サラ・シドンズの肖像
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| 英語: Portrait of Sarah Siddons | |
| 作者 | トマス・ゲインズバラ |
|---|---|
| 製作年 | 1785年 |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 126 cm × 99.5 cm (50 in × 39.2 in) |
| 所蔵 | ナショナル・ギャラリー、ロンドン |
『サラ・シドンズの肖像』(サラ・シドンズのしょうぞう、英: Portrait of Sarah Siddons)、または『シドンズ夫人』(シドンズふじん、英: Mrs Siddons)は、18世紀イギリスの巨匠トマス・ゲインズバラが1785年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。劇団一家であったケンブル家出身の女優で、当時のイギリス演劇界を牽引していた悲劇女優サラ・シドンズを描いている[1][2]。作品は1862年に購入されて以来、ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている[1]。

サラ・シドンズは、18世紀後半の偉大な女優であった。18歳の時に、俳優のウィリアム・シドンズ (William Siddons) と結婚し、以降、女優としては「シドンズ夫人」として知られ、しばしばジョシュア・レノルズやトーマス・ローレンスなどの画家たちによって肖像画に描かれた。ほかの肖像画で、彼女は役の姿で表されているが、本作で彼女は18世紀に流行した衣装で表されている[1]。
彼女が被っているのはリボンとダチョウの羽根が付いた黒色のビーバー帽で、1785年ごろにゲインズバラが描いたほかの婦人たちも被っているような帽子である。シドンズ夫人は腰の部分で青色のサッシュで結わえられた青色の縞模様のガウンを纏っているが、忙しい女優にとってこのガウンを着たり脱いだりするのは比較的楽であったと思われる。黄色の外套はキツネの毛皮で縁取りされている。夫人は、手にもキツネの毛皮のマフを持っている[1]。
ゲインズバラは、本作で彼女を非常な闊達さで描いている。肖像画は対角線を基調にしており、画面半分はダイナミックに配置された衣服の細部が占め、彼女の波乱に富んだ人生を示唆している。画面の残り半分は色彩が乏しく、特に事物も見えない。大きな黒色の帽子が、劇場のカーテンを想起させる背景の赤色のカーテンを背に際立っている。本作は、ゲインズバラの最も近代的な肖像画のうちの1つである。画家は、衣服の冷たい青色の色調をショールの黄色、毛皮のマフの茶色、カーテンの赤色と大胆に対照させている。この補色の使用は光と陰の描写と相まって、サラ・シドンズの強い性格を浮き彫りにするのに役立っている[3]。
歴史
おそらくゲインズバラは1785年の初め、シドンズ夫人の30歳の誕生日前に本作の制作を開始した。彼女は尊大な身振りで知られており、高い地位の女性のように人を見、歩き、動くといわれていたが、この肖像画が描かれた当時、自身の最も重要な役となったマクベス夫人を演じていた[1]。
レノルズの『悲劇的なムーサとしてのシドンズ夫人の肖像』 (ハンティントン・ライブラリー、カリフォルニア州サンマリノ) 同様、本作は委嘱されたのではなく、購入者またはエングレービングにするための版画家を探す目当てで描かれた。ゲインズバラは非常に注意深いチョークの素描 (クリーブランド美術館) を制作しているが、それはシドンズ夫人に2回以上モデルとして座ってもらうことが当てにできなかったことを示唆する。彼女は事実上、家庭の経済を支える唯一の存在で、いつも劇場と家庭との間で忙しかった。そのため、彼女を描こうと望む画家たちのためにモデルをする時間は、どんどんなくなっていた[1]。
本作は、1785年4月に完成した後、ゲインズバラのロンドンのアトリエで展示された[1]。画家は1784年の展示の後、ロイヤル・アカデミーをボイコットしていたからである。なお、本作は、1920年代に映画会社ゲインズバラ・ピクチャーズ (Gainsborough Pictures) のロゴに影響を与えた[4]。