2024年9月26日には、大学の先輩である女優キム・ヘユンによる、媒体演技学科の学生に対する「エンタテンメント(演技)分野卒業先輩特講(엔터테인먼트(연기) 분야 졸업선배 특강)」と題した講演が、KUシネマテークで開催された[256][388]。建国大学助教授でもある男優ユ・ジテは、2025年1月11日にKUシネマテークで、「ユ·ジテと共に独立映画を見る」25回目の招待イベントを開催した[389]。
映像作品
2007年には、建国大学映像アニメーション専攻の学生たちが、女性ソロ歌手ユンナの楽曲「꼬마(コマ/ちびっ子)-I cry」のミュージックビデオを、モンタージュ形式のアニメーションとして製作し、ユンナにプレゼントした[390]。
YouTubeの建国大学公式チャンネルでは、冒頭に“KUFLIX”と題した映像作品がたまに配信されてきた。具体的な製作・出演者については不明な点が多いが、これは映像映画学科・媒体演技学科の関係者が制作したものである可能性が高いと思われる。建国大学の春の祝祭で、媒体演技学科が実施している映画上映会のタイトルは、同じく「KUFLIX」である[391]。
例えば、2023年2月には「建大ワールド ゾンビでも大丈夫([건대 웹드] 좀비라도 괜찮아)」と題した、ゾンビが建国大学に入学するというコメディ設定のドラマが3回に分けて配信された。
2025年2月17日に配信された「クリエイターゲームに参加してください。クリエイター12期募集(쿠리에이터 게임에 참여하세요 | 쿠리에이터 12기 모집)」は、世界的ヒットとなったドラマ「イカゲーム」のパロディである。
映像・演技系以外の学科出身芸能人
女優キム・ヨンナンは1956年生まれで、1976年に東洋放送公開採用17期タレントとして芸能界に入り、家庭大学・衣装学科(当時)を中退した。その後は長期にわたり活躍を続けたベテラン女優となった[392]。
女優チョン・スジンは、グローカルキャンパスの広告映像デザイン学科(광고영상디자인학과)出身である。デザインが自身に合っているのか悩んでいた頃、大学4年生でモデルの仕事をはじめ、事務所に所属しながら本格的に演技を学んだ[393]。
女優ペ・ユンギョンは[394]、芸術デザイン大学・衣装デザイン学科へ2012年に入学した。雑誌「大学明日(대학내일)」は、ソウルの名門大学を中心に無料配布されている雑誌で、ルックスが良い現役大学生が表紙モデルを務め、表紙に起用された学生が芸能人として活躍するケースも少なくない[395]。ユンギョンは、2014年12月号の表紙モデル[396][397]を務めた直後は、芸能界関係者からオファーが相次いだが、両親の反対を理由に断ったようだ。2016年1月には、韓国で衣料品などを手がけている大手企業「イーランドグループ」に就職したが、直後に大学の同期によるシューズブランドの立ち上げ準備に参加し、靴のデザイナーとなった。これらは長続きせず、結果的には2017年に女優デビューした[398]。
女優ホン・ファヨンは[399][400][401]、師範大学・教育工学科へ2017年に入学し、当初は教師志望だった[402]。兄が知的障害で、家族にも教育者がいたことが教師を目指した動機で、大学時代には教育実習も終え、教員免許を取得したとされている[403]。大学入学直後の2017年に、20期目の学生弘報大使に選ばれた[404]。学生弘報大使の公式ブログで、ファヨンが2018年ごろに書いた記事を複数確認できる[405][406]。芸能事務所「BHエンターテインメント」の新人育成チームにキャスティング(캐스팅、スカウト)され、2021年1月に第4回新人俳優オーディションに合格した(正式な専属契約は2022年8月)[407][408]。2022年2月に建国大学を卒業した[409][410]。
男性シンガーソングライターのmaji(마지、本名:マ・ジヒョン、마지형)は、2015年に工科大学・コンピューター工学科へ入学し、その後に文科大学・国語国文学科へ転学した。大学在学中の2019年に歌手デビューし、音楽活動による休学が多かったので、卒業は入学から10年後の2025年だった[411]。
女性シンガーソングライターのHANRORO(ハンロロ、本名:ハン・ジス、한지수)は、2019年に文科大学・国語国文学科へ入学し、2022年に歌手デビューした。HANROROの楽曲「入春(입춘、Let Me Love My Youth)」[412][413]は、2023年の韓国大衆音楽賞で最優秀モダンロック曲の候補にノミネートされた[414]。TOMORROW X TOGETHERのアルバム「The Name Chapter: FREEFALL」(2023年)収録曲「Skipping Stones」[415]、テヨン(少女時代)のミニアルバム「Letter To Myself」(2024年)収録曲「Blue Eyes」で、HANROROは作詞を手がけた[416]。2025年9月30日~10月1日に建国大学ソウルキャンパスで開催された秋の祝祭「Fall in KONKUK」におけるコンサートでは、HANROROも出演した[417][418]。
映像作品の撮影地として使用された事例
- バラエティ・リアリティ番組
チョン・ニコル(KARA)は、2009~10年にMnetで放送されたリアリティ番組「愉快なニコルの獣医学概論」に出演し、建国大学校・獣医科大学獣医学科、漢陽大学校・舞踊科、中央大学校・新聞放送学科、ソウル大学校・衣類学科の4つで、聴講生(청강생)になるための面接を受け[420]、結果的に合格できたのが建国大学だった。2009年11月初週から、1週間に2日ずつキャンパスに来て、獣医学科の授業を聞いていた。当時のニコルは、ホームスクーリングで高校授業のコースも履修していた[421]。「愉快なニコルの獣医学概論」は、日本向けに発売されたDVD「KARAFULL DVD-BOX」(2010年)の「Disc2」に収録されている[422][423]。
2014年8月20日にKBS第2テレビジョン(KBS 2TV)で放送された番組「ビタミン」では、ギュリ(KARA)の肌を、建国大学校病院の皮膚科が測定し、肌年齢が10代後半と判定された[424]。
- ドラマ
建国大学校病院は、SBS「外科医ポン・ダルヒ」(放送:2007年)[425]、SBS「産婦人科」(放送:2010年)[426]、JTBC「ライフ」(放送:2018年)[427][428][429]などのテレビドラマで、ロケ地として使用された。
tvNドラマ「2度目の二十歳」(放送:2015年)[430]、「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」(放送:2016~17年)では、ソウルキャンパスがロケ地として使用された[431]。
CJ ENM Studio DIAが2019年に配信したウェブドラマ「アルランマルラン(알랑말랑)」[432][433]でも、ソウルキャンパスがロケ地で、建国大学映画科のOBである男優キム・ミンソン、女優パク・シウも出演した[434]。
学生弘報大使
韓国の各大学では、現役学生の中から選抜された「学生弘報大使(학생홍보대사、「弘報(홍보)」は「広報」と同じ意味、Student Ambassador)」の制度がある。建国大学の場合、学生弘報大使は「건우건희(コンウゴニ)」とも呼ばれている[435][436][437][438]。「건우」は「男性大使」、「건희」は「女性大使」を意味している。1998年12月から開始された。新入生の中から毎年12名程度の学生が選ばれ、任期は2年間。中高生向けキャンパスツアー、広報ニュースレター、メディアや放送への出演、オンラインSNSプロモーション[439]などの活動をしている。大使になると、「弘報大使奉仕費(홍보대사 봉사비)」の金銭が支給され、個人用の制服、名刺、名札も支給される。期間中は学校の広報モデルとして写真撮影の機会が与えられ、2年間の任期を終えると経歴証明書が発行される[440]。
日本との関係
学術交流協定校
建国大学は、2025年4月時点で66か国の490の“universities(総合大学)”および“institutions”[441]と交流するグローバルネットワークを持っている。日本とは、以下の大学と交流している(2026年1月時点)[442]。
上記以外では、びわこ成蹊スポーツ大学が2024年9月に、国際交流に関する協定を締結した[443]。静岡大学グローバル共創科学部は2025年8月に、建国大学の生命科学部と部局間協定を締結した[444]。西九州大学グループは、建国大学の分校であるグローカルキャンパスとの大学間協定を2015年6月に締結した[445]。
日本共産党との関係
日本共産党の委員長を務めた志位和夫の著書「戦争か平和か―歴史の岐路と日本共産党」(2014年10月、新日本出版社)は、韓国語版が2015年に建国大学出版部から刊行された。翻訳者は、東京大学大学院総合文化研究科の客員研究員だった洪相鉉(ホン・サンヒョン)が務めた[446] 。志位は、2015年10月23日に建国大学ソウルキャンパスで「戦後70年 北東アジアの平和―歴史をふまえ未来を展望する」と題した講演を実施した。講演会では冒頭、李良燮(イ・ヤンソプ)建国大学行政対外副総長が、公務で欠席した宋熹永(ソン・ヒヨン)総長の祝辞を代読した[447]。志位は、建国大学KU中国研究院の丁相基(チョン・サンギ)硯座教授、韓仁熙(ハン・インヒ)同研究院院長との座談会にも出席した[448]。志位の訪韓は、韓国マスコミ各社でも紹介された。朝鮮日報のインタビュー記事では、日本共産党が党創設の時から侵略戦争や植民地支配に反対してきたことや、北朝鮮の朝鮮労働党との関係が断絶していることなどを報じたようだ[449] 。なお、志位は2006年から韓国をたびたび訪問しており、2014年には高麗大学校を訪問していた[450][451]。
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の編集長を務めた小木曽陽司は、2018年3月に建国大学の招待を受けて訪韓し、韓仁熙などの関係者と交流した[452]。赤旗編集局が編著を務めた書籍「語り継ぐ 日本の侵略と植民地支配」が2017年に、KU中国研究院の「海外名著翻訳叢書(そうしょ)」の初回として、8月に錠漢書房から出版された。同書の「推薦の言葉」を書いた韓仁煕は、歴史的観点で北東アジアを貫通する胸を痛めるキーワード、それは「日本の侵略問題」によるアジア人の傷である、しかし、日本の現政権はまだ謝罪や反省をする意思がなく、むしろ厚顔無恥な態度を見せている、そのなかでこの本は、「日本人によって日本のアジア侵略問題を追跡したということで大きな意味」があり、「十分読む価値がある」と述べていた[453]。同じく赤旗編集局の「戦争の真実―証言が示す改憲勢力の歴史偽造」は、2019年に同叢書として出版され、これも韓仁熙が「推薦のことば」を寄せていた(いずれも肩書は当時)[454]。
これらの情報から推測すれば、2010年代ごろにおける建国大学と共産党との関係は、韓仁熙[455]を中心に形成されていた可能性が高いと思われる。
サッカーJリーグに所属した選手
モンテディオ山形、サンフレッチェ広島などに所属した金範容(キム・ボムヨン)、ファジアーノ岡山に所属した崔程援、カマタマーレ讃岐に2026年から加入するイ・ギサン[456]などは、日本のJリーグに所属した、建国大学出身のサッカー選手である。
創業支援
祝祭
韓国の大学では、日本の学園祭に相当する祝祭(축제)が毎年開催されるのが慣例である。大学の祝祭は、「みんなで一つになる」という意味から「大同祭(대동제)」と呼ばれることが多く[461]、建国大学でも同様である[462]。
有名な大学には、人気K-POP歌手・グループが招待され、コンサートをすることが多い。建国大学ソウルキャンパスの場合、春の祝祭におけるコンサートは、2025年5月20~22日では、aespa、ITZY、PSYなど計10組が出演した[463][464]。祝祭に出演した歌手・グループの映像は、YouTubeの「ABS建国大学校学園放送局(건국대학교 학원방송국)」アカウントなどで視聴できる[465]。こうしたコンサートは、一鑑湖の北東側に位置している「露天劇場(노천극장)」で開催されることが多い[466]。
建国大学では秋の祝祭もあり、2025年9月30日~10月1日にはソウルキャンパスで「Fall in KONKUK」が開催された[467]。2024年以前には、秋の祝祭は「誠信義芸術祭(성신의 예술제)」として、追悼と祝祭の性格が統合されて開催されてきたが、両方の性格を生かすのは無理があったとの総学生会(총학생회)の方針から、2025年からは大同祭「Fall in KONKUK」と、10月28日の追悼記念祭(추모 기념제)に分割する方針になった[417]。
グローカルキャンパスでも祝祭が開催されている。開校記念日に開催される「丹月大同祭(단월대동제)」と、10月に開催される「誠信義芸術祭」である[468]。
2025年の報道によれば、建国大学を含む韓国各地の大学における祝祭のコンサートでは、芸能人の渉外費用は年間総額1~3億ウォン、歌手1チームあたり1~3千万ウォン程度が相場とされている[469]。祝祭コンサートに参加するために、中古取引プラットフォーム、ソーシャル·ネットワーキング·サービス(SNS)で、学生証や学校ホームページのIDなどを譲渡するという書き込みが頻繁に掲載されている。多くの大学では、外部人の参加を阻んでいるが、学生証などを盗用したり学生情報を取り引きする行為、闇チケットの取引が毎年繰り返されている。また、来場者の安全管理にも悩まされているようだ[470]。
