転宅
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さる大店の主人が囲っている妾宅。旦那が妾のお梅に大金を預けて帰宅後、その金を狙って泥棒の男が入る。しかし、男は間抜けで、膳の残りを見つけると呑気に食べ始め、お梅に見つかってしまう。彼女は慌てることなく、平然と接し、実は自分も泥棒の仲間だと明かす。この家の旦那を騙して金目のものを奪うつもりであったので、いい機会だから家のものを叩き売って今すぐここから一緒に逃げようとお梅は提案するが、泥棒は騙されるどころかすっかり女に惚れ込んでしまい、どうせ自分たちしかいないのだから今夜はここに泊まろうとまで言い始める。そこでお梅は2階に旦那の友人たち(もしくは腕の立つ用心棒)がいると脅し、泥棒をすぐに家から去らせるように誘導する。そして、お梅は約束の証として紙入れ(財布)も奪った上で明日、家が留守になったら、その合図として外に出しているタライを片付けるから、それを見て家に入ってきなさいと言う。すっかりその気になった泥棒は明日を楽しみにして家を出る。
翌日。家にやってくるが約束のタライは出しっぱなしになっている。仕方なく近所をうろつき様子を伺うが、タライが仕舞われる気配はない。仕方なしに泥棒はお梅の親戚を名乗って近所の家の者から話を聞こうとする。家の者は泥棒をまったく疑わずに、昨夜とても面白いことがあったとして話し始める。それは昨夜、お梅の家に間抜けな泥棒が入るが、聡明な彼女は上手く泥棒を騙し、追い返したという話であった。すぐに帰ろうとしないからお梅は咄嗟に2階に人がいると嘘をついたが、泥棒はここが平屋であることにも気づかず、最後は金まで巻き上げた、と笑いながら家の主は話すが、泥棒はそれが自分の話だとはまったく気が付かない。最後に泥棒は、お梅さんはどうなったのかと問うと、本当に泥棒が戻ってきたら怖いから避難のために早朝に引っ越した(転宅)と教えられる。それを聞いた泥棒は言った。
「えっ、転宅(洗濯)? どうりでタライが出てるわけだ」